高分子量アミンによる各種元素の溶媒抽出の基礎研究として,銅(II),銀,カドミウム,水銀(II),ガリウム(III)およびインジウムの塩酸溶液からの抽出について研究した。アミン溶液は第ニアミン,N-ドデシ三ルトリアルキルメチルアミンの10%キシレン溶液を使用した。
銅(II)は3mol/l以上の濃度の塩酸から抽出され,水層の塩酸濃度7mol/lで最高抽出率(35%)を示した。
銀はうすい塩酸からよく拙出された。抽出率は水層の塩酸濃度の増加とともに急激に減少した。
カドミウムは広い濃度範囲の塩酸からよく抽出され,水層の塩酸濃度1~6mol/lの範囲で最高抽出率は97%を示した。
水銀(II)は1~8mol/lの塩酸から定量的に抽出された。
ガリウム(III)は4mol/l以上の濃度の塩酸から定壁的に抽出きれた。
インジウムは水層の塩酸濃度6~7mol/lの範囲で最もよく抽出され抽出率は87%であった。
溶媒層に抽出されている銀は4mol/lアンモニア水で,カドミウムは希硝酸で,水銀(II)は6~8mol/l硝酸で,ガリウム(III)とインジウムは希硫酸または希硝酸でよく逆抽出された。
高分子量アミンによるこれらの金属イオンの抽出と,陰イオン交換樹脂に対するイオン交換吸着との間にはあきらかな類似性が認められた。
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