種々の温度で重合したPVCの皮膜試料と尿素包接化合物の放射線重合でつくったPVCの赤外吸収スペクトルを測定した。-50° ,-78℃ で重合したPVCおよび前記放射線重合PVCでは1237または1231cm
-1に,高温で重合したPVCの赤外線吸収スペクトルにくらべて明瞭に平行2色性の吸収帯が認められた。PCVのCCI伸縮振動は690,635,612および605cm
-1付近に認められる。前3者ははっきりと垂直2色性を示すが,重合温度の低いものほど延伸による2色比の変化は少ない。605cm
-1の吸収は他にくらべて垂直2色性が小さく,とくに-50℃ 以下の低温で重合した物は低倍率延伸では平行2色性に近く,高倍率延伸によってはじめて垂直2色性を示すようになる。同様な挙動は960および1255cm
-1の両吸収帯にもみられる。またシンジオタクチック部分の結晶性バンドである635cm
-1の吸収と,主として分子鎖のアイソタクチック構造に超因する非晶性バンドの690cm
-1の吸収の延伸による2色比の変化を調べて,シンジオタクチック部分は配向しやすく,アイソタクチック部分は配向しにくいことを明らかにした。
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