従来,微量のタングステンは,タングステンを化学的に濃縮してから,いろいろの方法で定量されてきたが,この濃縮操作にともなう誤差,試薬からの汚染などいろいろの問題点を含む。
中性子放射化分析法はタングステンに対する検出感度が従来の分析法のそれより非常に高く,反応の特殊性がいちじるしい上に,試料の照射後は試薬による汚染がない。また担体の使用により化学的収率を求めることができるなどのすぐれた点を有している。著者らは
186W (n.γ)
187Wにより生ずる
187W (T
1/2 24h,β-0.62, 1.33 MeV)を用いて,イン石およびケイ酸塩岩石中のタングステンを定量した。
定量結果はつぎのとおりである(ppm)。
イン鉄: Henbury0.78 Canyon Diable 1.20, Admire(金属相)0.028。
イン石:ForestCity 0.24, Modoc 0.13, Nuevo 0Laredao O.11。岩石:花コウ岩 0.11~0.66, 安山岩 1.06, 玄武岩 0.21,超塩基性岩 0.19,堆積岩1.29,
抄録全体を表示