日本化學雜誌
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82 巻, 11 号
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  • 荒井 九一朗
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1431-1434
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ベンズアルデヒド核置換体の亜硫酸水素ナトリウム付加物の解離定数およびアセトフェノン核置換体のオキシムの加水分解定数について,それぞれの対数値が Haxnmett のσ値と比例関係にある。ただし,置換基が NO2 の場合は比例しない。
    アルキル基が C2H5,n-C3H7,i-C4H9および i-C3H7であるフェニルアルキルケトン類においては,それらのオキシムの加水分解定数の対数値は,アルキル基の置換基定数 ΣIcαnに比例して減少する。ただし,置換基がGH3であるアセトフェノンのオキシムの加水分解定数は,置換基が C2H,であるプロピオフェノンと大差ない。
    これらの傾向は,フェニルアルキルケトンシアンヒドリンの解離の場合とは異なる。すなわちアルキル基が CH3,C2H5,i-C3,H7,t-C4Hgのときは,それらのシアンヒドリンの解離定数の対数値は,ΣIcαnに比例して増大するが,アルキル基が,C2H5,n-C8H7,n-C4H9,n-C5H11,n-CH13,i-C5H11,i-C6H13, のときは,ΣIcαn に比例して減少する。
  • 荒井 九一朗
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1434-1436
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    本報では,芳香族カルボニル化合物オキシムの加水分解定数を,平衡溶液の導電率を測定することによって求める方法を試みた。この方法を用いて滴定法によって求められない解離度のきわめて小さいベンズアノレデヒド類オキシムのみかけの加水分解定数を測定した。
    測定したベンズアルデヒド類オキシムの加水分解定数の対数値と Hammett のσ値との関係は,ベンズアルデヒド類シアンヒドリンおよびベンズアルデヒド類亜硫酸水素ナトリウム付加物の解離定数の対数値とσ値との関係と類似している。
  • 北原 重登, 大島 文男
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1436-1441
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水晶を高温高圧の水または食塩水に溶解した水溶液を急冷直後からしらべると,はじめのうちはシリカの大部分は低分子状で存在し,一小部分がコロイド状あるいは結晶状で存在する。低分子状ケイ酸の濃度は時間とともに減少する。溶液が同じ条件で製造されても,その減少速度が非常に異なる場舎がある。この現象は水および食塩水溶液ともに見られる。低分子状ケイ酸の濃度の減少速度はいくぷん食塩によって促進される。この濃度減少は低分子状ケイ酸の重合に基づくものと思われる。食塩水を長時間放置すると,その溶液中の大部分のコロイド状シリカが凝集して,ビンの底に沈殿するのが観察きれた。
    無定形シリカの溶解度を重合平衡に達した溶液を用いて,25°(30°),50°および 100℃ において測定したの食塩水における溶解度は水の場合より少し小さい。
  • 紫藤 延彦
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1441-1446
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2 種類の二塩基酸 A1,A2 および 1 種類の 2 価アルコール G からなる 3 成分系ポリエステルについて,
    (1)二塩基酸全体と 2 価アルコールとは等モルである。
    (2) 2種の酸のエステル化の反応性は等しい。
    (3)反応の全期間を通じて,すべての官能基のエステル化の反応性は等しい。
    以上の 3 個の仮定をおき,確率的な考察から,上記ポリエステル中に存在する酸 A1 を任意の数だけ含む分子の数および重量の比率等を求める計算式を導いた。また上記の計算式を用いて, 3 成分系不飽和ポリエステル中に存在する不飽和酸を含まない分子の数および重量の比率が,初めの不飽和酸のモル比およびポリエステルの数平均重合度によりいかに変化するかを検討した。
  • 紫藤 延彦
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1446-1449
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2 種の二塩基酸,1 種の 2 価アルコールからなる 3 成分系ポリエステルについて,特定の酸を任意の数だけ含む分子の数分率および重量分率を求める計算式については既報した。その応用として,3 成分系の不飽和ポリエステルにスチレンを加えて硬化したいわゆる不飽和ポリエステル樹脂中に存在する非架橋ポリエステル分子の数および重量分率を求める計算式を導いた。これらの数分率,重量分率はポリエステルの酸中の不飽和酸のモル分率,ポリエステルの数平均重合度,ポリエステル中の不飽和酸のスチレンに対す共重合反応率の増加とともに急激に減少する。
    なお,Hamann らによって報告されているブタンジオール-1,4 系不飽和ポリエステル樹脂の抽出実験結果に上記の計算式を適用して,ポリエステル中の不飽和酸のスチレンに対する共重合反応率を求め,同じく,Hamann らが同一樹脂について加水分解実験を行なって実測した共重合反応率と比較を行なった。
  • 紫藤 延彦
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1449-1456
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    マイレン酸,アジピン酸,プロレングリコール系の不飽和ポリエステル樹脂の 60c/s における誘電特繍性および体積低効率に対する樹皮の組織の影響を検討した。
    60c/s における誘電正接の温度特性には一般に 1 個の吸収極大が観測され,極大を生ずる温度 tmax はポリエステルの酸中のマレイン酸モル百分率 x 樹脂中のポリエステル重量百分率 y に関して次式の関係で示される。
    tmax=114+0.043(x-46)y(°C)
    上式は,樹皮中のポリエステルが可ソ剤の効果とを持つことを示すもので,体積抵抗率の測定からも同様な効果が認められた。
    また, 60c/s および 30kc/s における誘電正接の温度特性に観測される吸収極大の挙動から,この種の樹皮には,2種類の誘電吸収に対応する 2 種類のポリエステルセグメントが存在することを推定した。
  • 橋本 栄久
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1456-1461
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    結晶内に均一に分布している胚が,その位置に関係なく等確率で反応の生起点になり得る場合の熱分解速度に関する従来の理論について述べ,熱分解反応に関する基本的な性格を考察し,新しい式の誘導を試みた。反応量の時間的変化は,胚の成核と,生長によるが,胚が成核することによるほかに未成核のまま反応域中に埋没することと生成物固相イオンが拡散し新核を形成することにより核発生速度が時間とともに変化する。これらを考慮こ入れて反応速度式を立てると.初期反応に対し て Hill の提出したものと同じ形の速度式が得られた。結果的には式の立て方を改良したに止まったが,定数項として入る因子の意味が異なるので近似式として Hill と異なり 2 種類の場合を考慮すべきことが指摘された。近似式は dV/dt ∝ exp(yt) と dV/ dt ∝ tλ である。
  • 栗田 英信, 津々見 雄文
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1461-1463
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ホウ化ニッケルが比較的安定であって,しかも還元触媒として高い活性を有することが Paul らによって指摘されたので,われわれはこれを一酸化炭素の還元反応に用いることを試みた。また同時にホウ化コバルトについても還元触媒としての能力の有無を調べた。反応条件は H2:CO=2:1 の原料ガスを用い,常圧,流速 1l/hr/g, 温度 240°~340℃, 粒状シリカゲルを担体とし,助触媒なしで反応を行なった。その結果はいずれも強い活性を有し,一酸化炭素の変化率はそれぞれ 280°および 340℃ においてほとんど 100% に達した。なおホウ化鉄を新しくこれらと同様な沈殿法でつくり,その還元能力を調べたが,本実験の操作条件ではその変化率はかなり低い。
    反応生成物はホウ化ニッケルおよびホウ化コバルトについて調べた。いずれもその大部分はガス状物質であるが,ホウ化コバルト触媒の方がやや多く油状物質を生成した。またガス状物質についてはガスクロマトグラフィーで調べたが,大部分が飽和炭化水素であり,なかんづくメタンがもっとも多量であった。
  • 森本 五良, 川面 博司, 吉江 洋一
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1464-1467
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    グリオキサールに紫外線を照射すると白色固体の重合物が得られる。この重合の機作を解明することを目的として紫外線照射グリオキサールの経時変化を吸収スペクトルの変化から観察した。
    紫外および可視領域ではグリオキサールの n-π 遷移と考えられる 2600~3500 A および 3600~4800 A の吸収帯の強度が紫外線照射によって減少する。
    赤外領域では照射時間が増加するにつれて,グリオキサールの C=O 伸縮による1732cm-1の特性吸収帯の強度が減少し,重合物による C-O 伸縮および C-C 伸縮の特性吸収帯と考えられる 1130 および 970cm-1の強度が増大する。
    これらの結果からグリオキサールのカルボニル基は重合とともに C-0-C の結合に変化することが結論された。
    なお重合物の X 線図は無定形のパターンを示した。
  • 栗田 雄喜生
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1467-1471
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    γ線を照射したジグリコール酸・一水化物単結晶の ESR を 9kMc/sec, 室温で測定した。ESR スペクトルの異方性の解析から,(a)照射によってラジカル HOOC-CH2-O-CH-COOH ができる。(b)このラジカルの中で,不対電子はπ軌道にあり,その 70% が CH に, 2% が CH2 の水素原子にあることがわかった。
  • 東 広巳, 田中 武英
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1471-1473
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    n-アミルリチウムを触媒としてエーテルまたはベンゼン中でスチレンの重合 (-70°~30℃)を行なった。すべての場合,living Polymer が生成するのでこれらのポリマーの分子量分布について検討した。その結果,これらの分布は重合条件によってかなり変化するが, Mw/Mn の比はエーテルの場合 1.09~2.31,ベンゼンの場合は 1.03~1.09 であった。これによって,n-アミルリチウム触媒でも芳香族ナトリウム化合物触媒と同様に分子量分布の非常にせまいポリマーが得られることがわかった。
  • 衣笠 俊男, 中島 路可
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1473-1475
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    オルト効果の研究の目的で約 20 種類のハロゲン置換ニトロペンゼン誘導体を合成し,その赤外吸収スペクトルを測定した。νN-o の対称および逆対称伸縮振動から,これらの化合物における立体効果のようすを知ることができた。ハロゲン置換ニトロベンゼン系では, νN-o 対称,逆対称振動のいずれも,立体障害が増加するにつれ高波数側にシフトする。また塩素,臭素,ヨウ素の立体障害に対する差違は赤外吸収スペクトルからは見られなかった。
  • 古賀 昭人
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1476-1478
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    別府温泉 27 カ所の金の含有量を調べた。最高は海地獄 の2.2γ/l で,全平均は 0.53γ/l であり,銀の 10.7γ/l にくらべれば,およそ 5% である。1.0γ/l 以下が全体の 90% を占めており,pH の低いほど金の含有量は高い。したがって泉質も酸性泉,とくに含ボウ硝食塩酸性泉や含食塩酸性泉に多い。また温泉沈殿物中には銀とともに相当濃縮されており,最高は十万地獄の 56.5γ/g である。温泉水中の金と銀とは比例していないが,沈殿物中ではよく比例している。金と銀との比はクラーク数と同様に沈殿物中でも 5% である。つぎに別府温泉の温泉水と沈殿物中の微量成分間の相関係数を計算すると,温泉水では金はクロムとの正の相関が強くマンガンとも正の相関,チタンとは負の相関を示すが,沈殿物では銀,ヒ素との正の相関が大でマンガンとは負であった。
  • 細原 匡一, 上妻 博宜, 川崎 克彦, 鶴田 徳松
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1479-1480
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    著者は海水中の水銀の定量にあたって,水銀をジチゾンにより抽出濃縮後,ふたたびジチゾンにより分光光度定量する方法を提出したが,海水中にはジチゾンにより直接抽出されない状態の水銀の存在も予想される。ここでは海水を硫酸,硝酸あるいは過マンガン酸カリウムと加熱分解後,水銀を定量し,従来の方法と比較検討した。
    本法を本邦近海海水に適用したところ,酸化分解した海水中の水銀含有量は未処理海水中の水銀含有量の平均約 10 倍程度高い値を得た。なお河川水についても同様の検討を試み,またプランクトン中の水銀量も定量し,これらの結果をあわせ考え,海蔑中の水銀は相当量プランクトンその他の海洋生物に摂取されることを示唆した。
  • 黒田 甲子郎
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1481-1484
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フォルマト・ペンタアンミン・コバルト(II)錯イオン,およびプロピオナト・ペンタアンミン・コバルト(III)錯イオンの酸性水溶液におけるアコ化反応速度を,種々の条件のもとにおいて,分光光度計により溶液の吸光度の変化を測定することによって求めた。その結果によれば,これらの反応はいずれも 1 次反応として進行するが,水素イオシ濃度の増大によって両者ともかなりいちじるしく速度が増加することが認められた。イオン強度増大による影響も水素イオンによる効果と類似しているが,速度増加の程度は小であった。これらの実験事実から,反応の機構について若干の考察を試みた。また,反応の活性化エネルギーはそれぞれ 25200, 25400 cal であった。
  • 浜口 博, 中井 敏夫, 遠藤 正
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1485-1489
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    イン石中のヒ素,アンチモンの含有量についての報告は少なく,また値には大きな差がある。そこで微量分析に有力な方法である中性子放射化分析法を適用することを考えた。
    イン石物質中のヒ素,アンチモンの放射化分析法を確立し,その方法でイン石 6 個について定量を行なった。得られた値と従来の値と比較した結果は,近年の報告値と良い一致を示した。またヒ素,アンチモンは両元素とも親鉄性で金属相に濃縮しているが,ヒ素の方がさらに親鉄性が強いことが示された。
  • 浜口 博, 中井 敏夫, 亀本雄 一郎
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1489-1493
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    白金,イリジウム,パラジウムの放射化学的精製法を検討し,重量分析的な方法,イオン交換樹脂法,溶媒抽出法を組み合わせることにより十分満足のいく精製法が得られた。この精製法を用いて放射化分析法を確立した。
    試料と,試料に組成のよく似た“ mock ”に既知量の白金,イリジウム,パラジウムを加えた標準試料とをそれぞれ石英管に封じ,ならべてカプセルに入れたものを JRR-1 中で 3 日間中性子照射を行なった。照射した試料および標準試料から担体の存在の下で上述の精製法にしたがって純粋な白金,イリジウム,パラジウムをとり出し GM 計数管で測定した放射能の強さを比較して,これら 3 元素を定量した。分析した試料はイン鉄 3 種,石質イン石 3 種,パラサイト 1 種(金属相およびケイ酸塩相)である。
  • 浜口 博, 中井 敏夫, 井出野 栄吉
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1493-1498
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    従来,微量のタングステンは,タングステンを化学的に濃縮してから,いろいろの方法で定量されてきたが,この濃縮操作にともなう誤差,試薬からの汚染などいろいろの問題点を含む。
    中性子放射化分析法はタングステンに対する検出感度が従来の分析法のそれより非常に高く,反応の特殊性がいちじるしい上に,試料の照射後は試薬による汚染がない。また担体の使用により化学的収率を求めることができるなどのすぐれた点を有している。著者らは186W (n.γ) 187Wにより生ずる187W (T1/2 24h,β-0.62, 1.33 MeV)を用いて,イン石およびケイ酸塩岩石中のタングステンを定量した。
    定量結果はつぎのとおりである(ppm)。
    イン鉄: Henbury0.78 Canyon Diable 1.20, Admire(金属相)0.028。
    イン石:ForestCity 0.24, Modoc 0.13, Nuevo 0Laredao O.11。岩石:花コウ岩 0.11~0.66, 安山岩 1.06, 玄武岩 0.21,超塩基性岩 0.19,堆積岩1.29,
  • 島田 貞子
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1498-1500
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    一次元上昇法ペーパークロサトグラフィーによって,約 30 種の無機陽イオンを分離するにあたり,展開中の展開液組成に傾斜をもたせる,いわゆる傾斜法を適用することを試みた。エタノール-n-ブタノール-塩酸系溶媒で,最初の展開液を塩酸で 2N になるよう調製しておき,漸次エタノール-n-ブタノール (1:1) 混合液を添加,かきまぜながら展開をおこなえば上記イオンを大体 4 群にわけることができることを見いだした。
  • 伊豆津 公佑
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1500-1503
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    滴下水銀電極を用いる電流規正ポーラログラフ法に関して,(1) 残余電流の大きさを近似的に検討するとともにその補正法を示した。(2) 本法を二成分系の定量に用いる場合,前報の結果から導いた関係式と計算値とを用いると満足すべき結果が得られることを実証した。(3) また,本法はセル抵抗の影響をほとんど受けないために,非水溶媒などのポーラログラフィーに有用であると思われる。
  • 伊豆津 公佑
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1503-1506
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    電流規正ポーラログラフ法を用いて極大,極小現象,泳動電流,酸化電流,混液電位,反応電流,触媒電流,吸着波などのいくつかの例について検討したこ。本法では極大を生じないが波形がやや悪く,極小現象も異状な波形を示す。泳動電流,酸化電流,混液電位,反応電流,触媒電流,吸着波などは常法ポーラログラフ法とほぼ同様の加電流電位曲線が得られた。
  • 森井 ふじ
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1507-1509
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    海藻中の鉄,アルミニウム,マンガンを簡単な操作で精度よく定量するための基礎条件を決定することを目的として,まずそれらのオキシン錯体をクロロホルム抽出法によって分離後分光光度法によって定量する方法について検討した。まず三者の pH-抽出曲線を求めた。鉄オキシン錯体はpH>2.0 で完全に抽出されるが,アルミニウム錯体は pH<3.1 ではほとんど抽出されず(抽出率<1.0), pH=4.8~10.0 で完全に抽出される。マンガン錯体の抽出率は pH<5.5 において 1% 以下であるが, pH=10.0~11.0 でほぽ 100% になる。したがって pH=2.8 においてクロロホルム抽出を行なうことにより鉄はアルミニウム,マンガンより定量的に分離され,クリロホルム層を用いてそのまま比色定量し得る。水層中のアルミニウムの定量にはさらにオキシンを加えたのち溶液の pH を 5.0 にして抽出し,そのクロロホルム層について行なう。残った水層中のマンガンはさらにオキシンを加えたのち溶液の pH を 10.0 にして抽出し,そのク0ロホルム層について行なう。三者共存の試料溶液(鉄 10~200μg,アルミニウム 5~40μg,マンガン10~60μg)に上記の方法を適用し ±2.0% 以内の誤差で分離定量し得た。
  • 森井 ふじ
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1510-1511
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    人工海草試料溶液を調製し,それに既知量のアルミニウムを加え,オキシン錯抽出による銑,アルミニウム,マンガンの分離定量法を適用してアルミニウムを定量し, 98.8~100.6% の回収職得た.和歌山県友ケ島周辺で採取した 7 種の海草につき上記の方法を適用してアルミニウムを定量し0.03~3.4mg/g 乾燥試料の値を得た。
    鉄およびケイ素を定量し,それらとアルミニウムとの原子比を算出した。鉄とアルミニウムの原子比は 02~0.3 の間にケイ素とアルミニウムの原子比は 3~4 の間でほぼ一定している。なおアルミニウムの含有量は大体緑藻,褐藻,紅藻の順に多くなる傾向にあると思われる。
  • 丸田 巌, 酒井 十四男, 常盤 文克, 斉藤 鉄太郎
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1512-1514
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ドデシル硫酸ナトリウム,ドデシルアルコールおよびポリビニル硫酸ナトリウムなどの希穂溶液から適当な濃度,成牙比率および温度のとき不溶性物質が析出する。この不溶物は条件により浮上または沈殿するとか,塩基性色素をよく吸着するなどの特異な性状を示し,その組成はドデシル硫酸ナトリウムとドデシルアルコールとからなっており,界面活性剤とアルコールとの比は 1:2 に近く,一般に知られている 1:1 のものとは異なっていること,高分子電解質は不溶物中に含まれていないことを確かめ,また不溶物の析出条件を明らかにした。
  • 浜田 潤
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1514-1517
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    3,3',5,5'-テトラ-tert-ブチル-ヘキセストロールを酢酸中で加熱して臭素と反応させると,少量の 3,5-ジ-tert-ブチル-4-オキシペンズアルデヒド(アルデヒドと略称)を得た。そこでこの反応におけるアルデヒドの生成経路を究明した結果,中間体として,26-ジ-tert-ブチル-4-プロペニルキノンメチドが生成して,その中間物質は臭化水素と水の存在のため,2,6-ジ-tert-ブチル-4-(1-オキシプピル)フェノール(α-オキシと略称)および 2,6-ジ-tert-ブチル-4-(1-ブロムプロピル)フェノールを生成し,その2分子間の反応によって,α-オキシの方がアルデヒドになることがわかった。
  • 松井 和夫
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1517-1520
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1,3-ジエトキシカルボニル-2-アズレニルチオグリコール酸エチル(V)をエタノール中で,ナトリウムアルコラートと処理すれば,2,9-ジェトキシカルボニル-3-オキシチェノ[3,2-α]アズレン(W)を得る。VIのメチルエーテル(VII)の加水分解脱炭酸によって,3-メトキシチエノ[3,2-α]ユアズレン(VIII)を与え,VIIの部分加水分解脱炭酸では,VIIIのほか 9-エトキシカルボニル-3-メトキシチエノ[3,2-α]アズレン(IX)が得られる。
  • 松井 和夫
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1520-1522
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    3-メトキシチエノ[3,2-α]アズレン(II)はエタノール中で塩酸により容易に加水分解されて,3-ケト-2,3-ジヒドロチエノ[3,2-]アズレン(IV)となる。IVを水素化ホウ素ナトリウムで還元して,3-オキシ-2,3-ジヒドロチエノ[3,2-α]アズレン(VI)とαし,VIを昇華すれば,脱水反応をともなって,母体のチエノ[3,2-α]アズレン(VII)を得る。またIVのグリニヤ反応によって,3-メチルおよび 3-エチルチエノ[3,2-α]アズレン(IX),(X)をも得る。
  • 松井 和夫
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1522-1524
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1,3-ジェトキシカルボニル-5-イソプロピル-2-アズレニルチオグリコール酸エチル(III)を,ナトリウムアルコラートと処理すれば,5-および7-イソプロピル-2,9-ジエトキシカルボニル-3-オキシチエノ[3,2-α]アズレン(IV)を得る。IVのメチルレエーテル(V)を加水分解脱炭酸すれば,5-および 7-イソプロピル-3-メトキシチエノ[3,2-α]アデズレン(VI)となる。VIは塩酸による加水分解で,5-および 7-イソプロピル-3-ケト-2,3-ジヒドロチエノ[3,2-α]アズレン(VII)を与える。VIIを水素化ホウ素ナトリウムにより還元したのち,生成物を昇華し, 5-および 7-イアプロピルチエノ[3・2-α]アズレン(VIII),(IX)を得る。これ等の分離はアルミナクロマトグラフィーにより行なった。
  • 大田 正樹, 上田 寛幹
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1525-1528
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1-ペンゾイルチオセミカルバジドとモノクロル酢酸またはそのエステルをいろいろの pH の溶液中で加熱縮合させたが, 1-ベンゾイルチオセミカルバジドの 4 位のアミノ基とカルボキシル基との間に脱水縮合が起り, 環化して 2-ベンゾイルヒドラゾノ-4-オキソチアゾリジンを生じ, Beyer らのモノクロルアセトンを用いた場合と異り, 溶媒の pH の影響をうけないことを見いだした。塗諮えられた 4-オキソチアゾリジン誘導体の酸,アノレカリに対する反応性を検討した。
  • 大田 正樹, 上田 寛幹
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1528-1530
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    4-フェニルチオセミカルパジドに無水酢酸ナトリウムの存在下モノクロル酢酸またはそのエステルを反応させると3-アミノ-2-フェニルイミノ-4-オキソチアゾリジンと 2,5-ジアニリノ-1,3,4-チアジァゾールが得られた。4-メチルチオセミカルバジドとモノクロル酢酸エチルからは 2-ヒドラゾノ-3-メチル-4-オキソチアゾリジンと N,N'-ジメチルビスプソイドチオヒダントインが得られ,モノクロル酢酸を用いた場合には後者のみが得られた。これからチオセミカルバジドの4位の置換基が反応に影響を及ぼすことがわかった。4-メチルチオセミカルバジドからチアジアジン誘導体を得たという報告があるが,これは N,N'-ジメチルビスプソイドチオヒダントインであることを明らかにした。
  • 大田 正樹, 上田 寛幹
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1530-1533
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1-べンゾイル-4-メチル(またはフェニル)チオセミカルバジドおよび 1,4-ジメチル(またはジフェニル)チオセミカルバジドとモノクロル酢酸エチルの反応を検討した。
    1-ペンゾイル-4-フェニルチオセミカルバジドからは中間の S 置換体およびその閉環体であるトリアゾール誘導体がえられ,前報でのべたチオセミカルバジドの 4 位の覆換基だけが反応を文配するものでなく,反旛生成物の安定性も大きな要素と思われる。1-ペンゾイル-4-メチル- および 1,4-ジ置換チオセミカルバジドからは無水酢酸ナトリウムの存在下ではオキソチアゾリジン誘導体が得られた。無水酢酸ナトリウムの存在しない場合に 1,4-ジフェニルチオセミカルバジドから 3-フェニル-2-フェニルヒドラゾノ-4-オキソチアゾリジンが得られ,これはまず 3-アニリノ-2-フェニルイミノ-4-オキソチアゾリジンを生じ,これに反応の際に生じる塩化水素が作用して生じたものと考えられる。
  • 清水 隆八
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1533-1536
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    幾何異性体 5,β-ジメチルクマリン酸エチル-O-酢酸エチル(III) および 5,β-ジメチルクマル酸エチル-O-酢酸エチル(VII)の分子内ミハエル反応においては,それぞれ同一物質 2-エトキシカルボニル-3,5-ジメチルクマラン-3-酢酸エチル(IV)を生じた。IV の2つのエステル基はトランス配位であることを確かめた。アセトニリデンサリチルアルデヒド-O-酢酸エチル(XIII)のミハエル反応では,さらに脱アルコール閉環反応まで進み 1,2,3,4,4a,9b-ヘキサヒドロ-2,4-ジオキソジペンゾフラン(XVa)を生じた。その立体配位はシス型であることを確めた。
  • 石川 勉
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1536-1539
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    さきに第1報において,合成ポリウロナイドトして液体過酸化窒素で酸化したデンプンの加水分解により D-グルクロン酸が得られる慈とを示したが,本報ではさらにこれを補なって,天然のポリウロナイドに対応させる意味において,ウロン酸含量のなるべく高い試料(C6H8O6 80%以上)をも含む種々の酸化デンプンを硝酸(過酸化窒素含有)酸化で合成し,これらのものを対象にして加水分解によるグルクロン酸の単離について研究した。なおこれに付随してデンプンの酸化反応についても若千の検討を加えた。
  • 西村 昭二, 作本 彰久, 井本 英二
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1540-1543
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2,3,5-トリ置換チオフェン類のニトロ化を行ない,ニトロの導入位置からつぎの結果を得た。(1) 3位に電子求引性の置換基がある場合,2位に電子供給基があれば,5位のカルボキシル基,アセチル基またはホルミル基はニトロ基で置換される。しかし, 5位がプロム基ならば 4位にニトロ基が導入される。(2) 3位に電子供給基がある場合, 5位にメトキシカルボニル基があっても, 2位のプロム基はニトロ基で置換される。しかし, 5位がアセチル基ならばニトロ化を受けない。(3) 3位に電子求引性あるいは電子供給性のいずれの置換基があっても, 2位と 5位がプロム基であればニトロ基は 4位に入る。これらのことから, 2と 3位または 2と 5位の置換基間の共役は大きいが, 3と 4位間ではこれが小さいと推論した。
  • 西村 昭二, 北川 富三, 井本 英二
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1543-1546
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    各種のハロゲンチオフェンのアニオノイド置換反応によるアミノ化を行なった。その結果, 2個の電子求引基を持つ 2-ハロゲンチオフェン類のハロゲンは容易にアンモニア,アニリンまたはベンジルアミンで置換され,それぞれ相当するアミノチオフェンを生成した。しかしアンモニア-エタノール溶液と封管中に加熱すると, 2-ブロム-3-ニトロ-5-チオフェンカルボン酸メチルエステルの2位のブロムはエトキシ化されて 2-エトキシ-3-ニトロ-5-チオフェンカルボン酸アミドを与え,また 2-プロム-3-ニトロチオフェンおよび 3-プロム-2-ニトロチオフェンはヒドロキシ化されてそれぞれ相当するニトロチエノールを生成した。
  • 西村 昭二, 畑中 淳一, 井本 英二
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1546-1548
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-メチル-3-ニトロ-5-チオフェンカルボン酸のメチル基はべンズアルデヒド, 2-チオフェンアルデヒドまたはフルフラールと反応し,相当するペンジリデン,テニリデン,フルフリリヂン誘導体を好収率で生成した。しかし脂肪族アルデヒドとは反応しなかった。ついで各種のメチルニトロチオフェソとフルフラールとの縮合反応を試みた結果, 2,4-ジニトロ-3-メチルチオフェンおよび 5-プロム-2-メチル-3,4-ジニトロチオフェンを除き,いずれも相当するフルフリリデン誘導体を得た。上に得られたフルフリリデン誘導体のフラン環を開裂する試みはいずれも失敗であった。
  • 士屋 智明
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1549-1551
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Beckmann 転位を応用歩ることにより,一般に合成困難とされている 2-アミノチオフェン誘導体および 2-アミノフラン誘導体を得る目的で,チオフェン系およびフラン系のケトンオキシムすなわち 2,2'-ジチエニルケトンオキシム 1種,5-置換一2-チエニル-2-フリルケトンオキシム 2種,5-置換-2-フリル-4-置換フェニルケトンオキシム 1種,5-置換-2-チエニルフェニルケトンオキシム 1種,5-置換-2-フリルフェニルケトンオキシム 2種,計7種について Beckmann 転位を試みた。その結果両方がチオフェン核のついているケトンオキシムについては転位が行なわれて目的とするチオフェンアミノ誘導体が得られた。またべンゼン核とフラン核に置換基を持つケトンオキシムからは同様に目的とするフラン核に窒素のついたアミノフラン誘導体が得られた。一方がチオフェン核またはフラン核で置換基を持ち,他方がベンゼン核のケトンオキシムからはいずれもベンゼン核に窒素のついたチオフェン酸アミドおよびフラン酸アミドが得られ,アミノチオフェンあるいはアミノフラン誘導体は得られなかった。また一方が置換チオフェン核で他方がフラン核の場合はいずれも転位試薬に対し不安定で分解してしまうことがわかった。
  • 黒崎 和夫
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1551-1555
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シス型アミド関連物質として,ピラゾリドン核をもった 6 種の化合物およびこのうちの 4 種のものの重水素化合物の赤外吸収を測定した。そしてピラゾリドン核の特有吸収帯を明らかにし, 2-ピロリドンのようなシス型アミドとの比較を行ない, 1-フェニル-3-ピラゾリドンの各吸収帯の帰属を行なった。
  • 黒崎 和夫
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1555-1557
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シス型アミドの特有振動,特に N-H 面内変角振動 (δ(N-H)) に関係する吸収帯は CH2変角振動の領域にあらわれ,両者の区別がつきにくい。そこでCH2を含まないアミドとしてイサチンをえらび,その重水素化合物の赤外線吸収,と比較してδ(NH)関係の吸収帯を分離しようとした。イサチンは >C=O…H-N< 型の非常に強固な水素結合によって会合して二量体を作っており,エノル型は存在しないと考えられた。しかもカルボニル基がα とβの二つ存在するため,ペプチド結合の C-N が単結合のままの共鳴型の寄与もかなりあるので, L(C-N) の混合する吸収帯の波数が低下すると考えられた。
  • 薪井 清
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1557-1561
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    イタニグサ寒天質のアセチル化物をジメチル硫酸と水酸化ナトリウム水溶液でメチル化し,さらに Purdie 試薬を作用させてメチル寒天質を作った。その化学組成および性状はメチルアガリースによく似ている。
    メチル寒天質をメタノリシスしてその反応生成物からメチル 2,4,6-トリ-O-メチル-D-ガラクトシッド, 2-0-メチル-3,6-アンヒドロ-L-ガラクトース,ジメチルアセタールおよびメチル2-O-メチル-3,6-アンヒドロ-L-ガラクトシッドが得られた。 それらの収量からイタエグサ寒天質分子もアガロ一ス分子のようにβ-D-ガラクトピラノースとα-3,6-アンヒドロ-L-ガラクトピラノースとが交互に1→4結合と1→3を反覆しているものと推論することができる。
  • 高木 豊
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1561-1563
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    日本産あかねの根は,古くから染草として利用されているが,その含有色素については一,二の報告があるだけで,疑間の点が少なくない。著者は秋田産あかねの根(乾燥品)に含まれる色素の主成分として 2 種存裡することを碗かめ,それらを結晶として単離し,プルプリン,およびムンジスチンであることを確認した。
  • 湯川 泰秀, 花房 昭静
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1563-1566
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    環状不飽和炭化水素と塩化アシルの塩化アルミニウムによる縮合反応で溶媒にシクロヘキサンを用いると,中間に生成するβ-クロルケトンの塩素原子が還元されて飽和ケトンとなり,還元にあずかったシクロヘキサンは 2,2'-ジメチルピシクロペンチルと 2,3 しジメチルピシクロペンチルになることを明らかにした。
  • 浦田 能清
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1566-1570
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ジハロゲン化エチレンのハロゲン原子は陰イオン交換樹脂によって他のハロゲン (1個または2個) と置換することができた。塩素形陰イオン交換樹脂 Amberlite IRA-400 (または臭素形)209と 1,2-ジブロムエタン 40g(または 1,2-ジクロルエタン)とを封管中で 50°~130℃にて 3 時聞反応を行なった。例えば 130℃, 3時間では塩素形および臭素形陰イオン交換樹脂の反応にて 1-プロム-2-クロルエタンをそれぞれ 6.98g と 2.27g 得た。つぎに 1,2-ジブロムエタンと 1,2-セクロルエタンの混合溶液を陰イオン交換樹脂存在のもとで(臭素または塩素形)加熱することによって 1-ブ0ム-2-クロルエタンを得た。とくに 130℃ 以上の温度では使用した陰イオン交換樹脂の交換容量(100% の置換が行なわれたと仮定した場合)から算出される 1-ブロム-2-クロルエタンの生成量より多い収量を得た。これは陰イオン交換樹脂が置換反応を行なうほかに 1,2-ジクロルエタンと 1,2-ジブロムエタンのハロゲン交換に触媒的作用をするものと考えられる。
  • 松田 勗, 森 武充, 井原 淳裕, 秋吉 三郎
    1961 年 82 巻 11 号 p. 1570-1573
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シクロオレフィンやシクロケトンは酢酸水銀(II)と反応して,二重結合またはカルボニル基の α位の炭素にアセトキシル基を置換するが,鎖式オレフィンおよびケトンについては研究されていない。オクタノン-2,オクテン-1,シス-,およびトランス-オクテン-2について検討した結果,オクタノン-2では,置換反応は認められなかったが,オクテン-1,およびオクテン-2では,オクタノンの副生とともに,二重結合のα位の炭素に置換(正常置換)が起った生成物と,二重結合の移動をともなう置換(異常置換)が起った生成物とを与えた。未反応オレフィンについての二重結合の移動は認められなかったが,オクテン-2ではシスにトランスの異性化が起った。
  • 1961 年 82 巻 11 号 p. A93-A101
    発行日: 1961/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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