塩化アルミニウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液の反応について,濃厚溶液の接触界面に生ずる界面膜が揺動する現象を解明するために,一塩化アルミニウム濃厚水溶液とO.1N水酸化ナトリウム水溶液の均一系反応とこれらの反応で申間的に生ずるものと予想される塩基性塩化アルミニウムの生成反応とをあわせて比較研究した。研究方法としては組成分析,m変化,粘度変化,ESR,重合度,揺動の連続写真aシュリーレン連続写真などを調べ,また第7~9報の結果とあわせ考察した。その結果,塩基牲塩化アルミニウムの生成反応ではまず数分子会合程度の塩基性塩の生成,ついで水に可溶の高分子量の塩基性塩,最後に水に不溶の塩基性塩を生ずることを明らかにし,また水に可溶の高分子量の塩基性塩を生ずる際9詔2,およびアクオ錯塩に相当するESRの吸収帯の生ずることを明らかにした。 塩化アルミニウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液の反応では上記塩基性塩化アルミニウム生成反応の第点段階はあらわれるが,反応時間が短いため第二段階以下はあらわれない。また濃厚溶液接触界面の膜は部分的に不均一で,起電力差を生じ,そのため揺動現象のおこることを明らかにし7また塩化アルミニウムが水により加水分解をうけ,塩基性塩化アルミニウムと塩酸になり,この塩酸が水酸化ナトリウムと反応すること,および膜の揺動により塩基性アルミニウムィオンまたはOH
-と水が界面から送り出されることを明らかにした。
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