日本化學雜誌
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82 巻, 7 号
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  • 牛木 彌太郎
    1961 年 82 巻 7 号 p. 785-788
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    触媒反応によって金属の分散度を研究することの可能性を検討した。
    水に分散させた亜鉛末に塩化白金水溶液を加えて白金を析出させ,過剰の亜鉛を硫酸で溶解してえられる白金分散体を用いて過酸化水素を分解し,その速度定数を適当な比表面速度定数と比較して分散体の表面積を求め,これから白金の平均粒度を決定した。このとき,亜鉛末の重量,塩化白金水溶液の濃度および容積をかえると,直径0.5μ から0.02μ までの白金の分散体がえられ,0.4μのものは顕微鏡写真による結果とほぼ一致したまた。白金の分散度から,析出機構を考察した結果はじめは一定の大きさの単粒子となって析出し,しだいに粒子数が増加して一定値に達すると,粒子数はそのままで粒子が成長し,ついには凝集すると考えると実験結果を満足する。
  • 藤本 武彦, 新宮 春男
    1961 年 82 巻 7 号 p. 789-794
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    0°K気体パラフィン炭化水素の分子エネルギーの異性化変分を構造化学的に解釈するにあたって,異性化にともなう分子申の構造変化部分とその他の構造部分との間の相互作用が長鎖分子において一定となる規則性(長鎖基準の原則)を見いだし,各種の分岐異牲体のこの原則からの偏差を検討してパラフィン分子構造部分間に分子を不安定化させる方向の相互作用(不安定化エネルギー)が存在することを結論し,これらの関係にもとついて5個(実際上4個)の構造パラメーターを用いる分子エネルギーの構造補正経験則を導ぴいた。すなわち,長鎖n-パラフィン分子の申央にメチル分岐およびgeminal-ジメチル分岐を異性化導入する際の分子エネルギー変化がそれぞれy=0およびx=-1.10kca1/molの定常値となることを見いだし,これを基準として,各異性体の分岐構造に対応してこのパラメーターの和を求め,そののちその異性体の分岐構造間の近接効果による不安定化エネルギーの増大および主鎖が長鎖より短縮するための不安定化エネルギーの減少などの構造エネルギー変化をつぎの三つの不安定化パラメータ.一:b=0.82(anti-1,4位炭素間),c=0.27(anti-1,5位炭素間)およびb'=1.52(syn-1,4位炭素間)kcal/molを用いて計算して上記の和に加えることによって次式のように異性化エネルギーを計算する。
    ΔHiΣy+Σx+Σb+Σc+Σb' kcal/mol
    この式により,主鎖の炭素数4以上オクタンまでの全分岐異性体の異性化エネルギーを平均誤差±0.28kcal/molの精度をもって計算することができる。
  • 藤本 武彦, 新宮 春男
    1961 年 82 巻 7 号 p. 794-799
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    長鎖基準の原則に基づいて0°K気体パラフィン炭化水素分子内の不安定化エネルギー項を共有結合間の相互作用として取り扱い,つぎの経験式によってC-C結合(n-1)個をへだてる結合間の不安定化エネルギー項Rnを制度よく表示しうること,を見いだした。
    Rn=20.48/4x kcal/mol
    ただし,syn-1,4位炭素上の結合間にはR'4=0.1756,syn-1,5位またはcis-1,4の結合間にはR'5(=R4Cl8)=-0・2111kcal/molの修正パラメーターをそれぞれR4およびR5のかわりに使用する。本報では本式がn≧3の範囲で成立することを支持する根拠を示し,同時にパラフィン分子におけるこのパラメーターの緩和の異性化変分{ΣRn(n≧3)}iso-nを異性化エネルギーから減じることによって単分岐形式に対してY=-4.03±0.17keal/mol,geminal-分岐形式に対してX=-11.90±0.16kcal/molの値を導びき,この数値はその分岐形式のみによって定まる定常性のものであることを示した。以上の考察からわれわれはパラメクーター6個用いる0°K気体オクタンまでのパラフィン分岐異性体31個(ネオペンタンを除く)の異性化エネルギーを計算する改良経験則を導びいた。
    ΔHi={EY}iso-n+{ΣX}iso-n+{ΣRn(n≧3)}iso-n kcal/mol
    本経験則は平均誤差±0.20kcal/mol(ネオペンタンを含めて±0.22kcal/mol)の従来の加成則では達しえなかった精度を有している。
  • 直野 豊彦
    1961 年 82 巻 7 号 p. 799-804
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    高圧法ポリエチレンフィルムを,(1)溶融状態から一定速度で冷却しながら結晶化させた場合と(2)溶融状態からいろいろの結晶化温度まで急冷し,その温度で等温的に結晶化させた場合について,フィルム通過する光の強さの変化を追跡した。(2)の結果を顕微鏡的に観察した球晶の等温成長過程と比較して,透過光の強度変化が溶融体から直接成長する球晶の成長過程と対応していることを立証した。さらに(1)と(2)の結果を比較して,定速冷却過程の透過光の強度変化と球晶成長過程の関係も明らかにした。これらの結果によると,Hawkins らが透過光の放冷過程における強度変化にもとづいて論議した溶融体からの球晶の成長に関する推論は適当でないことがわかる。
  • 竹西 忠男
    1961 年 82 巻 7 号 p. 805-813
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    DL-15N-グルタミン酸,DL-グルタミン酸塩酸塩,L-グルタミン酸(β 形),DL-グルタミン酸,L-グルタミン酸の重水素置換体,DL-グルタミン酸モノナトリウムの二水和物およびその重水素置換体の赤外線吸収スペクトルを比較してグルタミン酸の振動スペクトルの帰属を行なった結果 1642,1584,1513,1151 および 1125cm-1をNH3+ 振動に,1664,1421,1235,868および674cm-1をCOOH振動に,1614,1421cm-1をCOO-振動に,1075,1055,968,946,912cm-をC-C伸縮とC-N伸縮に帰属した。またこのほかDL-グルタミン酸(α 形),DL-グルタミン酸一水和物,L-グルタミン酸モノナトリウム一水和物,DL-およびLグルタミン酸ジナトリウム一水和物の赤外線吸収スペクトルの測定を行なった。これらの化合物の赤外線吸収スペクトルからDL-グルタミン酸の結晶多形のうちの一つの型(A形)はL-グルタミン酸(β 形)とまったく同一であり,もう一つのB形はL-グルタン酸のα,β 形と異なるスペクトルをあたえることがわかった。
    またDL-レグルタミン酸塩酸塩,DL-グルタミン酸ジナトリウムはそれぞれL-グルタミン酸塩酸塩,L-レグルタミン酸ジナトリウムとまったく同じスペクトルをあたえる。これらのことからDL-グルタミン酸塩酸塩,DL-グルタミン酸ジナトリウム,DL-グルタミン酸(A形)はラセミ体ではなくてD-とL-の結晶のラセミ混合物であることがわかる。
  • 三谷 一雄, 原納 淑郎
    1961 年 82 巻 7 号 p. 814-818
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ギ酸の熱分解に対する白金触媒の活性度は白金の前処理によりいちじるしく変わる。そこで活性度の異なる白金表面についてギ酸蒸気の適応係数αを測定し,αと活性度との関係を検討した。αは常法により測定したが,その際ギ酸の圧は白金リボンを封入した測定管内に同時に石英糸を封入し,この石英糸を圧力計として用いて求めた。(1)α は白金の温度とともに減少し,Euckenの式を満足した。(2)活性度が高いときは,温度80°C以下におけるαは0.95より大きい。このことから,比較的複雑であると思われるギ酸分子において,低温ではすべての自由度にほぼ完全にエネルギーが移行することがわかった。(3)活性度が高いほどαは大きい値をとる。このことは触媒の活牲度の大小はエネルギー移行の程度と平行関係にあると考えると当然のことと思われるが,さらに定量的に考察したところ,単にエネルギー授受の難易だけによって触媒の活性度を説明できないことがわかった。
  • 多羅間 公雄, 梅田 昭司
    1961 年 82 巻 7 号 p. 818-824
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ニッケル粉体触媒の表面状態を知るために,還元後の試料について1)脱ガス条件をかえる,2)500°Cで熱処理,3)礁化水素で被毒,の3種の前処理をおこない,処理箭後における吸着等温線および吸着熱などを測定して,両者を比較検討し,さらにこれらの結果から表面における吸着座席の分布関数をもとめ,前処理による表面状態の変化を量的にあらわれすことができた。またX線回折により前処理前後における触媒の状態を調べ・この状態変化と表面状態の変化との関連性を検討した。この結果シンターリング,硫化水素被毒ともにこまかい結晶粒子の吸着活性の大きい点を減少させるのであるが,被毒の場合はその影響が比較的活牲の弱い吸着点にもおよんでいることがわかった。
    また炭酸ニッケルからえられた試料は,水酸化ニッケルからつくられた試料にくらべて熱処理によりシンターリングをうけやすいことを知った。
  • 多羅間 公雄, 梅田 昭司
    1961 年 82 巻 7 号 p. 824-830
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    銅および鉄粉体触媒の表面状態を検討するために,第1報と同じく 1)脱ガス条件をかえる, 2)400~500°Cで熱処理, 3)硫化水素で被毒,の前処理をおこなってそれぞれの処理前後における吸着等温線,吸着熱などを測定し,これらの実験結果に分布関数法を適用して表面状態を解析した。銅,鉄ともに,シンターリングによって表面積はあまり変化しないが水素吸着量はかなり減少をみた。銅の場合,硫化水素被毒により表面積はむしろ増大するのに水素吸着量は減少し,硫化水素分子1個あたり1個以上の吸着座席を被毒し,その吸着能を減少させていることがわかった。
    とくに分布関数による解析結果から,熱処理と被毒のための表面状態の変化には明確な差異のあることがわかった。すなわち熱処理によっては表面の吸着座席のうちの吸着能の大きい部分が比較的吸着能の小さい座席に変化するが,被毒によっては吸着活性の大きい座席が活性を失なうのみでなく,かなり広い範囲の活性点がいちように不活性部分に変化する。
  • 垣内 祐三, 松村 玲子, 江口 仁, 鈴木 率
    1961 年 82 巻 7 号 p. 830-834
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    一般にモノ置換ベンゼンの面外水素振動は波数約730~770cm-1の間でかなり深い著明な吸収としてあらわれる。したがって一般にはこの吸収帯の帰属にほとんど困難はないのであるが,ある種の置換体,たとえば安息香酸誘導体のあるものではこの領域内に著明な吸収がなくて面外水素振動帯の帰属もまた現在なお確実でないものがある。本報では,安息香酸およびそのエステルの面外水素結合振動帯を解析することによってこれらの原振動帯(fundamental band)の帰属を試みた結果,これらの位置が異常に高波数であることを示すことができた。なお安息香酸については,ジオキサンの添加によって単量体と2量体との各吸収スペクトルのようすを観察し,さらにまたその重水素置換体(PhCOOD)の赤外線吸収をも測定して比較検討を試みた。
  • 太秦 康光, 赤岩 英夫
    1961 年 82 巻 7 号 p. 834-837
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    これまでに行なってきた温泉水中の数種の微量金属成分の定量値をまとめて,温泉水申の他成分との関係を見ることによって微量金属成分が温泉水へ混入する経路を考察した。
    対象とした東北,北海道 72 泉源があらゆる種類の泉源を網羅したとはいえないうらみはあるが,調査した大部分の泉源については微量金属が共通の性質を示すことが多かった。 そして pH の酸性側へのずれ,硫酸イオン含量とほぼ正の相関関係をもち,温泉水中でもっとも主要な成分である塩素イオン含量と逆相関関係をもっていることから,これら微量金属含量は多くの温泉について壁岩から溶出される部分が大きいのではないかと考えるに至った。また硫化水素との関係では程度の差はあるが,明らかな負の相関が見られたので,これら金属含量が温泉水中の硫化水素の存在に大きく左右されることを知った。
  • 萩野 堅
    1961 年 82 巻 7 号 p. 838-840
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Griess Romi 試薬による亜硝酸の呈色反応は赤紫色のアゾ色素の生成によるもので,その溶解度は比較的小さく亜硝酸を窒素に換算して0.1ppm以上存在すると結晶となって析出するため高濃度には直接適用することは菌難になる。しかしこのアゾ色素はアルコールによく溶解する。アルコールの添加量が増すとそれだけ色素の溶解量が増し,上限の定壁範露もをれに応じて拡大される。また試薬の添加順序を変え,温度を30°C以上にたもつと10分以内に極大の吸光度に達する。それゆえ10mlの試料溶液で亜硝酸が迅速正確に定量できた。水溶液で波長520mμ(極大吸収),1cmセルで吸光度を測定すると0.003~0.06PPm NO2--Nについて濃度と吸光度は直線関係になる。アルコール溶液の吸収極大は多少長波長側にあり40%アルコール液は532mμ 付近にその極大を有し,0.01~0.35ppm NO2--Nの定量が可能である。水溶液とアルコール溶液の吸収曲線を図1に示す。
  • 萩野 堅
    1961 年 82 巻 7 号 p. 841-842
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    硝酸イオンをアンモニア性で亜鉛を用いて還元して亜硝酸イオンにし,この亜硝酸イオンをGriessRomijn試薬*1で発色させる比色定量法について実験した。試料溶液にアンモニア水を加え,金属亜鉛の一定量を加えて一定時間ふりまぜると亜硝酸イオンを生ずる。つぎに遠心分離後,ロ過してロ液に塩酸を加えてアンモニアを中和し GR試薬を加えて発色させ波長520mμ で吸光度を測定して硝酸イオンを定量する。この方法で/ 0.005~0.1 PPm(NO8--N)が感度よく定量できる。それ以上の濃度のものはGR試薬を加えたのちアルコールを添加して波長530mμ(アルコール30%のとき)付近で吸光度を求めて0.02~0.7 PPm NO3--Nを定量する。
    またアンモニア性で還元するさいマンガン(II)の共存する場合について比較検討した実験結果を報告する。
  • 岡田 実, 亀本 雄一郎, 柴 是行, 半田 宗男
    1961 年 82 巻 7 号 p. 845-847
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    微量のスカンジウムと微量のジスプロシウムに対する迅速同時定量法として,約4×1010ncm2/secの中性子の30秒照射とγ線スペクトロメトリーによる方法を開発した。この方法によって各種試料中の両元素を非破壊的に同時定量した。扱かった濃度範囲はスカンジウムが0.4~50 ppm,ジスプロシウムが2~700 ppmである。
  • 梅崎 芳美
    1961 年 82 巻 7 号 p. 847-851
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    比較的高濃度(50mg/l以上)のリン酸イオンの共存においてケイ酸をケイモリブデン酸として比色定量する際の諸条件の検討を行なった。
    リン酸の共存でケイモリブデン酸の発色はかなりのおくれを示し,またある限界点以上ではケイ酸の定量値はいちじるしく低値を示す。しかし,理論量(PO4:MoO3=1:12)以上のモリブデン酸アンモニウムを加えることによって100%の定量値が得られる。
    リンモリブデン酸の分解剤として知られているもののうち現在の目的には酒石酸が最適であるが,共存成分の関係などからその使用が好ましくない場合は,硫酸ないしは塩酸で目的を達することができる。なお,本法によるリン酸イオンの共存許容限界は約300mg/lであり,それ以上では急速な沈殿生成によって定量不能となる。
    応用例としてリン灰石申のケイ酸の定量を行なったが,その結果は十分満足できるものであった。
  • 梅崎 芳美
    1961 年 82 巻 7 号 p. 851-855
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    8水溶液中のケイ酸,リン酸イオンの同時比色定量をいわゆるモリブデン黄法によって行なった。
    中性試料溶液 50ml に対し 3N 硫酸 4ml,10% モリブデン酸アンモニウム溶液 4ml を添加,発色後ケイ酸,リン酸の全吸光度を求める。これに固体酒石酸を加えてリンモリブデン酸を分解するとケイモリブデン酸単独吸光度が求められ,両者の差からリンモリブデン酸の吸光度が求められる。また EDTA 錯化によって少なくとも 200mg/l 以下の鉄の妨害は除去できる。
    リン灰石中のケイ酸とリンの同時比色定量を本法によって行ない満足できる結果を得た。
  • 梅崎 芳美
    1961 年 82 巻 7 号 p. 856-859
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    着色水中のケイ酸の比色定量について検討した。試料溶液を硫酸酸性で,常温において過マンガン酸カリウム溶液と処理して有機物を分解し,亜硝酸ナトリウムによって脱色を行なう。この操作によって天然着色水中のフミン酸,また人工着色水たとえばパルプ廃液などもほとんど完全に分解される。以下モリブデン黄法によってケイ酸の比色定量を行なった。常温,過マンガン酸カリウム分解においてはケイ酸の溶存状態がまったく変化しないことを確認した。
  • 竹内 幸夫
    1961 年 82 巻 7 号 p. 859-864
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    鉄(III)は低pH域1こおいてチオグリコール酸(以下 TGA )によって定量的に還元される。TGA 標準液を用いて電位滴定を行なうと電位の跳躍によって終点が得られるが,視覚ではまったく終点を観測することができない。しかし銅(I)が共存すると鉄(II)の還元反応が終ると同時に銅(II)-編(I)-チオグリコール酸塩の暗紫色が現われて明らかな終点を示す[鉄(I)の定測]。
    さらに TGA 基準液を滴加してゆくと暗紫色が黄変する点で銅(II)の終点が得られ,鉄(III)が共存しない場合とまったく同じ状態となる[銅(II)の定量]。すなわち本法は鉄(III)だけではなく銅(II)の定量および鉄(III)-銅(II)の同時定量が1回の操作で簡単かつ迅速に行うことができる。
  • 友成 明久
    1961 年 82 巻 7 号 p. 864-869
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Fac水溶液中の微量(1ppm以下)の塩素イオンの感度のよい定量法を研究した。試料溶液を適当な濃度の硝酸酸牲にし,硝酸水銀(I)溶液を加え,塩素イオンと水銀イオンを反応させ,ここにジフェニルカルバゾンのエタノール溶液を加えて過剰の水銀イオンを赤紫色の水銀-ジフェニルヵルバゾン錯塩にし,これをベンゼンで抽出する。ペンゼン相の赤紫色(塩素イオンの濃度が大きいほど色が薄くなる)を吸光光度定量し,あらかじめ作製しておいた検量線から間接的に塩素イオンを定量する。本法で 0.1~1ppm の塩素イオンが正確に定量できる。本法は従来のいずれの定量法よりも感度が高く,きわめて微量の塩素イオンの定量法としてすぐれている。
    上記定量法への共存イオンの影響を調べ,水銀イオンと反応しやすい陰イオンと若干の陽イオンとが妨害することを認めた。また,さらに希薄濃度の塩素イオンを定量する目的で,同一原理にしたがい,試料溶液と試薬の量の関係を変えて感度をあげ,0.01~0.2ppmの塩素イオンの定量に適する操作法を定めた。
  • 小松 寿美雄
    1961 年 82 巻 7 号 p. 869-872
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-ニトロソ-1-ナフトール-4-スルホン酸(NNS)は鉄(III)より鉄(II)と鋭敏に反応して緑色溶液をつくるので,鉄(II)の比色定量について研究した。定量条件はつぎのとおりである。鉄(III)0.005~0.5mgをとり,ヒドロキシルアミン塩酸塩溶液 (25mg/ml)10mlを加えて10分放置後NNS溶液(1mg/ml)10~20mlを加え,0.1N 水酸化ナトリウムで中和,水で50mlの定容にして15分放置,波長655mμで吸光度を測定する。実験範囲ではよく Beer の法則が成立し,655mμ における分子吸光係数は1.82×104である。中性で生成したこの錯塩の組成は mo1 比で1:6(鉄:NNS)である。
    銅,パラジウム,リン酸,クエン酸,バナジン酸などの各イオンの微量の共存は妨害しない。ニッケルおよびコバルトイオンは 60 および 40γ,酒石酸イオンは 40mg までの共存は妨害しない。なお,銅はチオ硫酸ナトリウムで錯化隠蔽すれば 7mgまでの共存は妨害しない。鉄(III)の共存は微量でも妨害するので,鉄(II,III)混合溶液についてのそれぞれの同時比色定量触はできなかった。
  • 上田 俊三, 山本 善一, 脇坂 英樹
    1961 年 82 巻 7 号 p. 873-875
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    リン酸を希硝酸酸性溶液からリン酸ビスマスとして沈殿させ,この沈殿を熱硝酸溶液に溶解して過剰の EDTA を加え,キシレノールオレンジを指示薬とし硝酸ビスマス標準溶液で逆滴定してリン酸を間接的に定量する方法について検群した。本法は沈殿の熟成を必要としないので迅速に分析を行なうことができ,また指示薬にキシレノールオレンジを用いるので滴定の終点はきわめて明瞭である。マグネシウム,カルシウム,バリウム,亜鉛,コバルト,ニッケル,銅,銀などはほとんど妨害せず,アルミニウムはリン酸(五酸化リンとして)と同量程度まで共存が許される。沈殿生成時の pH はほぼ 0.7,ビスマスの添加量は理論量の約 2 倍が適当であって,本法によるリン酸の定量範囲は五酸化リンとして 4~40mg である。
  • 梁 孟宝, 堺 繁
    1961 年 82 巻 7 号 p. 875-877
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    過酸化水素および鉄(II)塩の存在下にベンゼン,トルエン,エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素中に,常温常圧で一酸化炭素を泡出させたところ,ベンゼンからは安息香酸,トルエンからはフェニル酢酸,エチルベンゼンからはα-フェニルプロピオン酸が単離された。また,そのさい副反応として2量化およびヒドロキシル化反応が起こり,種々の生成物が単離された。
  • 梁 孟宝, 堤 繁
    1961 年 82 巻 7 号 p. 878-880
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    一酸化炭素と有機マグネシウムハロゲン化物との常温常圧における反応をしらべた。反応生成物として,臭化フェニルマグネシウムからはフェノール,ジフェニル,ベンズアルデヒド,ベンズヒドロール,ベンゾインおよびトリフェニルメタンが単離され塩化ペンジルマグネシウムからはペンジルアルコール,ペンズアルデヒド,ジペンジル,1,3-ジフェニルプロペンおよびトリベンジルメタンが単離された。
    これらの結果から有機マグネシウムハロゲン化物と一酸化炭素との反応過程に関する若干の知見をのべ,反応機構を推定した。
  • 梁 孟宝, 堤 繁
    1961 年 82 巻 7 号 p. 880-882
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フェニルリチウムと一酸化炭素との反応圧力常圧,反応温度 -10°C および反応時間 40 分の条件下で行なった。その反応生成物のうち,一酸化炭素が関与しているものとしてベンズアルデヒド,ベンズヒドロール・トリフェニルメタン,ベンゾフユノン,ベンゾイン,ジフェニルベンゾイルメタン,p-オキシトリフェニル酢酸および安息香酸が単離されたほか・一酸化炭素の関与しない生成物としてフェノール,ジフェニルおよびメチルフェニルカルビノールがえられた。反応は有機マグネシウムハロゲン化物の場合と同様に一酸化炭素とフェニルリチウムとの間に配位錯化合物を形成して進むものと考えられる。
  • 鈴木 盛夫
    1961 年 82 巻 7 号 p. 883-885
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1,3,5-キシレノール(I)とケイ皮酸塩化物(II)の塩化アルミニウムによるフリーデル・クラフツ反応は,ニトロベンゼンを溶媒に用いると 44% の収率で 5,7-ジメチルフラバノン(IV) (mp 90°~91°C)を与えるが,二硫化炭素中では 24% の収率で mp131.5°~132.5°C の物質 (A) を与える。Aの構造を確かめるため, 4,6-ジメチル-2-ベンジルクマラン-3-オン (V) (mp77.5°~79。C), ケイ皮酸-3,5-ジメチルフェニルエステル(IV) (mP42°~44°C),および, 5,7-ジメチル-4-フェニルヒドロクマリン(VI)を合成によって, A が VI であることを明らかにした。
  • 鈴木 盛夫
    1961 年 82 巻 7 号 p. 885-888
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シス・トランスの関係にある 2種の 7-アセトキシ-3-メチルフラバノン (IIa,IIb) N-プロムコハク酸イミドとの反応を試みた。両異性体とも同じように反応し,同一生成物を与えた。主生成物は 7-アセトキシ-3-プロムメチルフラボン(IV)であり,予期された 7-アセトキシ-3-プロム-3-メチルフラバノン(III)は低収率で得られた。
  • 鈴木 盛夫
    1961 年 82 巻 7 号 p. 888-891
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    7-アセトキシ-3-メチルフラバノン(II,IIa mp 90℃ IIb mp 75.5℃)をジオキサン中で臭素化し・高収率で3-ブロム置換体(III) (mp 118℃)を得た。III をヨウ化水素で還元すると,Zimmermanの提案した反応機構からシスのIIが主生成物であると考えられる。実際には IIb が得られた。
    II は 7オキシ-3-メチルフラバノン(I,la mp l61,1℃, Ib mp 204℃)から導かれるが,2',4'-ジオキシ-α-メチルカルコン(X)からIを得るさいの反応条件が, Ia と Ib の生成におよぼす影響について検討した。 I を 50% 酢酸 と5時間加熱する時には Ibを生ずるが,加熱時間が長かったり,アルカリと放置するときには大部分 Ia となる。また, Ib を酸と長時間加熱したり,アルカリと放置すると高収率で Ia に変化することも明らかにした。これは Ia が安定型であることを示している。これらの事実から Ia, IIa がトランス形であり, Ib, IIb がシス形であると考えられる。
  • 藤瀬 新一郎, 浜野 弘明, 大沼 俊雄
    1961 年 82 巻 7 号 p. 891-895
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    白茶*2のフラバノン成分であるアンペロプチンの構造は久保田らにより明らかにされているが,著者らは久保田らにより明らかにされたアンペロプチンヘキサメチルエーテル(IV)と新たにその立体異性体であるエピァンペロプチンヘキサメチルエーテル(VII)とを合成し,その比較を行なった。IVおよびVIIを還元して4-ヒドロキシ-3,5,7,3',4',5'-ヘキサメトキシフラバン(VII)および(VI)が得られるが, C(3)-メトキシ基, C(4)-水酸基の立体配置の関係は明らかではない。IVおよびVIIをそれぞれ接触還元すると,3,5,7,3',4',5'-ヘキサメトキシフラバン(IX)および(X)を得るが,これらはガロカテキンヘキサメチルエーテル,およびエピガロヵテキンヘキサメチルエーテルであり,C(3)-メトキシ基による立体異牲体である。エピアンペロプチンヘキサメチルエーテル(VII)は容易にアンペロプチンヘキサメチルエーテル(IV)に異性化し得る。 著者らは白茶から抽出されるアンペロプチンを完全メチル化して得られるアンペロプチンヘキサメチルエーテルのC(2)-フェニル,C(3)-メトキシ基の立体配置はトランス形であり,著者らが新たに合成したエピアンペロプチンヘキサメチルエーテルはその立体配置がトランス形にくらべて不安定なシス形であると考える。
  • 清水 隆八
    1961 年 82 巻 7 号 p. 895-898
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    6-メトキシ-3-メチルクマリル酸エチル(II)に,ヨウ化メチルを用いでグリニャール反応を行ない, 2-(1-オキシ-1-メチルエチル)-6-メトキシ-3-メチルクマロン(III)を合成した II は, i)減圧蒸留すれば脱水して 2-イソプロペニル-6-メトキシ-3-メチルクマロン(IV)を生じ, ii)ベンゼン中無水マレイン酸と室温放置すれば IV の 2 量体;C26H28O4(DA)を生じ, iii)酸性硫酸カリウムと減圧下加熱すれば DA およびその異性体C26H2804(DB)を生じた。DAおよびDBの構造は,それぞれ 2,4-ビス (6-メトキシ-3-メチル-2-ペンゾフラニル)-4-メチル-1-ペンテン(VIII)および 2,4ビス(6-メトキシ-3-メチル-2-ペンゾフラニル)-4-メチル-2-ペンテン(IX)であると決定された。IVは融点,水添生成物,無水マイレン酸との反応生成物について文献記載1)のものと異なる。
  • 浜田 潤, 藤崎 辰次
    1961 年 82 巻 7 号 p. 898-901
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Campbell,Coppinger1は2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールを酢酸中で加熱し,奥素酸化を行なって3,5-ジ-tert-ブチル-4-オキシベンズァルデヒド(アルデヒドと略称)を得ている。著者らは2,6-ジ-tert-ブチル-4-プロピルフェノールを同様に奥素酸化しても (3,5-ジ-tert-ブチル-4-オキシフェニル)エチルケトン(α-ケトと略称)はまったく得られずに,少量のアルデヒドを得た。その原因を追究するため,α-ケトガ生成するのにもっとも近い物質と推定される 2,6-ジ-tert-プチル-4-(1-オキシプロピル)フェノール(α-オキシと略称)の奥素酸化をアルコール,酢酸,石油エーテル等の各種溶媒について検討したところ,いずれの溶媒の場合でも,2,6-ジ-tert-ブチル-4-ブロム-4-(1-オキシプロピル)-2,5-シクロヘキサジエノンをとしてα-ケトを生成することがわかった。その収率はアルコール中がもっとも良く,酢酸中では少ない。さらに石油エーテル中では,α-オキシの 1/2 mol に相当する奥素の吸収と,脱水反応がおこり少量のα-ケトを生成する。
  • 浜田 潤, 藤崎 辰次
    1961 年 82 巻 7 号 p. 902-904
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2,6-ジ-tert-ブチル-4-(1-オキシプロピル)フェノール(α-オキシと略称)の酢酸溶液の臭素酸化は,冷却下では,2,6-ジ-tert-プチル-4-フロム-4-(1-オキシプロピル)-2,5-シクロヘキサジエノンを中間体として,(3,5-ジ-tert-ブチル-4-オキシフェニル)エチルケトン(α-ケトと略称)が得られ,加熱下では3,5-ジ-tert-ブチル-4-オキシベンズァルデヒド(アルデヒドと略称)が得られる。このこととα-ケトの生成する経路については第1報で述べた。そこでアルデヒドの生成について究明したところ,α-オキシと2.6-ジ-tert-ブチル-4-プロム-4-(1-オキシプロピル)-2,5-シクロヘキサジエノンとの2分子反応で,α-オキシのα 位の炭素に結合する水酸基の水素が酸化をうけて,α,β間の炭素結合が切れることによってアルデヒドを生成することが推定できた。
  • 浜島 求女
    1961 年 82 巻 7 号 p. 905-910
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    真空申で酢酸ビニル単量体およびこれに O.1mol/l の濃度に約 70 種類の添加物を加えた系にコバルト 60 からのガンマ線を室温で照射して重合反応を行なった。1)単量体のみの重合では照射温度が高い方がえられる重合体の分子量が大きい。放射線重合の活性化エネルギーは 2kcal/mol となり,一般の場合の約 1/10 となっている。 2)添加物を共存させると,添加物が単量体の重合速度や生成重合体の分子量に影響を及ぼす。鎖状構造の添加物の RE 値(重合促進効率)の大きなものから順にならべるとつぎのようになる。
    酸, 酸無水物 。> アルコール >エステル > 炭化水素 > エーテル > ケトン > ハロゲン化物 > アミン > ニトロ化合物
  • 浜島 求女
    1961 年 82 巻 7 号 p. 910-913
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酢酸ピニル単量体にいろいろの添加物を少量加えて,真空中室温でガンマ線重合を行なって,重合促進効率 RE(RE=Rp×RM,RP および RM は添加物の共存する系と純単量体系の同一照射条件のもとにおける重合速度比および生成重合体の分子量比)を求めた。この値は添加物の種類によってそれぞれ異なる。1) 2種類の機能原子団を有する低分子化合物を単量体に O.1mol/l の濃度に添加した場合の各機能原子団の相亙作用は,脂肪族化合物ではそれぞれ 1個の機能原子団を有する添加物でRE値の低い原子団の作用のみが現われる。2) 1種類の機能原子団を有する低分子化合物を単量体に 0.02~0.11mol/l の濃度に添加した場合は,濃度によって RP, RM および RE 値がそれぞれ変化する。
  • 丸岡 昌路, 去来川 覚三, 伏崎 弥三郎
    1961 年 82 巻 7 号 p. 913-917
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ラネーコバルトおよびラネーニッケル触媒を用いてアルデヒドコリジン(-2-メチル-5-エチルビリジン,以下 MEP と略す)を高圧水素添加して, -2-メチル-5-エチルビリジンを得る反応における触媒のエイジングによる活性ならびに表面積の影響を調べた。
  • 丸岡 昌路, 去来川 覚三, 九鬼 利郎, 伏崎 弥三郎
    1961 年 82 巻 7 号 p. 917-921
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アルデヒドコリジン (2-メチル-5-エチルピリジン,以下 MEP と略す)をラネー触媒を用いて,水素加圧下で接触アルキル水素化して,種々の N-アルキル-2-メチル-5-エチルピペリジン (以下 N-アルキルコペリジンと略記)を合成した。ステンレス製ふりまぜ式オートクレープに MEP,ラネー触媒およびアルコール類 (メチル,エチル,プロピル,ブチル,アミルおよびオクチルアルコール)を入れ,水素初圧力 80~110kg/cm2,反応温度180℃~210℃, 反応時間 1~5 時間で反応を行なった。
    触媒としてはラネーニッケル,コバルトおよび銅触媒を用い,とくに N-エチルコペリジンの製法について種々の反応条件の影響についてしらべた結果,ラネーニッケル触媒の場合は,反応温度 210℃, 反応時間 2 時間, アルコール量を原料 MEP に対して 1:2(モル比)とした場合に収率 70% に達した。ラネーコバルト触媒を用いた場合は,反応温度 235℃で 76% に達し,ラネーニッケル触媒を用いた場合よりも好収率で N-エチルコペリジンを得た。
  • 漆原 義之, 広田 穣
    1961 年 82 巻 7 号 p. 921-923
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    p-クロルケイ皮酸の両幾何異性体を合成し,それらについて多形の生成を試み,シス形に mp109°および 93°C の 2 形があることを発見し, 93°C 形が 109°C 形に転移することから mp109°C の形が安定形であることを推定した。なおこれらすべての化合物の紫外線吸収スペクトルおよび赤外線吸収スペクトルを測定してそれらについても議論した。
  • 亀岡 弘
    1961 年 82 巻 7 号 p. 923-928
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    リシノール酸メチルと過酸化水素とを無触媒,種々の条件下で反応させ,その反応生成物を検索するとともに,過酸化水素はどのように作用するかについて検討を加えた。
    反応生成物としてエポキシ化合物,トリオキシ化合物,ヘプタナール,β-オキシペラルゴンァルデヒド,アゼライン酸半アルデヒド,β-オキシペラルゴン酸,アゼライン酸および種々の低級一塩基,二塩基脂肪酸,ごく低級のカルボニル化合物を認め,炭酸ガスを発生して酸化分解することがわかった。
    リシノル酸メチルと過酸化水素とのモル比 1:20 で反応きせた場合は,コハク酸,アジピン酸,アゼライン酸のような二塩基脂肪酸を比較的好収量で得ることができた。
    また 15% 過酸化水素と反応させても上記のような生成物を生ずることを認めた。 反応生成物から主として第一次的に水酸基の存在する 12 の位置と二重結合のある 9,10 の位置が酸化され,第二次的にはこれら第一次酸化生成物が酸化されて低級化合物になると考えられる。
  • 熊代 泉
    1961 年 82 巻 7 号 p. 928-932
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    α-ケトグルタル酸ジエチルを臭素化して得られる β-ブロム-α-ケトグルタル酸ジエチルに・チオ尿素,尿素,ウレタンあるいはヒドラジンを作用させて,それぞれ, 4-エトキシカルボニル-2-アミノチアゾール-5-酢酸エチル(IV), 4-エトキシカルボニル-2-アミノオキサゾール-5-酢酸エチル (VIII) と少量の 4-エトキシカルボニル_2(3H)-イミダゾロン-5-酢酸エチル, 4-エトキシカルボニル-2(3)-オキサゾロン-5-酢酸エチルあるいは 6-ピリダゾン-3-カノレボン酸エチルを合成した。 IV ど VIII の,紫外および赤外線収スペクトルについて検討し,また両者のスルファニルアミド誘導体を合成した
  • 熊代 泉
    1961 年 82 巻 7 号 p. 932-934
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    α-ケトグルタル酸ジエチルをシュウ酸ジエチルと縮合させて 3-オキシ-2-ピロン-5,6-ジカルボン酸ジエチル(III)を合成し,その酸加水分解物を加熱して 3-オキシ-2-ピロンモノカルボン酸および 3-オキシ-2-ピロンを得た。III から 3-アニリノ-2-ピロン-5,6-ジカルボン酸フェニルイミドと推定される色素を合成した。
  • 熊代 泉
    1961 年 82 巻 7 号 p. 934-938
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    前報に記載した 3-オキシ-2-ピロン-5,6-ジカルボン酸ジエチルを,氷酢酸中アンモニアあるいは第一アミンと加熱するとピロール誘導体を生成し,アンモニアでは 5-カルバモイルピロール-2,3-ジカルボン酸ジエチル(III)を,アニリンでは 1-フェニル-5-(N-フェニルカルバモイル) ピロール-2,3-ジカルボン酸ジエチノレを,o-フェニレンジアミンではさらに閉環をともなって 3a,9b-ジヒドロピロロ [1.2-a]キノキサリン誘導体(IX)を生成する。IIIをアセチル化して N-アセチノヒカルバモイル誘導体を得, IXから 1-[N-(2'-アミノフェニル)カルバモイル] -3-オキソ-4,5-ジアザ-3,IOb-ジヒドロピロロ [1.2.3-mn] フェナジンを合成した。
  • 島立 利貞, 石戸 良治, 佐藤 徹雄
    1961 年 82 巻 7 号 p. 938-940
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    さきに,プリンリボヌクレオシド類の新合成法として,プリン誘導体と 1,2,3,5-テトラ-O-アセチル-β-D-リボフラノース (l) を,p-トルヱンスルホン酸の存在で加熱溶融して縮合する方法を報告したが,そののち,同じ方法により,新たに二,三のプリンリポシドを合成した。
    また, Iのα-アノマーである 1,2,3,5-テトラ-O-アセチル-α-D-リボフラノース (II) とプリン誘導体との,同じ方法による縮合を試みた。
    一般に,プリン誘導体に対する I ならび II の反応牲は, I の方がはるかにまさっている。
    また,同一プリン誘導体に対しては, Iおよび II は,それぞれ縮合して同一生成物を与え,そのグリコシド結合は,未確定のものを除いて,いずれもβ-結合で,α-結合を有するものは単離されていない。
  • 金行 広雄, 大田 稔, 松井 清思
    1961 年 82 巻 7 号 p. 940-941
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    塩化ベンジルのような活性ハロゲンをもつ化合物は・尿素と反応してベンジル尿素,1,3一ジペンジル尿素を生成することが知られているD。著者らはこの反応を臭化ポリメチレンに応用して,ポリメチレンジ尿素の合成ができるか否かを検討中,臭化ヘキサメチレンと尿素からヘキサメチレンジ尿素をつくり,これを融解してポリヘキサメチレン尿素の合成ができるという特許があるのを知った。しかしこの特許文献には上記の程度しか記戴されていないので,本反応の詳細を明らかにするために・数種の臭化ポリメチレンを合成し,これらの尿素との反応を検討した。その結果,ヘキサメチレンジ尿素以外のジ尿素誘導体は純品として分離できなかったが,生成物を塩酸で分解し,つぎにベンゾイル化して,それぞれ対応するジアミンのジベンゾィル化物をえた。また臭化一ペンタメチレン,および一テトラメチレンでは環化がおこりJ1,1一ペンタメチレン尿素,1,1-一テトラメチレン尿素の生成が認められた。
  • 江原 望
    1961 年 82 巻 7 号 p. 941-943
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ホトトロピー,すなわち光の照射により可逆的に変色する現象について,はいままでにかなり多くの報告があるが,その機構について妥当と思われる説明の与えられているものは少ない。ホトトロピーの機構はおそらく場合によってまったく異なるであろうと思われる。
    サリチリデンアニリン,およびそのある種の誘導体もホトトロピーを示すが,この現象はプロトトロピーによると一般に信じられている。しかしこれに対しては疑点も存在し,必ずしも賛成されていない。しかもこれについての基礎的な研究もあまり多くは報告されていないように思われるので,以下のような一連の実験を行なった。
  • 中村 政宣, 中村 準, 堤 繁
    1961 年 82 巻 7 号 p. 943-944
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    気相中でアセトンの紫外線による光分解反応をおこなったところ,少量の白色結晶が単離され,赤外線吸収スペクトル,元素分析,分子量測定などの結果から C24H50 に相当するパラフィンであることが明らかにされた。従来類似の反応は数多く報告されているが,パラフィン生成の事実に関しては類例を見ないためとりあえず以下に報告する。
  • 1961 年 82 巻 7 号 p. 944a
    発行日: 1961年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1961 年 82 巻 7 号 p. 944b
    発行日: 1961年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1961 年 82 巻 7 号 p. 944c
    発行日: 1961年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1961 年 82 巻 7 号 p. A51-A60
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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