日本化學雜誌
Online ISSN : 2185-0917
Print ISSN : 0369-5387
ISSN-L : 0369-5387
83 巻, 10 号
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
  • 荒川 泓, 竹中 信夫
    1962 年 83 巻 10 号 p. 1065-1067,A69
    発行日: 1962/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ゼラチンの濃厚水溶液ゲルについて鎖式応力緩和計を用いて,応力緩和実験を行なった。分子量約2万のゼラチンの濃度20,25%のゲルについて約2°~250℃の温度範囲にわたり4時間までの緩和曲線を求めた。これらの曲線は3個のMaxwe11要素を並列にした6要素模型であらわすことができ,その最長緩和時間の温度依存性から求めた見かけの活性化エネルギーΔHは20,25%の場合にそれぞれ6.9,9.1kca1/mo1であった。ゼラチンゲルは熱可逆性ゲルであり,ΔHはこの場合ゲル弾性のもととなる3次元網状構造において,ゼラチン分子鎖相互を結合している2次結合に対応するものと考えられる。既報のより低濃度のゲルに関するデータも含めてのΔHについての考察から,ゼラチンゲルにおいてその網状構造を支える2次結合では水素結合が主要な役割を果していると判断される。ΔHが濃度とともに若午増大する傾向がみられるのは全体として濃度がきわめて高いので,その結合点においてまわりのセグメント,イオンなどの影響があらわれているものと考えられる。
  • 林 謙次郎
    1962 年 83 巻 10 号 p. 1068-1074,A69
    発行日: 1962/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    RI交換法による沈殿の表面積測定は,沈殿の表面にあるイオンと溶液中のイオンとの交換反応を利用している。この方法の適用に際し,固体内拡散や沈殿の再結晶過程は無視できるとしている。しかしこのような仮定にはいくつかの疑問がある。そこで著者はPittsの理論式やその他の研究結果を用いてPbSO4-SO42-,PbSO4-Pb+,AgX-Ag+交換の律速段階を調べた。一般にAgX-Ag+,PbSO4-SO42-および希薄酸中でのPbSO4-Pb2+の諸交換は再結晶過程によって律速されると考えられる。しかし硫酸中でのPbSO4-Pb2+交換やAgC1-Ag+交換は,固体内拡散が律速段階であるとして求めた結果とよく一致する。0.258~3N硝酸または2.87N過塩素酸中でのPbSO4-Pb2+交換は固一液界面反応過程が律速段階であると考えられる。
    以上いずれの場合にも沈殿表面のイオンと溶液申のイオンとの交換平衡を求めることはできなかった。それゆえ,RI交換法で求めた沈殿の比表面積にはかなりの疑問がある。
  • 兼島 清
    1962 年 83 巻 10 号 p. 1074-1078,A69
    発行日: 1962/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    琉球諸島および他地区産のリン鉱について,X線回折装置を用いてX線回折図をつくり,その構造の解析や微結晶の大きさを計算し,つぎの結果を得た。(1)リン酸カルシウムを主成分とする琉球諸島産リン鉱は他地区産リン鉱と同様にリン灰石構造を示す。しかし琉球諸島産リン鉱は他地区産に比較して,X線回折線のピークが低く幅が広くいくぶんか相異したところが見られる。これはフッ素リン灰石でなくリン鉱に炭酸リン灰石,または炭酸一酸素一リン灰石あるいは炭酸フッ素リン灰石などの存在が考えられる。(2)X線回折線の半価幅の広さからリン鉱の微結晶の大きさを計算した。その結果琉球諸島産リン鉱の微結晶の大きさは210±50Aから770±150A程度の大きさで,他地区産リン鉱の微結晶の大きさに比較して小さい,これは琉球諸島産リン鉱の生成年代のまだ新しいことによるものである。微結晶の大きさとフッ素含有量やリン鉱のク溶率の間にはいくらか関連がみられる。琉球産リン鉱の構造や微結晶の大きさは加熱するといちじるしく変化し,900℃に加熱すると大きな安定した結晶と変わる。
  • 酒井 堂兆
    1962 年 83 巻 10 号 p. 1078-1079,A70
    発行日: 1962/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ヒドロキノンを2.2'-ジピリジル鉄(ll)錯塩を指示薬とし,セリウム(IV)塩で直接酸化滴定する場合の条件を検討した。0.05Nセリウム(lV)塩を用いたとき,硫酸酸性がもっともすぐれ,20°~40℃で,終点時の硫酸濃度2N,0.025m01/l指示薬0.05ml添加の場合が最適滴定条件であった。この条件下で,55mgヒドロキノンを平均誤差±0.02%で定量できた。0.05ml指示薬が0.05Nセリウム(lV)塩0.04mlを消費し,この量だけ補正を要する。逆滴定の可能性も示された。この条件で,工業用硫酸を用いても±0.1%以内の誤差で定量でき,不純ヒドロキノンも精度よく定量された。塩酸,過塩素酸,硝酸および酢酸酸性の場合についても実験を行ない結果を比較した。27~138mgヒドロキノンにつき,本法とフェロインを指示薬とするセリウム塩法,重クロム酸塩法,バナジン酸塩法およびヨウ素法との比較を試み,本法はフェロインを指示薬とするセリウム塩法に匹敵する精度をもち,ともにすぐれ後法よりやや安価ですむことを確かめた。
  • 中村 倭文夫
    1962 年 83 巻 10 号 p. 1081-1086,A70
    発行日: 1962/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    本研究はイソオクタン合成用などに用いられた混合プチレンの分析を目的とし,あわせてラマン効果による写真定量分析法の確立を目的としたものである。まずブチレンの4異性体,α-ブチレン,β-プチレンーシス,β-ブチレンートランスおよびイソブチレンをそれぞれ合成して単離精製することを企てたが,βプチレンのシス,トランスの分離のみは果さなかった。そして3試料についてラマン効果を測定し,その全ラマン線の相対強度を標定し,ついで種々の混合ブチレン試料について分析測定を行なった。
  • 中村 倭文夫
    1962 年 83 巻 10 号 p. 1086-1093,A70
    発行日: 1962/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    従来著者らが使用していたラマン効果測定装置は,東京大学理学部化学教室において,水島および森野によって設計されたものである。その目的はラマン効果の物理化学的研究を主としていた。したがって研究者の研究目的に適合した散光装置がその都度工夫されていて,一般の液体試料用散光装置も付属設備を取り付けるのに都合よく組み立てられていた。すなわち散光装置をとくに明るくし,撮影時間を短縮し,測定能率をたかめるなどの考慮が犠牲にされていたといい得る。
    ラマン分析を目的とする場合もっとも必要なことは,測定時間を短縮して能率をあげ,測定の再現性を高めることである。そのためには装置を単一化し,光源および散光装置を明るくしなければならない。
    著者は終戦時までラマン効果による研究に携わっていて,このことの必要を痛感していた。きらに写真測光による分析の限度を知って,この不確定さを除き結果を客観化するためには,光電子倍増管によるラマン効果の自働測定装置を組み立て,定量分析を確立することが必須であると考えていた。本研究においては以上の主旨によって,散光装置を改良し,水銀灯を新しく工夫し,分光器を目的に適するように設計した。そしてこれに光電子倍増管による自働記録装置を取り付けこれによるラマン効果測定を実施した。
    水銀灯および散光装置はまったく新しい考案によった。分光器は取り扱い容易を旨とし,外国品を多少参考にして設計した。そして従来の分光器にくらべて数倍の明るさのラマン装置を完成した。自働記録装置は自家使用の目的には役立つものを組み立てることができ,四塩化炭素およびトルエンについて十分な分解能をもつチャートを得ることができた。
  • 中村 倭交夫, 近藤 真一
    1962 年 83 巻 10 号 p. 1093-1098,A70
    発行日: 1962/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    本研究は既報において述べた自働記録装置を使用して行なったキシレン混合物の分析および工業製品である混合キシレンの蒸留分離を追跡した結果をまとめたものである。すなわちオルトキシレンは直接蒸留によって分離し,さらに精製を行なった。この際オルトキシレン中にn-ノナンが混在していることを知り,これを分離してラマン効果により確認した。はオルトを除去したキシレン混合物をスルホン化することによって,パラキシレンはその残部から深冷分離によって得た。エチルベンゼンは市販品を蒸留精製した。キシレンの蒸留分離は赤外吸収を分析手段にして行なった。得られた標準試料は自働記録計の記録紙にそのラマン効果を記録した。さらに異性体を混合して分析に便利なラマン線を検討し,ついで実際にオルトキシレンを精製する工業的操作をラマン効果によって追跡した。その際赤外吸収による分析と比較して検討したが,エチルベンゼンとオルトキシレンの分別はラマン効果の方が有効であることがわかった。
  • 中川 元吉, 和田 弘子
    1962 年 83 巻 10 号 p. 1098-1102,A70
    発行日: 1962/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    PANのβ-ナフト-ルをρ-クレゾ-ルに変えた2-(2-ピリジルアゾ)-4-メチルフエノール(PAC)を合成し,酸解離定数,金属イオンとの反応,金属キレートの性質などについて検討し,PACを分析試薬として考察した。PACは多くの金属と反応し青~紫め錯体をつくる。錯体め多くは水溶性であるが,クロロホルム,アミルアルコ-ルなどの有機溶媒にもよく抽出される。これらの呈色反応は鋭敏であり,PACは比色試薬,金属指示薬として有望であるが,とくに試薬と金属キレ-トが水溶牲である点,遊離の色素と金属キレ-トの呈色が異なる点で金属指示薬としてはPANやPARよりすぐれており,銅,姫鉛,鉛,カドミゥムをEDTAで滴定した場合には,当量点で紫より黄の鋭敏な変色が見られた。
  • 高本 進, 岡本 正男
    1962 年 83 巻 10 号 p. 1102-1104,A70
    発行日: 1962/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    10mg以下のナトリウムを含む試料溶液を遠心管にとり,EDTA,シュウ酸,トリエタノールアミンの混合溶液を加えてから,エタノールを添加してシュウ酸ナトリウムの沈殿を生成させる。氷冷後遠心分離した沈殿を90%エタノールで洗い,水に溶かしてアセトンで再沈殿させる。これをふたたび遠心分離,乾燥して硫酸に溶かし,過マンガン酸カリウム溶液で滴定すれば,ナトリウムが間接定量できる。この方法では0.1mmno1以下のリチウム,マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウム,鉄(ll),(lll),コバルト,ニッケル,マンガン,銅,亜鉛,カドミウム,水銀,アルミニウム,鉛が共存しても,ナトリウムだけを沈殿きせ得るし,10mgのナトリウムに対して,カリウムは5mg,アンモニウムは2.5mgまで含まれていても分析には差し支えない。遠心沈殿法の利用により,多数の試料を短時間に分析できて,試料も少量で済む。
  • 浦田 能清
    1962 年 83 巻 10 号 p. 1105-1107,A71
    発行日: 1962/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ハロゲン化アルキルとシアンイオンで飽和した交換基をもつ陰イオン交換樹脂AmberliteIRA-400との置換反応によってシアン化アルキルの生成を試みた。その結果,ヨウ化メチルやヨウ化エチルは温度30°~50℃で1時間反応を行なうと置換比率は約100%に達し,容易にシアン化メチルやシアン化エチルとなる。しかし同一条件下では臭化アルキルや塩化アルキルはヨウ化アルキルにくらべて置換反応は困難である。たとえば80℃,1時間でヨウ化一,臭化一および塩化ブチル(n)をシアン形陰イオン交換樹脂とそれぞれ反応させた場合,置換比率は77.9,65.5および23.5%となった。
    また同一ハロゲン原子をもつハロゲン化アルキルではアルキル基の炭素数が増加するにつれて置換反応は次第に困難となる。すなわち80℃,1時間でヨウ化メチル,-エチル,-プロピル(n)および-ブチル(n)の場合,置換比率はそれぞれ99.6,97.1,87.9および77.9%となった。なおこれらの置換反応を無水の溶媒(エチルアルコール,アセトン,エチレングリコール)中で行なった結果,これらの溶媒を使用した方が反応は進行しやすく,また比較的低い温度でかなりの置換反応が行なわれた。
  • 恒次 利幸, 田中 誠, 村田 二郎
    1962 年 83 巻 10 号 p. 1107-1111,A71
    発行日: 1962/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ラネーニッケルまたはラネーコバルトを触媒としてレプリノニトリルの水素添加反応を行なうと,2倍モルの水素を吸収して2-メチルピロリンを生成し, さらに等モルの水素を吸収して2-メチルピロリジンを生成する。これらの反応では高沸点物を副生すること,および脱離される水との分離が困難なため収率はあまり良好でない。このレブリノニトリルの水素添加反応の,反応初期における水素吸収速度は触媒の量によって変化する。すなわち比較的少量の触媒を用いた場合の反応次数は0次となり,多量を用いた場合には1次となる。おのおのの場合の見かけの活性化エネルギーは,それぞれ21および11kca1/mo1である。
  • 恒次 利幸, 田中 誠, 村田 二郎
    1962 年 83 巻 10 号 p. 1111-1115,A71
    発行日: 1962/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    レブリノニトリルの接触水素添加反応によって生成する2-メチルピロリンの構造を決定するために,塩化ベンゼンスルホニルおよび塩化ベンゾィルと反応を行ない,その結果Δ1構造を確かめた。2-メチルピロリジンは反応性が大きく,アクリロニトリル,メチルビニルケトン, アクリル酸メチルには無触媒で付加する。酢酸ビニルとの反応では二重結合への付加は起らず,1-アセチル-2-メチルピロリジンが生成する。酸化エチレンまたはエチレンクロルヒドリンと反応させると,1-(2-オキシエチル)-2-メチルピロリジンが得られる。塩化アセチル,塩化ベンゾィル,塩化アクリロィルおよび塩化メタクリロィルとの反応も容易に起り,それぞれ相当するN-アシル誘導体を与える。1-アクリロィル-2-メチルピロリジンは単独重合するが,1-メタクリロィル化合物は単独重合しない。両者とも共重合は可能である。
  • 三井 生喜雄, 釜石 忠美, 今泉 真, 高村 功
    1962 年 83 巻 10 号 p. 1115-1118,A71
    発行日: 1962/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ベンゾイルギ酸-(一)-メンチルエステル(I)を種々の触媒を用い常温常圧で条件を変え接触還元した。生成したマンデル酸-(一)-メンチルエステル(III)を加水分解して得られるマンデル酸(III)は微量の酸を含む触媒(酸性触媒)では(-)-III,微量の塩基を含む触媒(塩基性触媒)では(一)-IIIが過剰に生成し,触媒の酸性か塩基性かによってまったく逆に不斉合成されることがわかった。
  • 福田 十三雄
    1962 年 83 巻 10 号 p. 1119-1122,A71
    発行日: 1962/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Pb-CaCO3を用いアリルアルコールをエタノール中常温常圧で接触還元を行ない,ガスクロマトグラフィーによりプロパノール,プロピレン,プロパン,水,アクロレイン,プロピオンアルデヒド,エチレン,エタン,および一酸化炭素を確認し,アリルアルコールの接触還元においてはいろいろな反応が同時に起ることがわかった。つぎに水素吸収量とこれら生成物の収量の関係を調査して,アリルアルコールは水素添加および水素化分解のほか脱水素反応を起すことを推定した。また触媒担体および添加物と生成物の収量の関係を調査して水素化分解はPd-BaSO4およびPd-SrSO4ではいちじるしく増加し,同じ触媒でも酸の添加によって増加しアルカリの添加によって減少することを明ちかにした。
  • 福田 十三雄
    1962 年 83 巻 10 号 p. 1122-1125,A72
    発行日: 1962/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シンナミルアルコールの接触還元においては,アリルアルコールの場合と同様な反応が起ることが期待される。エタノール中常温常圧で接触還元を行なった結果はまったく同様であって3-フェニル-1-プロパノール,プロペニルベンゼン,プロピルベンゼン,β-フェニルプロピオンァルデヒド,スチレン,エチルベンゼン,および一酸化炭素を確認し,シンナミルアルコールは水素添加および水素化分解のほか脱水素反応を起すことを推定した。
    触媒担体,および酸,アルカリの影響もまったく同様であった。別にフェニルプロピオンアルデヒドのパラジウム系触媒による接触還元を試みたが,その結果もプロピオンアルデヒドの場合と同様であった。しかしラネーニッケルではフェニルプロピオンアルデヒドは水素化され,パラジウムとラネーニッケルでは相当に差があることがわかった。
  • 福田 十三雄
    1962 年 83 巻 10 号 p. 1126-1129,A72
    発行日: 1962/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    いろいろな触媒を用いてシンナムアルデヒドの接触還元を行ない,パラジウム系触媒では二重結合とカルボニル基の還元ならびに脱一酸化炭素反応が同時に起り,β-フェニルプロピオンアルデヒド,シンナミルアルコール,スチレンゴおよび一酸化炭素を生さ成し,シンナミルアルコールは水素化分解を起すことがわかった。ラネーニッケルでは二重結合の還元と脱一酸化炭素反応が起り,β-フェニルプロピオンアルデヒドは水素化されて3-フェニル-1-プロパノールを生成する。酸化白金ではパラジウム触媒と同様な反応が起り最終生成物は同じになるが,フェニルプロパノールは水素吸収1mo1以後に生成し,パラジウム系触媒に比較して撰択性がすぐれている。
    いずれの触媒を用いた場合にもスチレジおよ一酸化炭素の生成量はシンナミルアルコールの場合にくらべて増加し,第1報おび第2報の脱水素反応に関する推定が確かめられた。
    パラジウム系触媒でもPd-BaSO4,Pd-SrSO4,および少量の酸の添加はカルボニル基の還元を促進し,Pd-CaCO3,Pd-BaCO2およびアルカリの添加はある程度それを抑制してラネーニッケルの結果に近くなった。触媒の撰択性は触媒金属のほかに微量の酸およびアルカリによっても大きな影響をうけることがわかった。
  • 福田 十三雄
    1962 年 83 巻 10 号 p. 1130-1134,A72
    発行日: 1962/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ジアリルエーテルをパラジウム-炭-を用いて接触還元を行ない,ガスクロマトグラフィーによりアリルプロピルエーテル,ジプロピルエーテル,1-プロパノール,プロピレン,およびプロパンのほか,アリルアルコール,アクロレイン,およびプロピオンアルデヒドが生成することを確認し,ジアリルエーテルは水素添加のほか水素化分解を起すことがわかった。同様にしてアリルベンジルエーテルの接触還元を行ない,ペンジルプロピルエーテル,プロパィール,およびトルエンのほか,ベンジルアルコール,アリルアルコール,プロピレン,ヲロパン,およびプロピオンァルデヒドが生成することを確認し,アリルベンジルエーテルは水素添加のほかアリル基がきれる水素化分解ならびにベンジル基がきれる水素化分解を起すことがわかった。
    ジベンジルエーテルは水素化分解を起しにくい。またアリルベルジルエーテルの場合には酸の添加はベンジル基がきれる水素化分解よりもアリル基がきれる水素化分解をいちじるしく増加した。
    アリル基とベンジル基ではアリル基の方が水素化分解を起しやすいことが明らかである。
  • 後藤 俊夫, 岸 義人
    1962 年 83 巻 10 号 p. 1135-1137,A72
    発行日: 1962/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    3β,5α-ジアセトキシ-7α-プロムコレスタン-6-オン(I)を水素化ホウ素ナトリウムで還元する場合,重金属イオンが強い触媒作用を示し,これが存在しないときは3β,5α-ァセトキシ-7α-プロムコレスタン-6α-オール(II)を生成するが,微量の重金属塩を加えると反応がまったくかわり,脱臭素反応が起って3β,5α-ジアセトキシコレスタン-6-オン(III)を生成する。
  • 後藤 俊夫
    1962 年 83 巻 10 号 p. 1137-1142,A72
    発行日: 1962/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Serini反応の機購を知る目的で3β-(α-テトラヒドロピラノキシ)-17α,20β-オキシドΔ5-プレグネン(VI),20β-ジウテリオ-Δ5-プレグネン-3β,17α,20α-トリオール3,20-ジアセタート(IX),20α-18O-プレグネン-3β,17α,20α-トリオール3,20-ジアセタート(XIV)を合成してこれらのSerini反応を行なったところ,17,20-オキシドは反応せず,20β-Dは17位へ反転をともなって転位し,C20-18OはC20=18Oになることがわかった。これらの結果は一応オルトエステル中間体を通る機構(C)を支持するΔ5-プレグネン-3β,17α,20α-トリオール3,20-ジエトキシ炭酸エステル(XVI)をキシレン中で加熱すると容易に17,20環状炭酸エステルを生成することはこの裏づけとなる。
  • 須賀 恭一, 渡辺 昭次
    1962 年 83 巻 10 号 p. 1142-1147,A73
    発行日: 1962/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    二,三の鎖式不飽和炭化水素,すなわち2-エチル-1-ヘキセン(I),2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン(VII),1-オクテン(XX),3,7-ジメチル-1-オクテン(XXIV)および2,3-ジメチル-2-ペンテン(XXVIII)などと無水酢酸の存在下ホルムアルデヒドとの反応について研究した。生成した酢酸エステルをケン化することによりIからは3-エチル-3-ヘプテノールと3-エチリデンヘプタノールを,VIIからは2-イソプロペニル-5-メチル-5-ヘプテノール,3-メチレン-7-メチル-6-オクテン-1-オールと3,7-ジメチル-3,6-オクタジエン-1-オールを,XXからは3-ノネン-1-オールを,XXIVからは4,8-ジメチル-3-ノネン-1-オールを得たが,XXVIIからはほとんど反応生成物は得られなかった。
  • 湖浜 重実
    1962 年 83 巻 10 号 p. 1148-1151,A73
    発行日: 1962/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    トリメチルシラノール,トリエチルシラノールまたは,ジフェニルシランジオールとエピクロルヒドリン,プロピレンオキシドとの反応を行なったところ,正常の開環反応を起さずもっぱらシラノール縮合を行ない相当するシロキサン,すなわちヘキサメチルジシロキサン,ヘキサエチルジシロキサンまたはヘキサフェニルシクロトリシロキサンを生成した。この反応異常性を追求するためにシラノールの各種有機溶媒申における安定性および赤外吸収スペクトルをしらべた。これらの結果からシラノールの脱水縮合反応にエポキシ化合物は工ewis塩基として関与する反応過程が考えられた。またLewis塩基の立体構造がこの反応機構に関係することをエーテル類(エポキシ化合物を含めた)によるオルガノシラノールの脱水縮合の研究から明らかにした。
  • 加藤 哲夫, 牧角 啓, 大野 素徳, 泉屋 信夫
    1962 年 83 巻 10 号 p. 1151-1154,A73
    発行日: 1962/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    各種アミノ酸のエチルエステルトルエンスルホン酸塩を合成するため,アミノ酸,トルエンスルホン酸,エタノールおよび四塩化炭素を還流煮沸して,生成する水を共沸混合物としてのぞいてエステル化した。28種のアミノ酸について実験したところ,表1に示すようにL-α-アミノ酪酸以下20種についてエチルエステルトルエンスルホン酸塩を分離,確認することができた。これらは,いずれも吸湿性のない良好な結晶で,かつ収率も優秀である。これらのうちε-カルボベンゾキシ-L-リシンエチルエステル塩酸塩は,α-N-カルボキシ無水物とエタノール-塩酸との反応により合成すると収率は不良であり,さらにL-バリンなどのエステル塩酸塩は強い吸湿性を示したが,ここに報告する方法により,それらの点は改良された。この方法により,アシル化されたアミノ酸も,少量のトルエンスルホン酸の存在のもとでエステル化されることが示された。実際には,アセチル-L-フェニルアラニンエチルエステルなどが合成された。
  • 磯和 義員, 大田 正樹
    1962 年 83 巻 10 号 p. 1154-1156,A73
    発行日: 1962/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    オウレオスライシンの合成を目的とする中間体としてN-メチル-α-アセトアミノ-γ-ジエトキシメチルテトラミン酸(IX)をつぎの経路で合成した。α-クロル-β,β-ジエトキシプロピオン酸エチル(IV-ii)のメチルアミンによるアミノ化によって,dl-N-メチルセリンアルデヒドジエチルアセタール(IV)を得た。IVをエステル化,ついでジケテンとの反応によって相当するアセトアセタミド(VII)に誘導し,さらに分子内エステル縮合を行なってN-メチル-α-アセチル-γ-ジエトキシメチルテトラミン酸(VII)を得た。VIIをヒドロキシルアミンと反応させ,オキシムとしてこれを単離することなく,ピリジン中塩化p-トルエンスルポニルによるBeckmann転位を行なってIXを合成した。
  • 亀本 雄一郎, 山岸 滋
    1962 年 83 巻 10 号 p. 1156-1157,A73
    発行日: 1962/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 小林 徳子, 北原 文雄
    1962 年 83 巻 10 号 p. 1158-1159,A74
    発行日: 1962/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 藤原 鎮男
    1962 年 83 巻 10 号 p. 1159-1160,A74
    発行日: 1962/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1962 年 83 巻 10 号 p. A69-A74
    発行日: 1962/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
feedback
Top