日本化學雜誌
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83 巻, 3 号
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  • 佐々木 和夫
    1962 年 83 巻 3 号 p. 233-236,A17
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    熱電池の初期起電力を考察してつぎのような結論を得た。
    1)AgC1,AgBr,Aglの3種の銀電極を用いたときの初期起電力の相互の差は,電解質のカチオンを共通とした場合,それぞれの電極反応の可逆的エントロピー差の相違にほぼ等しい。このことはCr,Br-,1一などアニオンの輸送熱はほぼ同程度であることを想像させる。
    2)同一種類の電極を用い,カチオンの異なるいろいろの電解質について実測される初期起電力の相違はほとんど不可逆的エントロピー変化の寄与によるものである。すなわち,カチオン相互の輸送熱の相違はいちじるしいものといえる。
    3)実測の困難なヨ一化銀1ヨー化水素酸の系の初期起電力を推定し,それが妥当であることを確かめた。
  • 佐々木 和夫
    1962 年 83 巻 3 号 p. 236-239,A17
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    熱電池起電力に関する研究の一環として塩酸水溶液のSoret係数を測定した。測定濃度範囲は0.1~2N,測定の平均温度は40℃である。本報と同じ系については広田による報告があり,0.5N付近に熱分離の極大があること,さらにそれより低い濃度が極小があるらしいことが指摘されている。これらの傾向は今回の測定で確認された。したがつて,Chipmanの0・1N以下の低温度での測定値は定性的にも正しくない。1Nでの測定値についてのみ比較した場合にはTannerの測定値と本報のそれとがデ致し,理論からの予測にもっとも近い。
  • 渡辺 愛
    1962 年 83 巻 3 号 p. 239-248,A17
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アクリフラビン(D)と塩化スズ(ll)の存在のもとで・アクリロニトリル(AN)をジメチルホルムアミド(DMF)と水との混合物に溶かした溶液(1),および溶存する空気を除去したDMF溶液(H)に,それぞれ35℃および30℃で可視光線を照射するとただちに重合反応が起る。Iは重合物の析出する不均一系重合反応であり,IIは均一系重合反応である。水および酸素はなくても重合するが,これらの存在により重合速度はいくぶん促進される。結果を要約するとつぎのようになる。
    重合速度はv=K[D]m[Sncl2]n[AN]2およびv=k1Iabsxで表わされる。Iの場合,mは[D]<ca・1×10-5mol/lのときに約1,[D]>ca. 3.5×10-5mol/lのときに0,nは[SnCl2]<ca. 3.5×10-3mol/lのときに約1,[SnCl2]>ca. 1.2×10-2mol/lのときに0. そしてxは0.5である。また,平均重合度はANに比例する。IIの場合,mは[D]<ca. 1×10-5mol/1では約0.5, nは[SnCl2]<ca. 1.2×10-4mol/lでは約1, そしてxは約0.35である。また,光退色速度は塩化スズ(II)の添加により減少する。
    反応機構として,不安定な原子価を有するスズィオンを生じ,これがANと作用して重合を開始すると考え薯この考えを交持する若干の実験事実を認めた。
  • 高橋 博彰
    1962 年 83 巻 3 号 p. 248-261,A17
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    第1報,第2報にひきつづきCHグループにも“部分対称座標”を導入して,側鎖をもつパラフィン系炭化水素のG,F行列を,すべてのパラフィンに共通の部分行列をもとにして組み立て,簡約する方法を考察した。その結果,イソブタンのように3回対称軸をもつ分子のG,F行列も,部分行列をもとにして簡約できることがあきらかになった。
  • 松本 勝, 近藤 精一
    1962 年 83 巻 3 号 p. 261-263,A18
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    チオフェンおよびフランの熱的研究およびチオフェンの-55℃のX線結晶解析の研究によれば,これらの物質は通常の柔粘性結晶に良く似た物性を示す。われわれは測定周波数1~30kc/sec,温度300°~68°Kの範囲でこれらの物質の誘電特性を測定した。三重点と転移点は熱的研究から求められた値とほとんど一致する。
    チオフェン固相の誘電的振舞はかなり複雑である。固相IV(三重点の直下)の液相よりわずかに小さい誘電率は簡単な考究によれば,格子点で分子が平面的回転をしていることを示唆する。この相のX線的研究はこの仮定を支持している。固相瓦亙の誘電率はたがいにほとんど等しく,固相IVよりわずかに小さい。このことから分子の配向による双極子の無秩序状態は固相IVより少ないと思われる。また,固相Iで双極子の回転によると考えられる特殊な分散が認められた。
    フランについては固相Iの誘電率が割合に大きいことから,チオフェン固相IVと同様の双極子の回転が考えられるが,結晶学的知見がないので詳細を論ずることはできない。固相Iで双極子回転はとまる。
  • 木下 達彦
    1962 年 83 巻 3 号 p. 264-267,A18
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ギ酸銅四水和物Cu(HCO2)2・4H20の結晶水を尿素でおきかえたCu(HCO2)2・(NH2CONH2)2・2H20とCu(HCO2)2・(NH2,CONH2)を合成した。酢酸銅の尿素付加物もえられた(2種類)。それらの磁化率をGouyの方法で測定して,銅原子の磁気モ_メントを求めた
    。Cu(HCO2)2・(NH2CONH2)2・2H20の磁気モーメントは1.67ボーア磁子,Cu(HCOa)2・(NH2CONH2)のモ_メントは1.08B・M・である。酢酸銅の尿素付加物は,酢酸銅一水和物のモーメントとほとんど同じ値のモーメントを示す。
    ギ酸銅は,四水和物の結晶水のうち2分子が尿素2分子と入れかわっても,四水和物の構造を維持するが,4分子の結晶水全部が尿素1分子でおきかわると,酢酸銅一水和物型の二量体構造をとる。酢酸銅は,どの尿素付加物も一水和物型のこ量体構造を保持する。尿素は,ギ酸銅とも,酢酸銅とも,共通な付加形式の,大気申で安定な,二量体構造の付加物をつくる牲質をもっている。
  • 竹中 亨
    1962 年 83 巻 3 号 p. 267-270,A18
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    一連の重水素化メチル化合物CD3XHm-1,(CD3XDm-1),(CD3)2XHm-2,((CD3)3XDm-2),・・・(CD3)mXについて,CD3対称変角振動数δCD3とX原子の種類との関係を検討した。ここにXは周期律表のIV族からVII族までの原子で,mはその原子価である。この振動数変化は,主として変角振動に関する力の定数の相違によるものと考えられ,検討した分子のうちの数個を除いていずれも
    δcD3=317log(κXrCX2)+1046
    であらわされる。ここにκxはX原子の電気陰牲度,γcxはC-X結合の原子間隔である。この関係式は,CH3XHm-1,(CH8)2-XHm-2・・・(CH3)mXなる一連のメチル化合物のCH3対称変角振動数に関してさきに著者が提案した式から,メチル基の重水素化にともなうγ行列の変化を考慮して得られる結果とよく一致する。数個の分子にみられた,CD3対称変角振動数の測定値と上式から得られる計算値との相違は,この振動と分子内の他の振動との混合によるものと思われる。
  • 川北 公夫, 伊藤 輝, 甘粕 治
    1962 年 83 巻 3 号 p. 271-274,A18
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シュウ酸およびシュウ酸塩のハロゲン化アルカリ錠剤法による複分解反応の機作について検討した。(1)乾燥箱中で,試料を塩化ナトリウムまたは臭化カリウムの単結晶とともに混合して錠剤を作製した場合はほとんど反応は起らない。(2)乾燥箱を使用せず,室内で混合するとき,および(1)の方法で作製した錠剤を高温度中に放置するときは反応が起る。(3)錠剤中における反応は水溶液中における反応と同一である。以上の結果から錠剤法における複分解反応は加圧,混合の効果はほとんど無視しえるものであり,混合時に空気申より吸着する水分によって起るものである。
  • 川久保 正一郎
    1962 年 83 巻 3 号 p. 274-277,A18
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1.[Co(N2OH)6]Cl3の空気気流中の熱分解による窒素酸化物の生成をしらべ,反応温度の影響を述べた。
    2.[Co(NH3)6]Cl3,[Co(NH3)5Cl]C12,[Co(NH3)6](SO4)3・4H20を含アンモニア空気気流申に熱分解を行ない,その反応生成物の窒素酸化物を検討した。
    3.熱テンビンと示差熱分析を併せ用いて熱分解をしらべ,上記の結果と合わせて考慮した。
  • 山口 和夫, 大坪 義雄
    1962 年 83 巻 3 号 p. 277-278,A19
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    既報(日化82,561,676(1961))のβ-ナトリウム,カリウムおよびルビジウムフェライトのDTAピークを,粉末法による高温X線回折から検討した。
    β-ナトリウムフェライト(β-Na20・Fe203)のDTAピークは斜方晶から正方晶への結晶転移の際生成する。
    カリウムおよびルビジウムフェライト(K20・Fe203およびRb20・Fe203)はともにピーク温度で結晶系(立方晶)は変わらなかったが,異常膨張を示した。
  • 野口 喜三雄, 神谷 宏, 中山 弘
    1962 年 83 巻 3 号 p. 279-282,A19
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    浅間山頂上付近で1957年8月と1958年8月の2回にわたり,火山灰を採取し,その浸出水についてpH,硫酸イオン,塩素イオン,ホウ素およびアンモニウムイオンを検した。頂上付近の32地点で採取した試料によって各成分の濃度の平面的分布,相関関係,また火山活動との関係について考察する。
    各成分は頂上より一様に分布するのではなく,方向によって異なっている。火山活動の活発化した1958年度は1957年に比較して硫酸イオン,塩素イオンおよびホウ素は増大し,pHは小さくなっているが,アンモニウムイオンのみは逆に減少している。硫酸イオンと塩素イオンとの間には正の相関があり,硫酸イオンの塩素イオンに対する比は1958年度の方が大である。
  • 神田 精一
    1962 年 83 巻 3 号 p. 282-286,A19
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    本研究は配位高分子合成の試みの一部として1,6-ジオキシフェナジン,2,5-ジオキシベンゾキノン,クロルアニル酸,プロムアニル酸など芳香族化合物を配位子としてえらび,金属としては,立体配置,配位数の点から2価の銅イオンを主とし,その他二,三の金属イオンを用いた。
    得られた化合物は分析の結果1:1化合物であることがわかった。構造は,あるものは無定形に近く,他のものは微小な結晶からなり,さらに第3には結晶性が高くて約1mmの大きさの単結晶を得ることのできる化合物もある。X線,電子線などの方法でしらべた結果は,他の方法による結果をも考慮に入れて,線状1次元の構造が推定される。
    粉末固体試料を加圧成形したものについて,電気抵抗を直流および交流法で測定した。本文でのべるように,これら高分子錯体は半導体的な性質をあらわすための条件のうちのいくつかをそなえているように思われたが,現在までに得られた実験結果の示すところでは,これらはかなり高い抵抗値を示した。
  • 松浦 二郎, 今堀 和友, 藤岡 英子, 橋爪 裕司, 栗村 芳実, 滝沢 正男
    1962 年 83 巻 3 号 p. 287-291,A19
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1キロ・キュリーの60Co線源で0.1%キモトリプシン溶液を放射線照射し,そのポーラログラフタンパク波の測定から,タンパク質分解の放射線化学収率の測定を試みた。約1メガ・レップまでの積分γ線量では,ポーラログラフタンパクニ重波は,その波高の変化が線量が増すにしたがい1度増大したのち,極大を経て減少をすることが観測された。空気存在の有無により,キモトリプシン溶液の放射線分解収率0値は0.01N硫酸中で0.135から,0.034に減少する。キモトリプシンのγ線照射による酸素不活性化収率G値は,空気存在の有無によらず0.60がえられた。同一条件で実験を行なったポーラログラフシスティン,シスチン波の測定より,タンパク中のシスチン基が遊離のシスチンと同様の波を与えると仮定したときのタンパク中のシスチン含量の推定はいちじるしく低いシスチン含董を与える。これよりキモトリプシン水溶液の放射線分解では,まずタンパク質分子の構造変化が起り,酸素が不活性され,そののちにシスチン基の酸化が進みポーラロタンパクニ重波が消失するものと推定されたげポーラログラフタンパク波の標準化は,リボヌクレアーゼ,リゾチーム,牛血清アルブミン,キモトリプシノーゲンなどについて実施した。
  • 竹内 幸夫
    1962 年 83 巻 3 号 p. 292-294,A19
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    チオグリコ-ル酸と銅(II)との反応によって銅(I)-銅(I)チオグリコール酸塩および銅(I)チオグリコール酸塩を生ずることが知られている。従来前者はCu(I)[Cu(I)SCH2COOH]4,後者はCu(I)SCH2COOHの式で表わされていた。
    著者はこれらの化合物を製し,赤外吸収スペクトルを測定した。さらにこれらの化合物の生成反応におけるプロトンの挙動を中和滴定法により検討を行なった。これらの結果,銅(II)-銅(I)チオグリコール酸は,H2・[Cu(II)(SCH2COOCu(I))4]であり,銅(I)チオグリコール酸はHSCH2COOCu(I)であることを明らかにした。
  • 石橋 雅義, 重松 恒僑, 田伏 正之, 西川 泰治, 合田 四郎
    1962 年 83 巻 3 号 p. 295-298,A20
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール,“PAN”を用いる微量カドミウムの吸光度定量法の各種条件を検討し,これを応用して海水申の微量カドミウムの定量法を確立した。海水申のカドミウムの濃縮法として硫化銅による共沈法を,またカドミウムの銅その他妨害元素からの分離には陽イオン交換樹脂Dowex50WX8を用い,0.5N塩酸を溶離液として交換分離する方法を採用した。溶離したカドミウムの定量にはPANを用いる吸光度法によった。本法においては90%以上の収率で微量のカドミウムが分離定量できる。本法により白浜沖,浜寺沖海水中のカドミウムを定量し,0.08~0.17μgCd/lなる値を得た。また海産生物試料(カキ,ハマグリ,コンブ,ワカメ)中のカドミウムを定量し,灰分に対して2.5~18.4×10-4%なる値を得た。
  • 鈴木 信男, 工藤 洌
    1962 年 83 巻 3 号 p. 298-303,A20
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    共沈法によるプロトアクチニウム-233の無担体分離について検討した。プロトアクチニウムはトリウムを原子炉で照射し,二酸化マンガンによる共沈,ジイソブチルケトンによる溶媒抽出により分離精製したものを使用した。酸性において種々の無機沈殿へのプロトアクチニウムの共沈を検討した結果,後処理の簡単なものでは二酸化マンガンを除き共沈率はきわめて悪く,トリウムからのプロトアクチニウムの分離法として不適当であった。そこで有機試薬を沈殿剤に用いた場合のプロトアクチニウムの共沈について検討を試みたところ,担体にジルコニウムを用いた場合,P-ヒドロキシフェニルアルソン酸ナトリウム,N-ベンゾイルフェニルヒドロキシルアミンが高収率でプロトアクチニウムを捕集することが判明した。後処理の簡単なN-ベンゾイルフェニルヒドロキシルアミンのみを共沈剤に用いた場合について詳細に検討したところ,2N塩酸酸性,有機試薬0.29(4%エチルアルコール溶液),70℃30分加熱,80分放冷によりプロトアクチニウムはほぼ100%共沈した。なお,この場合トリウム,希土類などは共沈しない。この方法によってトリウムから放射化学的に純粋なプロトアクチニウム-233を高収率で無担体分離できた。
  • 増尾 富士雄, 木村 善男
    1962 年 83 巻 3 号 p. 303-308,A20
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1,1,3,3-テトラメトキシプロパンの加水分解によって得られるマロンアルデヒド(β-オキシアクロレイン)は,種々の芳香族ジアゾニウム塩と反応して黄色から橙色のアリールアゾマロンアルデヒドを生成する。この化合物は弱酸性物質であって水酸化アルカリ水溶液によく溶ける。互変異性によりα-アリールアゾ-β-オキシアクロレインの構造をとっている。滴定曲線から求めた(フェニル-3-スルホン酸ナトリウム)-および(フェニル-4-スルホン酸ナトリウム)-アゾマロンアルデヒドのpKaは,それぞれ7.9および8.0である。
  • 増尾 富士雄, 木村 善男
    1962 年 83 巻 3 号 p. 308-312,A20
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    芳香族ジアゾニウム塩のマロンアルデヒドへのカップリング反応を,いろいろなPHの緩衝溶液中で速度論的に研究した。反応速度は両成分の濃度積に比例し,2分子反応速度式を満足する。PH約4以下では次式が成立し,pH1単位の増加により速度定数K'は10倍になる。
    logK'=logK-pKEH+PH
    pHがこれより大きくなると々は一定値に近づき,上式は成立しなくなる。K'が反応溶液のpHによって変化するのは,β-オキシアクロレイン(マロンアルデヒドの互変異牲形)の解離によって生じるエノラートイオン濃度がpHによって変わるためであり,解離度の対数log aとpHとの関係を示す理論曲線の形状は,実測したlog k'/pH曲線とよく一致する。したがって反応はβ-オキシアクロレインのエノラートイオンにジアゾニウムイオンがカップリングすると結論される。
  • 加藤 清
    1962 年 83 巻 3 号 p. 313-316,A21
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    N-ビニルフタルイミド(I)とアミンとの反応を検討したところアリルアミン,ベンジルアミン,エチルアミン,n-プロピルアミン,イソプロピルアミン,ジメチルアミン,ピペリジンおよびモルホリンはそれぞれN-ビニル-N'-アリルフタルアミド(II),N-ビニル-N'-ペンジルフタルアミド(IV),N-ビニル-N'-エチルフタルアミド(V),N-ビニル-N'-n-プロピルフタルアミド(VI),N-ビニル-N'-イソプロピルフタルアミド(VII),N-ビニル-N'-ジメチルフタルアミド(VIII),N-ビニルピペリドフタルアミド(III)およびN-ビニルモルホリドフタルアミド(X)を与え,P-トルイジン,m-トルジンおよびo-アニシジンはN-置換フタルイミドを与えた。
  • 岩波 泰夫
    1962 年 83 巻 3 号 p. 316-318,A21
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アセチレンジカルボン酸ジエチル(1)に4-クロル-1,2-ジアミノベンゼン(l)を作用させて7-クロル-2-オキソ-3-エトキシヵルポニルメチレン-1,2,3,4-テトラヒドロキノキザリン(III)を得た。このIIIを塩酸で加水分解すると7-クロル-2-オキソ-3-メチレン4,2,3,4-テトラヒドロキノキザリン(IV)と炭酸ガスを生成し,相当する酸7-クロル-2-オキソ-3-カルボキシメチレン-1,2,3,4-テトラヒドロキノキザリンは得られなかった。IVは7-クロル-2-オキソ-3-メチル-1,2-ジヒドロキノキザリン(V)と互変異性体であると考えられ,IVをメチル化して得られたものは7-クロル-1,3-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノキザリン(VI)でり,Dawsonらの得た物質と同一であると考えられた。これらの結果からIとIIの反応においてIIの塩素のp-位のアミノ基がまず選択的にIの三重結合に付加し,つづいてもう一つのアミノ基がIのエトキシカルボニル基と脱アルコ一ル縮合してIIIを生成することが考察された。IIIの構造は赤外吸収スペクトのル測定により決定された。
  • 佐藤 正常
    1962 年 83 巻 3 号 p. 318-323,A21
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ヒダントイン類と炭素-炭素二重結合をもつ化合物との付加反応を検討する目的で,5,5-ジ置換ヒダントインとアクリロニトリルとの反応を試みた。アルカリ性触媒を用い,1mo1のアクリロニトリルと反応させるとヒダントイン環の活性な3位のイミノ基が優先的に,また2molのアクリロニトリルと反応させると3位のイミノ基とともに1位のイミノ基も容易にシアノエチル化されることを確認した。さらにこれらN-β-シアノエチルヒダントイン類のニトリル基を加水分解,還元し,ヒダントイン核を含むジカルボン酸,ジアミン類を合成した。
  • 佐藤 正常
    1962 年 83 巻 3 号 p. 323-327,A21
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    5,5-ジアルキルヒダントインはビニルアルキルエーテルと160°~170℃に加熱すると好収率で付加生成物,3-α-アルコキシエチル誘導体を与え, また酢酸ビニルと加熱すると, 無触媒の場合には単に1-アセチル体を生成するにすぎないが,アルカリ性触媒の存在下では1-アセチル-3-α-アセトキシエチル誘導体を与えることを確認した。また,これらの付加生成物を酸性触媒による脱アルコール反応あるいは熱分解による脱酢酸, 脱アセチル化反応によって3-ビニル-5,5-ジアルキルヒダントインへ誘導した。
  • 黒沢 和, 藤瀬 新一郎
    1962 年 83 巻 3 号 p. 327-329,A21
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-(2'-プロムエチル)シクロペンタノン(IV)に液体シアン化水素を付加してシアンヒドリン(X)として,Xを脱水して不飽和ニトリル(X)を得,Xllを加水分解して2-(2Lオキシエチル)シクロペンテニルカルボン酸ラクトン(Xll)に導びき,皿を接触還元して,DL-2-(2Lオキシエチル)シクロペンチルカルボン酸ラクトン(V)とし,Vを無水工一テル中水素化アルミニウムリシウムで還元しエタノールで処理して,DL-1-エトキシーオクタヒドロシクロペンタ-[c]-ピラン(IV)を得た。
  • 黒沢 和, 藤瀬 新一郎
    1962 年 83 巻 3 号 p. 329-333,A21
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-エトキシカルボニル-5-メチルシクロペンタノン(Vl)にβ-ヨードエチルアセテートを反応させて,2-(2'-アセトキシエチル)-2-エトキシカルポニルー5-メチルシクロペンタノン(Vlll)を得,Vlllを濃臭化水素酸で加水分解,脱炭酸して,2-(2'-プロムェチル)-5-メチルシクロペンタノン(X)に導き,以下DL1一エトキシーオクタヒドロシクロペンタ-[c]-ピランを合成した方法で,DL-2-(2Lオキシエチル)-5-メチルシク・ペンチルカルボン酸ラクトン(lll'),bp2,5112°~115°C(ヒドラジドmp147°~148°C)および・DL-エトキシ-7-メチル-オクタヒドロシクペンタ-[c]-ピラン(lll')・bp1799°~101°C(2,4-DNPmp144°~145°C)を合成した。
  • 衣笠 俊男, 渡会 節夫
    1962 年 83 巻 3 号 p. 333-338,A22
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    メチル,イソプロピル,およびtert-プチルなどのアルキル基を含みニトロ基が2-,4-,および5-に置換した9種の摺一ジアルキルベンゼンのモノニト氏化合物を合成した。イソプロピル系,および'tert-プチル系の5-ニト鐸化合物を新らたに得るとともに,イソプロピル系の2-および4-ニトロ化合物については既知文献の誤りを訂正した。なおm-ジアルキルベンゼンの直接ニトロ化において,アルキル置換基の立体障害により異性体生成比に明確な差のあることを認めた。また,m-ジ'tert-ブチルベンゼンのFriede1-Crafts反応による生成条件についても検討した。
    5-ニトロ化合物,および2-ニトロ化合物は赤外吸収スペクトルにおいて,ニトロ基の状態の差によるN-0伸縮振動の相対吸収強度に明瞭な差が見られた。またイソプロピル系の5-ニトロ化合物は,甥一ジアルキル安息香酸の場合と同様,他のアルキル系のものにくらべ,いちじるしく低融点を示すことがわかった。
  • 上田 照夫
    1962 年 83 巻 3 号 p. 338-341,A22
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    さきにエゴマ(Perilla Frutescens Brit)の精油成分を検索し,精油の低沸点留分から茸ようの香気を有するC8H160F1なる左旋性の鎖状不飽和アルコール少量を分離したが,このものは著者らがすでにフトボナギナタコヴジュ(Elsholtzia nipponicaOhwi)の精油から分離した鎖状不飽和アルコールと同一物であり,ともにマツタケアルコール(l-1-オクテン-3-オール)に一致することがわかった。マツタケアルコールの新規の合成法としてn-カプロン酸クロリドとエチレンとから1一オクテンー3一オンをつくり,これをPonndorf還元に付して1-オクテン-3-オールとし,このものをもちいて証明した。
  • 上田 照夫
    1962 年 83 巻 3 号 p. 341-343,A22
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    さきにエゴマの精油の主成分ナギナタケトンはβ-デヒドロエルショルチアケトンすなわち3-メチル-2-(3-メチル-1-オキソ-2-ブテニル)フランであることを示したが,さらにこのものをコウジュ酸クロリドとイソブチレンとから合成して確証した。
  • 西村 昭二, 中村 昌之, 鈴木 基之, 井本 英二
    1962 年 83 巻 3 号 p. 343-347,A22
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    芳香族ノルビオチンの合成1こ関連して,チオフェンから4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒド,チアナフテン,およびその誘導体の合成を行ない,これについてSchmidt転位反応ならびにそのケトオキシム類のBeckmann転位反応を試みた。その結果,Beckmann転位反応では原料の回収あるいは樹脂状物の生成に終ったが,Schmidt転位反応によってラクタムを得た。ところが,そのラクタムについて種々の検索を行なった結果から,Schmidt転位が予期した転位の方向と逆に起こり,ラクタムの酸基はチオフェン環側に,したがってラクタムのアミノ基は側鎖側にあることを認めた。
  • 林 俊雄, 渡辺 健一, 畑 一夫
    1962 年 83 巻 3 号 p. 348-350,A22
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ニッケル-銅-ケイソウ土触媒を用いて芳香族ニトリルを気相接触水素化する場合に,オルト位置の置換基が,シアン基の水素化開裂に対して特殊の妨害効果をもつことが知られているので,このオルト効果についてさらに検討するため,o-シアンアセトフェノンおよびo-tert-ブチルベンゾニトリルの水素化反応を行なった。その結果,o一シアンアセトフェノンの水素化反応においては少量のアセトフェノンが得られるほか,シアン基とアセチル基との相互反応による縮合物の生成がいちじるしく,o-tert-かブチルベンゾニトリルの水素化においては,シアン基はアミンまで還元されるが開裂反応はほとんど起らず,いずれの場合にもオルト位置置換基の影響は非常に大さく複雑であることが認められた。
  • 西村 騨一, 広瀬 善雄
    1962 年 83 巻 3 号 p. 350-352,A22
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    日本産ねず(Juniperus rigida Sieb et Zucc.)の枝葉から得た精油を分析し,α-ピネン(29.8%),カンフェン(0.5%),β-ピネン(0.6%),43-カレン(0.7%),ミルセン(4.8%),リモネン(3・9%),α-テルピネン(0.2%),P-シメン(0.9%),γ-テルピネン(0.8%),β-エレメン(0.4%),カリオフィレン(1.7%),フムレン(1.4%),δ-カジネン(0.5%),γ-カジネン(1.4%),カラメネン(0.1%),ピサボレン(0.1%),フェンコン(0.4%),ショウノウ(0.8%),メチルノニルケトン(0.6%),ケ彼アルデヒド(0.1%),青葉アルデヒド(0.7%),ヘキシルアルデヒド(0.2%),酢酸ボルニル(29.5%),酢酸テルピニル(0.5%),酢酸シトロネリル(0.2%),酢酸ゲラニル(0.1%),酢酸フェンキル(2.3%),カプロン酸ボルニル(0.1%),ボルネオール(1.0%),シトロネ一ロル4(0.1%),リナロール(0.1%),アネトール(0.1%)をそれぞれ分離した。また,ねずの青い実が熟して黒くなる瞬間に,酢酸ボルニルの含量が顕著に増大することがわかった。
  • 大坪 義雄, 山口 和夫, 川村 幸雄
    1962 年 83 巻 3 号 p. 352-353,A22
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 金行 広雄, 大田 稔, 松井 清忠
    1962 年 83 巻 3 号 p. 353-354,A23
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ジベンゾィルメタンから,トリベンゾィルメタンを合成するのに,Claisenは塩化ベンゾィルと無水炭酸ナトリウムをベンゼン中で反応させる方法をもちいたが,その後,無水炭酸ナトリウムの代わりに,ナトリウムアルコラートをもちいる方法を発表した。文献によれば,このような反応には一般にナトリウムアルコラートをもちいることになっている。われわれは,マロン酸エチルに塩化アルミニウムと塩化ベンゾイルを作用させて,ジーおよびトリーベンゾイルメタンなどを合成したが,この反応の機構を研究しているうちに,ニトロベンゼンを溶媒にして,塩化ベンゾイルだけをジベンゾィルメタンに作用させても,トリベンゾイルメタンが好収率でえられることがあきらかになった。また,この反応は反応物の核に塩素,ニトロ基のような陰性なものが置換していれば,かなり抑制されることもわかった。
  • 西村 昭二, 井本 英二
    1962 年 83 巻 3 号 p. 354-355,A23
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    チオフェン系化合物の呈色反応として,イサチン反応あるいは硝酸セリウム反応その他いくつかの反応がある。しかしながら,いずれの反応もチオフェンおよびその二,三の誘導体に適用されている程度である。著者らは,チオフェン系化合物のなかで硫酸によって着色するものがかなり多いので,その酢酸溶液に硫酸を添加する方法で呈色を調べてみた。そして48種類の試料について調べた結果,この方法はチオフェン系化合物の識別法として簡便であり,しかもその構造を推定する一つの手段にもなることを認めたのでここに報告する。
  • 滝沢 英夫, 船久保 英一, 守谷一 一郎
    1962 年 83 巻 3 号 p. 355-357,A23
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 森本 市郎, 田中 征
    1962 年 83 巻 3 号 p. 357-357,A23
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1962 年 83 巻 3 号 p. A17-A23
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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