日本化學雜誌
Online ISSN : 2185-0917
Print ISSN : 0369-5387
ISSN-L : 0369-5387
83 巻, 6 号
選択された号の論文の40件中1~40を表示しています
  • 田中 満
    1962 年 83 巻 6 号 p. 639-645,A41
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    塩化ナトリウム,臭化ナトリウムおよび硝酸ナトリウムの水溶液の相対粘度を,10°~60℃において,飽和までの濃度範囲にわたって測定した。これらの値と前報のカリウム塩水溶液の相対粘度の値に対してEyringの式を適用し,種々の温度および飽和度sx-X/Xs(Xsは飽和溶液における電解質のモル分率)の溶液についての流動の活性化自由エネルギーΔFsxを計算した。その結果,(ΔFsx-ΔF0)が温度と直線関係にあること,したがって(ΔHsx-ΔF0),(ΔSsx-ΔS0)が,一定の電解質の水溶液については,Sxだけの関数であることを認めた。このことから,同じSxに換算される濃度をもつ溶液は,1種の「相応濃度」にあると考えられる。また以上のことがらは,Sx一定の溶液に対して,ηsVsx0V0=A(Sx)exp[B(Sx)/T]なる式があてはまることを示す。ただし,Vsx,V0はそれぞれ飽和度がSxの溶液と純水の平均の分子容であり,A(Sx),B(Sx)はそれぞれ,AとBがSxだけの関数であることを示すものである。
  • 田中 満
    1962 年 83 巻 6 号 p. 645-652
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    硫酸ナトリウムおよびカリウム・塩化マグネシウム・ストロンチウムおよびバリウムの水溶液の相対粘度を,温度10°~70℃,飽和までの広い巌鯛において測定した・溶液の繊に対して飽和度sx=x/xs(xsは飽和溶液申の電解質のモノレ分率である)を用い,種々のsxの溶液の粘度に対してEyri箆gの式を適用した結果,一つの電解質の水溶液において,等しいs,をもつ溶液は飽和溶液を基準とする1種の相応状態にあることを認めた。また,硫酸ナトリウム水溶液の粘性が温度の変化とともに,硫酸ナトリウムの10水化物から無水物への転移点の近くで非連続的に変化することを認めた。このことは,上記の転移点の両側の温度繕講謬響簾讐灘1藁き籍錨煮瑠鷺にと麗鐸鷺酪騰鰹灘誘
    1nηsxVsφ=sx1nη1V1+(1-sx)1nηoVo-sx(1-sx)(α+βsx)RT
    ここに,αとβは温度だけによる定数である。
  • 桑田 敬治, 市川 隆久, 広田 鋼蔵
    1962 年 83 巻 6 号 p. 652-655
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    電子スピン共鳴吸収法(ESR法)は,フリ-ラジカル(FR)研究の有力な方法として広く利用され,とくにFRの反応を追跡する上の有用さが認められている。
    過酸化水素(H202)の光分解により生成したHOラジカル(またはHO2ラジカル)が低級アルコールと反応し,アルキルラジカル置換体を生成することは,Ingramらによって過酸化水素一低級アルコール系の低温における紫外線照射の研究において見いだきれた。
    この種の反応は高級多価アルコール,とくに生体の素材として重要な糖類,デンプン,セルロースにおいても同様に進行し,各種のFRを生成する。このような高級多価アルコールとの反応を検討し,ここで生成した各種FRを,従来研究されている高エネルギー放射線照射で生成したFRと比較検討することは興味深い。
    われわれは今回,PVA,ペンタエリトリットなどの非環状高級多価アルコール,デンプン,セルロースなどと過酸化水素の系に対し低温で紫外線照射を行ない,ESR法を用いて生成したFRの構造とその反応を検討した。
  • 黒崎 和夫
    1962 年 83 巻 6 号 p. 655-657,A42
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    クロロホルムの水素原子のプロトンドナーとしての作用を,C-H伸縮振動数(ν(C-H))の変化から明らかにするため,プロトンアクセプターとしてエーテルをえらび,モル比の異なるクロロホルムとエーテルの混合物およびこの混合物の四壕化炭素溶液について・フッ化リチウムプリズムを用いて3000cm-1付近の赤外吸収を測定した。その結果,クロロホルムのν(C-H)がエーテルの添加により本来の3022cm-1のほかに3008cm-1にあらわれることが明らかになった。この両吸収帯について四塩化炭素溶液の濃度および温度変化を測定したところ,3008cm-1は水素結合したC-Hの伸縮振動によるものであることが明らかになった。この場合工一テルのC-O伸縮振動帯(μ(C-0))の移動があるのでC-0の0がプロトンアクセプターとして作用している。さらにクロロホルムーアセトン系およびこの系の四塩化炭素溶液についてν(C-H)およびC=0伸縮振動(ν(C=0))を測定したが・この場合はC=Oがプロトンアクセプターとしての能力が小さいためν(C-H)の移動はみられないので,双極子同志の相互作用の存在が考えられた。
  • 田仲 智津子
    1962 年 83 巻 6 号 p. 657-660,A42
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    (CH3)2CHOH(気体)について,Csの対称を仮定して,CH 伸縮,OH 伸縮OH3ねじれ,OH面外変角以外のすべての基準振動数,ならびに各対処座標へのポテンシャルエネルギー分布を算出した。
    この結果(CH3)2CHOHの1075cm-1の吸収帶は,CH3横ゆれ振動に対し,OH面内変革振動が奇与する振動型に相当するものであることがわかり,(CH3)2CHODでこの吸収帶が消失する事をよく説明すうことができた。
    また1151と995cm-1の強い吸収帶,A'に属し,骨格伸縮振動とCH3横ゆれ振動とが混合奇与する振動型に相当することがわかった。このことはメチル基の重水素化によって,995cm-1の吸収帶が消失するという実験結果とよく一致している。
  • 田仲 智津子
    1962 年 83 巻 6 号 p. 661-667,A42
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    イソプロピルアルコールの重水素置換体(CH3)2CDOH,(CH3)2CDODを合成し,自由分子ならびに会合分子の状態で,赤外吸収スペクトルを測定した。この結果,液体の状態では,C1型の回転異性体(C1の対称を持つ分子型)のみ存在し,気体の状態では,C1型,Cs型(Csの対称をもつ分子型)の両回転異性体が共存するものと考えられ,この2種の回転異性体を考慮することにより,前報の(CH3)2CHOH,(CH3)2CHODの帰属値をふくめ,積の法則で要講される関係を十分満足する帰属を与えることができた。
  • 浜田 修一
    1962 年 83 巻 6 号 p. 667-672,A42
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シアン化ナトリウム溶液への棒状無定形セレンの溶解反応を測定し,それが1次反応であり,見かけの反応速度定数kは40.0℃,回転数600rpmにおいて0.0104min-1であることを知った。また見かけの活性化エネルギーは13.Okcalであり,kは回転数400,600,800および1200rpmではかきまぜの速度の変化により影響を受けず,誤差の範囲内で不変であった。この2点から無定形セレンについてはその溶解速度はSe+HCN→SeCN-+H+の反応が律速段階であると思われる。また,常圧で結晶化したセレンについては,kは40.0℃において0.0122min-1,活性化エネルギーは3.29kcalであり,また,かきまぜの効果が認められた。このように結晶化したものの溶解の活齢エネルギーが小さいことは結晶化によって自由エネルギーは減少するが,多結晶であるために,表面自由エネルギーがふえることにより反応速度が増大するものと考えられる。しかも,そのはやさが生成したセレノシアン酸イオンの拡散速度より大になるため,結晶セレンでは回転に影響されることになるのである。
  • 中島 路可
    1962 年 83 巻 6 号 p. 672-675,A42
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    10種類の2,5-ジ置換,および2,3,5,6-テトラ置換ニトロベンゼンの双極子モーメントをベンゼン溶液で測定し,表2に示した結果が得られた。ニトロ基への立体障害が増加するにしたがって,その双極子モーメントは次第に減少する。アルキルニトロベンゼン類とハロゲンニトロベンゼン類の比較から,これらのもののあいだでは,ニトロ基の共鳴モーメントに与える影響がいちじるしく異なることがわかった。
  • 石 源三
    1962 年 83 巻 6 号 p. 676-679,A43
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    亜塩素酸ナトリウムの酸分解を究明するにあたり酸として硫酸を用い,反応式を求めてつぎの結果を得た。
    4NaCIO2+H2SO4=2Cl02+NaCl+NaClO3+Na2SO4+H2O
    酸分解の反応速度はLaunerらが行なった通気法によって求めたが,そのままでは誤差が大きく精度が悪いため著者は時間の補正値を加えて好結果を得た。またこの結果は半減期法を併用して再確認し得た。反応の次数はClO2-および酸について1次となり,反応速度の温度係数は10℃につき2.4,活生化エネルギーは15.4kcalとなった。
  • 児玉 睦夫, 阿部 信彦
    1962 年 83 巻 6 号 p. 679-684,A43
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    銅(II)-ニトリロトリ酢酸錯塩の水銀電極表面における還元反応の反応機概ポーラログラフ法を用いて解明した.銅(II)-ニトリロトリ酢酸錯塩はカドミウム(II),鉛(II)の場合とことなり電極表面における錯解離反応にもとづく反応電流をあたえず,直流,交流,および,Kalousekの方法によっては滴下水銀電極において典型的なポーラログラムをあたえる。交流ポーラログラフィーの結果および銅(II)-エチレンジアミンテトラ酢酸錯塩のポーラログラフィーに対するPecsokの取り扱かい方から考えて銅(II)-ニトリロトリ酢酸塩の水銀電極における還元反応は可逆的に進行すると考えることができる。実験の行なわれた条件のもとでは,銅イオン1個につきニトリロトリ酢酸イオン2個配位したCuX24-を考慮することなく電極反応機構を説明することができる。また,半波電位の値からCuX-の安定度定数を求め,十分満足すべき値を得た
  • 山田 彬
    1962 年 83 巻 6 号 p. 684-693,A43
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酒石酸溶液申において,-0.1Vvs.SCE付近の比較的陽電位に半波電位をもつFe3+の還元波が,アルカリ性溶液中では-1.0V付近に半波電位が移行することは,ヒドロクソ錯イオンが生成するためとされている。しかしながら,酸性で安定な錯イオンからアルカリ性で安定な錯イオンへ移行する機構,各錯イオンの還元機構などについては従来ほとんど明らかにされていない。以上の諸点を明らかにするため,pH4.8~14の範囲で0.5mol/lの酒石酸溶液中におけるFe3+の交直両ポーラログラムを検討した。近接する2波の分離解析には直流ポーラログラムのΔ2i-E曲線を用いた。実験結果から,酸性でカルボキシル基により鉄に配位する酒石酸が,水酸イオンにより置換きれ,アルカリ性ではカルボキシル基と水酸基とによって鉄に配位し安定な錯イオンが形成されること,還元に際しては配位子の一部が錯イオンから解離することなどが明らかにされた。
  • 友成 明久
    1962 年 83 巻 6 号 p. 693-695,A43
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    チオシアン酸水銀(II)のエタノール溶液と鉄ミョウバンの硝酸溶液どにより,塩素イオンを比色定量する方法はすでに報告されている。これを,0.1~15ppmの塩素イオンが感度よく定量でき,また検量線が直線に近くなるよう改良する目的で研究した。
    試料溶液に,過塩素酸鉄溶液とチオシアン酸水銀溶液を加え,橙色の水溶液の吸光度を460mμで測定して塩素イオンを定量する。本法で0.1~15ppmの塩素イオンが迅速正確に定量できる。
  • 友成 明久
    1962 年 83 巻 6 号 p. 696-698,A44
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    多量の臭化物中の微量の塩化物の定量法を研究した。一定量の臭素イオンを含む試料の水溶液を,硝酸酸性で熱時過マンガン酸カリウムで酸化する。塩素イオンをほとんど酸化せず,臭素イオンを定壁的に臭素に酸化する条件を求めた。加熱して奥素を除去し,水溶液中の塩素イオンを,チオシアン酸水銀法で比色定量する。本操作で,臭素イオン中の0.005~0.5wt%,臭化カリウム中の0.003~0.3%の塩素イオンを迅速正確に定量できた。
  • 岡 好良, 田中 玲子, 梅原 美佐緒
    1962 年 83 巻 6 号 p. 699-703,A44
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    0.3Nの塩酸酸性でスズ(IV)とフラボノールスルホン酸が反応するとき,スズに対する試薬のモル比が65~0.14の濃度範囲ではつねに1:1の組成のキレートを生じ,367mμを中心とする吸収帯がみられる。その生成定数として3,6×1011(25.0±0.1℃)が得られた。反応するさいのpHを5.4まで上げても吸収曲線の形および吸収帯の位置には変化が見られない。フラボノールスルホン酸ナトリウムの酸解離定数としては1.9×10-9(25.0°±0.1℃)を得た。溶媒の差異はあるが,フラボノールのそれとくらべてやや大きく,キレートの生成定数は小さい。スルホン化することによって試薬およびキレートはいずれも水溶性となり,吸収帯は短波長側に移動した。pH4~5で発色した場合,吸光度がほとんど一定で,またもっとも大きく8μg/ml程度までのスズの定量に利用できる。Beerの法則にしたがい,検量線は原点を通る直線となった。
  • 岡 好良, 梅原 美佐緒, 野副 鉄男
    1962 年 83 巻 6 号 p. 703-708,A44
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    灘領域で鉄(II)とトロポン-5-スルホン酸が反応するとき前者が過剰に存在すれば組成1:1緑色キレートを生じ,吸収極大は320,440および560~620mμに見られる。その生成定数として5.2×108(25.0±0.1℃)を得た。トロポロン-5-スルホン酸アンモニウムの酸解離定数としては2.1×10-5(25.0±0.1℃)を得た。これはトロポンのそれとくらべてかなり大きく,キレートの生成定数は小さくなっている。試薬を過剰に加え,pHをあげれば1:2および1:3の組成のキレートを生じた。1:2のキレートは生成定数としては25.0±0.1℃で2.7×107を,1:3のキレートの生成定数としては5.3×105を得た。1:3のキレートの吸収極大は332,418,550および595mμに見られる。pHが3.5~7の範囲では1:3のキレートのみが生じ,吸光度は一定となり,0.07γ/ml程度までの鉄の定量に利用できる。Beerの法則にしたがい,検量線は原点を通る直線となった。
  • 栗原 寛人, 野崎 亨
    1962 年 83 巻 6 号 p. 708-711,A44
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水溶液申のバナジウム(V)オキザラト錯体の組成,安定度定数およびモル吸光係数を吸光光度法により測定した。pH5以下ではバナジウム(V)とシュウ酸の比が1:1,1:2および1:4の錯体が存在し,イオン強度0.10におけるみかけの安定度定数はlogk1=7.8(21℃)およびlogk2=7.6(24℃)であり,モル吸光係数は240mμでそれぞれ2.4×103,3.1x103および4.3×103である。1:4錯体の紫外吸収の,バナジウム(V)の光度定量への応用の可能性を検討したところ,240mμの波長において0.2~5ppmの範囲でBeerの法則にしたがい,妨害イオンがない状態ではバナジウムを定量できる可能性があることが判明した。
  • 日色 和夫
    1962 年 83 巻 6 号 p. 711-715,A44
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水溶液中で迅速簡単にホウ素と反応して,微量ホウ素の吸光光度定量に用いられる試薬を見いだすため種々実験を行なった結果,従来から濃硫酸中でホウ素の定量に用いられていたアリザリンSが水溶液中でもホウ素と反応して光度定量に利用できることがわかった。本報においてはまず各種pH値においてアリザリンSの吸収曲線をもとめ,ついで最適の定量条件について検討した。さらに呈色の安定性,温度の影響,共存イオンの影響などについて実験した。その結果,最適の定量条件は,アリザリンS濃度2×103-mol/l,緩衝溶液濃度4×10-2mol/l,pH7.7~8.2,測定波長426mμであった。本法においては4.8ppmまでのホウ素量についてBeerの法則にしたがう直線関係が得られ,誤差は1.08%,もとめられた分子吸光係数は1250,また感度は吸光度0.001について0.22μgB/cm2であった。本法は水溶液申で反応が行なわれるため操作が簡単であり,かつ共存する多くの金属イオンはEDTAを加えてその妨害作用をいんぺい除去できる長所をもっている。
  • 日色 和夫
    1962 年 83 巻 6 号 p. 715-719,A45
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    従来から用いられていたホウ素の吸光光度定量用試薬は濃硫酸溶媒申で呈色反応が行なわれたり,あるいは蒸発乾固操作によって呈色したりするものが多く,使用上不便であった。そこで著者は水溶液中で迅速簡単に光度定量が可能である試薬の探索を行ない,この目的のためにプロトカテキュ酸がきわめて有用であることを知った。本報ではまず各種pH値においてプロトカテキュ酸の吸収曲線をもとめ,ついで最適の定量条件について検討した。さらに呈色の安定性,温度の影響,共存イオンの影響などについて実験した。その結果,最適の定墨条件は,プロトカテキュ酸濃度8×10-4mol/l,緩衝溶液濃度4×10-2mol/l,pH7.8~8.1,測定波長302mμであった。吸光度は時間的にきわめて安定である。本法においては2.Oppmまでのホウ素量についてBeerの法則にしたがう直線関係が得られ,誤差は1.24%,分子吸光係数は1430,また感度は吸光度0.001について0.19μgB/cm2であった。また本法に透光度比法を適用して検量線をもとめたところ,2.0~4.4ppmの比較的高濃度のホウ素の定量も可能であることがわかった。さらに連続変化法によってホウ素-プロトカテキュ酸の反応モル組成比をもとめたところ,1:1であることがわかった。
  • 藤永 太一郎, 轟 理市
    1962 年 83 巻 6 号 p. 720-724,A45
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酢酸一酢酸ナトリウム緩衝溶液中でビスマスのNTA錯塩は2段のポーラログラフ波を与える。一方,分光光度法による研究の結果,ビスマスとニトリロ三酢酸(NTA)の結合比が1:1の錯休の他に1:2の錯休も生成されることがわかり,ポーラログラフ波の第1波は1:1の錯体の還元によるものであり,反応電流の性質を持つことが明らかとなった。したがって,BiX23-→BiX+X3-(H3X=NTA)なる反応が律速段階であると考えてその速度定数を求めた結果,1.43×103sec-1となった。この2種の錯体の間の平衡定数を分光光度法により測定すると,log[BiX23-]/[BiX][X3-]=9.54である。
  • 勝村 竜雄
    1962 年 83 巻 6 号 p. 724-726,A45
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    高級塩化アルキルとスズーマグネシウム合金とからアルキルスズ化合物が生成する反応を調べた。この反応で第三アミン類が効果的な触媒となり得ることがわかった。また第三アミン類のうち,塩基度の強いものほど収量がよかった。塩化n-ブチルと合金との反応では塩化水銀(ll)を併用すれば非常によい結果を与えた。同一条件では枝わかれのある塩化アルキルは反応しなかつた。溶剤の影響を調べたところ,この反応ではジオキサン,キシレンおよび石油エ一テルが適当なことがわかった。
  • 勝村 竜雄
    1962 年 83 巻 6 号 p. 727-729,A45
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シクロペンタジエニルナトリウムと塩化トリエチルスズ,二塩化ジエチルスズおよび塩化スズ(IV)との反応によりトリエチル酋2,4-シクロペンタジエニルスズ,ジエチルビス(2,4-シクロペンタジエニル)スズおよびテトラキス(2,4-シクロペンタジエニル)スズを合成した。前2者は文献に記載のない新しい有機スズ化合物である。シクロペンタジエニルスズ誘導体は光および水に不安定であって,トリエチル-2,4-シクロペンタジエニルスズおよびジエチルビス(2,4-シクロペンタジエニル)スズは容易に加水分解を受け,水酸化トリエチルスズおよび酸化ジエチルスズを生じる。またシクロペンタジエニルスズと同様に,1-インデニルナトリウムと塩化トリエチルスズとからトリエチル-1-インデニルスズを合成した。
  • 勝村 竜雄
    1962 年 83 巻 6 号 p. 729-731,A45
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ベンジルアルコ-ル,アニスアルコールのような第一アルコールはジブチルジイソプロポキシスズ(I)とp-ベンゾキノンによって,またキサントヒドロールはIとシクロヘキサノンによってOppenauer型酸化の反応を行ない,それぞれ相当するアルデヒドないしケトンに酸化されることを見いだした。この反応においてもOppenauer酸化の場合と同様に,酸化すべきアルコ-ルとIとの間にアルコキシドが中間に生成することは,別途に合成したビス(ベンジルオキシ)ジブチルスズがp-ベンゾキノンの存在でベンズアルデヒドに酸化されることによってたしかめた。
  • 丸田 巌, 常盤 文克
    1962 年 83 巻 6 号 p. 732-734,A45
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ドデシル硫酸ナトリウムとドデシルアルコールとの希薄混合溶液,およびこれにさらにポリビニル硫酸ナトリウムのような高分子電解質を加えた溶液について粘度,表面張力を測定した。
    ドデシル硫酸ナトリウム-ドデシルアルコール溶液ではドデシル硫酸ナトリウム0.4に対し,ドデシルアルコールが0.6モル分率付近で粘度および表面張力曲線に急激な変化が認められ,また約40℃前後でこの曲線にいちじるしい差異がみられた。この溶液にさらに高分子電解質を添加すると粘度および表面張力も変化する。これはドデシル硫酸ナトリウム-ドデシルアルコールの錯合体と高分子電解質との相互作用に基づくものであると考えられる。
  • 村上 増雄, 妹尾 三郎, 松里 為行, 板谷 博, 姜 正雄
    1962 年 83 巻 6 号 p. 734-737,A46
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アミノ酸の配位した八面体コバルト(III)錯体[CoA2B]を合成した。Aはエチレンジアミン,プロピレンジアミンおよびジピリジル,Bはグリシン,アラニン,フェニルアラニン,L-グルタミン酸,レロイシンおよびL-チロジンである。錯体は一般法によっても合成されるが,著者らは新しくアニオン交換樹脂を用いる方法を考案して,いろいろの新しい錯体を合成した。著者らの改良法はつぎのとおりである。[CoA2Cl2]Clをアニオン交換樹晦AmberliteIRA-410に通して水酸基型錯体[CoA2(OH)2]OHに変えたのち,計算量のアミノ酸を加えて60℃に加温する。こうして得られる錯体は従来の合成法によって得られる場合に比較すると,無機塩を含まないので純度も高く,高収量で得られた。
  • 村上 増雄, 妹尾 三郎, 松里 為行, 板谷 博, 姜 正雄
    1962 年 83 巻 6 号 p. 737-741,A46
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    α-ケト酸オキシムを含む八面体コバルト(III)錯体[CoA2B]を合成した。Aはエチレンジアミン,プロピレン銑アミンおよびジピリジル。Bはフェニルピルビン酸オキシム,ピルビン酸オキシム,α-ケトグルタル酸オキシムおよびIV-アセチルアミノ-ケイ皮酸である。合成には砕アミノ酸を含む錯体の合成法を改良した一般法と著者らの改良した新しい方法Dの二通りで行なった。著者らの方法は,アニオン交換樹脂AmberliteIRA-410を用いる方法である。この方法は[Co dipy2ピルビン酸オキシム]錯体以外のα-ケト酸オキシムを含む錯体の合成には,従来の方法よりも高収量で,高純度の錯体を得ることができた。
    錯体生成の過程において,その吸収スペクトルを測定した。その結果,反応混合物中のα-ケト酸オキシムは加熱することによって徐々に錯体内に配位する。それから炭酸ガスで中和する。この操作をくり返すことによって,α-ケト酸を含む八面体コバルト(III)錯体を高純度,高収量で得ることがわかった。
  • 村上 増雄, 妹尾 三郎, 松里 為行, 板谷 博, 姜 正雄
    1962 年 83 巻 6 号 p. 741-744,A46
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1)八面体[CoA2B]型Co(III)錯体の吸収スペクトルを測定した。Aはエチレンジアミン,プロピレンジアミン,ジピリジル。Bはオキシム(α-ケトフェニルプロピオン酸オキシム,α-ケトプロピオン酸オキシム),アミノ酸(グリシン,アラニン,L-ロイシン,L-チロジン,L-グルタミン酸,フェニルアラニン),N-アセチルアミノケイ皮酸,α-ケトプロピオン酸,酒石酸,炭酸および塩素である。
    2)分光化学系列はつぎのとおりである。ジピリジル>α-ケトプロピオン酸オキシム,プロピレンジアミン,エチレンジアミン>アミノ酸(ロイシン,アラニン,グリシン)>炭酸>酒石酸>塩素。そのほかに,α-ケトフェニルプロピオン酸オキシム,α-ケトプロピオン酸オキシム>グルタミン酸>グリシン>フェニルアラニンである。この分光化学系列は共有結合配位子からイオン結合配位子への序列を示す。
    3)ジピリジルコバルト(II)錯体の特殊吸収帯はジピリジル配位子の数が増加するにつれて長波長側へずれる。また配位したオキシムの特殊吸収帯もエチレンジアミン,プロピレンジアミン,ジピリジルの配位子の影響で長波長側へずれる。
  • 酒井 勉, 西村 願一, 広瀬 善雄
    1962 年 83 巻 6 号 p. 745-746,A47
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    市販ハマナスアプソルートの成分を検索して,中性揮発性部分の主成分としてフェニルエチルアルコールを確認し,ほかにベンジルアルコール,リナロール,シトロネロール,ゲラニオール,ネロール,ノニルアルコール,ヘプチルアルコール,酢酸フェニルエチル,ギ酸ベンジル,ノニルアルデヒド,ベンズアルデヒド,ノナラクトンを,またフェノール部分からオイゲノールを,酸性部のうちフェニル酢酸,安息香醸などを検出した。
  • 小川 三枝子, 広瀬 善雄
    1962 年 83 巻 6 号 p. 747-748,A47
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    甘藷フーゼル油の成分について既報に13種のフラン化合物を含めて40余種の成分を検出したが,そのうちのフラン化合物4種についての構造を明らかにすることを得た。すなわちフランIは7-メチルクマロン,フランIIはα-メチルα'-β-フリル-テトラヒドロフラン,フランWはデンドロラシンでフランIXは2,6-ジメチル-8-β-マルフリル-オクタノン-4である。
  • 須賀 恭一, 渡辺 昭次
    1962 年 83 巻 6 号 p. 749-752,A47
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2,6-ジメチル-2-オクテン,パラホルムアルデヒド,無水酢酸の混合物をオートクレープ中で反応させて,3-メチル-2-(3'-メチル-1'-ペンチル)-3-ブテニルアセテートを合成し,これをケン化して3-メチル-2-(3'-メチル-1'-ペンチル)-3-ブテン-1-オールを得た。同様に3,7-ジメチル-1,6-オクタジエンとパラホルムアルデヒド,無水酢酸を反応させて,アセテートを経て,2,6-ジメチル-3-オキシメチル-1,7-オクタジエンを合成した。
  • 加藤 武明
    1962 年 83 巻 6 号 p. 752-757,A47
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アレスリンの合成中間体である3-オキソ-6-ヘプテン酸エチルエステルは,ナトリウムエチラートの存在でアリルアセトンと炭酸ジエチルエステルとのClaisen反応によってえられるが,この反応で知られている副生物はC-置換体としてのα-アリルアセト酢酸エチルエステルである。本反応の副生物は元来複雑で単離しにくいとされていたのであるが,著者は各生成物がアルカリに対する溶解牲を異にすることを見いだし,この性質を利用してそれぞれを単離,精製して検討した結果,C-置換体としてα-アリルアセト酢酸エチルエステルと主生成物である3-オキソ-6-ヘプテン酸エチルエステルのほかに,O-置換体の還元生成物とみなしうる新規化合物である1-ヘキセン-5-イル炭酸エチルエステルが副生することを見いだした。また赤外吸収スペクトルから,アリルアセトンのエノール型炭酸エステルの副生を推定した。
  • 大須賀 昭夫
    1962 年 83 巻 6 号 p. 757-760,A47
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    タデの辛味成分は川口によりC15H22O2のジケトンと報告され,タデオンと命名されている。著者はこのものと同じ分子式をもつ辛味成分を単離したが,その化学的性質がケトアルデヒドであるので,タデオナールと呼ぶことにした。タデオナールを水素化アルミニウムリチウムで還元して得られるジオールを接触還元すると,一つの水酸基が加水素分解され,さらに二重結合が飽和されてモノアルコールが得られる。このものを酸化して得られるカルボン酸はAppelらがドリメノールから導いたドリマニン酸と一致した。それゆえタデオナールに式(I)を推定した。
  • 小田 大平, 下光 太郎
    1962 年 83 巻 6 号 p. 760-762,A47
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    プロムマロン酸エチルとアセトアミド金属塩との反応によってアセトアミノマロン酸エチルの合成を試みたが,アセトアミド塩は単に塩基として作用するにすぎず,主生成物としてはエチレンテトラカルボン酸エチルが得られた。本反応が分子間からの脱臭化水素によって生ずるプロムエタン化合物を経由するものか,あるいは分子内で脱臭化水素したカルベンを経由するかについて考察を加えた。
  • 箕浦 有二, 迫田 直一
    1962 年 83 巻 6 号 p. 763-765,A47
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリビニールアルコールに光学活性なp-トルエンスルポニル-L-バリンをエステル結合させると,いろいろのアシル化度を有する光学活性ポリマーが得られる。得られたポリマーの旋光度とその光学活性な構造単位の同族体のそれとを比較することは,光学活性側鎖の不斉中心がポリマーの旋光性にいかに寄与するかを見るための興味深い方法である。この見地から,p-トルエンスルホニル-L-バリンを塩化チオニルで酸塩化物としてアルコール類に作用させ,いろいろの低級アルコールとのエステルを合成し,その旋光度を測定した。エチルおよびイソプロピルエステルは右旋性で,メチルおよび-tert-プチルエステルは左旋性であった。また,これらエステルを加水分解し,p-トルエンスルポニル-L-バリンをとり出したが,ラセミ化してなかった。これらエステルの旋光性はアルキル基の構造により変わるものと考えられる。
  • 荒井 九一朗
    1962 年 83 巻 6 号 p. 765-767,A48
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 西村 駿一, 広瀬 善雄
    1962 年 83 巻 6 号 p. 767-768,A48
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1962 年 83 巻 6 号 p. 768a
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1962 年 83 巻 6 号 p. 768b
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1962 年 83 巻 6 号 p. 768c
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1962 年 83 巻 6 号 p. 768d
    発行日: 1962年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1962 年 83 巻 6 号 p. A41-A48
    発行日: 1962/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
feedback
Top