日本化學雜誌
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84 巻, 4 号
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  • 鈴木 貞雄, 鈴木 題
    1963 年 84 巻 4 号 p. 293-297,A21
    発行日: 1963/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    前報で明らかにされた実験結果を考慮し新しい収着モデルを提出した。この収着モデルより理論的に等温式
    が誘導され,前報に述べた等温実験式X=k1P1+k2P1のk1,k2のもつ物理的意義が明瞭になった。また等温式中のμ,S,Kなどのパラメータ相互間の関連,および温度との関係については実測の結果がいずれも理論的考察に合致するものと認められた。
  • 神林 うた子, 額田 健吉
    1963 年 84 巻 4 号 p. 297-300,A21
    発行日: 1963/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    液体,各種の溶液,気体においてエチレングリコールの赤外スペクトルとラマンスペクトルの測定を行ない,CH2横ゆれ振動領域のバンドが赤外で2本,ラマンでは1本しか観測されず,溶媒効果や温度変化によるスペクトルの変化が小さいことから,液体においてゴーシュ型のみが存在するとの結論を得た。
  • 土屋 荘次
    1963 年 84 巻 4 号 p. 300-305,A21
    発行日: 1963/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    衝撃波,爆発波のような過渡的現象によって生成する高温気体の温度を知るために,ナトリウムD線反転法を応用した装置を試作した。装置は,気体から発するナトリウムD線の輻射と標準光源からの光の気体による吸収とを同時に測定するもので,標準光源の輝度温度に対して約±300°Kの温度範囲が測定可能である。装置は5μsec以内の応答時間を有し,測定誤差は気体の輻射能と光の強度測定に際してのS/N比で定まり,輻射能0.2,S/N比20においては,2500°Kで誤差は±55°K,3000°Kで±80°K程度である。この装置により,衝撃波で加熱されたアルゴン気体の温度とメタン-酸素混合気体の爆発波背後の温度を測定した。爆発波については,得られた反転温度は理論計算値と一致する。アルゴン中の衝撃波背後の反転温度は,計算値よりも低い値を示し,これはアルゴン原子とナトリウム原子との衝突の電子状態励起のための有効断面積が小さいことに起因すると考えられる。
  • 樋口 泉, 鈴木 励子
    1963 年 84 巻 4 号 p. 306-311,A21
    発行日: 1963/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    (1)混合時の微粒粉体の分散性にしたがって4種の理想的混合系を考察し,これらの混合系への0℃におけるメタノールの理論的毛管凝縮等温線を計算した。(2)粒径の異なる2種ずつの微粒粉体を種々の方法で混合し,加圧成型した試料への0℃におけるメタノールの等温線を測定した。(3)理想系をつくるために適当な操作でつくった混合系への等温線は,それぞれの理想系に対する理論的毛管凝縮等温線と一致することを示し,毛管系を制御できれば,任意の等温線を与える収着剤をつくることができることを述べた。(4)以上の結果にしたがい加圧成型した試料による等温線の測定結果から,粒径の異なる微粒粉体の分散性を検討することの可能性を述べた。
  • 友成 忠雄
    1963 年 84 巻 4 号 p. 311-313,A22
    発行日: 1963/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    圧力10~40kbの範囲で,ピストン式高圧装置を用いて,黄色酸化鉛の融点を測った。その結果によれば,この範囲では,圧力-融点関係式はT=1243+2.2pの直線式で表わされ,X線回折線からはこの圧力の範囲では黄色酸化鉛は他の変態に変わらないことがわかった。
  • 今井 弘, 葛谷 潔
    1963 年 84 巻 4 号 p. 313-316,A22
    発行日: 1963/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ローダミンB(以下R.Bと略記する)のポーラログラフ的挙動を0.5Nリン酸二水素ナトリウム溶液中で調べた。R.Bの濃度が2.5×10-4mo1/l以下のとき1段波であるが,4.0×10-4mol/l以上においてpH4~7の範囲で2段波を示した。2段波を示すポーラログラムの第1波は温度またはR.Bの濃度に関係なく波高が一定であることから吸着波のように考えられるが,温度と半波電位の関係や波高が水銀圧に比例しないことから吸着波と見なすことはできない。第2波において,波高は濃度に比例するが原点を通らなかった,,また第1,第2の両波を合わせた全波の波高は濃度によく比例し,原点を通る直線であって,R.Bの定量に用いることができる。また1段波ならびに2段波における各波についてE~logi/id-iの関係を調べた結果,曲線となり,正しい反応電子数を求めることができなかった。各波に対する限界電流は水銀圧の平方根に比例するため,拡散支配されていることが認められた。拡散電流定数は1段波については2.36,2段波における第1波は0.74,第2波は1.14であった。
  • 今井 弘, 斎藤 轟
    1963 年 84 巻 4 号 p. 317-321,A22
    発行日: 1963/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ローダミンB-アンチモン(V)錯体のポーラログラムを検討した。この錯体は6N塩酸溶液中で安定であることは,すでにRametteらによって明らかにされている。この溶液で錯体中のアンチモンを測定した結果,第2波の半波電位は-0.234Vvs.SCEであって,Sb(V)単イオンにおける第2波の値とよく一致した。この波の傾斜値は24mVであって,3電子反応の理論傾斜値よりやや大きいことから準可逆波であった。限界電流は拡散支配され,その拡散電流定数は5.03であった。錯体中のアンチモンの波高は錯体濃度に比例した。錯体中のローダミンBは0.5N臭化カリウム溶液中で測定した結果,半波電位は-1.211Vvs.SCEとなり,ローダミンB自身の半波電位約-0.84Vvs.SCEよりも非常に大きく負移行した。この波の限界電流は拡散支配され,その拡散電流定数は1.77であった。また波の傾斜値は約108mVとなり,非可逆波であることが認められた。錯体申のローダミンBの波高は錯体濃度に比例した。以上の結果を基礎にして,錯体中のローダミンBならびにアンチモンの定量を行なって組成比を調べた結果,1:1であって,モル比法や連続変化法から得た値とよく一致した。
  • 道野 鶴松
    1963 年 84 巻 4 号 p. 321-323,A23
    発行日: 1963/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    東京大学イラク・イラン遺跡調査団がイラン地区の現地において発掘または入手された同地区の古代金属利器中の,発掘品である矛および剣合計6点(B.C.約1000年頃の製作品と推定されるもの)の提供を受け化学的研究を行なったところ,これらの金属利器類中にスズをほとんど含んでいない銅器と,スズを相当量含有している青銅器とがあった。よって著者はイラン地区においても,さきに古代中国の場合について報告したのと同様,これらの金属利器類の製作された年代の前後に,銅器時代から青銅器時代への変遷が行なわれたのであろうとの銅器・青銅器両時代の転換期説,さらに引いては銅器時代が存在しておったであろうという銅器時代の存在性説を提唱するにいたった次第である。
  • 道野 鶴松
    1963 年 84 巻 4 号 p. 324-325,A23
    発行日: 1963/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    前報において,イラン出上の古代金属利器でB.C.約1000年頃の製作品と推定されている矛および剣の化学的研究の結果により,古代イランにおいても,これらの金属利器類の製作された年代の前後に,銅器時代から青銅器時代への変遷が行なわれたのであろうという銅器・青銅器両時代の転換期説と銅器時代の存在性説とを提唱した。
    今回もイランのほぼ同時代の製作品と考えられているヤジリ7点の化学的研究を行なったところ,幸いにも上記の銅器・青銅器両時代の転換期説ならびに銅器時代の存在性説をさらに強調確証し得るような結果が得られた。
  • 角田 義和, 大内 昭, 吉野 諭吉, 竹内 俊夫
    1963 年 84 巻 4 号 p. 326-332,A23
    発行日: 1963/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    従来知られていたモリブデン(VI)のエチレンジアミンテトラ酢酸錯塩と同じく,1分子めEDTAに2原子のタングステンを含むエチレンジアミンテトラアセタートタングステン酸(VII)四ナトリウム(Na4W2C10H12014N2・7H20)を新しく合成した。X線回折の結果からこの物質は純物質であることが認められ,また赤外吸収からこの物質は固体の場合にカルボキシル基がすべて共有結合性を示すことがわかった。しかし水溶液においては,ことに希薄溶液の場合,配位子とタングステン酸の間に解離が起ることが水溶液の紫外吸収,電気伝導度などの測定から認められた。この変化はおそらく-COO-W+H20→-COOH+W-OH,W-OH+W-OH--W-O-W+H20と考えられる。事実,合成を行なう場合にEDTAとNa2WO4は相当厳密に2:1(モル比)とする必要があり,さらにエタノールの多量の添加を必要とする。このことは,上の反応を逆行させるための働きをするものと解釈される。また水溶液のpH滴定やポーラログラフから,溶液をアルカリ性にすると錯塩は配位子(HY3-)とタングステン酸イオン(WO42-)に分解すること,また溶液を酸性にするとタングステン酸の縮合が起るため錯塩は形成しにくくなることがわかった。
  • 後藤 秀弘, 鈴木 進, 斎藤 節
    1963 年 84 巻 4 号 p. 332-336,A23
    発行日: 1963/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    450℃において溶融塩化カリウム-塩化リチウム共融塩中の金属イオンのポーラログラフ的研究に,改良した浸漬型モリブデン微小電極の適応性について検討した。すなわち,陰極表面への窒素通気速度,陰極表面積,復極剤濃度および温度と限界電流の関係について検討し,さらに種々の金属イオンのボーラログラフ波の電流-電圧曲線についても検討した。その結果陰極表面への窒素通気速度は0.5~3.5秒/気泡(口径7mmの管から流出)の間では限界電流に影響しなかった。陰極表面積と復極剤濃度はともに限界電流と比例関係がなり立ち,ZI=KACなる関係があることを知った。さらに亜鉛(II)イオンのポーラログラムの限界電流の温度依存性の実験から,限界電流を示す電圧における電極反応過程の活性化エネルギーを計算し4.78kcal/molを得た。この値から限界電流は拡散支配であることが知られた。電流一電圧曲線についてはE~log(il-i)/iの関係は直線となり,またその半波電位はつねに一定値を与えることなどを知った。放射性63Znおよび64Cuを用いてこれらの金属の析出電位についても検討した。
  • 重松 恒信, 田伏 正之, 西川 泰治, 平木 敬三, 合田 四郎, 井上 玲子
    1963 年 84 巻 4 号 p. 336-339,A23
    発行日: 1963/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    鉱物,海水中の微最スカンジウムの定最法について検討した。鉱物試料はフッ化水素酸で処理分解したのち塩酸溶液とし,海水などの水試料はそのままカルシウムを担体として,pH1.8からシュウ酸塩として沈殿させる。このとき微量のスカンジウムは95%以上がシュウ酸カルシウムと共沈する。シュウ酸カルシウムを強熱,酸化物にかえたのち塩酸に溶解,pHを1.5とし,0.2mol/l TTA-ベンゼン溶液でスカンジウムを抽出する。ベンゼン相を1N塩酸とふりまぜ,スカンジウムを水相に逆抽出する。水相をとり,pHを3に調節し,5,7-ジクロルオキシン塩としてクロロホルムで抽出,鉄その他の妨害元素を除く。ついでpHを9.5とし,5,7-ジクロルオキシン塩としてスカンジウムをクロロホルム抽出する,397mμにおける吸光度を測定してスカンジウム量を求める。
    本法によって微量のスカンジウムが,希土類元素などの妨害を受けることなく定量できる。数種の鉱物,海水などの試料のスカンジウム含量を求めた。
  • 中村 晃, 萩原 信衛
    1963 年 84 巻 4 号 p. 339-344,A24
    発行日: 1963/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シクロペンタジエニル・コバルト・シクロオクタテトラエン(C5H5)Co(C8H8)とトラン(C6H5C=CC5H5)の反応により(C6H5C=CC6H5)2Co(C5H5)の組成をもつ空気中安定な黄褐色結晶,mp256℃が得られ,このものは赤外・紫外吸収スペクトルや化学反応性を調べた結果,テトラフェニルシクロブタジエン((C6H5)4C4)のコバルト錯体であると推定された。同様なトランとの反応をシクロオクタテトラエン・鉄・トリカルボニル((C8H5)Fe(CO)3)について行なうと,190℃では既知のテトラフェニルシクロブタジエンの鉄錯体((C6H5)C4・Fe(CO)3)が得られる。
  • 中村 晃, 萩原 信衛
    1963 年 84 巻 4 号 p. 344-348,A24
    発行日: 1963/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    メチル・シクロペンタジエニル・鉄・ジカルボニル(CH3Fe(C5H5)(CO)2)とトラン(C6H5C=CC6H5)の反応(110℃,4時間)では,1,2,3,4-テトラフェニル・フェロセンが得られ,メチル・シクロペンタジエニル・モリブデン・トリカルボニル(CH3・Mo(C5H5)(CO)3)とトランの反応(140~150℃,3時間)ではモリブデンのトラン錯体((C6H5C=C6H5)[Mo・(C5H5)(CO)2]2)がはじめて得られた。このほか相当するエチル鉄やエチル・モリブデン化合物とアセチレン類の反応を調べ,種々なアセチレンの環化反応が見いだされた。
  • 小田 良平, 山本 経二
    1963 年 84 巻 4 号 p. 348-350,A24
    発行日: 1963/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Riecheらによるジクロルメチル・アルキルエーテルを用いた芳香族アルデヒドの合成法をArXAr'(X:0,S)型の化合物のホルミル化に適用すると,対応したモノアルデヒドとともに環状化合物であるキサントンあるいはチオキサントンがそれぞれ得られることを見いだした。この反応はFriede-Crafts反応の1種であるが,これらの環状化合物がどのような反応経路によって生成するものかは目下のところ不明である。
    つぎに,ジクロルメチル・アルキルエーテルと種々のグリニャール試薬との反応において,第ニカルビノールのアルキルエーテルが主として得られるが,同時にグリニャール試薬に対応したアルデヒドが副生することを確かめた。
  • 佐々木 慎一, 伊藤 正英, 鈴鴨 剛夫, 藤瀬 新一郎
    1963 年 84 巻 4 号 p. 351-353,A24
    発行日: 1963/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    鎖状アリルアルコール誘導体のエポキシ化において立体特異性が見いだされた。trans-2-オキシ-3-ペンテン酸エチル(IX)を過安息香酸でエポキシ化してから加水分解するとarabo-α,β-ジオキシ-γ-バレロラクトン(IV)のみをあたえるが,IXのアセテートをまったく同様に処理した場合,IVのほかにribo形(V)も同時に生成する。trans-フェニルスチリルカルビノール(VII)も水酸基が遊離ならば1,2-threo-2,3-erythro-1,3-ジフェニルグリセリン(VII)のみを,アセチル基で保護されていればVIIのほかに1,2-erythro-2,3-erythro体(VII)も同時に生成する。この現象は原料物質(IX,VI)の水酸基が過酸と水素結合をつくるために起るものとして反応機構を考察した。
  • 久保田 尚志, 松浦 輝男, 筒引 勉, 納谷 恵三
    1963 年 84 巻 4 号 p. 353-358,A24
    発行日: 1963/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    さきに納谷がクロバナヒキオコシから得た苦味成分イソドニン(Isodonin)C20H2605はエンメイン(Enmein)と同一であることを確かめた。エンメインの分解反応および物理化学的性質から,高橋らの与えた部分構造式IAに加えてIB,ICの部分構造式を与えた。さらにIa~Idの四つの可能な構造式を推定した。
  • 松川 貞央, 小竹 宏志, 山口 正雄
    1963 年 84 巻 4 号 p. 359-362,A24
    発行日: 1963/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フラバノン類を酸化して相当する3-オキシフラバノン類を得る目的で実験を行ない,つぎの結果を得た。すなわち5-γセトキシ-7,4'-ジメトキシフラバノン(VII),および5-アセトキシ-7,3',4',5'-テトラメトキシフラバノン(X)を氷酢酸中四酢酸鉛で酸化して,それぞれ3,5-ジオキシ-7,4-ジメトキシフラバノン(dt-7,4'-ジメチルカツラニン)(VII),3,5-ジオキシ-7,3',4',5'テトラメトキシフラバノン(7,3',4',5'-テトラメチルアンペロプチン)(XI)を得た。またそれぞれに相応するフラボン,すなわち5-オキシ-7,4'ジメトキシフラボン(IX),5-オキシ-7,3',4',5'テトラメトキシフラボン(7,4'-ジメチルトリシン)(XII)を単離することがきた。なお2-メチル-5-アセトキシ-7-メトキシフラバノン(IIa)の同様の酸化の場合,さきに報告したイソフラボン(IVa)のほかに,2-メチル-5-アセトキシ-7-メトキシフラバノン(VIIa)と2-メチル-3,5-ジアセトキシ-7-メトキシフラバノン(IVc)の1:1の割合の分子化合物が生成していることをあきらかにした。
  • 中野 栄一
    1963 年 84 巻 4 号 p. 363-364,A24
    発行日: 1963/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1963 年 84 巻 4 号 p. A21-A25
    発行日: 1963/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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