日本化學雜誌
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84 巻, 9 号
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  • 大島 昌三
    1963 年 84 巻 9 号 p. 683-686,A47
    発行日: 1963/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    質量分析計のイオン源の条件が変化した際の低級炭化水素の質董スペクトルの相対平均誤差を測定した。パタン係数の相対平均誤差は1.3%から9.4%であり,感度比の相対平均誤差は3.0%から13.7%であった。パタン係数の相対平均誤差には一定の傾向があり,同一炭素数イオングループでは飽和度の高いイオンほど小さく,同一飽和度のイオングループでは炭素数の多いイオンほど小さい。これらの結果は質量スペクトルの理論によって説明し得るものと考えられる。感度比の相対平均誤差は分子量の小さい分子が大きく分子量の増加とともに一定値に収敏する。
  • 山辺 時雄, 福井 謙一
    1963 年 84 巻 9 号 p. 686-690,A47
    発行日: 1963/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    さきに著者らが報告した巨環を含まないときの三官能基性単位間結合によるゲル化の理論に関連して,同時に二官能基性単位間結合をともなう三官能基性単位間結合によるゲル化の場合と,前報で無視した巨環形成をともなう三官能基性単位間結合によるゲル化の場合とについての理論を新たに提出した。前者の場合ゲル化点はPgel=1/2(1+αgel)で与えられる。ただしPgelはゲル化点における反応率,αgelはゲル化点において単量体が二官能基性単位問結合として反応した割合である。また後者の場合ゲル化点における反応率Pgel,全単位数N(初濃度),ゲル化時間tgelの間にはつぎの式で与えられる
    なる関係がなりたつ。ただしNeは限界初濃度,fは単量体の官能基数,kは速度定数を表わす。
  • 山辺 時雄, 北野 尚男, 福井 謙一
    1963 年 84 巻 9 号 p. 690-694,A47
    発行日: 1963/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    4,4'-ジイソシアナートジフェニルメタンをジメチルホルムアミド溶媒中で安息香酸ナトリウムを触媒として重合させ,ゲル化にいたるまでの時間とそのときの反応率とを測定し,三官能基性単位間結合によるゲル化に関する著者らの理論の実験的検討を試みた。生成物の分析結果から,イソシアヌル環形成にともなうウレチジンジオン環形成の影響はほとんど考慮する必要がないことがわかり,したがって実験結果は巨環形成の効果を考慮に入れた著者らの修正理論に比較的よく一致することが確認された。
  • 岩泉 正基, 安積 宏
    1963 年 84 巻 9 号 p. 694-698,A47
    発行日: 1963/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ピラジン,ピリミジン,ピリダジン,キノキザリンおよびフェナジンの近紫外・可視吸収スペクトルを各種濃度の硫酸,および異なったいくつかのpH値をもつ緩衝溶液申で測定し,近紫外・可視吸収スペクトルに対するプロトン付加の影響,およびZankerの規則性について検討した。これらの溶液中で各塩基の吸収スペクトルには酸の濃度変化に対応し,プロトンの付加に基づく2段階にわたる変化が見られる。これらの変化のいずれの段階においてもキノキザリン,フェナジンの1La帯はプロトン付加により大きな吸収強度の変化なしに,長波長側にいちじるしくシフトする。これに対し,1Lb帯は顕著な吸収強度の増加とともに,ピリダジンの場合には短波長側へ,その他の場合には長波長側へのシフトを示した。これら吸収シフトの問題を励起状態における塩基性,電荷分布の問題と関連して考察し,またプロトン付加にともなう吸収スペクトルの変化から第2段のプロトン付加に関するPKa値を求めた。
  • 泉 有亮, 斯波 忠夫
    1963 年 84 巻 9 号 p. 699-707,A48
    発行日: 1963/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アルミナ-ボリア触媒の性状を明らかにする目的で,べースアルミナの構造とトルエン不均化活性ならびに酸性度の関係を調べ,さらに示差熱分析,X線回折,赤外吸収スペクトルなどの測定によりアルミナ-ボリアの化合形態を総合的に検討した。触媒活性は,使用するべースアルミナの構造により変動し,η-アルミナをベースとした場合が最大活性を与え,X-アルミナがこれにつぎ,α-アルミナはホウ酸と反応し難いためほとんど活性を示さない。ベースアルミナの結晶性が高すぎたり,遊離ボリアを生成するほどのボリア含量になると触媒活性が低下する。ホウ酸はメタホウ酸を経由して,130℃付近で活性アルミナと反応し,強いBronsted酸の活性中心を持つ固体酸を生成するが,これはホウ酸アルミニウムのような明確な組成をもつ結晶性化合物ではないことが認められた。
  • 清水 澄, 滝沢 秀人, 大杉 治郎
    1963 年 84 巻 9 号 p. 707-709,A48
    発行日: 1963/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    電解質溶液の解雛平衡におよぼす圧力の効果を知る目的で,ヘキサアンミンコバルト(III)塩化物水溶液の圧力による電気伝導度の変化を25℃,圧力~600kg/cm2,濃度1.0×10-4~1.0×10-3Nの条件で測定し,イオン化におよぼす圧力の影響を検討した。
    当量伝導度汲は圧力とともに増加するが,イオン化の程度は約400kg/cm2まで圧力の増加につれて減少し,以後ふたたび増加することが明らかになった。無限希釈における当量伝導度濯Λの圧力による変化から伝導度の圧力による増加は,主として易動度の圧力による増大に起因すると考えられる。
  • 山田 彬
    1963 年 84 巻 9 号 p. 709-719,A48
    発行日: 1963/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    従来ポーラログラフ法によりあまり研究されていないモノカルボン酸鉄錯イオンの一例として行なったサリチル酸錯イオンについての前報に引きつづいて,乳酸ナトリウム支持電解質中における鉄の挙動について検討した。乳酸溶液中においても他のオキシカルボン酸の場合と同様,酸性溶液中ではカルボキシル基のみが配位した鉄錯イオンが,アルカリ性溶液中ではカルボキシル基と水酸基が配位した錯イオンが生成するが,両者の申間のpHにおいてはジカルボン酸の場合より多くの中間錯体の存在が認められた。また強アルカリ性溶液中では鉄(III)→鉄(II)の還元波は可逆となり,乳酸の水酸基からプロトンが解離して鉄との結合がイオン性となることを示した。乳酸の水酸基の解離定数を推定して求めたこの乳酸錯イオンの安定定数は1036である。直流ポーラログラムと並行して交流ポーラログラムにより,電極反応の可逆性,直流ポーラログラム上で単一波を示す近接する還元波の検討を行なった。
  • 山田 彬
    1963 年 84 巻 9 号 p. 719-721,A48
    発行日: 1963/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    カルボン酸,オキシカルボン酸鉄錯イオンについての一連のポーラログラフ的研究から,アルカリ性溶液中で安定な鉄錯イオンが形成されるためには水酸基が必要なことが示されたが,水酸基のみで安定な鉄錯イオンが形成されるか否かを確かめるために,エチレングリコールを含む過塩素酸ナトリウム溶液中での鉄のポーラログラフ的挙動を検討した。pH3以下の酸性溶液中では鉄は水銀溶出電位より陽電位で還元波を与えるが,pH3以上の溶液では水酸化鉄が沈殿し,還元波を示さなかった。以上の結果からエチレングリコールと鉄との間には錯塩が形成されないこと,したがってアルカリ性溶液中で安定な鉄錯イオンを形成するためにはカルボキシル基と水酸基の両者が配位子中に存在することが必要であることが明らかとなった。なお鉄の波高の減少状態から,水酸化鉄の溶解積を求めると10-37となり,従来の値と一致する結果が得られた。
  • 赤岩 英夫, 西村 雅吉
    1963 年 84 巻 9 号 p. 721-723,A49
    発行日: 1963/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    これまで定量例の少なかった堆積岩中の塩素について,地球化学的な研究を行なう目的で北海道炭礪汽船株式会社夕張磧業所のボーリングコアについて実験を行なった。実験に用いた試料に関するかぎり塩素含量は火成岩の平均値と同じオーダーであり,海氷相堆積岩と淡水相のそれの含量に明らかな差を見いだした。さらに遠心分離を行なった最表層についての塩素定量結果は堆積環境と塩素量との関係をより顕著に表わしている。
  • 浜口 博, 黒田 六郎, 渡辺 欣愛
    1963 年 84 巻 9 号 p. 723-726,A49
    発行日: 1963/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    中性子放射化分析法により,太平洋および日本海海底土中のタンタルの含有量を求めた。太平洋赤粘土(11個),日本海赤粘土(3個)中のタンタルは,0.3~2.4ppm Taおよび1.1~1.5ppm Taの範囲に分布し,平均値はそれぞれ0.9および1.2ppm Taである。太平洋有孔虫軟泥(3個)および同火山泥は赤粘土にくらべ,かなりタンタルに乏しい(平均値はいずれも0.2ppm Ta)。赤粘土中のタンタルと,アルミニウム,チタン,マンガン,鉄含有量との間には,なんらの相関関係も見られない。海底土中のタンタルは,マンガン,鉄などの沈殿(oxidate)にともない濃縮する傾向はむしろ少なく,おもにresistates,hydrolyzatesその他からの寄与によるものと推定される。また比較のため,花コウ岩,安山岩,玄武岩各混成試料および2個の超塩基性岩のタンタル含有量をあたえた。
  • 太秦 康光, 那須 淑子
    1963 年 84 巻 9 号 p. 726-731,A49
    発行日: 1963/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    温泉水中のルビジウム,セシウム含量とその分布を調べるため,主として北海道,青森県の温泉について炎光法によって定量を行なった。約80泉源のうち数例を除いてすべての温泉にルビジウム,セシウムはおのおの0.1~10mg/l,0.01~6.2mg/lの濃度範囲で広く分布しており,他のアルカリと同様対数正規分布をしている。一般にアルカリ含量の間にはNa>K>Li>Rb>Csの関係が認められた。ルビジウム,セシウムはナトリウムとは相関性はなく,Rb/Na,Cs/Naの値と泉質との間にも明らかな関係はない。他の天然水と比較すると,温泉水は,海水,油田塩水,河川水などよりこれらの成分に富んでいる。まにRb/Na,Cs/Naの値も海水,油田塩水よりは大きく,河川水や火成岩の値にやや近いことが明らかになった。しかし,これらの元素の温泉水中での行動は,他の微量成分たとえばリチウム,ストロンチウムなどほど特徴が見られない。
  • 稲荷田 万里子
    1963 年 84 巻 9 号 p. 731-733,A49
    発行日: 1963/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    中性子照射したテルル酸から131Iを無担体に抽出分離することを検討した。ターゲットを種々な溶液に溶解して131Iの化学形をしらべた結果,0.3Nあるいはそれ以上の塩酸にターゲットを溶解すれば,131IはほとんどI-として存在することが示されたので,中性子照射したテルル酸を0.3Nの塩酸溶液に溶解し,過酸化水素水を加えてI-をヨウ素に酸化したのち,TBPに抽出して無担体の131Iをほとんど完全にテルルと分離することができた。抽出相は0.3Nの塩酸で洗浄したのち,水酸化ナトリウムおよび酸性亜硫酸ナトリウムをそれぞれ1%ずつ含む溶液で逆抽出すれば,無担体の131Iの94%程度が回収されることが明らかになった。
  • 善本 知孝
    1963 年 84 巻 9 号 p. 733-736,A49
    発行日: 1963/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    二置換以下のオキシアントラキノン類48種の紫外吸収を測定したところ,320~550mμには二つのベンゼン環に対応すると解釈できるような二つの吸収帯があらわれた。これを“部分的吸収帯”と名づけると,部分的吸収帯のピーク波長が近いベンゼン環からなるアントラキノンでは吸収帯は一つしかあらわれていない。そしてそのピークの存在範囲は二つのベンゼン環の部分的吸収帯のピーク波長と置換基の位置とから,一定の規則性により予測される。
  • 福元 次夫, 村上 増雄
    1963 年 84 巻 9 号 p. 736-740,A50
    発行日: 1963/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ε-カプロラクタムを原料としてリジンの合成研究を行なった。i)ε-カプロラクタムの加水分解溶液にホスゲンを反応させてN6,N6'-カルボニル-ビス-6-アミノカプロン酸を合成した。ii)ε-カプロラクタムの無極性溶媒溶液にホスゲンを反応させてN-クロルカルボニル-2-クロル-2,3-デヒドロヘキサメチレンイミンを合成した。これらの化合物から新しい過程によってDL-リジンの合成を行なった。
  • 福元 次夫, 村上 増雄
    1963 年 84 巻 9 号 p. 740-744,A50
    発行日: 1963/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    村上,赤木らによって報告されたN-ニトロソアシルアミドの新転位反応は中間にα-ケト酸のオキシムを経ることが予想される。低温でN-ニトロソカプロラクタムに五塩化リンを作用させてα-オキシイミノカプロラクタムを単離し,この化合物を還元,加水分解してDL-リジンに導いてその構造を証明した。またα-オキシイミノカプロラクタムを単離することによって村上,赤木らの反応が予想されたように,α-ケト酸のオキシムを経ることを初めて実証することができた。この条件ではオキシムの収量が悪い(約10%)が,ε-カプロラクタムにあらかじめ五塩化リンを作用させたのち,塩化ニトロシルを作用させてオキシムの収量を25%前後に上昇させることができた。
  • 渡辺 煕, 香西 保明
    1963 年 84 巻 9 号 p. 744-748,A50
    発行日: 1963/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    グリシンの熱重縮合におよぼす水,酸,有機塩基および塩の影響を検討した結果,適量の水が有効な重縮合剤であることを認めた。そのほかのもの(カルボン酸を除く)は単独では効果がないが,水と併用すれば反応温度を低下させ,反応時間を短縮し,またポリグリシンの収率を向上させる。カルボン酸(酢酸,プロピオン酸およびn-酪酸)を併用したときにはN-末端はアシル化される。また酢酸については,これが単独でも重縮合剤となり得ることを認めた。以上により得られたものの重合度は10~20である。
  • 大須賀 昭夫
    1963 年 84 巻 9 号 p. 748-752,A50
    発行日: 1963/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    タデの辛味成分タデオナールを水素化アルミニウムリチウムで還元して結晶性ジオールを得,これの核磁気共鳴スペクトルからタデオナールの構造をIIに訂正した。また副成分としてタデオナールの異性体であるイソタデオナールとコンファーチホリンを単離した。イソタデオナールを水素化アルミニウムリチウム還元によりジオールに導き,接触還元すると不飽和モノアルコールが得られる。これを重クロム酸で酸化するとノルドリメノンが得られる。それゆえイソタデオナールはタデオナールのC(9)の立体異性体である。
  • 福井 憲二, 中山 充, 江藤 夏雄
    1963 年 84 巻 9 号 p. 752-754,A50
    発行日: 1963/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ピロガロールトリメチルエーテルからジメチルホルムアミドとオキシ塩化リンとにより2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒド(IV)を得た。IVにローダニンを縮合し,さらにチオ酸(VI),オキシムを経て2,3,4-トリメトキシベンジルニトリル(VII)に誘導し,加水分解して2,3,4-トリメトキシフェニル酢酸(VIII)を合成した。レゾルシンとVIIIとの反応,またレゾルシンとVIIとの反応により2,4-ジオキシフェニル-2,3,4-トリメトキシベンジルケトン(IX)を得た。IXにオルトギ酸エチルを作用して7-オキシ-2',3',4t-トリメトキシイソフラボン(III)を得た。
  • 川崎 貴史, 片桐 孝夫, 後藤 良造
    1963 年 84 巻 9 号 p. 754-758,A51
    発行日: 1963/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    γ-ケトブタノールから得られた樹脂化物の構造について,主としてこれの赤外および紫外吸収スペクトルを測定して検討し,また類似化合物のスペクトルとも比較した。その結果,γ-ケトブタノールの樹脂化物は,メチルビニルケトンの樹脂化物と同様に,主として共役ポリエノン構造とエーテル構造とをもつことが確認された。またポリメチロールアセトンから得られた樹脂化物では,エーテル構造が増加し,共役ポリエノン構造は減少していた。これらの結果から,カルボニル基はアルドール縮合反応によって,またヒドロキシル基はβ-脱離およびエーテル化反応によって消費されたものと推定した。
  • 木下 達彦, 井上 元道, 久保 昌二
    1963 年 84 巻 9 号 p. 758-759,A51
    発行日: 1963/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 井上 元道, 木下 達彦, 久保 昌二
    1963 年 84 巻 9 号 p. 759-759,A51
    発行日: 1963/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1963 年 84 巻 9 号 p. A47-A51
    発行日: 1963/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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