ピラジン,ピリミジン,ピリダジン,キノキザリンおよびフェナジンの近紫外・可視吸収スペクトルを各種濃度の硫酸,および異なったいくつかのpH値をもつ緩衝溶液申で測定し,近紫外・可視吸収スペクトルに対するプロトン付加の影響,およびZankerの規則性について検討した。これらの溶液中で各塩基の吸収スペクトルには酸の濃度変化に対応し,プロトンの付加に基づく2段階にわたる変化が見られる。これらの変化のいずれの段階においてもキノキザリン,フェナジンの
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a帯はプロトン付加により大きな吸収強度の変化なしに,長波長側にいちじるしくシフトする。これに対し,
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b帯は顕著な吸収強度の増加とともに,ピリダジンの場合には短波長側へ,その他の場合には長波長側へのシフトを示した。これら吸収シフトの問題を励起状態における塩基性,電荷分布の問題と関連して考察し,またプロトン付加にともなう吸収スペクトルの変化から第2段のプロトン付加に関するPK
a値を求めた。
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