輸送現象一般の立場から,定常流束Jを媒介にm相混合系の伝導率を,成分相の伝導率と分布様式とを用いて表示し論じた。
まずm相混合系を通過するJの通路を“伝導路”と定義し,各相の重畳性を考慮すると,可能な伝導路はq(m)=2
m-1種類である。これら伝導路の組み合わせから卿相混合系は,
種の分布型に類別される。
つぎに伝導度の結合則*2を仮定し,各種伝導路の伝導度をC
Pa1Pa2…Parとするとき,m相の一般型分布系,すなわちすべての伝導路q(m)種を備える系の伝導率は,
となり,ζ(P
1,P
2,…,P
m)はm相のあらゆる分布型に対する伝導率を含む。一般に分布型を指定するとその伝導率の表示形式が決まり,逆もまた成立する。この関係を用いて着目する相の連続,不連続を判別する定理,分散系であるための必要,かつ十分な条件などの諸定理を導いた。また伝導率の示強変量に対する変化率1/ζ(∂ζ/∂f)の性質を用いて,分布型の成分相に関する情報について論じた。
最後に,従来の2相混合系に対する伝導率の表示式6例について諸定理を適用し,これらの表示式が所属している分布型を吟味した。
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