アルカリ性の支持電解質である炭酸水素塩溶液中において,ビスマスは溶液として存在し, -0.43V (vs. SCE)に半波電位を〓つ還元波を生ずることを認めた。これについて若干の基礎的な検討を行ない,さらにビスマスの定量に適用するための可能性に〓いて検討を行なった。
この波のlogプロットの傾斜は45mVであり,ビスマスが3電子還元であるとすると,この反応は不可逆であると考えられるしかし,
il/
h1/2の値が一定値を示し,また温度係数が1.35%であることから,限界電流は拡散律速であることがわかった。
溶液の
pHを上昇させていくと,約12.7でビスマスがいったん沈殿し,さらに
pHが14付近になるとふたたび溶解する。〓のことおよび各
pHにおけるビスマスー炭酸水素塩錯体の紫外吸収曲線の測定結果から,
pHの変化につれて種々の錯体が生成するものと思われる。
pH 8.3における検量線はビスマスの1×10
-4~1×10
-3moi/
lの範囲において良好な直線性を示し,ビスマスの定量が可能〓ある。この場合,銅,アンチモン(III),ヒ素(III),亜鉛,ニッケル,コバルト,スズ,マンガン,カドミウムなどは妨害しないが鉄(III),セレン,テルル,鉛は妨害する。
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