日本化學雜誌
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86 巻, 11 号
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  • 妹尾 四郎
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1087-1104
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    適応菌酵素による研究でキヌレン酸およびp-オキシフェニル酢酸が,“メタピロカテカーゼ型”の環開裂反応を経て代謝されることが判明した。また代謝中間体の共通の基本構造であるα-オキシムコン酸とその誘導体が,水溶液中で非酵素的に4種の異性化反応を起すことを見いだし,同じ変化が生体内で起る可能性を指摘した。さらに八升豆の発芽体中に存在するスティゾロビン酸とスティゾロビニン酸の構造が,それぞれ4位または3位にL-アラニン側鎖をもつα-ピロン-6-カルボン酸誘導体であることが確定した。その生合成機構はおそらく3,4-ジオキシフェニルアラニンの環開裂反応に由来するものと推定される。また3,4-ジオキシフェニル酢酸-2,3-オキシゲナーゼを結晶状に単離し,反応機構を調べた。
  • 天野 慶美, 宇野 豊三
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1105-1108
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    ιl-エフェドリン銅(II)キレートは四塩化炭素に溶解すると四塩化炭素と化学反応を行ない,キレート1molに対し1molの四塩化炭素が分解され, 1molの塩素イオンが生成する。四塩化炭素の分解産物として,へキサクロルエタンとクロロホルムが分離確認され,またフェニルメチルグリオキサールと数種のエフェドリンの酸化分解成積体が反応生成物として存在することが確認されたので,これらの実験事実に基づいて,上記の化学反応の反応機構の推定を行なった。
  • 天野 慶美, 大崎 健次, 宇野 豊三
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1109-1111
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    l-エフェドリン銅(II)キレートは再結晶溶媒を変えると異なった結晶系の結晶を与える。シクロヘキサンから再結晶を行なうと, (C10H14ON)2・Cu・1/3C6H12の組成を有する空間群P312-D12の結晶が得られる。格子定数はa=11.73Å, c=14.94Åである。メシチレンから再結晶を行なうと, (C10H14ON)2・Cu・2/3C9H12の組成を有する空間群P6122-D26またはP6522-D36の結晶が得られる。格子定数はa=11.84Åである。 n-ヘキサンから再結晶を行なうと, (C10H14ON)2・Cu・1/6C6H14の組成を有する空間群0P212121-D42の結晶が得られる。格子定数はa=16.37Å, b=19.27Å, C=42.85Åである。これらの結晶について比較検討を行なった。
  • 黒川 洋一, 油井 敬夫
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1112-1114
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    n-ブタノール-水二相系において,塩化アルカリ共存におけるリン酸の分配ならびにリン酸の滴定曲線について調べた。塩が共存するとき上下両相についてリン酸を滴定すると,上相では第1当量点が第1当量点~第2当量点にくらべ長くなり,下相では逆に第1当量点~第2当量点が長くなる。この長さの違いは,リン酸濃度がうすいほど塩濃度が大きいほどいちじるしい。またLiCl<NaCl<KClの順にいちじるしい。この現象をアルカリ塩(MCl)の塩化物イオンが塩化水素の形で上相へ分配すると考えて説明した。塩のリン酸に対する塩析効果はKC<NaCl<LiClの順に大である。塩濃度を増加してもいちじるしい効果は認められない。
  • 白井 道雄
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1115-1117
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    デオキシリボ核酸(DNA)およびポリアデニン酸(Poly A)の紫外電気二色性を10000V/cmの電界強度まで測定した。測定は単発ク形波パルスを用いて行なったので,二色性の生成過程の解析も同時に行なうことができた。DNA, poly Aは約7000V/cmの電界強度で,偏光紫外スペクトルの吸収強度が一定値に達する。すなわち配向は飽和するが,このときの分子軸に平行と垂直な遷移モーメントの比は,DNA, poly Aに対してそれぞれ0.63 (260mμ), 0.90 (252mμ)となった。また二色性の生成過程は単一の緩和時間で解析することができ,瞬間的に加えた電場により分子を配向させる場合は,分子の変形がほとんど起っていないことがわかった。この解析から各分子の回転拡散定数,長さ,電気的分極率の値が得られた。
  • 岡田 卓二, 高椋 節夫, 桜井 洸
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1118-1123
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    1,3-および1,4-シクロヘキサジエン(CHD)の液相での放射線分解で得られる生成物は両者ともに,水素,ベンゼン,シクロヘキセン, 1,4-CHD (1,3-CHDから), 1,3-CHD (1,4-CHDから),ニ量体およびポリマーであった。低温固相で照射するとポリマー生成のG値は増加するが水素などの分解生成物のG値は低下する。さらに,二量体の構造は水素がそれぞれのCHDに付加して生成するラジカルの再結合で説明されることなどから, CHDの放射線分解はおもにアリル位のC-H結合の切断で開始されるラジカル機構で進むことが支持された。 -196°Cで照射したCHDのESRスペクトル測定の結果では, 1,4-CHDからはシクロヘキサジエニルラジカルが, 1,3-CHDからは2-シクロヘキセニルラジカルが同定された。これは1,3-CHDでは初期過程でベンゼンと2Hまで分解が進み,この水素が1,3-CHDに付加して2-シクロヘキセニルラジカルを生成したものと考えられる。さらに,シクロヘキサン-CHD混合系でのγ線照射により, 1,3-および1,4-CHDのラジカルスカベンジャーとしての効率にも検討を加えた。
  • 坂口 雅一, 渋木 邦夫
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1123-1126
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    各種硫化亜鉛ケイ光体(ZnS; Cu, Al系)に対する水蒸気吸着特性を調べ,その結果からケイ光体表面の物理化学的諸性質を検討した。吸着は静置法により15°C (および40°C),低圧(1-10mmHg)下で行ない等温線を求め,またそれから熱力学的方法により吸着熱を求めた。得られた等温線は,いずれもBET分類のII型を示し試料の焼成温度の上昇にともない吸着量は増大した。同一試料に対する吸着-脱離実験をくり返し行なうことにより吸着の再現性を調査したところ,その吸着量は徐々に増加した。そこで吸着後の試料について化学分析を行なった結果,吸着前にくらべその表面にはかなりの硫酸亜鉛が生成していることが見いだされた。吸着熱は初期で25kcal/mol,単分子膜完結点近辺で9kcal/molであった。以上の結果から,ケイ光体表面に水が化学吸着することにより,その表面が硫酸亜鉛に酸化されると推定した。
  • 荒井 明彦
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1126-1128
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    エマルジョンの転相温度におよぼす異なった炭化水素類混合の影響を検討した。
    混合炭化水素の転相温度は活性剤曩点と相関関係を示し,同一活性剤を用いたおのおのの炭化水素の転相温度および混合比との間につぎのような関係式が成立した。
    (PIT)M=(PIT)AφA+(PIT)BφB
    ただし,φA+φB=1,φAおよびφBは炭化水素AおよびBの体積(または重量)比,(PIT)M,(PIT)A,および(PIT)Bは混合炭化水素,炭化水素AおよびBの転相温度を示す。
  • 荒井 明彦
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1129-1131
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    ドデシル硫酸ナトリウムの添加によって,ポリオキシエチレンノニルフェニル系活性剤で乳化した炭化水素-水エマルジョンの転相温度を調節できるか否かを検討した。
    転相温度は少量のドデシル硫酸ナトリウムの添加によって上昇し,添加量によって任意に調節可能であることが明らかとなった。したがって,温度上昇で乳化の比較的不安定になる油/水型乳化系を安定にするために加えるべきドデシル硫酸ナトリウムの量が推測できる。
    またドデシル硫酸ナトリウムの添加量が非イオン性活性剤に対して 1% 以上になると,エマルジョンの型の判定が困難となる。
  • 小西 義昭, 羽田 宏, 田村 幹雄
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1132-1135
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    高分子電解質であるアルギン酸およびカルボキシメチルセルロースの銀塩は紫外線照射により光分解を起して黄褐色に着色し,最終的には,金属光沢を示すようになる。その光分解機構を生成銀の分析をはじめとして,紫外および赤外吸収スペクトルの測定から追求した。その結果, 2537Å付近の紫外線によりカルボキシレートイオンの電子1個が励起されて隣接する銀イオンに移り,銀とそれぞれの酸を生成する。そしてこの過程には水の存在が必要であるという結論を得た。大気中常温での量子収率は0.015であった。
  • 田村 幹雄, 羽田 宏, 小西 義昭
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1135-1137
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    アルギン酸銀は2537Åの紫外線により光分解し,膜面は黄褐色を経て,最終的には銀の金属光沢を示すにいたる。この金属光沢を示す表面はきわめて電気伝導性に富み,紫外線未照射部分にくらべて107倍もの電気伝導性を示す。これは,光分解によって生成した銀原子が,膜の表面に集って,銀の薄膜層を形成することによるものと考えられる。
  • 後藤 廉平, 竹中 亨, 吐山 尚美
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1137-1141
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    高分子膜に変形を与えたときに生ずる応力と赤外二色性の変化を同時に測定するための装置を,複光束赤外分光器を用いて製作し,加硫天然ゴムの応力緩和の研究に応用した。延伸装置に取りつけた試料膜を分光器の入射スリットの直前に置き,試料光路と標準光路にそれぞれ偏光子を配置して,試料膜に,その延伸方向に対して平行および垂直な電気ベクトルを持つ偏光が交互に入射するようにした。このようにすれぱ,それぞれの偏光に対する試料の同一場所における吸光度の差が直接測定できるばかりでなく,赤外二色性の測定精度が格段に増大する。分光器を,二色性を示すバンドの吸収極大波数に固定して,応力緩和にともなう赤外二色性の時間的変化を記録し,その値から遷移モーメントの延伸方向に対する配向関数を計算した。その結果,ここで観察された加硫天然ゴムの応力緩和は主として非結晶領域における分子の配向に起因し,延伸後ほとんどすぐに完了する結晶領域での配向にはあまり関係しないことを推論した。
  • 大久保 悌二
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1142-1145
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    微量のレニウムの比色分析に用いられている430mμに吸収極大がある橙赤色オクソチオシアナトレニウム錯化合物と,その中間生成物である350mμに吸収極大がある緑黄色オクソチオシアナトレニウム錯化合物の組成とレニウムの原子価について検討した。これらの錯基をテトラフェニルアルソニウム塩として沈殿させ,アセトンに溶かして精裂し,その成分を分析した。橙赤色錯基のテトラフェニルアルソニウム塩は(Ph4As)3[Re2O2(SCN)8]で示され,その錯基は4価および5価のレニウムを含む複核錯体であると思われる。またその中間生成物である緑黄色錯基のテトラフェニルアルソニウム塩は(Ph4As)2[ReO(SCN)5]で示され,その錯基は5価のレニウムのオクソチオシアナト錯体であると思われる。
  • 厚谷 郁夫
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1145-1149
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    原子吸光分光分析法において,水溶液試料に有機溶媒を添加したとき水溶液の場合にくらべ試料溶液吸上げ量は減少しアトマイザー室からの噴霧量は減少するか,あるいは同程度であるにもかかわらず感度は増大する。そこで単位時間あたりの試料溶液吸上げ量とアトマイザーからの噴霧を測定して比噴霧効率を求め,原子吸光分析における有機溶媒効果はおもに噴霧される霧の微粒子化,およびそれにともなう炎中での気化励起過程の促進であることを明らかにした。また非混合有機溶媒についてはメチルイソブチルケトン溶媒を使用して検討し二,三の知見を得た。
  • 奥谷 忠雄, 内海 喩
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1149-1153
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    微量の硫化物イオンとチオ硫酸イオンが共存するとき,分離してそれぞれを比色定量する方法について研究した。本法では,多量の塩素イオンと共存する微量の硫化物イオン(0.020~0.4 ppm)とチオ硫酸イオン(0.1~1.0 ppm)が正確に分離定量できる。
    試料溶液10mlに硝酸亜鉛と炭酸ナトリウムを加えてできる塩基性炭酸亜鉛の沈殿とともに,硫化物イオンを硫化亜鉛として遠心分離する。沈殿は硝酸に溶かして硫化物イオンを,また口液からチオ硫酸イオンをつぎのようにして定量する。それぞれ適当なpHに調整し,混合溶液(硝酸水銀(II)とヨウ化カリウムからなる)とジフェニルカルバゾンのエタノール溶液を加えて発色させる。この着色物質をベンゼンに抽出し, 562mμの波長でベンゼン相の吸光度を測定する。
    本法では多量の塩素イオンが共存しても, pH 7で操作すれば妨害しない。またこの操作によって硫化物イオンを定量するとき, SCN-, I-, Br-が10 ppm, F-が100 ppm共存しても妨害しないが, CN-は1 ppmでわずかに妨害した。
  • 岡 好良, 加藤 豊明
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1153-1158
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    106Ru(III, IV, VI)を塩化物錯体として,炭化水素で希釈したトリーn-オクチルアミン(TNOA)その他のアルキルアミン類によって抽出し,抽出に適する条件を求めると同時に,その抽出挙動から,106Ruの塩酸酸性溶液中における存在状態について検討した。
    106RuO42-の水酸化ナトリウム溶液を塩酸酸性とすると106Ru(VI)-塩化物錯体を生じるが,徐々に塩素イオンにより還元されて106Ru(IV)-塩化物錯体に変化する。106Ru(VI)-塩酸-TNOA系の106Ruの分配比は比較的大きく2mol/l塩酸溶液から4%TNOA-キシレン溶液により1分間抽出して分配比約47が得られるが,106Ru(IV)の分配比は同一条件で0.6程度である。塩酸ヒドロキシルアミンにより還元した106Ru(III)の分配は前2者のほぼ中間の値をとる。
    種々のアミンおよび希釈溶媒で抽出した結果,106Ruの分配比と相分離性の双方から4%TNOA-キシレン溶液の使用がもっとも効果的であった。
    抽出挙動から, 106RuO42-は塩酸酸性溶液とすると106RuO2Cl42-を生じるが,還元されて106Ru(OH)2(OH2)Cl3-, 106Ru・(OH)2CL42-などの分配係数の小さい錯体に変化すると考えられた。
  • 岡 好良, 中沢 典昌, 原田 光
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1158-1162
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    銅(II)はチロン(H2L)と反応し, 430, 440, 380mμにそれぞれ吸収極大を有する3種のキレート, CuHL, CuL, CuL2を生成することを確認し,それぞれの安定度定数として, 25.0°±0.2°Cにおいて,イオン強度0.10でkMHLとして1.37×105, kMLとして2.71×1014,およびイオン強度0.35でk2として8.53×1010を得た。
    チロンの酸解離定数は,窒素気流中で電圧滴定法により求め, 25.0°±0.2°C,イオン強度0.10でpKa1として7.81, pKα2として11.96,またイオン強度0.35ではpKα1として7.52, pKα2として12.18を得た。
    1:2キレートはpH 6.46-8.30の範囲で安定であり,銅の定量に利用できる。この系はBeerの法則にしたがった。
  • 岡 好良, 中沢 典昌, 原田 光
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1162-1166
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    2, 3-ジオキシナフタレン-6-スルホン酸(DSA)の第1段および第2段の酸解離定数を窒素気流中アルカリ滴定法により求め, 25.0°±0.2°C, μ=0.10の条件で, pKa1として8.09, pKa2として11.85の値を得た。また,第1段酸解離定数は光度法によっても求め, pKa1として8.11の値を得たが,これは滴定法の値によく一致している。
    銅(II)-DSA 1:1キレートの安定度定数を金属イオン過剩の条件と試薬過剩の条件とで求め, 25.0°±0.2°C, μ=0.10でそれぞれ1.36×1013および1.31×1013とよく一致した結果を得た。また1:2キレートの安定度定数は同一条件で2.13×1010であった。
    1:2キレートは345mμでのモル吸光係数が23000とかなり大きく, pH7.53~7.72の範囲で一定の吸光度を与えるが,銅の濃度を変えると原点を通る直線が得られ, Beerの法則が成立する。
  • 石川 光二
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1166-1169
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    既報の方法によって合成した純α-フリルジオキシムは,ジメチルグリオキシム法とほぼ同じ方法によってアルコールを含まない酸性水溶液中からPd2+を完全に沈殿させ,Pd2+の重量分析に使用できることを明らかにした。
    つぎにあらかじめ検討した条件のもとで,純α-フリルジオキシム溶液をもって,o-ジクロルベンゼンを共存させた溶液中のPd2+pH滴定し,Pd2+とα-フリルジオキシムとの等モル比の点に屈曲点の生じることを見いだした。また電導度滴定法を行なって,前者の等量点と同じく等モル比のところに滴定終点を得た。
  • 石田 良栄
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1169-1173
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    クロマズロールSは微酸性溶液中でトリウム(IV)と反応し,赤紫色の錯体を生成するので,これをトリウム(IV)の吸光光度定量に適用した。一定量のトリウム(IV)溶液について, pH,試薬濃度,加熱などの呈色条件を検討し,最適条件において検量線を作成し,さらに錯体の組成,生成定数も求めた。また共存イオンの影響についても調べた。トリウム(IV)-クマズロールS錯体は試薬対照で,波辰554mμに吸收極大を示し,水対照では試楽量に応じて,約485mμに等吸収点を有する。錯体の呈色は時間とともに安定に推移し,最適pHは約5.6であった。検量線は原点を通る直線となり(Beerの法則),トリウム(IV)定量の最適濃度範囲は0.8~7.0μg/mlであることがわかった。波長554mμにおいて,モル吸收光係数32000を得た。連続変化法,モル比法により錯体は実験の条件下で,トリウム(IV):クロマズロールS=1:2の組成を有し,生成定数K=2.0×1011(25°C)を得た。共存イオンについて検討した結果,陰イオンではリン酸イオン, EDTAなどがとくに大きく発色を妨害し,陽イオンではアルミニウム(III),鉄(II, III),ベリリウム(II)などが影響を示した。
  • 火島 昭雄
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1173-1176
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    p-クロルメチルフェニルエーテルの反応性を調べるためにアルカリ,酢酸カリウムなどとの反応を検討し,均一溶液ではその塩素は円滑に水酸基あるいはアセチル基と置換することから, p-クロルメチルフェニルエーテルが塩化ベンジルに類似した反応性を有すると考えられ,アルカリ水溶液との不均一反応では,液量が大過剩のときは高収率でp-オキシメチルフェニルエーテルを得たが,液量が少ないときは主生成物として重縮合物を得た。この重縮合物の分析値,赤外吸収スパクトルなどを検討して(A)ないし(B)の構造を推定するとともに,かかる現象の起る原因につき考察した。すなわち液量が少ないと,生成物または中間体が水に溶けきれず未反応p-クロルメチルフェニルエーテルの油層中にとどまり,アルカリの存在下重縮合反応が起り,重縮合物を生じたと考えた。
  • 加藤 清
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1177-1179
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    N-ビニルフタルイミドとヒドラジンとを室温で反応すると, N-ビニル-N'-アミノフタルアミドが得られ,この結晶を加熱すると分解してフタルヒドラジドになることがわかった。一方エチレンジアミン, 1, 2-プロパンジアミン,トリメチレンジアミン,ヘキサメチレンジアミンおよびピペラジンとの反応は, 2個のアミノ基が反応したジ-N-ビニルフタルアミド誘導体が得られ,これらは加熱すると分解してそれぞれに相当するジフタルイミド誘導体になった。
    p-フェニレンジアミンとN-ビニルフタルイミドとを酢酸溶媒中で加熱反応するとN, N'-p-フェニレンジフタルイミドが得られた。
  • 吉田 弘, 猪川 三郎, 尾形 強
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1179-1183
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    前報1)でメチルキサントゲン酸エステルは常温でトリエチルアミンと反応して,次式のように四級アンモニウム塩を与えることを知り,その反応いついて報告した。
    しかし,この反応を60°~80°Cで行なうと,キサントゲン酸エステルはおもにジチオール炭酸エステルに転位し,四級アンモニウム塩は少量しか得られなかった。本報ではこの反応について調べ,低温ではおもに四級アンモニウム塩の生成反応が進み,高温では転位反応が主であることを見いだしたので報告する。また,このメチルキサントゲン酸エステルからジチオール炭酸エステルへの転位反応は,四級アンモニウム塩が触媒的に作用して進むことも明らかになった。
  • 松尾 正一
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1183-1185
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    ピペロナールと無水酢酸とのPerkin反応において,塩基性触媒から酸性触媒にわたる種々の触媒を用いた場合について,その生成物を検討した。そのうちピペロナール1molに対し触媒の酢酸ナトリウムが1molおよび0.65molの場合に,副反応生成物のα,β-不飽和ケトンとスチレン誘導体を得た。前者はPerkin反応の生成物として新しく単離された物質である。
  • 曾根 澄
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1185-1190
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    テトラブロムチオフェンをのぞくすべてのブロムチオフェン類を塩酸,ホルマリン,塩化水素で,またに四塩化炭素溶液中,塩化亜鉛解媒下,パラホルムアルデヒド,塩化水素でクロルメチル化を行なった。臭素置換が増すと反応は起りにくくなるが,活性に富むチオフェン核のα位が未置換の場合は,塩化亜鉛触媒下無水の条件でトリブロムチオフェンでもクロルメチル化され,その他のブロムチオフェンの場合も条件によってそれぞれ対応するモノおよびビスクロルメチル化物,ジチエニルメタン誘導体が生成する。しかし2, 3-および2, 5-ジブロムチオフェンでは臭素の転位をともなった複雑な反応が起ることが認められた。
  • 川島 英暉, 高見 徹, 山田 吉孝
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1190-1192
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    塩化アルミニウムの存在下,三塩化エチレンに塩化イソプロピルを付加して得られる1, 1, 1, 2-テトラクロル-3-メチルブタンを,濃硫酸で加水分解して2-クロル-3-メチル酩酸を得たのち,アンモニア水でアミノ化してDL-バリンを合成した。また塩化イソプロピルのかわりに塩化sec-プチルを用いて1, 1, 1, 2-テトラクロル-3-メチルペンタンを得,これを同様に加水分解後,アミノ化してDL-イソロイシンを合成した。こうして得られた生成アミノ酸の組成はDL-イソロイシンとDL-アロイソロイシンとの比率が35:65であった。また塩化n-ブチルを付加した場合にも,塩化sec-ブチルの場合と同一の生成物1, 1, 1, 2-テトラクロル-3-メチルペンタンが得られた。
  • 原 泰毅, 平尾 一郎, 樫原 亘
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1192-1195
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
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    2-[1-メチル-2-(5-ニトロ-2-フリル)]ビニルキノリン(I),およびその4-オキシ(II), 4-アセトキシ(III), 4-アミノ(IV), 4-アセトアミノ(V), 4-ジアセトアミノ(VI)誘導体を, 5-ニトロフルフラールと2-エチルキノリン誘導体との反応により合成した。ただしIVのみはVまたはVIを加水分解して得た。4-オキシ-2-エチルキノリン(VII)は無水酢酸と反応せず,4-アセトキシ誘導体は得られなかったが,VIIと5-ニトロフルフラールを反応させて得たIIは無水酢酸と容易に反応しIIIが得られた。同様に4-アミノ-2-エチルキノリン(VIII)は無水酢酸と反応して,4-アセトアミノ-2-エチルキノリン(X)のみしか得られなかったが,Xと5-ニトロフルフラールとを反応させて得たVは無水酢酸と反応して,ジアセチル体; 2-[1-メチル-2-(5-ニトロ-2-フリル)]ビニル-4-ジアセトアミノキノリン(VI)が得られた。また赤外吸収スペクトルにより,IIおよびVIIはキノロン型をとっていることが判明した。
  • 吉弘 芳郎, 橋本 二郎
    1965 年 86 巻 11 号 p. 1203-1204
    発行日: 1965/11/10
    公開日: 2009/02/05
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