日本化學雜誌
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86 巻, 7 号
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  • 堀田 寛, 鈴木 伸武
    1965 年 86 巻 7 号 p. 651-660
    発行日: 1965/07/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    ベンゼンを硫酸鉄または硫酸銅水溶液に溶解し酸素加圧下で加熱するとフュノールが生成される。この反応を種々の条件下で100°Cと200°Cの間で行なわせるとともに, 18O濃縮重酸素水,重水素化ベンゼン,重水などの安定同位体を用いて実験を行なった結果,フェノール生成の連鎖酸化機構とイオン停止機構を解明することができたので,既報の結果を総合しここにまとめた。
  • 大田 正樹, 加藤 博
    1965 年 86 巻 7 号 p. 661-673
    発行日: 1965/07/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    メソイオン化合物に関して著者らの研究室で行なった研究結果を,とくにこれらか化合物の構造に重点を置いて再検討した。その結果,オキソ型およびイミノ型のメソイオン化合物の間にはかなりの差があることが明らかになった。メソイオン化合物の定義,表示法および命名法に関しても考察した。
  • 伊達 佳男, 山本 春海
    1965 年 86 巻 7 号 p. 674-676
    発行日: 1965/07/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    トリメチルアミンオキシド,ジメチルベンジルアミンオキシド,ジベンジルメチルアミンオキシド,およびトリベンジルアミンオキシドなど一連の脂肪族アミンオキシドと,ジメチル-p-クルイジンオキシド,ジメチル-p-クロルアニリンオキシド,ジメチル-m-クロルアニリンオキジド,ジメチル-o-トルイジンオキシドおよびジメチル-o-クロルアニリンオキシドなど一連の核置換ジメチルアニリンオキシドのボーラログラムを非可逆電流圧曲線の理論によって解析した結果,いずれの場合にもlog kf-E(vs. SHE)関係は良好な直線となった。そしてその傾斜からきまるanaは化合物の反応中心における立体因子によってある程度の影響を受けるように思われる。
    また両オキシド群のおのおのにおいてオキシドに対するlog kfoともとのアミンに対する pkaとの関係が既述1)2)のE1/2-pka関係と少なくとも定性的には一致するところから,構造と電極還元性との比較に用いたにれらE1/2の値が各アミンオキシドの電極反応におよばす構造上の特質をはば表わしていると考えることができる。
  • 矢野 元威, 井本 立也
    1965 年 86 巻 7 号 p. 677-681
    発行日: 1965/07/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    酸化鉄粉末の水素による還元反応は2段階で進行する。水素圧力100-300mmHg,反応温度300°-400°Cのもとでその第1段の還元反応速度は試料の表面積と水素圧力の1次にともに比例することをさきに述べた1)。そこで試料表面が均一な性質を持つかどうかを調べるため,窒素を用いて試料表面の一部を被覆し還元反応を行なった2)。その結果還元反応速度は窒素で被覆されていない部分の表面積と水素圧力の積に比例する。さらに吸着窒素が二座反応で脱離し,その結果生じた窒素のない裸の表面も還元反応に関与するものとすると,反応系の圧力減少速度は,-dP/dt=k(-θN)PH-kdθN2ただしk:還元反応速度定数kd:吸着窒素の脱離速度定数θN:反応温度での試料全表積に対する窒素の被覆率PH:水素圧力P:全圧力で表わされる。
    ここで得られた還元反応速度定数kから求めた還元反応の活性化エネルギーは300°-400°Cの範囲で19.4 kcal/molwであり,既報1)の第1段の還元反応の活性化エネルギーとよく一致している。吸着窒素の脱離速度定数kdはθNが0.2-0.4%の間で変化し表面の不均一性を示す。
    θNの小さい場合と大きい場合の吸着窒素の脱離反応の活性化エネギーはそれぞれ26.5, 23.5 kcal/molであり,余り差異はないが,ヒン度因子は9.12×1012sec-1,1.69×1010sec-1と非常に異なっている。また本試料は電子顕微鏡写真によると0.06μ程度の粒子の凝集塊からできていることが明らかになった。これらのことから活性の違いは凝集塊表面と粒子間隙の空孔内面との違いであると推論される。
  • 横畑 明, 津田 覚
    1965 年 86 巻 7 号 p. 682-685
    発行日: 1965/07/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    放電電流と化学反応との関係を明らかにするための基礎的研究として,熱電対型電流計によって測定した放電電流をロ波回路により低周波部に高周波部に分離し,ついで高周波部に対しては定性的ではあるが各周波帯域に分配さるべき電流値の推定を行なった。
    結果は主としてアルゴン気体を例にとって検討し, 1) 高周波電流の実効値はヘリウムの場合を除き低周波電流の実効値よりはるかに大きいこと。 2) 整流方式によって示される電流の平均値は,熱電対型電流計での全電流の実効値にくらべ相当小さく,むしろ低周波電流の実効値とほぼ一致することを認めた。
    したがって化学反応研究の場合,整流方式で測定しだ放電電流の平均値には,高周波電流がほとんど表われていないことを考慮する必要がある。しかしアルゴン,ヘリウムなど不活性ガスを雰囲気としだ水溶液の反応研究では,高周波電流と反応との間に密接な関係は見にだし得ず,むしろ低周波電流測定に意味があることを明らかにした。
  • 横畑 明, 津田 覚
    1965 年 86 巻 7 号 p. 686-689
    発行日: 1965/07/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    前報に引きつづき,ヘリウム,アルゴン,水素,酸素,窒素ガスについて放電電流中低周波成分と高周波成分の割合および電流値の周波数分布を明らかにした。
    ヘリウムでは放電が比較的均一で高周波成分はもっとも少なく,水素,アルゴン,酸素,窒素の順に高周波成分が多くなる。
    高周波電流値は放電開始電圧,電流波形にみられるいわゆる“ヒゲ”の長さ,太さ,疎密さと密接な関係があり,不均一な放電ほど高周波電流値は大きくなる傾向をもつ。
    これらの高周波電流値およびその分布がガスの種類により大きく影響をうける理由について,物理化学的な立場から電子親和力,電子-イオンの再結合,電子の平均自由行程,イオンの移動度などを考慮して解釈を試みた。
  • 横畑 明, 津田 覚
    1965 年 86 巻 7 号 p. 689-693
    発行日: 1965/07/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    前報に引きつづき,今回は2成分混合ガス系および放電管に水を入れた場合(ガス-水蒸気系)を扱い,高周波電流の挙動を中心として単独ガスとの異同を明らかにした。
    2成分混合ガス系の場合はその挙動が, a) ほぼ両者の中間にくるもの, b) 両者のいずれか一方に近いもの,の二つに大別される。 a) に属するものとしては,ヘリウム-アルゴン,ヘリウム-水素系など, b) に属するものとしては,ヘリウム-酸素,アルゴン-酸素,窒素-水素系があげられる。
    ガス-水蒸気系については,水素系がやや特異な挙動を示すほかはいずれもその高周波分布にかなりの類似性が認められる。
    以上の実験結果は気体反応の立場から,主として電荷移動,電子親和力などによって理解される。
  • 井本 立也, 原納 淑郎, 西 泰英
    1965 年 86 巻 7 号 p. 694-696
    発行日: 1965/07/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    既報において酸化亜鉛の真空中における熱分解速度について報告したが,酸化亜鉛と同様に熱力学的に予想されるよりも低い温度で分解する酸化ニッケルを熱分解し比較することを目的として研究を行なった。
    実験は温度範囲660°~780°Cで真空中で分解率約20%までの範囲で熱テンピン法により行なった。酸化ニッケルを熱分解すると気体酸素と固体ニッケルを生じる。分解速度は反応初期(分解率が2~4%程度に達するまで)を除き未反応酸化ニッケルの表面積に比例する。したがって未反応固体の表面における化学反応の速度が全反応を律速し,生成ニッケルは多孔質であると思われる。活性化エネルギーとして13.0kcal/molを得た。反応初期に分解速度がはやいのは,酸化ニッケルの表面近くに存在する過剩酸素のためであろう。
  • 西崎 俊一郎
    1965 年 86 巻 7 号 p. 696-699
    発行日: 1965/07/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    種々のN-置換ナフタルイミド類を合成,その赤外吸収スペクトルを測定して,イミド基カルボニルの特性吸収帯第1γc=o,第2γc=oにおよぼす置換基の影響について検討した。第1γc=oは1700~1720cm-1領域に,第2γc=oは1620~1680cm-1領域にあらわれるが,これらの吸収帯の位置はN-置換体の共鳴効果,感効果の影響により,またナフタリン核の置換基も影響することがわかった。N-置換フタルイミド, ピロメリットジイミドなどとの比較でγc=oは低波数側にシフトしていた。
  • 宇津 木弘, 田宮 幸造
    1965 年 86 巻 7 号 p. 699-704
    発行日: 1965/07/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    塩基性炭酸亜鉛(2ZnCO3・3Zn(OH)2・H2O)の熱分解から生じる酸化亜鉛(ZnO)の生成過程,およびその毛管構造をその分解速度,粒度変化, X線回折像,赤外吸収スペクトルにより検討した。粒度測定は吸着法, X線小角散乱法を併用した。分解はすみやかな界面を形成しながら内部へと進み,分解過程では水,ニ酸化炭素が同時に放出され特別な中間体を形成しない。生成酸化亜鉛微粉体は小径粒子が2次的空孔をつくりながら聚合した粉末からると認められた。特定処理温度(216°C-314°C)で処理した試料の0°Cエタノール等温線は変曲点をもつ階段的等温線を示し,それ以外の温度で処理した試料および原試料ではBET分類によるII型等温線を示した。
  • 宇津 木弘
    1965 年 86 巻 7 号 p. 704-708
    発行日: 1965/07/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    塩基性炭酸亜鉛の熱分解で生成した酸化亜鉛による0°Cエタノール等温線は,分解温度付近で処理した試料ではヒステレシスをもつ階段的等温線を示す。これは-196°C窒素等温線でも, 0°~25°Cエタノール等温線でも認められる。この現象につき2次元凝縮理論および毛管構造の特異性によるとした毛管凝縮理論にしたがい比較検討し,むしろ後者の妥当性を認め得た。粒子接触域が毛管として作用するとした理論曲線との比較から生成粉体は正方充テン,立方充テンの2種のテン充形式を持つ小径粒子群の混集合体および集合体が形成する2次的空孔とからなる。
  • 藍原 有敬, 千葉 雄彦, 河野 通郎
    1965 年 86 巻 7 号 p. 708-713
    発行日: 1965/07/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    シクロヘキサンー1,4-ジオンの分子構造は,単純に考えると2個のカルボニル基が対称的に配置されたイス形としてよさそうであるが,低周波でその双極子能率を測定するとかなり大きな値が得られるために,従来,種々と問題になってきたものである。一方ジオンの結晶には,48°C付近から始まる転移現象が誘電率の測定により見いだされており,分子の部分的回転が始まるためと解釈されているが,実験の結果は必ずしも十分といえない。
    著者らは,この物質について熱解析,核磁気共鳴吸収,および赤外吸収の測定を行ない,結晶の転移にともなって,明らかにこれらの吸収スペクトルにいちじるしい変化の現われることを見いだした。また転移の機構と分子構造との関係について考察を加えた。
  • 鈴木 哲身, 管 孝男
    1965 年 86 巻 7 号 p. 713-717
    発行日: 1965/07/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    水溶液中のシアノコバルト(II)錯体を触媒とするブタジエンの各種ブテン異性体(1-ブテン, trans-2-ブテン, cis-2-ブテン)への選択的水素化反応を研究した。溶液中のCN/Co比が5.1-5.2以上では1-ブトンが選択的に生成し,以下ではtrans-2-ブテンが選択的に生成する。cis-2-ブテンはCN/Co比にほとんど関係なく数mol%の生成にすぎなかった。この溶液に水酸化カリウムをKOH/Co=3.0添加すると選択性の変化を与えるCN/Co比が4.9-5.0に移動した。シアノコバルト(II)錯体の触媒組成がCN/Co=5.0および5.1のとき,水酸化カリウムを含まない場合はtrans-2-ブテンが主生成物であったが, CN/Co=5.0のときKOH/Co=3.0以上, CN/Co=5.1のときKOH/Co=0.5以上の水酸化カリウムを含有するとそれぞれ主生成物は1-ブテンとなった。この現象はシアノコバル(II)錯体を水素化してからブタジエンを導入した場合に起り,ブタジエンを導入したのちに水素化した場合には観察されなかった。水素なしでシアノコバルト(II)錯体水溶液にブタジエンを導入しても生成物中にブテン類を検知することができた。この場合選択性に変化を与えるCN/Co比は水素のある場合のそれと同一であった。しかし水酸化カリウムの添加効果はほとんど認められなかった。
  • 尾嶋 平次郎
    1965 年 86 巻 7 号 p. 718-723
    発行日: 1965/07/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    2-ピリジンメタノール(Py-CH2-OH)・銅(II)イオン・OH-系の吸収スペクトル,電導度滴定,および電気泳動により,銅(II)-Py-CH2-OH錯体の構造のpH依存性を検討した。Py-CH2-OHは中性溶液中では単座配位子としてふるまい,またpH⟩7.8では-OHの酸解離を起してキレート型無電荷錯体を形成する。なお,キレート型Cu(Py-CH2-O)24H2O,および非キレート型Cu(OH2)2-Py-CH2-OH・SO4を合成単離した。
  • 藤田 斉, 伊沢 正実, 山崎 秀郎
    1965 年 86 巻 7 号 p. 723-728
    発行日: 1965/07/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    塩化金(III)酸水溶液にϒ線を照射すると還元反応が起きる。9300-9800ϒ/minの高線量率で照射して,金をコロイド状に析出させることができた。溶液の吸光度,濁度,比電導度を測定して,この反応過程を追った。 G(-Au(III))cquivalent=2.13であり,塩化金(III)酸の初濃度が1×10-4-1×10-3mol/ιの範囲では,濃度依存性は認められなかった。溶液中の酸素の有無には関係せず,また,見かけの活性化エネルギーは約1kcal/molであった。これらの結果から,塩化金(III)酸水溶液を105rのオーダーの高線量用化学線量計として用いる可能性について検討を加えた。
  • 石橋 雅義, 藤永 太一郎, 山本 俊夫, 藤田 哲雄, 渡部 清勝
    1965 年 86 巻 7 号 p. 728-733
    発行日: 1965/07/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    和歌山,京都,兵庫,鹿児島など各地産の海藻試料50種107個と,ビワ湖産淡水藻試料8種11個について,その含有する亜鉛をポーラログラフ法を用いて定量した。
    海藻乾燥体1g中の亜鉛含有量は,最低値オオバモクの0.016mgから最高値ウミトラノオの0.680mgの範囲にわたっていた(平均値は0.150mg)。一般的特徴としては,褐藻類では種類により含有量のとくに多いものと,とくに少ないものとに顕蓍にわかれているが,緑藻類はいずれも比較的多く含み,反対に紅藻類は比較的含有量が少ない。ビワ湖産淡水藻中の亜鉛は海藻にくらべてその含有量が多い。海藻試料総数の約60%以上が0.5から5の範囲の鉄対亜鉛の原子比であるのに対して,淡水藻ではこの比が10をこえるものが多い。
  • 日下 譲, 辻治 雄
    1965 年 86 巻 7 号 p. 733-736
    発行日: 1965/07/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    14 MeV中性子により,ケイ素は28Si(n, p)28A1反応を生じ,その反応を用いる放射化分析の分析感度は比較的高い。本報は諸種の鉄鋼試料につき,この反応に基づくケイ素の非破壊分析を試みた研究結果である。
    T-d反応を利用する中性子発生器を用い,試料を5分間中性子照射する。試料照射位置での中性子束は2~7×106n・cm-2・sec-1であった。試料としては諸種の鉄鋼切削片の一定量(6~10g)を用いた。標準試料には純鉄粉にケイ素を適当量混合したものの一定量(5g)を用いた。
    生成放射能は1.75×2.00in井戸型NaIシンチレーターを用い,マルチチャネル波高分析器により測定した。得られたγ線スペクトルの1.78MeV光電ピークからケイ素を定量した。その光電ピークには56Fe(n, p)56Mn反応による生成放射能が少し重なるので,その寄与分を補正する方法が検討された。
    中性子束1.0×107n・cm-2・sec;-1において,本法によるケイ素の定量限界は約5mgであり, 10g試料を用いて0.05%程度である。
    定量妨害元素としてはリンがあるが,試料中のケイ素存在量の約10%以下のリンの共存は本法の妨害にはならない。
    本法により比較的短時間内で諸種鉄鋼試料中の微量ケイ素が非破壊的に定量分析できる。
  • 前田 嘉道, 安積 敬嗣, 高嶋 四郎
    1965 年 86 巻 7 号 p. 737-740
    発行日: 1965/07/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    示差熱分析法によって有機化合物の沸点および蒸発潜熱を測定する場合の実験条件について,ナフタリンを試料として検討した。蒸発による示差熱ピークは試料の充テン方法に大きく影響され,さきに融解の測定に用いたボトム法で分析を行なうと再現性のある蒸発ピークは得られないが,白金製試料セルに試料のみをつめるオープン法で分析を行なうと再現性のあるピークが得られた。しかし,試料量が少なすぎたり,昇温速度がおそすぎると,オープン法で分析を行なっても,沸点にいたるまでに試料が蒸発してしまうために沸点に相当する温度にピークが現われない。オープン法を用い,試料量を100mg前後にして,昇温速度を毎分7.5°~10°Cで分析を行なうと良好な蒸発ピークを得ることができた。この実験条件で,二,三の有機化合物の沸点および蒸発潜熱の測定を行ない,文献値と比較的よく一致した値を得ることができた。
  • 小辻 奎也, 桜井 俊之, 山本 勇麓
    1965 年 86 巻 7 号 p. 741-743
    発行日: 1965/07/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    著者らは無色のアニオンを有色の金属キレートカチオンとともに有機溶媒に抽出し,有機相における金属キレートの吸収スペクトルを測定することにより当該アニオンを定量する方法を系統的に研究しており,本報はその一部である。2, 2'-ビピリジル-鉄(II)キレートは微量の過レニウム酸とともにニトロベンゼンに抽出され, 528mμに吸収極大を示す。この現象を利用するレニウムの定量法を検討した。pH2-8の範囲にわたり,モル濃度でキレートが過レニウム酸イオンの11倍以上あれば,一定,かつ最大の抽出が得られる。4×10-6-3×10-5mol/lの範囲でBeer則にしたがい,5mgのモリブデン,4mgの久グステンの共存は定量を妨害しない。
  • 西崎 俊一郎, 栗栖 安彦
    1965 年 86 巻 7 号 p. 744-747
    発行日: 1965/07/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    p, p'-ビス(クロルメチル)ジフェニルエーテルにSommelet反応を応用してp, p'-ビス(ホルミル)ジフェニルエーテルを合成しようとしたが,目的とする化合物は得られず含窒素化合物が得られた。すなわちへキサメチレンテトラミンとの塩は定量的な收量で得られた。そしてこのへキサメチレンテトラミン塩の加水分解により,一方のp-位置が加水分解をうけ,他方のp-位置が加水分解をうけず塩のままの白色結晶(III)と,アニル結合をした物質(IV)が得られたことを元素分析,赤外吸収スべクトルにより確認した。
  • 迫田 直一, 小原 和子
    1965 年 86 巻 7 号 p. 747-750
    発行日: 1965/07/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    グアイアズレン[1,4-ジメチル-7-イソプロピルアズレン](I)を種々のリン酸トリアルキル(TAP)と三酸化イオウとの付加物を用いてスルホン化し, TAP:SO3:Iのモル比が2:2:1から2:1:1付近で約75%の収率でグアイアズレン-3-スルホン酸ナトリウム(II)を得た。リン酸トリアルキルの脂肪族アルキル基の鎖長はIIの収量に影響を与えないが,リン酸トリフェニルでは好結果が得られなかった。リン酸トリエチルと三酸化イオウとの付加物によるスルホン化では,グアイアズレン-3-スルホン酸エチルの副生を確認した。
  • 小山田 太一郎, 馬場 肇
    1965 年 86 巻 7 号 p. 750-751
    発行日: 1965/07/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
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