日本化學雜誌
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87 巻, 10 号
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  • 田丸 謙二
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1007-1013,A57
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    反応進行中にあらわれる化学種は「あらわれる」というそれだけの理由でその反応の「中間体」と見なすことはできない。その反応が果してその化学種を経由して進むものかどうかを決めるために,反応条件下においてその化学種の挙動を動的に取り扱う一つの方法を提案した。
    アルミナによるギ酸の脱水分解反応の場合,ギ酸イオソが触媒表面上に観察される。しかしそのギ酸イオンは「反応申間体」ではないことが,反応条件下で同位体を含む反応物を使用する赤外吸収法による知見から確認された。つまりギ酸が最初アルミナ表面に解離吸着し,ギ酸イオンとプロトンとにわかれるが,分解反応はそのプロトンの方を経由して進むと考えられ,ギ酸イオンの方はまったく反応経路上にないのである。
    一方ニッケルによるギ酸の脱水素分解反応では触媒表面のギ酸イオソを経て進むものと考えられていたが,表面ギ酸イオンの濃度と全反応速度との関係からもそれは誤りであり,ギ酸イオソは「反応中間体」よりもむしろかえって触媒表面を被覆して反応を抑制しているものであることが明らかになった。
    二重促進鉄触媒によるアンモニア合成反応においては,表面に吸着している「反応中間体」としての「吸着窒素」を反応条件下で速度論的に取り扱い,全反応をそれを構成する「より簡単な反応」にわけてそれぞれを分圧や被覆率の関数として求め,全反応を組み立てることにより反応の構造を解明し,「反応中間体」を決める方法について述べた。
    以上三つの典型的接触反応をモデルとして「反応中間体」の確認や反応機構解明の新しい方法について述べ,反応条件下で「反応中間体らしいもの」を動的に取り扱うことが必要であることを強調した。
  • 堤 繁
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1014-1028,A57
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    一酸化炭素は求核試剤としての作用が強く,とくに有機金属化合物に対して特異な反応を示す。有機リチウム化合物に-70℃で一酸化炭素を作用させると対称ケトソが好収率で合成され,ニッケルカルボニルを作用させるとリチウムアロイルーあるいはアシルーニッケルカルボニラートが生成される。リチウムアロイルニッケルカルボニラートはハロゲソ化物および不飽和化合物に対して反応性に富んでおり,特異な反応を選択的に行なう。たとえば,アセチレソ化合物との反応は高収率で1,4-ジケトソの生成に導く。多核の鉄カルボニルとハ麿ゲソ化物との反応による炭素一鉄σ結合をもつσ錯体の生成が認められ,この錯体はオレフィンと良好に反応して飽和および不飽和の付加物を与えることが見いだされた。これと関連してオレフィンからのα,β不飽和カルボユル化合物の合成が行なわれ,こうしてオレフィンの水素のカルボユルを含む官能基による置換反応が合成的に行なわれうることが示された。また白金電極を用いての電解条件下においてオレフィンと一酸化炭素を反応させることにより,α,β-不飽和カルボン酸の合成が行なわれた。この電解カルボメトキシ化反応における活性種であるカルボメトキシ白金カルボニル化合物が単離され,そのオレフィンに対する挙動が検討された。また,一酸化炭素がラジカル反応を行ないうることに注目して,水銀光増感反応および放電反応による水素と一酸化炭素からのホルムアルデヒドおよびグリオキサールの合成が検討された。
  • 大屋 佳子, 宮田 謙一
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1029-1032,A57
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    比表面積が7.71~151m2/gのα-石英粉末の水に対する浸漬熱を測定し,その粒度依存性について検討した。
    浸漬熱測定装置はガラス製Dewarフラスコを用いて製作し,温度変化は,サーミスターの抵抗変化をWheatstoneブリッジ・直流増幅器により観察して求めた。なお,装置の測定感度は,0.2jouleであった。
    その結果,α-石英粉末では比表面積の増大にともない単位表面積あたりの浸潰熱は減少する傾向を示し,とくに10m2/g付近でその変化がいちじるしかった。
    これらに影響をおよぼす因子として,粒子の結晶性,表面の水酸基濃度が考えられるが,その機構などについては未解決の点が多い。
  • 大杉 治郎, 浜ノ上 熊男, 平山 鋭
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1032-1035,A58
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ブタジエンの無触媒液相塊重合を温度323°~368°K,圧力1100~5000kg/cm2がの範囲で行ない,速度論的立場から二,三の検討を行なった。重合反応は時間に対してほぼ直線的に進行し,誘導期は認められないが温度,圧力の増加によりいちじるしく加速される。見かけの初期重合速度から,活性化エネルギー(E),活性化体積,および活性化エントロピー を計算し,つぎのような値を得た。E=15.1~19.2kcal/mo1,47≒-8.8~-17.2cm3/mo1および5≒=-38.0~-24.3e.u。圧力の増加とともに活性化エントロピーと活性化エネルギ0は増加しているが,高圧下の重合速度の増大は前者の影響がいちじるしく大きいことを示しており,後者は重合速度を減少させる方向に働く。得られたポリマーは通常の溶剤に不溶であり,かなり架橋度の高いものであると思われる。
  • 瀬高 守夫, 管 孝男
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1036-1038,A58
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酢酸銅の水溶液に12種類の有機酸塩を加えた溶液の凍結状態におけるESRシグナルは有機酸塩の種類によって3種類のパターンを与えた。
    一つは多くの銅塩にみられている対称軸をもつ場合のシグナルでgII=2.33に4本のhfsとg⊥=2.07に単一の大きな吸収線を与えるグループであり,他のグループはg=2.07の単一線が切れ込んで2本の吸収線を与える。最後のグループの有機酸塩ではg=2.07の単一線は5本にわかれると同時にg=2.33の4本のhfsはおのおの二重線となることが観測された。この分裂は配位子や銅の核スピンによるものでなく有機酸陰イオンの配位構造の差に由来していると考えられる。とくに最後の場合はある実験条件下におけるそのパターンの変化から2種類の配位構造が混在し,それに基づくESRスペクトルが二つ重なったものであることがわかった。
  • 猪川 三郎, 大城 薦一, 尾形 強, 吉田 弘, 永薗 和郎
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1039-1042,A58
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    スチレソージビニルペソゼン系ポプコソ重合について研究した。以下ボブコソ重合は,窒素気流中55℃で行なった。種は0.2~1.0%ジビニルベソゼンを含むスチレソからつくった。種をスチレソ中に入れると,種の重さの10倍まで増殖してとまった。しかし,種をジビニルベソゼソを含むスチレソ中に入れると,増殖は無限にっついた。エチルエーテルやエタノールのようなポリスチレンの食溶媒で処理した種は,ただちに増殖をはじめるが,トルエソや四塩化炭素のような良溶媒で処理した種は,なかなか増げ殖をはじめなかった。種を2,5-ジクロルスチレン中に入れて生じたポフ゜コソ重合物中の塩素の分布はほぼ均一であった。ESRスペクトルメーターで,種の中のラジカルの存在は確認できなかったが,種をスチレンに入れて生じたボブコン重合物中にはラジカルの存在が検出できた。実験結果から,ポプコン重合は種の内部のネットワーク構造中に埋蔵されたラジカルにより起り,生成する高分子の圧力で,ネットワークが切れてラジカルが生じ,そのラジカルでさらに重合が促進されるものと考えられる。
  • 中村 有志, 久保田 昌治, 小林 純一, 樋口 泉
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1042-1048,A58
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    触媒の毛管構造と触媒能との関係を研究するために,種々の量の酢酸亜鉛を沈積した活性炭を触媒として,酢酸ビニル合成反応速度定数,触媒の比表面積ならびに毛管構造を測定した。酢酸の変化率と供給速度との実験的関係から,反応両成分と活性炭の表面にある酢酸亜鉛とから中間体が生成する反応機構を考察し,この機構から導かれる速度式が全実験結果を満足し,かつ沈積量と温度の関数として妥当な速度定数を与えることを示した。(1)沈積量の異なる触媒の反応速度定数は触媒の比表面積と関係がないこと,(2)前報の活性炭にシリカを沈積させた場合とまったく等しく,沈積した酢酸亜鉛の大部分は半径が15A以下の毛管内にあること,(3)外表面積が約100倍になるように砕いた触媒の合成速度定数は原触媒のそれと等しいことを確かめた。このような全実験結果を説明するために,反応に関与する酢酸亜鉛は,触媒中にごくわずかに存在する数100A以上の大径毛管部に沈積したものであることを結論した。
  • 中沢 淳, 稲垣 博
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1049-1052,A58
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Archibald超遠心法を高分子希薄溶液に適用したとき,多分散性高分子の良溶媒系ではMapp-1対coプロットが一般に上向きの曲率をもった曲線となり,重量平均分子量Mwを得るために行なうco→0への外挿が困難である。ここに,Mappは見かけの分子量,coは初濃度である。本報はこのようなプロットの曲率と試料の分子量分布との関係を実験的に検討するため,単分散性試料ポリテトラヒドロフラソのブタノン溶液(25℃)の沈降実験に関するものである。溶液のメニスカスから求めたMappの時間変化を同位置における濃度変化Δcmの関数として解析し,第1報で理論的に与えられた,沈降における溶液の熱力学的非理想性の効果,および回転数の効果を論じた。結果は非理想性の理論的予測とよく一致することが認められ,したがって,Mapp-1対coプロットの曲率は溶質分子の多分散性に起因することを確認した。
  • 関崎 正夫, 山崎 一雄
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1053-1056,A59
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ピリジソー2一カルボキサミドを配位した銅,ニッケルおよびコバルト錯体5種を合成し,水溶液とクロロホルムおよびピリジソ溶液の吸収スペクトルを測定し,水溶液中における錯体の生成条件と構造について考察した。銅,ニッケルについては,それぞれpH3および3~5で[M(H20)2(piaH)2]2+型の陽イオソ性錯体が生成し,これより酸性側では金属イオソと配位子とに離する。この溶液を弱アルカリ性にすればM(Pia)2型の非イオソ性錯体が沈殿する。陽イオン性錯体では配位子がN,0で配位し,非イオソ性錯体では,N,Nで配位しているものと考えられる。コバルトについては同型式の陽イオソ性錯体のみが単離され,非イオソ性錯体は得られなかった。
  • 岡 好良, 加藤 豊明
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1057-1060,A59
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    15MeV制動輻射によってガリウム,インジウムおよびタリウムを放射化し,生成する光核反応生成物の種類と生成量に閲する検討を行ないγ線スペクトロメトリーによるこれら3元素の混合物の分析に利用した。本照射で起る主反応は(γ,γ)および(γ,n)反応であって(γ,2n)などの副反応は起らず,既報の20MeV制動輻射による照射の場合にくらべて結果の解析が簡単となり,3成分系の非破壊定量に拡張できる。多量のインジウムに含まれるガリウムおよびタリウムの定量法,およびガリウムを主成分とするガリウムインジウムータリウム混合物中のタリウムの定量法を確立した。また,制動輻射線束の強度の較正にインジウムを内部モニターとする方法について検討した。
  • 小松 寿美雄, 野村 俊明
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1060-1063,A59
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シアンイオンはHg-EDTA(Na2HgY・4H20)と反応してpH4~8において安定な錯体[HgY(CN)]3-を生成する。しかし,シアンイオンはpH6~7.7において,さらにこの錯体とつぎのように定量的に反応して当量のEDTAを遊離する。[HgY(CN)]3-+CN-→Hg(CN)2+Y4-
    そこでこの遊離したEDTAを硫酸銅(II)標準液で滴定して,シアンイオンの定量を行なった。pH7.1にしたシアンイオン溶液に0.01mol/l[HgY(CN)]3-溶液10mlを加えて水で約50mlにして,2,3分放置後,メチルアルコール20mlおよびPAN指示薬を加え,0.005mol/l硫酸銅標準液(1ml=0.1301mgCN)で滴定する。この結果,0.025~2mgまでのシアンイオンがきわめて再現性よく定量できた。なお,0.01mol/l[HgY(CN)]3-溶液の採取量を10mlより多くすれば,定量範囲の上限をあげることができる。S2-,Cu2+,Co2+,Ni2+,VO3-,Hg2+,Ag+などの各イオンの存在は妨害となる。
  • 喜多村 泰, 平尾 一郎
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1063-1069
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    5-ニトロブルブラールとp-置換フェニル酢酸のカリウム塩との無本酢酸中での脱水縮合により3-(5-ニトロ-2-フリル)-2-(p-置換フェニル)アクリル酸を合成し,ついでキノリン中で亜クロム酸銅触媒により脱炭酸反応を行なって5-ニトロ-2-(p-シアノスチリル)フラン(I),5-ニトロ-2-(p-カルパモイルスチリル)フラン(II)および5-ニトロ-2-(p-カルボキシスチリル)フラン(III)を合成した。これらのうちIとIIIは幾何異性体をそれぞれ合成分離しその構造を確認した。またIIの酸塩化物(VII)を種々のアミン類と反応させて5-ニトロ-2-[p-(N-置換カルバモイル)スチリル]フラン(B)を合成した。
  • 橋本 嗣夫, 大久保 捷敏, 北野 尚男, 福井 謙一
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1069-1073,A60
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    各種ウフッ化スルホニウム化合物と数種のスルホン酸カリウムとをエタノール・水溶媒申で反応させることにより新しい各種のスルホン酸スルホニウム化合物を合成し,その性質を調べた。これらのスルホン酸スルホニウム化合物は一般にクロロホルムには難溶性であるが,低級脂肪族アルコール,グリコールおよび低級ケトンにはよく溶解する。ある種のスルホン酸塩はテトラリンおよびクメンの液相酸素酸化において注目すべき触媒性能を示し,またその酸化生成物はそれぞれ相当するヒドロペノけキシドであった。テトラリンおよびクメンの液相酸化においてα-ナフタリンスルホン酸トリn-ブチルスルホニウム,α-ナフタリンスルホン酸トリフェニルスルホニウム,α-ナフタリンスルホン酸トリフェニルスルホニウムおよびd-ショウノウ-10-スルホン酸トリフェニルスルホニウムがすぐれた触媒活性を示すことが認められた。
  • 重光 靖郎, 大平 愛信, 堤 繁
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1073-1075,A60
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    種々の水素供与体存在下シアンギ酸エチルの光分解によるエトキシカルボニル化をとりあげた。ジフェニルメタン,トリフェニルメタンなどの芳香族炭化水素中の光分解においては,ジフェニル酢酸エチル,トリフェニル酢酸エチルをそれぞれ究極収率36,26%で得た。つぎにいわゆる活性水素をもったエチルアルコール,フェノール,チオフェノール中での光分解を行なった。エチルアルコール中での光分解ではほぼ定量的に炭酸ジエチルが得られた。フェノール中では反応率は低いが78%の究極収率で炭酸エチルフェニルエステルを得た。チオフェノール中では少量ながらチオール炭酸0-エチル-S-フェニルエステルを得た。なおアニソールを用いてベンゼン核への核置換が起るかどうかも検討した。これらの反応の機構について若千考察する。
  • 松本 澄, 後藤 良造, 世良 明, 浅野 努
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1076-1082,A60
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2,2'ジハロゲン-,2,2'ジメチル-,および2,2-ジアルコキシベンズピナコールをヨウ素-酢酸系で転位させ,その生成物を薄層ク戸マトグラフィーで分離し,その構造を確認し,さらに秤量法と分光光度法とによってオルト置換フェニル基の転移傾向を求めた。その結果,i)オルト置換フェニル基の転移傾向は,対応するパラ置換フェニル基のそれにくらべいちじるしく小さい。ii)o-アルコキシフェニル基の転移傾向は,アルコキシ基の大きさとともにわずかではあるが減少している。iii)o-アルコキシフェニル基の転移傾向は,メソ体で観察されるものの方がラセミ体のそれより大きい。iv)o-アルコキシ置換化合物の場合メソ体とラセミ体との異性化が認められるのであって,反応率の増加とともにメソ体で観察される転移傾向とラセミ体のそれとの差が小さくなる。これらのことから,o,o'二置換ベンズピナコールでは,観察される転移傾向が一般に立体配置を保持した水和炭素陽イオンと平面炭素陽イオンとの相互変換の寄与の程度,転移の遷移状態における極性置換基効果,立体置換基効果およびエクリプス効果によって規制されることが結論される。
  • 杉田 実男
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1082-1088
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ニッケル塩をアルカリ性で次亜ハロゲン酸ナトリウムで酸化すると過酸化ニッケル(Ni-PO)が得られる。著者はこの過酸化ニッケルの化学的性状を知る目的で,フェノール類との反応について研究を行なってきたが,本報では`認一ブチルフニノール類との反応の結果について報告する。
    2,6-ジ-tert-ブチル4-メチルフェノール(1)と過酸化ニッケルとの反応では,主生成物として3,3t,5,5tテトラ-tert-ブチルスチルペンキノン(V)と3,3t,5,5t-テトラ-4-ブチルジノキノソ(iii)を得,少量生成物として1,2-ピス-(3',5-ジ-tert-ブチル-4-オキシフェニル)-エタン(VI),1-メチル-1(3',5-ジ-tert-プチル4オキシフェニル)-3,5-ジ-'tert-ブチル-1,4-ベンゾキノソ(iiii),3,5-ジ-tert-ブチル-4-オキシペンジルアルコール(VII),3,5-ジ-tert-ブチル-4-オキシベンズアルデヒド(VII),およびごく微量の2,6-ジ-tert-プチル-1・4-ベソゾキノン(XV)を得た。これらのうち,IIIを単離したことは,この反応の第1の経路として参p-ラジカルを経由することを証明するものである。
    p-tert-ブチルフニノール(XVII)の場合は反応生成物として,ポリマー(L-1)および(L-2)を得た。これらの平均分子量はそれぞれ730および1680で,両者ともほとんど同じ赤外吸収スペクトルを与える。ジアゾメタソでメチル化を行なうと,ポリマー中に含まれる酸素原子の約1/3当量がメトキシル基となる。ポリマーの構造として酸素原子中約1/3がフェノール性OHとして存在し,残りの213はエーテル結合をしているものと考える。
    o-tert-プチルフニノール(XXI)の反応では,ポリマー(M)が生成する。このポリマーの平均分子量は3600で,同じようにメチル化法で調ぺると,酸素の大部分がフェノール性OHとして存在する。このポリマーの構造として,ベンゼン核の4,6-位で直鎖状につらなったものを考えた。上記の反応の機構についても考察を行なった。
  • 石川 延男, 藤井 勲
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1089-1092,A60
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    sym-トトリクロルトリフルオルベンゼン(1)はアソモニア,メチルアミンまたはジメチルアミンと反応し,フッ素の1ないし2原子が選択的に求核置換され,2,4,6-トリクロル-3,5-ジフルオルアニリン(I),2,4,6-トリクロル-5-フルオル4,3-フェニレンジアミンまたはこれらのN-メチル誘導体を生成することを知った。これらをヨウ化水素酸および赤リンとともに加熱すれば脱クロル反応が起り,3,5-ジフルオルアニリソあるいは5-フルォル-1,3-フェニレンジアミンが得られた。IはまたアニリンともDMSO中で加熱することにより縮合した。
    IIをジアゾ化し,2-ナフトールまたはジメチルアニリンとカップルさせてアゾ色素を得,その吸収スペクトルを測定した。そのほかIIの誘導体として2,4,6-トリクロル-3,5-ジフルオルフユニルヒドラジンとアセチルアセトンまたはアセト酷酸エチルを縮合させ,ピラゾールおよびピラゾロン化合物を得た。
  • 児玉 佳男, 佐藤 公隆, 荒川 基一
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1092-1095
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    高分解能核磁気共鳴により水およびアルコール中におけるトリフルオルアセチルアセトン,テノイルトリフルオルアセトン,ベンゾイルトリフルオルアセトンおよびフロイルトリフルオルアセトンの4種の三フッ素置換β-ジケトンの挙動について検討を行なった。
    その結果,これらの三フッ素置換β-ジケトンは水およびアルコールと反応して2位に水酸基とアルコキシ基を付加した構造をもつ化合物を生成し,両者はたがいに平衡関係になることを明らかにした。
    さらにトリフルオルアセチルアセトンの水およびアルコール溶液について常温における平衡定数を,また水およびメタノール溶液について温度19°~69℃における平衡定数の変化から反応熱を求めた。
  • 福井 憲二, 中山 充, 岡崎 公平
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1096-1098,A61
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-オキシ-4・5-メチレソジオキシペソズァルデヒド(III)とプロムマロン酸エチルをメチルエチルケトン中炭酸カリウムの存在下で反応して2-カルボエトキシ-5・6-メチレンジオキシベソゾ[b]フラン(V)を得た。iiiとプロムマロン酸エチルとを緩和な条件で処理すると中間体(VII)が得られた。IV,Vをアルカリで加水分解して酸(VII)を得た。このVIIはエチル2-ホルミル-4,5-メチレンジオキシフェノキシアセタートやエアピソ(iii)からも得られた。IIをキノリン申銅粉を用いて脱炭酸し5,6-メチレソジオキシペンゾ[b]のフラン(I)を得た。Iを接触還元してジヒドロ化合物(ii)に誘導した。
  • 加藤 清, 吉田 又康
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1098-1100,A61
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 加藤 清, 吉田 又康
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1100-1101,A61
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 重光 靖郎, 大平 愛信, 堤 繁
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1102-1102,A61
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 大久保 悌二, 青木 文雄
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1103-1104
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 杉山 登, 大島 勝, 吉岡 道和, 山田 和俊
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1105-1105,A62
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 坪田 博行, 渡利 一夫
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1106-1107,A62
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 古州 周, 成智 聖司
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1108-1110,A62
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
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  • 小田 良平, 林 良之
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1110-1111,A62
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 小松 寿美雄, 野村 俊明, 安藤 勝敏
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1112-1113,A62
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
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  • 石戸 良治, 田中 久之, 岩淵 耕一, 佐藤 徹雄
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1113-1114,A62
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
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  • 水口 純, 鈴木 周一, 佐藤 利夫, 戸倉 正利
    1966 年 87 巻 10 号 p. 1115-1116,A63
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
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  • 1966 年 87 巻 10 号 p. A57-A63
    発行日: 1966/10/10
    公開日: 2011/05/30
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