ニセアカシヤの心材成分については1931年にSchmidtらはロピネチン(VIII)を見いだし,3,7,3',4',5'-ペンタオキシフラボンの構造を与えた。Freudenbergは1954年に心材成分を再検討し,ロピネチン(VIII)のほかに新たにジヒドロロピネチン(IX)を得てその構造を明かにした。著者らはペーパークロマトグラフによって,これらの二つのフラボノイド成分以外になお数種のフェノール性成分の存在が予想されたので,それらの成分の徹底的な検索を試みて,メタノール抽出成分からβ-レゾルシン酸(I),β-レゾルシン酸メチル(II),4,2,,4'-トリオキシカルコン(III)リクリチゲニン(IV),プテイン(V),ブチン(VI),3,4,5,2'4'-ペンタオキシカルコン(VII),ロピネチン(VIII),ジヒドロロピネチン(IX)の9種の成分物質を単離し,構造を明らかにした。これらの中で4,2',4'-トリオキシカルコンおよび3,4,5,2'4'-ペンタオキシカルコンは天然から今回はじめて得られたものである。
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