メチルフェニルスルポニウム・フェナシリドをはじめて安定な結晶として取り出し,その構造を証明した。類縁体を合成する
一方,スルホキシドと活性メチレン化合物との脱水縮合によりイリド体を得る新方法を開発した。
イリドの求核的反応性を利用し,イリド炭素をアシル化,カルパモイル化してさらに数種の安定なイオウイリドを合成した
。新しく製取したこれら安定イリド体45種以上につき,赤外,NMRスペクトルを検討した結果,イリドーペタイン共鳴が安定
化に重要な役割を演じていること,カルバモイル化体ではアミドの水素結合により,環構造が安定化することなどがわかった。
イリドのイオウ原子の不整構造による光学活性体の可能性に着目し,旋光性をもったイリド体を単離しようと試みたが成功して
いない。その理由を追求し,イリド交換の事実を発見した。
イリドを光化学的に分解させて生じるケトカルベンの挙動を調べる一方,メチルスルフィニル・カルパニオンが芳香環を求核的
に攻撃して,核水素をメチル置換する新反応を発見,機構を追究した。
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