日本化學雜誌
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88 巻, 1 号
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  • 野崎 一, 高久 正昭, 常本 大英, 山本 靖, 近藤 聖
    1967 年 88 巻 1 号 p. 1-15
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    メチルフェニルスルポニウム・フェナシリドをはじめて安定な結晶として取り出し,その構造を証明した。類縁体を合成する
    一方,スルホキシドと活性メチレン化合物との脱水縮合によりイリド体を得る新方法を開発した。
    イリドの求核的反応性を利用し,イリド炭素をアシル化,カルパモイル化してさらに数種の安定なイオウイリドを合成した
    。新しく製取したこれら安定イリド体45種以上につき,赤外,NMRスペクトルを検討した結果,イリドーペタイン共鳴が安定
    化に重要な役割を演じていること,カルバモイル化体ではアミドの水素結合により,環構造が安定化することなどがわかった。
    イリドのイオウ原子の不整構造による光学活性体の可能性に着目し,旋光性をもったイリド体を単離しようと試みたが成功して
    いない。その理由を追求し,イリド交換の事実を発見した。
    イリドを光化学的に分解させて生じるケトカルベンの挙動を調べる一方,メチルスルフィニル・カルパニオンが芳香環を求核的
    に攻撃して,核水素をメチル置換する新反応を発見,機構を追究した。
  • 梅本 公子, David J. BLEARS, Steven S. DANYLUK
    1967 年 88 巻 1 号 p. 16-18
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    NMRスペクトルを用いて二硫化炭素中のN.N-ジメチルホルムアミドの化学シフト,結合定数,および線幅を30°~-70℃において調べた。二つのメチル基に基づ仁重線間のシフトは低温になるにしたがって徐々に増大し, 限界値は12.5士0.5cpsである。またホルミル陽子とトランス位置のメチル基との間の結合定数は0.65cps(25d℃)から0.cCps(-40℃)まで滅少する。この結合定数の減少はジメチルホルムアミドの三フッ化ホウ素との錯化合物ではもっと明らかである。ホルミル陽子の吸収線の幅は温度低下とともに狭くなり,30℃では4.7cps,-70℃では2.4cpsである。これらの結果から,ジメチルホルムアミドは高温においては非平面型で存在することが結論された。
  • 戸田 昭三, 小島 幸夫
    1967 年 88 巻 1 号 p. 18-23
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フェノールアゾピラゾロン誘導体は溶液中と結晶状態とでは色調が異なる。今回は可視吸収スペクトルを,結晶型に変化が起きないよう種々条件を検討しながら,塩化カリウム錠剤中で測定した。この吸収スペクトルと溶液中でのスペクトルとの違いを調べるため,フェノール基の中の置換基が吸収最大位置におよぼす効果の差を,両状態聞で比較検討してみた。そして,差の原因を赤外吸収スペクトルによって得られる官能基の挙動と結びつけることにより広い意味での構造と色調との関係を明らかにすることができた。フェノール核中のOH基がヒドラゾン基と強い水素結合をしている化合物類では最大吸収位置λmaxは,フェノール核中の置換基のHammettのσ定数が増大するにつれて短波長から430mμに収敷する。OH基がヒドラゾン基と水素結合をしていない化合物類では,λmaxはσが増加するにつれて,短波長側に移動しOH基をもたないベンゼンアゾピラゾロン誘導体の場合と同じであった。λmaxとOH伸縮振動数λmaxとC=O伸縮振動数,との関係においても,上記二つのものを区別して考えることができた。したがって,OH基がヒドラゾン基と水素結合するか,否かによって,フェノール核中の置換基が色調におよ曝す影響は異なっているといえる。
  • 鎌田 仁, 戸田 昭三, 永田 親清
    1967 年 88 巻 1 号 p. 24-29
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    7種のチアゾリルアゾフェノール類の四塩化炭素希薄溶液(2mol%以下)中におけるNMRを測定し,すべてのスペクトルを化学シフト,カップリング定数,および置換基の位置から解析した。水酸基プロトンの化学シフトは,ベンゼン環の置換基数と種類により,-2.5~-1.3ppmの間にみられた。また,pKa値が大きくなると低磁場側にシフトし,両者の間に直線関係がなり立った。水酸基プロトンの化学シフトは,水酸基と水素結合を形成するアゾ基の窒素原子のπ電子密度と関連することがわかった。ベンゼン環の置換基がメチル基からメトキシ基に変わると,これに隣接する環プロトンの化学シフトは酸素原子の弧立電子対の影響を受け,0.1~0.2ppm高磁場側にシフトしたが,これは炭素原子位のπ電子密度の値から説明できた。
  • 大杉 治郎, 原 公彦
    1967 年 88 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリアクリロニトリルは加熱することによって,比較的高い電気伝導性を持つ物質を生ずる。この加熱生成物の電気抵抗率を最高60kbarまでの高圧力下において,15°~100℃の温度範囲で測定した。加圧は六面体アンピル型超高圧装置によって行なった。この物質の電気伝導度は圧力の増加,および温度の増加にともなっていちじるしく増加する。高圧力下においても通例の電気伝導度を表わす式:σ=σ0exp(-E/kT)がなり立つ。伝導の活性化エネルギー,Eは圧力の増加にともなって減少する傾向を持つ。またこの物質の加熱変質機構についても赤外吸収スペクトル測定によって検討した。高い電気伝導性は炭素と窒素の連なる共役二重結合系によることを確認した。
  • 大杉 治郎, 原 公彦
    1967 年 88 巻 1 号 p. 33-36
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    直鎖状ポリエチレンMarlex-50は結晶度が高く・明瞭な融解現象を示す。本実験では最高30000atmまでの高圧力範囲におけるポリエチレンの融点の圧力依存性について研究した。5000atmまでの圧力範囲ではピストン・シリンダー型高圧容器を用いて融解の際の体積変化を測定し,さらに30000atmまでの超高圧範囲では六面体アンピル型装置での示差熱解析法を考案し,これによって測定した。
    圧力の増加にともなって融点はいちじるしく上昇し・その割合は次第に降下する。最初の増加の割合は25℃/1000atmである。融解曲線および融解の体積変化についてはClapeyronの式を用いて検討した。Simonの融解式の二つのパラメーター,α=3 .1×103atm.c=4.5という結果が得られた。また高圧下における溶融結晶化によって結晶度が増加することも確認した。
  • 宮本 弘, 渡辺 幸義
    1967 年 88 巻 1 号 p. 36-38
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    炭酸エチレン-水混合溶媒に対する臭素酸銀およびヨウ素酸銀の溶解度を25℃および35℃で測定した。その結果からハ冒ゲン酸銀の溶解平衡においてみられる炭酸エチレンと水分子聞の相互作用について考察した。
    臭素酸銀の溶解度はジクロルフルオレセインを指示薬とする容量分析法により求めた。またヨウ素酸銀の溶解度はチオ硫酸ナトリウム溶液を用いる通常のヨウ素滴定により求めた。
    ハロゲン酸銀は水にのみ溶け,炭酸エチレンに不溶であると考えることができる。 よってハロゲン酸銀の溶解度は混合溶変申の水分子の濃度に比例する
    。実鹸値はこの取り扱いによって期待される値よりも小さい。炭酸エチレゾと水分子の間に水素結合の生成がみられ,混合溶媒中の有効な自由水の濃度が滅少すると考えれば,この事実を説明できると思う。
    また,ハロゲン酸銀の溶解度は混合溶媒の誘電率の増加につれて減少し,Bornあるいはその補正理論が成立しない。
  • 大平 愛信, 松尾 広恵, 榊原 適, 堤 繁
    1967 年 88 巻 1 号 p. 39-42
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    エチルエーテル,テトラヒドロフラン,テトラヒドロピラン,ジオキサンなどのエーテル類の光二量化が塩化水銀(II)存在下低圧水銀灯照射のもとに行なわれ,それぞれのエーテルの2,2'-二量体が好収率で得られた。また,上の反応系に1-オクテン添加下のの光反応では,2,2'-オクチルエrテル誘導体とエ.一テルの2,2'一二量体が主生成物として得られた。その他の生成物として,いずれの場合にも塩化水銀(1)および塩化水素の生成が認められたが,塩素および有機雍化物の生成はまったく認められなかった。種々の実験事実に基づき,本光二量化の反応過程としてエーテルと塩化水銀(II)とによって形成される錯体の光多中心反応によってすすむ過程が推定された。
  • 久保田 昌治, 織田 宏子, 樋口 泉
    1967 年 88 巻 1 号 p. 43-46
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    すべての収着剤が加熱処理によって多孔性を失なうのは,収着剤を構成している単位粒子が加熱によって成長するためと考えられる。単位粒子の成長過程は,つぎつぎに高温で加熱した試料の収着等温線の変化を測定することにより研究できる。この研究では市販の球状アルミナと多孔性ガラスとを順次1200℃または1000℃まで加熱した試料について,ベンゼンの収着および脱着等温線を測定し,その形の変化を検討してつぎの結論を得た。
    単位粒子が単一立方格子型に配列している球状アルミナでは,加熱温度とともに単位粒子は成長するが,その充テン形式に変化はない。なぜならば,各実験的等温線は比表面積から計算した単位球の平均半径を用い,同型の充テン形式の収着剤に対して計算した理論曲線とよく一致している。単位粒子が最密充テンしていると見なされる多孔性ガラスではa半径約20Å以上の毛管容積は900℃加熱まではほぼそのまま残るが,比表面積が加熱温度とともにいちじるしく減少することから,単位粒子の接触域で融合が起ることを結論し,この二つの型は,単位粒子の加熱による成長過程の代表的型であることを述べた。
  • 松本 忠也, 増田 勲, 新良 宏一郎
    1967 年 88 巻 1 号 p. 46-51
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    [Co(DH)2A2]+型錯体(DHはα-ジオキシマートイオン,Aはアニリン置換体)を,1,2-シクロヘキサンジオンジオキシム,α-ベンジルジオキシムおよびα-フリルジオシムなどのα-ジオキシムならびにアニリン置換休をそれぞれ用いて合成した。
    これら錯体の吸収スペクトルは,二つの強い吸収帯を340~400mμ(log ε ≒ 4.0)および300~375mμ(log ε ≒3.8~4.3)付近に示す。前者は,配位アミソから中心コバルト原子への電荷移動に基づくものであり,それらの吸収位置は,α-ジオキシムの種類が相違してもほとんど変化しない。
    これに対し,徐者の吸収帯の位置は,配位した探一ジオキシムの種類のつぎの順序にしたがって長波長側に認められる。
    ジメチルグリオキシム(300mμ)<1,2-シクロヘキサンジオンジオキシム(315mμ)<α 一ベンジルジオキシム(340mμ)<α 一フリルジオキシム(375mμ)
    α-ジオキシムに相当する1,2-ジケトンのポーラログラム半波電位ならびに錯体の分光化学的性質などから,後者の吸収帯は,コバルト原子からキレート環への電荷移動に基づくものと考察した。
  • 阿部 重喜
    1967 年 88 巻 1 号 p. 52-56
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    光核反応を利用してゲルマニウムの放射化を試み,その結果をもとにして鉄中のゲルマニウムを非破壊定量する方法を確立した。
    日本原子力研究所に設置された電子線型加速器で得られる20MeVの制動輻射を用いて,酸化ゲルマニウムを1時間照射した。照射したゲルマニウムのγ線スペクトルには0.26MeVに75Geの顕著な光電ピrクが見られたほかに0.51,0.88,1.12および1.34MeVに69Geの光電ピークが観測された。いずれも(γ,n)反応によって生成したもので,壊変曲線はそれぞれ75Geおよび69Geの半減期82分および40.4時間にしたがって減衰した。
    鉄中のゲルマニウムの定量に際しては鉄から(γ,P)反応にようて生成する69Mnの放射能強度を照射に用いたγ線の線束強度の内部モニターとして用い,各光電ピークにおける放射能計数率比(69Ge,051MeV/56Mn,0.85MeVあるいは69Ge,1.12MeV/56SMn,0.85MeV)と試料中の混合重量比(Ge/Fe)との関係を求めた。両者の間にはよい直線関係が存在し,鉄中のゲルマニウムを0.1%程度まで非破壊定量することができた。
  • 赤岩 英夫, 川本 博
    1967 年 88 巻 1 号 p. 56-59
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    コバルト(II)のアセチルアセトン抽出におけるピリジンの協同効果を希釈剤としてベンゼンを用いて検討し,有機相に抽出される錯体は1:2ピリジン付加錯体CoA2・2pyであることを確認し抽出反応として,Co2+2HAorg+2pyorg=CoA2・2pyorg+2H+を得た。また抽出系に加えたピリジンとコパルト(皿)の濃度比が低い場合でも1:1ピリジン付加錯体の有機相における存在が無視できたことから,ピリジン付加錯体の生成はCoA2・2H20の水分子とピリジンの逐次的な置換反応によることを推定した。
  • 品川 睦明, 柳 忠, 後藤 正志
    1967 年 88 巻 1 号 p. 60-62
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    強リン酸(P2O5 76.5wt%)を溶媒および支持電解質とし,滴下水銀
    電極を用いて80°~130℃におけるカドミウム,鉛および銅イオンの直流ポーラログラフ的挙動の研究を行なった。その結果,本溶媒中でこれらの金属はいずれも良好な直流ボーラログラムを与え,その電極電位(E)とlog(i/id-i)のの閥には直線関係が成立し,その直線の傾斜は還元電子数を2とした場合の理論値とほぼ一致することを確かめた。これらの金属イオンの電極反応は拡散支配であり,復極剤の濃度と波高との間には良好な直線関係の成立することがわかった。またIlkovc式を用いて80°~130℃の温度範囲内で各イオンの拡散係数および拡散過程の活性化エネルギーを求めた。この温度範囲内では上記各イオソのいずれにもlog Dと 1/T との間にはよい直線性が成立し,それらの直線から得られた130℃での各イオンの拡散係数(cm2/sec×107),および拡散過程の活性化エネルギー(kcal/mol)をそれぞれ前後してつぎに示す。カドミウム(II):3.4 , 9.2, 鉛(II): 5.1, 8.1, 銅(II):3.1, 4.8。
  • 小松寿 美雄, 野村 俊明
    1967 年 88 巻 1 号 p. 63-66
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    臭素イオンまたはヨウ素イオンはHg-EDTAと反応して紫外部に吸収をもつ錯体を形成するので,これら錯体の吸光度を測定して両イオンの吸光光度定量法を行なった。pH3.5~7.7にした臭素イオン溶液またはpH5~8.3にしたヨウ素イオン溶液にHg-EDTA溶液の一定過剰量を加え,水で全容50mlにし,2,3分放置後,試薬ブランク液を対照にして波長250mμ(臭素)または260mμ(ヨウ素)で吸光度を測定する。これら錯体における臭素イオンまたはヨウ素イオンとHg-EDTAとの当量関係はモル比で1:1であるので,組成は[HgY(Br)]3-または[HgY(I)]3-であると考えられる,臭素イオン0.05~1.6mg/50mlまたはヨウ素イオン0.05~2.Omg/50mlの濃度範囲でBeerの法則が成立する。モル吸光係数は約2650(臭素)および約4200(ヨウ素)であって,再現性は非常によい。臭素イオンの定量では CN-,SCN-,I-,S2-,Co2+などが,ヨウ素イオンのそれではS2-, SCN-, CN-, Be-, NH4+, Co2+, Ag+などの共存が妨害する。
  • 永井 外代士, 松田 十四夫
    1967 年 88 巻 1 号 p. 66-70
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    N-プロムコハク酸イミド(NBS)は容量分析における選択的な酸化剤として知られているが,そのポーラログラフ的挙動についてはNBSが滴下水銀電極で容易に還元されるというZumanの記述があるのみである。NBSは0.1mol/l硝酸カリウム,Britton-Robinson緩衝溶液(pH5.0)および0.01%ポリアクリルアミドを含む支持電解質溶液中で,2電子の関与する限界還元電流を示すが,電極反応生成物の臭素イオンによる水銀溶出波と混液電位を示し,そのため2段波を与える。NBSの第1波および全波の限界電流は拡散律速であり, 0V vs. SCEでのNBSの拡散電流値は4×10-3~2×10-5Nの濃度範囲で濃度に比例する。pHによるNBSの拡散電流の変化および電極水銀,ポリアクリルアミドとの反応によるNBSの分解の影響について検討した。
  • 藤田 幸江, 志村 博
    1967 年 88 巻 1 号 p. 70-73
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    高分子量第ニアミソのAmberlite LA-2は,ヘキサン溶液として水相の硫酸を抽出するとき第3相を形成する。この第3相はつぎのような性質を持っていることが明らかとなった。i)水相硫酸濃度が上昇すると,第3相に含まれるアミン硫酸水素塩量が増加するが,有機相全体に抽出される硫酸はほぼ一定であった。ii)第3相のアミン硫酸水素塩濃度が約0.92mol/lまでは,粘度,水含量は直線的に増加している。粘度の直線的な増加は,第3相中の凝集体の組成ならびに大きさが一定であることを意味している。水含量の直線的な増加は凝集体に一定の割合で水が含まれていることを意味している。これ以上の濃度では粘度は急激に増加し,水含量が減少するので,新しい凝集体の生成があったと見なされる。iii)この第3相にアマランス(1-(4'スルホー1'-ナフチルアゾ)-2-ナフトール-3,6-ジスルホン酸3ナトリウム)が含まれるとき,1分子アマランスに3分子LA-2,1分子硫酸に1分子LA-2の比で結合し,濃度,粘度,水含量,密度もLA-2-硫酸系より上昇し,異なった挙動を示した。
  • 石橋 雅義, 藤永 太一郎, 桑本 融, 荻野 善紀
    1967 年 88 巻 1 号 p. 73-76
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    海水中でのウラン(VI)の水酸化鉄(III)への共沈量を検討し,得られた所見をさきに得たタングステン,モリブデン,バナジウムの結果と比較してこれらの元素の海水溶存量について考察した。種々の条件におけるウラン(VI)の共沈を検討するために一定条件下で新しく調製した水酸化鉄(III)沈殿を種々の条件の溶液に加え,放置熟成したのち沈殿を分離し沈殿中のウランはアルセナゾIIIを用いて比色定量した。この結果,ウラン(VI)はアルカリ性側で炭酸根と陰錯イナンを形成し共沈率は急激に減少した。したがってウラン(VI)は海水中では海底沈積物へ移行せず溶存していると推定される。
  • 石橋 雅義, 藤永 太一郎, 桑本 融, 村井 重夫
    1967 年 88 巻 1 号 p. 76-80
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    セレン(IV)の水酸化鉄(III)沈殿への共沈,とくに吸着による共沈を検討し,かつセレンの海水溶存量についての知見を得ようとした。
    pHによる共沈率変化を求めた結果,緩衝溶液中ではpH7.0以下で100%であるが,pH7.5で滅少し始めpH10.0で10%以下となりほとんど共沈しない。人工海水中ではpH7.0付近から減少し始め,pH9.0でほとんど共沈しない。また海水中では,人工海水とほとんど類似しているがpHO.5程度酸性側へ移る。
    海水のpH8.2付近は共沈率のpH依存性が大きい部分であるが,実海水についての実験結果では1時間放置では35~60% ,8箇月放置では90%の共沈率を示す。よって長く陸水の影響をうけない海水中では水酸化鉄(III)沈殿によって共沈除去されていると考えられる。
  • 表 美守, 倉林 由美子, 百瀬 明, 杉山 登
    1967 年 88 巻 1 号 p. 80-82
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    セピオメラニンの構造研究の一方法として熱分解反応を検討した。酸素の存在下での熱分解は150℃以上で起るが,酸素のない場合はさらに高温にしなげればならない。 熱分解産物中にピロール-2,3-ジカルボソ酸が確認されたことからメラユンのο-キノイド部分の分解を推定した。また,DMF申メラニンを還流することにより,メラニンの高分子構造がかなり保存されたままで可溶性になることを見いだした。
  • 遠藤 彰, 斎藤 真澄, 吉田 光男, 伏崎 弥三郎
    1967 年 88 巻 1 号 p. 83-86
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    β-ピネンの過酢酸および過安息香酸による酸化反応を調べた。反応生成物として,過酢酸酸化の場合にはグリコールモノアセタート,過安息香酸酸化の場合にはグリコールモノベソゾアートと少量のエポキシドが認められた。これらモノエステルの加水分解生成物の検索から,酸化反応中に骨格の転位が起ることがわかった。動力学的に反応を調べた結果,反応はβ-ピネンと過酸のおのおのの1次に比例する2次式にしたがい進行すること,溶媒効果の大きいことがわかった。種々の条件における2次反応速度定数と活性化エネルギーが求められ,類似の構造を持つ他のアルキリデンシクロアルカソと比較された。そして環に直結する二重結合の反応性が環のひずみと超共役効果によって影響されることが結論された。
  • 三井 生喜雄, 今井 義治
    1967 年 88 巻 1 号 p. 86-91
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    著者らは接触還元機構解明の一環として,一連のα-ケト酸光学活性アルコールエステルの不整接触還元について研究してきた今回は。α-ナフチルグリオキシル酸(-)-メンチルエステル(I)の還元について報告する。Iを種々の触媒を用いて接触還元し,生成したα-ナフチルグリコール酸(-)-メンチルエステル(II)を加水分解して得られたα-ナフチルグリロール酸(III)の旋光度を測定し,Iの反応時における立体配座と触媒の種類およびその性状との関連について考察した。パラジウム以外の微量の塩基を含む触媒による接触還元ではR(-)-IIIが優位に生成し,パラジウム以外の微量の酸を含む触媒ではS(+)-IIIが優位に得られた。これに対し,パラジウム触媒による接触還元では・触媒中の微量の酸,塩基に影響なくつねにS(十)一一皿が優位に生成した。このように1の接触還元においては触媒中の酸塩基のみならず触媒金属自体によっても不整還元の方向が異なり,パラジウム触媒の特異性が明らかとなった。以上の反応機構をIのヘミケタール化をもとに考察し,R(-)-IIIが優位に生成したのはPrelogの法則のとおりIのα-ケト基とエステルカルボニル基が平面トランス型で反応し,S(+)-IIIが優位に生成したのはシス型で反応したものと考えた。
  • 松本 澄, 後藤 良造, 浅野 努, 和田 尚之
    1967 年 88 巻 1 号 p. 92-95
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2,2'-二置換ペンズとピナコールの転位機構の認識の基礎として,その立体構造に関する知見を得るために,四酢酸鉛との反応の速度,IRスペクトルの水酸基伸縮振動数(νOH)およびNMR スペクトルの水酸基陽子化学シフト(δOH)を測定した。その結果つぎのことがわかつた。i)前報までのいわゆるラセミ体はメソ体より反応速度が大きい。ii)メソ体では1種類,ラセミ体では少なくとも2種類の分子内水素結合が存在する。iii)ラセミ体のνOHおよびδOHは,メソ体のそれらより低波数側,低磁場側にそれぞれある。iv)ο-メチルおよびρ一メトキシ置換体の場合,IRスペクトルで分子内水素結合が認められるのに,δ0Hはいちじるしく高磁場にある。V)ベンゼン中では,δOHは四塩化炭素申のそれよりわずかに低磁場側にシフトしている。vi)ο-エトキシ置換体の場合,そのメチレンプロトンは,メソ体でAB型の分裂を示しジラセミ体ではA2型のシグナルを与える。これらのことから,前報で与えた便宜的なメソ,ラセミの帰属を確証し,水酸基とオルト置換基との分子内水素結合の存在と立体配座とが推定された。
  • 小田 良平, 美安 明, 岡野 正弥
    1967 年 88 巻 1 号 p. 96-99
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ピロリジノエナミン,ピペリジノエナミンを芳香族イソチオシアナートと,無溶媒120℃で5~25時間反応させ塗1:1環状付加物の分解によって生じたと思われるアミジンを得た。また反応時間を数時問で切りあげ,さらに必要に応じイソチオシアナートを過剰に用いるなど適当な条件下では,アミジンのほかに1:2の環状付加物が単離された。さらにこの1:2付加物を120℃に加熱すると,もとのエナミンよりもむしろアミジン,およびイソチオシアナートが生成することを認めた。これらの結果に基づき本反応の経路について考察を行なった。
  • 永井 真
    1967 年 88 巻 1 号 p. 99-100
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 奥田 寿, 永井 真
    1967 年 88 巻 1 号 p. 101-102
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 川合 昌路
    1967 年 88 巻 1 号 p. 102-103
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 遠藤 節子
    1967 年 88 巻 1 号 p. 103-104
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 今井 義治, 三井 生喜雄
    1967 年 88 巻 1 号 p. 105-106
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 磯貝 浩司, 風間 武雄
    1967 年 88 巻 1 号 p. 106-107
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 高田 芳矩, 武藤 義一
    1967 年 88 巻 1 号 p. 107-109
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
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  • 中埜 邦夫, 高田 健夫
    1967 年 88 巻 1 号 p. 109-110
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1967 年 88 巻 1 号 p. A1-A7
    発行日: 1967/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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