日本化學雜誌
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88 巻, 10 号
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  • 筒井 稔
    1967 年 88 巻 10 号 p. 1013-1029
    発行日: 1967/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1918年以来Franz Heinによって発表された一連のポリフェニルクロム化合物の構造確認に関して水素化アルミニウムリチウムによる還元分解を行ない, この結果と他の物理化学的性状から考察して, フェニル基とクロムとの間に共有結合を有するHeinらの古典構造式を誤りであるとし, 中性のつづみ形π錯体としての新構造式を与えた。
    この構造決定は中性の芳香族炭化水素やオレフィンのπ錯体を合成する端緒となった。芳香族炭化水素あるいはシクロペンタジェン-遷移金属のπ錯体の構造が日本古来の楽器であるつづみの形に似ているので, 著者はつづみ形化合物あるいはつづみ形π錯体と名づけた。その後十数年の間に著者らはつづみ形π錯体についてとくに触媒化学と生化学への発展を中心とした研究を進めてきた。
    触媒化学においては, 0価遷移金属が特殊活性触媒であることをアリール基のカップリングから発見した。この反応の機構についてσ-π 転位機構を提案し, 金属原子の配位の特異性によってオレフィンの二量化に立体特異性を与えるという新事実を発見した。また, 価遷移金属の活性を利用してアセチレンの環化を行ない, シクロブタジエンなどの不安定ベンゼノイド化合物を補捉する手法を見いだした。 さらにこれに関連してつづみ形π錯体のいくつかの新合成法を発見した。その間幾多の遷移金属化合物の触媒作用が研究されたが, 著者の提案するπ錯体機構は遷移金属化合物による触媒作用において重要な一因子であると思われる。
  • 服部 健一, 森山 登, 篠田 耕三
    1967 年 88 巻 10 号 p. 1030-1034
    発行日: 1967/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    温度の変化に基づく非イオン界面活性剤の親水性-親油性バランスの変化と非イオン界面活性剤によって, 水中に分散したボリエチレン(MW 2000)などの固体炭化水素のサスペンションの安定性との関連性を検討した。
    非イオン界面活性剤を用いたポリエチレンサスペンションの安定性は, 温度の上昇にともない良好になるが, ある温度以上になるど急に悪くなる。この急に悪くなる温度 (ここでは分散上限温度と名づける) より若干低い温度に分散性がもっとも良好になる温度 (分散最適温度) が存在する。分散上限温度は非イオン界面活性剤の親水鎖長の増大とともに高くなり, したがって各温度でポリエチレンに対する非イオン界面活性剤の最適親水性一親油性バランスが決められる。
    これらの結果は, ポリエチレンなどの固体炭化水素のサスペンションの安定性は非イオン界面活性剤の親水性-親油性バランスの変化に左右され, 液体炭化水素の可溶化や乳化と密接な関連性を持つことを示唆するものである。
  • 石井 康敬, 松浦 郁也
    1967 年 88 巻 10 号 p. 1034-1038
    発行日: 1967/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アルミナとモリブデナの組成を種々変えたアルミナ-モリブデナ触媒についてエチレンおよびプロピレンの吸着を行なうとともに, 触媒中の結合モリブデン量およびMo5+含量をESR測定から求め, これら吸藩質の吸着能との相関性を検討した。
    アルミナ-モリブデナ触媒においては森川らや助野らにより, アルミナと化学的に結合したモリブデンが存在することが報告されており, このアルミナとの結合モリブデンが水素の主要な吸着点であると認められ既報に示したが, エチレンおよびプロピレンにおいてもその吸着点はアルミナとの結合モリブデンであると考えられる。
    エチレンおよびプロピレンの飽和吸着量はおのおの0. 1~8. 0, 0. 1~12. Occ/g-1であり, 吸着熱はおのおの5. 0~10. 0, 4. 0~10. 8kca1/mol-1であり, いずれも20mol%酸化モリブデン(VI)触媒で最大となった。また, 各触媒中のMo5+含量とこれら吸着質の飽和吸着量の間には直線関係が成立し, 一方, 吸着熱は触媒中の結合モリブデンとMo5+の比とほぼ直線関係が成立した。
    エチレンおよびプロピレンを触媒に吸着させると, Mo5+によるESRシグナル強度は吸着量が増すにしたがい増大した。 このことから, エチレンおよびプロピレンは触媒中のMo6+に吸着し, 触媒がこれら吸藩質から電子を奪いMo5+になるものと推察される。
    これらのことから, アルミナ-モリプデナ触媒のエチレンおよびプロピレンの吸着能は, 触媒の結合モリブデン中でMo5+の占める割合と密接な関係があるものと考えられる。
  • 古茂田 瞭三, 西 泰英, 鹿野 松太郎
    1967 年 88 巻 10 号 p. 1038-1044
    発行日: 1967/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    炭酸鉛粉末の熱分解速度に関する研究を, 190°~400℃の範囲のある一定温度で, 窒素ガス流量0. 5l/min以上, 1atmのもとで熱テンビンを用いて行なった。本実験条件では, 炭酸鉛粉末の熱分解はつぎの2段の分解過程からなることがわかった。
    第1段2PbCO3 → PbO・PbCO3 + CO2
    第2段PbO・PbCO3 → 2PbO (Litharge) + CO2
    このことはX線回折結果からも確かめることができた。分解率-分解時間の関係は, それぞれ次式で与えられる。
    第1段1- (1-F1) 1/31t1
    第2段F22t2
    第1段においては熱分解速度は未分解反応物相/分解生成物相間の界面化学過程によって律速され, 第2段においては熱分解速度は一定であり, 分解反応は気相境膜内における生成二酸化炭素ガスの移動過程によって律速されているものと思われる。また, κは平衡解離圧Peと比例関係にあると考えられる。なお, 見かけの活性化エネルギーはそれぞれ25. 1, 30. 1kcal/molであった。
  • 深尾 謹之介
    1967 年 88 巻 10 号 p. 1044-1049
    発行日: 1967/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    すでに孔径分布が決定されている活性炭によって, 脂肪酸同族列の水溶液からの吸着を実験した。吸着媒は活性化の各段階にある一連の砂糖炭, 吸着質はヘプタン酸, n-カプロン酸, n-吉草酸, n-酪酸を用いた。吸着等温線上で, 酪酸以上はC/C0=0. 5, 酪酸はC=0. 5N (Cは瞬着平衡濃度, C0はその酸の水溶液の飽和濃度) の濃度における吸着量を求めて同じ炭について比較したところ, 酪酸と活性化の進んだ炭との系を除き低級な酸の方が吸着量が多かった。
    ある「臨界半径」より大きな半径の細孔申では単分子層吸着が起り, 「臨界半径」より小さな半径の細孔中では液体状で吸着すると考えるモデルを提案した。「臨界半径」を脂肪酸分子長の1倍半と仮定して, このモデルによる吸着量を孔径分布から計算したところ, 実験値に大体一致しだ値が得られた。
  • 清水 瀞, 加藤 博史, 米沢 貞次郎
    1967 年 88 巻 10 号 p. 1050-1053
    発行日: 1967/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シクロプロパン環の共役性について検討するため, シクロプロビルベンゼンおよびメチルシクロプロピルケトンについて, それぞれ2種の構造,非bisect形〔A〕とbisect形〔B〕の電子状態を拡張Hückel法を用いて計算しエチルベンゼン,スチレン,メチルイソプ揖ピルケトンおよびメチルビニルケトンの結果と比較した。
    シクロプロピルベンぜンおよびメチルシクロプロピルケトンのイオン化ポテンシャル, 電子分布およびπ-bond populationを比較することによって,両化合物とも〔B〕構造の方が〔A〕構造より共役能が大きいことがわかった。それゆえに, シクロプロパン環は環平面内にビニル基と同程度の共役能を有することが明らかにされた。
  • 森 芳弘, 岡林 忠志, 垣花 秀武
    1967 年 88 巻 10 号 p. 1053-1056
    発行日: 1967/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水よりも高い誘電率をもつホルムアミド溶媒系においても, アンモニア形陽イオン交換樹脂と塩化リチウムとの間にイオン交換があり, またリチウムの同位体効果があることがわかった。X1~X55 (Xの後の数宇は合成時のジビニルベンゼンの含有パーセントを示す) の各種架橋度の樹脂について, イオン交換選択係数S6Li7Li, とリチウム同位体分離係数碑はともに水溶媒系における値より小さかった。 また架橋度は高いほど樹脂相にリチウム6が濃縮される傾向があった。
    イオン交換反応速度は, 粒子内拡散が律速段階になっており, 水溶液系にくらべると非常に遅く, とくに乾燥したダイヤイオンSK#1-X55樹脂を用いた場合には, 溶媒和に約6時闇, 平衡に達するまでには約24時間を要した。碑は時間が経過するにしたがって減少する傾向がある (1. 012~1. 005) 。なお, この研究で用いられた系は強電解質の系として考察を行なった。
  • 尾嶋 平次郎
    1967 年 88 巻 10 号 p. 1056-1063
    発行日: 1967/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ピコリン酸メチルをアミノアルコール (エタノールアミン, 1, 2-および1, 3-プロノールアミン) と縮合させることにより3種の新アミドを得, それらを硫酸銅 (II) と反応させることにより相当する銅 (II) 錯体 (緒言の項の (a) また, (b) および (c) ) を単離した。また, 錯体 (c) を2molの水酸化ナトリウムと反応させることにより錯体 (d) を, また, 錯体 (d) に過剰の水酸化ナトリウムをせることにより錯体 (e) をそれぞれ単離した。錯体 (a) , (b) および (c) の水溶液に逐次アルカリを加えた場合の紫外, 可視吸収スペクトルの挙動, 電動度変化, およびロ紙電気泳動による挙動などから配位子分子内のアミド基, およびアルコール性水酸基の酸解離, 配位のようすを検討した。
  • 市川 俊子, 加藤 清, 垣花 秀武
    1967 年 88 巻 10 号 p. 1064-1068
    発行日: 1967/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    イオン交換樹脂粒を呈色の担体とし, ルモガリオン・ピロカテコールバイオレット (以下PVと略記する) , および, スチルバゾ呈色試薬として, 樹脂点滴法によりアルミニウムの微量検出法を検討した。樹脂粒としては低架橋度陰イオン交換樹脂粒Dowex1-Xl[CI]形が良好な結果を得た。
    (1) ルモガリオンによるケイ光法 : 黒色滴板上にアルミニウム試料液1滴をとり, 2N酢酸ナトリウム1滴を加えてρH6にととのえる。これにルモガリオンを吸着した樹脂粒を数粒投入し, 暗所で3660Åの波長に冨んだ紫外線を照射すると, 樹脂粒はアルミニウムが存在すれば赤燈色のケイ光を, アルミニウムが存在しなければにぶ黄燈色のケイ光を発する。検出限界量0.0008μg, 限界濃度1 : 4×107を得た。
    (2) PVによる検出法 : 白色滴板上にアルミニウム試料液1滴をとり, 酢酸ナトリウム飽和溶液1滴を加えてρH5~7にととのえる。これにPVを吸着した樹脂粒を数粒投入する。アルミニウムが存在すれば樹脂粒は青色を, アルミニウムが存在しなければにぶ黄色を呈する。検出限界量0.007μg,限界濃度1 : 5×106を得た。
    (3) スチルバゾによる検出法:白色滴板上にアルミニウム試料液1滴をとる◎ これに酢酸ナトリウム飽和溶液1滴を加えてρH6にととのえる。これにスチルパゾを吸着した樹脂粒を数粒投入する。アルミニウムが存在すれば樹脂粒は紫味赤~ にぶ赤味榿色を, アルミニウムが存在しなければ黄榿色を呈する。検出限界量0・007μg, 限界濃度1 : 5×106を得た。
  • 庄野 利之, 田中 稔, 室谷 精宏, 新良 宏一郎
    1967 年 88 巻 10 号 p. 1068-1070
    発行日: 1967/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    6種類のα-アルキルアセチルアセトンの互変異性体の平衡をNMRスペクトルによって研究した。シスエノール・トランスエノールおよびケト形のα水素のプロトン化学シフトを測定し, それぞれのケト, シス-, トランスエノールの組成を決定した。
    結論として空間的に大きな第1級置換基をもつα-アルキルアセチルアセトンはケト, シスエノール, トランスエノールの三つの形の平衡をもち, 一方第2級置換基をもつものはケト, トランスエノールの二つの形の平衡をもっている。
  • 金田一 尚, 中埜 邦夫
    1967 年 88 巻 10 号 p. 1071-1075
    発行日: 1967/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    コンダクタンス測定方式のコンデンサ型高周波滴定装置は疑似終点発生のおそれがある。これはその装置の基礎曲線に極点が存在することに起因している。この極点を除くために二重ビーカーを使用する方法と二重電極を使用する方法が行なわれていた。しかし通常のコンデンサ型電極に並列に適当な大きさの固定抵抗 (R1) を接続し, これにコンデンサ(C2)を直列につないだものは同じ効果があると考えられるので, そのような電極について電極のアドミタンスとR1との関係について検討を行なった。
    アドミタンスの測定にはQメーターを5Mcで使用した。測定結果は想定した等価回路による計算結果とよく一致し, 電極の性質の全貌が明らかになるとともに, 基礎曲線に極点の生じないR1の範囲が次式で表わされることがわかった。
    ただし,ω は角周波数, COは電極と溶液の間に持つ静電容量, C1は溶液内に持つ静電容量, CSはR1と並列に存在すると考えられる浮遊容量である。またこの範囲内のR1を接続した電極で中和滴定を行なったところ, 疑似終点の発生は見られなかった。
  • 藤田 一紀, 根津 弘幸, 品川 睦明
    1967 年 88 巻 10 号 p. 1076-1080
    発行日: 1967/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    トリフェニルスルホニウムイオンのポーラログラムは, 0.1mol/l塩化カリウム支持, 対飽和甘コウ電極で-1.5Vに一つの極大波を有し, Tween-80でもって極大を抑制すると2段の還元波を示す。この還元波の電極界面における還元過程を検討するため, 瞬間電流一時間曲線を観測し, 電流の性格を吟味したうえ, ポーラログラフを使う微量クーロメトリーで還元電子数を求め, 定電位電解を行なって電解還元生成物の分析を行なった。トリフェニルスルホニウムイオンのポーラログラムで示す限界電流は, 拡散律速に基づくものであり, 還元電子数は2であること, また電解還元生成物がジフニニルスルフィド, ベンゼン, そしてビフユニルであることを確認した。なお2段の還元波の1段目と2段目の波高の比が1:1であるところから, 電極過程を推定した。
  • 丸山 正生, 岡部 好雄
    1967 年 88 巻 10 号 p. 1080-1087
    発行日: 1967/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    胆汁酸の一つであるデオキシコール酸のテンサンメトリー波について検討し, その挙動および前に報告したコール酸, デヒドロコール酸のそれとの比較検討を行なった。
    デオキシコール酸のテンサンメトリー波はコール酸の場合と同様, 吸着層の相分離に基づく二つの脱着波を示した。その原因は分子中に存在する水酸基が分子間でたがいに反発し合うために起ることが明らかとなった。一方デヒドロコール酸にはそのような現象はみられない。吸着過程についてもデヒドロコール酸が純粋な拡散支配であるのに反して, デオキシコール酸およびコ一ル酸は活性化吸藩過程を含んでいることがわかった。競争吸着については, 二者の脱着電位がたがいに接近しているもの同志では協調吸着しやすく, 離れているほど吸着力の強い方が独占的に吸着しやすくなる。またデオキシコール酸一メチルセルロ一ス系の場合のように, 両者が独立した吸着層を形成して, 両者が独立したテンサンメトリー波を示す場合もあることがわかった。
  • 迫田 直一, 小稲 則夫
    1967 年 88 巻 10 号 p. 1087-1091
    発行日: 1967/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    多数のL-およびD-α-アミノ酸メチルエステルのアクリル酸誘導体, およびL-パリンならびに(S)-α-フェネチルアミンのアクリル酸誘導体を合成した。これらモノ不飽和化合物のオスミウム酸エステル (ピリジン2molの付加物) をつくってその旋光分散曲線を測定した結果, 対応する円二色性との関連性からオスミウム酸エステルの旋光分散曲線はいずれも可視領域に複合Cotton効果を示し, 590と460mμ 付近とに中心を有する二つのCotton効果から生じていることが明らかとなった。そしてこのCotton効果曲線は背景曲線の影響を受けることが少なく, その符号はただ一つの例外を除いてL-系では負,D一系では正であってα-不整炭素の絶対配置と関係づけることができる。
  • 原 三千雄, 藤本 豪, 大平 愛信, 堤 繁
    1967 年 88 巻 10 号 p. 1091-1094
    発行日: 1967/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シアナート類の光化学的挙動を知るために, 各種溶媒中でアルキルおよびアリールシアナートの光照射を試みた。エチルおよび疹ブチルシアナートなどのアルキルシアナートにおいては光異性化が優先し, イソシアナートおよびその三量体であるイソシアヌラートが得られた。また光分解生成物としては, 少量のアルコール, アルデヒド, エステルおよびウレタンが確認されたが, シアン化物の生成はまったく認められなかった。さらにフェニルおよびo-トリルシアナートは, 多量の環化三量体に加えるとフェノール(またはo-クレゾール), o-およびρ-シアノフェノール(または2-メチル-6-シアノフェノールおよび2-メチル-4-シアノフェノール)を与えたが, 異性化物は認められなかった。一方, 2, 6-ジ-t-ブチルフェニルシアナートの場合にはレブチル基の大きな立体障害のため, 環化は顕著に抑制され光分解が優先し, 多量のポリフェニルエーテルおよび少量の2, 6-ジ-t-ブチルフェノールと4-シアノ-2, 6-ジ-t-ブチルフェノールが得られた。また, 光異性化および光脱プチル化も認められた。以上の実験結果に基づいて反応の諸過程を検討した。
  • 戸井 康雄, 規合 昌路, 去来川 覚三, 伏崎 弥三郎
    1967 年 88 巻 10 号 p. 1095-1099
    発行日: 1967/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ピリジン環を有するα, β-不飽和カルボニル化合物とパラ位にカルボキシル基, メトキシカルボニル基あるいはスルファモイル基などの電子吸引性基を有するアリールヒドラジン類との縮合, 環化反応を行ない3-ピリジル-1,5-ジアリ一ル-2-ピラゾリン誘導体を合成した。α, β-不飽和カルボニル化合物は塩基性触媒の存在下でアセチルピリジン類とベンズアルデヒドとの縮合反応によって得, これらのケトン類とρ-置換アリールヒドラジンを氷酢酸溶媒中で加熱還流して2-ピラゾリン誘導体を49~97%収率で得た。生成物は元素分析, Knorr呈色反応, 紫外および赤外吸収スペクトルによって確認した。生成物のケイ光スペクトルをアルコール溶液中で測定した。また生成物のうち一部のものについて, 核磁気共鳴スペクトルを測定しピラゾリン環の4-位に存在する2個のプロトンおよび5-位に存在する1個のプロトンについてそれぞれの化学シフトおよびプロトン間の結合定数を求めた。
  • 猪川 三郎, 尾形 強, 吉田 弘, 鈴木 新太郎, 鈴村 基, 山瀬 嘉明
    1967 年 88 巻 10 号 p. 1100-1103
    発行日: 1967/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    スピロ環状オルトエステルは三フッ化ホウ素-工一テル錯合体などの触媒の存在で開環重合し, 1,4-付加型重合物であるポリエーテルエステルを生成することが知られている。しかし, これらの反応機構についてはまだ報告がない。本論文においてはスピロ環状オルトエステルとエタノールとの開環反応機構について研究した。まず第一段階として著者らは1, 4, 6-トリオキサスピロ [4.6] ウンデカン (1) と大過剰のエタノール (2) とを三フッ化ホウ素-工一テル錯合体の存在で50℃で反応させた。この反応において主生成物は, 6-オキシカプロン酸β-エトキシエチル (5) とカブロラクトン (7) を経て生成されると思われる6-オキシカプロン酸エチル (4) であることがわかった。これらの結果から, 主要な開環経路は左図で示した (1) において, a-dとc-d切断であるように思われる。
  • 石川 延男, 小川 武志
    1967 年 88 巻 10 号 p. 1103-1106
    発行日: 1967/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    sym-トリクロルトリフルオルベンゼンをアルコール性アルカリと反応させるとフッ素の1または2原子が容易にアルコキシル塞によって置換された。
    2, 4, 6-トリクロル-3, 5-ジフルオルアニソールおよび2, 4, 6-トリクロル-5-フルオル-1, 3-ジメトキシペンゼンをメタノール中, ラネーニッケルおよび水酸化カリウムの存在下に室温で水素化し, 得られた脱塩素化物の構造をNMRスペクトルから明らかにした。その結果, 4, 6-位にある2個の塩素原子は水素によって置換されたが, 2-位にある第3の塩素原子はこの方法によって脱離させることはできなかった。
    2, 4, 6-トリクロル-3, 5-ジフルオルフユノールは2, 4, 6-トリクロル-3, 5-ジフルオルアニソールの脱メチルによって容易に合成することができた。
  • 田中 順太郎, 片桐 孝夫, 平林 忠道
    1967 年 88 巻 10 号 p. 1106-1111
    発行日: 1967/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    イソプレンと塩化ブレニルとを原料とし, テロメル化反応によってテルペン類を合成することを目的とする研究の一部として本研究を行なった。
    触媒として用いた過酸化ニヅケルは, 不均一系ラジカル開始剤として注目されている。これを用いた反応における各種の条件と収量, および平均分子量などに関する検討を行なった。生成物は硝酸鉛水溶液によって加水分解し, ガスクロマトグラフィーおよび赤外吸収スペクトルなどを利用して分析した。
    分析の結果, C10成分に関しては炭化水素として, ミルセン, ジペンテンが多く見られ, またアルコール成分としてはリナロールが主生成物であり, 他にα-テルピネオールが検出された。予想されたゲラニオールはほとんど検出されなかった。
    過酸化ニヅケルと同様の方法で調製した過酸化コバルトも同様に触媒として使用したが, 生成物中には炭化水素成分が多かった。またテローゲンとして塩化イソアミルなど飽和系化合物を用いた場合, 反応はほとんど進行しなかった。
  • 植村 栄, 中野 武, 市川 克彦
    1967 年 88 巻 10 号 p. 1111-1116
    発行日: 1967/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酸酢タリウム (III) による種々のケトンの酸化を酢酸溶媒中で行なった。出発物質と反応生成物を示す。アセトンからアセトキシアセトンとメチルグリオキサール。メチルエチルケトンから3-アセトキシ-2-ブタノンと1-アセトキシ-2-プタノン。ジエチルケトンから2-アセトキシ-3-ベンタノンと2, 3-ベンタンジオン。メチルイソプロピルケトンから3-アセトキシ-3-メチル-2-ブタノン。シクロペンタノン, シクロヘキサノン, シクロヘプタノンからそれぞれ2-アセトキシ化物。アセトフェノンからα-アセトキシアセトフェノン, α,α-ジアセトキシアセトフェノンとtrans-1, 2-ジベンゾイルエチレン。ρ-メチルアセトフェノンからα-アセトキシ-ρ-メチルアセトフェノンとtrans-1, 2-ジ-ρ-メチルベンゾイルエチレン。プロピオフユノンからαアセトキシプロピオフユノン。 イソブチロフェノンからα-アセトキシイソブチロフェノン。フェニルアセチレンからアセトフェノン, α-アセトキシアセトフェノンとα, α-ジアセトキシアセトフェノン。酸を加えると反応は速くなり, 塩基では影響がなかった。ベンゼン溶媒では収率は低く, エタノール溶媒では溶媒とタリウム (III) の反応が主となる。これらの結果を四酢酸鉛による場合と比較する。
  • 御園生 晃, 織方 郁映, 島田 邦彦
    1967 年 88 巻 10 号 p. 1116-1120
    発行日: 1967/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    過剰のナトリウム分散体の存在下で, アントラセン, ナフタリン, o-ジフェニルベンゼンおよびビフェニルのナトリウム錯体のテトラヒドロフラン溶液に0℃, 1atmで一酸化炭素を吹き込んだところ, いずれの芳香族炭化水素も一酸化炭素と反応し, ヒドロ芳香族アルデヒドの誘導体のほかに, いわゆる“ナトリウムカルボニル”の誘導体と考えられる水溶性物質も得られた。後者の生成量は芳香族炭化水素の電子親和力が小さい場合ほど多く, この場合の芳香族炭化水素は一酸化炭素とナトリウムの反応の触媒として作用したことを示唆した。
  • 伊藤 卓爾, 見城 忠男
    1967 年 88 巻 10 号 p. 1120-1122
    発行日: 1967/10/10
    公開日: 2011/05/30
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  • 佐々木 正
    1967 年 88 巻 10 号 p. 1122-1123
    発行日: 1967/10/10
    公開日: 2011/05/30
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  • 小松 寿美雄, 野村 俊明, 斉藤 実
    1967 年 88 巻 10 号 p. 1124-1126
    発行日: 1967/10/10
    公開日: 2011/05/30
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  • 中井 久純, 久司 佳彦, 黒谷 寿雄
    1967 年 88 巻 10 号 p. 1126-1127
    発行日: 1967/10/10
    公開日: 2011/05/30
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  • 清水 勇, 小門 宏, 井上 英一
    1967 年 88 巻 10 号 p. 1127-1128
    発行日: 1967/10/10
    公開日: 2011/05/30
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  • 1967 年 88 巻 10 号 p. A61-A66
    発行日: 1967/10/10
    公開日: 2011/05/30
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