日本化學雜誌
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88 巻, 12 号
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  • 一国 雅巳
    1967 年 88 巻 12 号 p. 1241-1250
    発行日: 1967/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    硫化物鉱床の化学的風化は, 二次鉱物および強酸性溶液の生成を含む複雑な過程である。この過程のもついちじるしい特徴は鉱床を形成する元素の分別である。一般的に亜鉛, 鉛, 銅などの元素は鉄に比較して溶液に濃縮する傾向がある。このことは遊離酸素や鉄 (III) イオンの存在によって特徴づけられる酸化的溶液中での硫化鉱物の溶解実験からは説明できない。しかしながら黄鉄鉱, 黄銅鉱混合物について行なった実験はその点で興味のある結果を与えた。遊離酸素を含む酸性溶液申では (Cu/Fe)soln/(Cu/Fe)ore,によって定義される鉄に対する銅の濃縮比は混合物のCu/Fe比, すなわち (Cu/Fe)oreの減少とともに増大する。これは少量の黄銅鉱を含む黄鉄鉱鉱石から銅が容易に水溶液へ抽出されることを意味している。鉄 (III) イオンはこのような選択的作罵を示さない。天然においては鉱物共存に基づく相互作用と遊離酸素の存在が硫化物鉱床の風化で重要な役割を演じており, 鉄 (III) イオンの効果はむしろ副次的であるごとが結論される。
  • 松林 玄悦, 川崎 吉包, 田中 敏夫
    1967 年 88 巻 12 号 p. 1251-1254
    発行日: 1967/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水-メタノール1:1混合溶媒中,イオン強度0.1,25℃の条件下で,亜鉛(II)およびカドミウム(II)-ピスアセチルアセトナト錯体生成にともなう熱力学的諸量の決定を行なった。pH測定法により錯体の一段と二段の安定度定数(K1,K2)を決定し,そしてそれらの値を用いて直接カロリメトリックに一段および二段の錯体生成のエンタルピー変化(-ΔH1,-ΔH2)を決定した。 K1,K2においては,カドミウム(II)の直は亜鉛(II)の値にくらべてやや小さい。そしてどちらの場合にもK2>K2なる傾向がみられる。
    -ΔH1,-ΔH2はともに小さく(1~2kcal/mol),-ΔH1〓-ΔH2である。両金属イオンにおいて,(logK2+logK2)の値にみられる差異は,-(-ΔH1+ΔH2)にはみられない。エントロピー変化においては,ΔS1,ΔS2ともに正の値であり,ΔS2〓ΔS2である。
  • 久保 健二, 荻野 一善, 中川 鶴太郎
    1967 年 88 巻 12 号 p. 1254-1259
    発行日: 1967/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリスチレン誘導体の溶液物性研究の一部として,ポリ(p-クロルスチレン)を取り扱い,高分子の理想配位,および溶液の熱力学的性質に対する極性置換基の影響を調べた。研究方法は沈殿点および固有粘度の測定である。著者らが得たΘ溶媒は,四塩化炭素および混合溶媒(四塩化炭素-トルエン)である。
    種々の無極性および有極性の溶媒中で10℃から55℃にわたり,固有粘度の温度依存性を調べることにより,高分子と溶媒の間の相互作用を表わすパラメーターを求めた。 これによるとベンゼンに対する混合熱の値と,トルエン,エチルベンゼンに対するそれとは,その大きさにおいて高分子と溶媒間のHildebrand solubility parameterの差,|δp-δs|から予想される傾向と逆にならている。また酢酸エステルは,この高分子に対して発熱的な溶媒であり,その発熱量は|δp-δs|とともに大きくなっている。
  • 菊池 誠, 及川 瑛子
    1967 年 88 巻 12 号 p. 1259-1267
    発行日: 1967/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アルコール-水混合溶液の粘度および密度を測定し,つぎのMacedo-Litovitz式を適用して,溶液内の分子状態と粘度の関係について考察した。
    η=Ao exp(Ev*/Rt+γVo/Vf)
    ηは粘度,Ev*はモルあたりの流動の活性化エネルギー,Tは絶対温度,Rは気体定数,Voはモルあたりめ固有容積,Vfは モルあたりの自由容積,γ は自由容積の重なりを補正するための係数で普通1に等しい。 Aoは定数である。アルコールのVoは熱膨張率から容易に求めることができる。VfはV-Voに等しい。Vはモルあたりの容積である。しかし水には多数の水素結合が存在しているため同じ方法で求めることはできない。本研究においてはNemethyとScheragaの提出したモデルに基づいて水のVo/Vfを求めた。
    またアルコール-水混合溶液の赤外および近赤外スペクトルから溶液中における各成分の分子状態について考察し,溶液Vo/Vfを求めた。Ev*/RTはVo/Vfと粘度の値を上式に代入して求めた。粘度とEv*/RTおよびVo/Vfの関係をみると,Vo/VfはE。Ev*/RTと同様に粘度に寄与しているが,Vo/Vfの組成による変化には一つの極大点があり,このことがアルコールー水溶液の精度に極大を生じさせるおもな原因となるごとがわかった。
  • 渡辺 テイ子, 野依 源太郎
    1967 年 88 巻 12 号 p. 1267-1270
    発行日: 1967/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    従来知られていたDLレグルタミン酸の結晶とは異なり,α 型光学活性グルタミン酸のラセミ混合物結晶に相当するDL-グルタミン酸の新結晶について報告する。この結晶はDL-グルタミン酸の熱水溶液をアセトン,メタノール,エチレングリコールなど水と混和する有機溶剤に添加してつくられる。この結晶をC型と命名する。
    結晶の外観,赤外吸収スペクトル図形,X線回折像などからC型結晶はα 型光学活性グルタミン酸のラセミ混合物結晶であると考えた。C型結晶の溶解度は次式で表わされる。
    logS=0.167t-0.0540(0~30℃)
    logS=0.156t-0.0212(30~70℃)
    C型結晶は50℃以上ではA型に,30℃以下では一水和物に転位する。C型結晶と光学活性α型,およびβ型との関係を三成分不均一系平衡の測定により明らかにした。
    以上の実験結果からC型結晶はα型光学活性体結晶のラセミ混合物であると結論した。
  • 鈴木 祝寿, 高桑 良一
    1967 年 88 巻 12 号 p. 1271-1276
    発行日: 1967/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    スチレンの重合に影響を与えるカーボンブラックの作用,とくに表面官能基との関連性について検討を試みた。 ブラック試料は市販品および実験室的に化学酸化,熱酸化ならびに加熱真空排気処理を行なったものを用いた。スチレンとブラックとを真空下で,膨張計に充テンし,50℃で重合率の時間的変化を測定し,誘導期と重合速度を求めた。得られた実験値はそれぞれブラックの重合禁止作用と促進作用の大きさに相当する。ついで両作用と表面官能基との関係を調べ,つぎの結果を得た。
    誘導期は,ブラック表面のキノン量約0.5meq/g以下ではほぼキノン量に比例するが,それ以上の領域ではキノン量の増加によってむしろ減少する。なおキノン比率(全酸素量に対するキノゾ量)と誘導期との関係を調べたところ,キノン比率が大きくなると禁止作用も大きくなることがわかり,さきのキノン量と禁止作用との関連性も,このキノン比率の概念を用いることにより,満足すべき説明が与えられた。
    重合促進作用は,キノン比率が大きくなると禁止作用と同様に大きくなること,そしてまた全酸素量が増加するとそれにつれて増加することがわかった。さらに禁止作用の大きいブラックは,一般に促進作用も大きかった。
    禁止作用は,ブラック表面のキノン基に起因するとのKrausの説に矛盾しなかったが,キノン比率の概念を用いることによって,キンン量と禁止作用および促進作用との相互関連性を明らかにすることができた。
  • 安河内 一夫, 小野 行雄
    1967 年 88 巻 12 号 p. 1276-1281
    発行日: 1967/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    前報で60Co-γ線照射によってジメチルホルムアミド(以下DMFと略記する)中のキノン系化合物が還元されることを認め,カルボニル基の還元に対する水酸基の影響および水素付加反応の機構をポーラログラフ法によって検討し,還元反応の速度比からHammett則にならって置換基の影響を求めることができた。そこで本報ではさらに種々の置換基を導入したキノン系化合物について,γ 線照射による還元反応の機構におよぼす置換基の影響および置換基定数,反応定数を検討した。
    その結果,
    1)アントラキノン系化合物の半波電位と置換基定数との関係から反応定数が求められ,第1段および第2段ともに反応定数p=1.125を得た。
    2)α -位に置換基をもつ化合物(オルト位の置換基効果)の置換基定数はHammettの定数からは求められないが,還元反応の速度定数から決定できた。
    3)β -位に置換基をもつ化合物(メタ,パラ位の置換基効果)の置換基定数は逆に還元反応の速度定数からは求められないが,Hammett則を拡張した湯川一都野式のσpo=σi+γoπおよびσmooi+γ'σπを用いてσoを計算することによって決定できた。
    4)水素付加反応の機構に対する置換,基の影響が認められ,1-ニトロアントラキノン,アントラキノン-2-カルボン酸はアニオンラジカルの状態でも水素付加が起るが,他の化合物はジアニオンの状態になってはじめて水素付加が起こる。
  • 四ツ柳 隆夫, 後藤 克己, 永山 政一
    1967 年 88 巻 12 号 p. 1282-1287
    発行日: 1967/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    チロンによるアルミニウムの紫外吸光光度定量法について検討した。チロンーアルミニウム錯体の組成は,pH5.5~7では1:2,pH8以上では1:3であり,その生成定数はそれぞれK1,2=1013.60,K1,3=109.88(0.1N 硝酸カリウム,20.0±0.1℃)である。1:2錯体(Al[C6H2(SO3)2O2]25-)は,波長258mμ および310mμ に吸収極大を有し,pH5.8~6.8でほぼ一定の吸光度を示す(310mμ で分子吸光係数約1.3×104)。Al3+イオンとの反応速度はきわめて大きく,反応は30秒以内に平衡に達し,4時間以上一定の吸光度を示した。
    一部中和したのち熟成した過塩素酸アルミニウム溶液とチロンの反応を検討した結果,チロンと瞬間的に反応する錯体(単核錯体と推定される)と,見かけ上,一次反応速度式および0次反応速度式にしたがう錯体(それぞれ異種の多核錯体と推定される)とが存在することがわかった。この性質を利用して,これらの錆体を速度論的に区別して定量する可能性について論じた。
  • 野崎 亨, 小柴 訓治
    1967 年 88 巻 12 号 p. 1287-1291
    発行日: 1967/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水溶液中のビスマス(III)のシクロヘキサンジアミン四酢酸(CyDTA),ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA),オキシエチルエチレンジアミン三酢酸(EDTA-OH),およびグリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)錯体の安定なpH 領域,組成,見かけの安定度定数およびモル吸光係数を紫外分光光度法により求めた。いずれもビスマス(III)とアミノポリカルボン酸とのモル比は1:1の一種であった。またあるpH領域ではプロトン錯体およびヒドロキン錯体が生成すると推定された。イオン強度0.50,20℃におけるCyDTA,DTPA,EDTA-OHおよびGEDTA錯体(BiX)の見かけの安定度定数logKBixはそれぞれ23.79,29.77,21.85および23.77の値を得た。またこれら錯体のモル吸光係数はそれぞれ,吸収極大波長267,277,260および270mμ で8.70,8.94,8.16,8.18×103であった。pH4.5でビスマス(III),DTPA錯体の280mμ における吸収を利用すれば,ビスマス(III)イオン0.6~13ppmの範囲で濃度と吸光度の間に直線関係が見られ,ビスマスの定量が可能である。鉄(III),ウラン(IV),バナジウム(V),銅(II),および水銀(II)は妨害する。
  • 飯盛 喜代春, 飯盛 和代
    1967 年 88 巻 12 号 p. 1292-1295
    発行日: 1967/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    銅(II)の分離定量にサリチルアルデヒド誘導体が用いられることはすでに報告してきた。これら試薬と銅との錯体は水に難溶性であり,銅(II)と特異的に反応するので,錯体をロ別したのち,重量分析によって定量できるが,微量の銅の定量には生成した錯体を酸で分解したのち,キレート滴定か吸光光度法が用いられる。しかし,この定量操作は面倒で時間もかかる。2-ビリジンカルパルデヒド誘導体は銅(II)と鋭敏に,選択的に反応して赤燈色の水溶性銅錯体を生成するので,この溶液の吸光度を測定して,迅速に微量の銅を定量することができる。また,これら試薬のエタノール溶液はほとんど無色で,銅錯体の吸光度測定の妨害とはならない。定量法は銅(II)の試料溶液のpHを3.5~4.4に調節したのち,銅の量の2~3倍(モル比)量の試薬を加え,ときどきふりまぜながら室温で約30~60分間反応させたのち,その溶液について,454,462,466mμにおける吸光度を測定し,これから銅の量が求められる。本試薬の特徴は生成した銅錯体が水溶性であるので抽出その他の操作の必要もなく,迅速に測定できるし,また錯体は安定であり,鉄(II)の妨害もない。pHを3.5~4.4に調節すれば,ニッケル,コパルトも妨害しないすぐれた試薬である。
  • 奥谷 忠雄, 伊藤 舜介, 内海 喩
    1967 年 88 巻 12 号 p. 1296-1299
    発行日: 1967/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水銀(II)唖硫酸の間で2:1の割合で生ずる錯体は,0.05~1mol/l硫酸容液中で長時間非常に安定であり,約237mμの波長に吸収極大を示すことを見いだした。この吸収を測定して微量(0.2~6×10-5mol/l)の亜硫酸を定量することができる。
    50mlのフラスコに試縮液と1×10-2mol/lの水銀(II)溶液5ml,および1mol/lの硫酸5mlを加え水で50mlに希釈し,237mμ あるいは250mμ の波長で吸光度を測定する。
    237mμ で吸光度を測定すると微量の盤イオンが亜硫酸の定量を妨害するが,250mμで測定すると塩素イオンの妨害なしに亜硫酸を定量することができる。Ba2+,Fe3+,S2O32-,CN-,VO3-,SCN-,NO2およびS2-は亜硫酸の定量を妨害する。
    種々の条件下で水銀(II)と亜硫酸の間で生ずる錯体の組成についても研究した。それぞれモル比で2:1,1:1および1:2である三つの錯体の存在が実験の結果わかった。
  • 上田 俊三, 山本 善一, 竹之内 仁志
    1967 年 88 巻 12 号 p. 1299-1302
    発行日: 1967/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ジチゾンクロロホルム溶液を内部指示薬としてモリブデン酸を硝酸鉛溶液で直接滴定する方法を検討した。酸化モリブデン (IV) 約10~70mgを含む試料溶液に酢酸アンモニウムを加え, 酢酸を用いてρHを4.8~5.5に調節する。これに0.03%ジチゾンクロロホルム溶液1mlを加え, 0.Ol~0.05mol/l硝酸鉛溶液を滴下してモリブデン酸鉛を沈殿させ, ジチゾンが紫色を経て赤紫色となる点を終点とする。ジチゾンの溶媒としてはクロロホルムがもっともよく, 四塩化炭素がこれにつぐ。ベンゼン, トルエン, キシレンなどは変色が緩慢で連続的であるため滴定の終点が捕捉し難く, 溶媒として不適当である。K+, Na+, Mg2+, およびNi2+はそれぞれ100mg共存しても滴定に差し支えない。Cu2+, Co2+, Zn2+, Al3+, Fe3+, Ca2+, Sr2+, Ba2+ イオンは妨害するが, あらかじめ強酸性陽イオン交換樹脂 (Amberlite IR-120, 100~200メッシュ) を用いて分離することにより, その妨害を容易に除去することができる。
  • 納谷 洋子, 小竹 無二雄
    1967 年 88 巻 12 号 p. 1302-1305
    発行日: 1967/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    日本産ホヅプ (Humulus lipulus L. ) “信州早生” の精油成分を精査した。この精油中から25種の化合物を確認したが, そのうち12種はすでにホップの精油成分として報告されているもの, 13種は新しく見いだされた成分である。
  • 高橋 成年, 萩原 信衛
    1967 年 88 巻 12 号 p. 1306-1310
    発行日: 1967/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    白金あるいはパラジウムのテトラキス (トリフェニルホスフィン) 錯体とフマル酸ジメチル, マレイン酸ジメチル, 無水マレイン酸などのような電子吸引性の置換基を有するオレフィンとの反応から, ビス (トリフェニルホスフィン) (オレフィン) 白金あるいは-パラジウム錯体を得た。ρ-ベンゾキノン, 1, 4-ナフトキノンなどとの反応からも同様なキノン配位錯体を得た。また配位子の交換反応から, これらのオレフィン配位錯体の安定性は, ジフェニルアセチレン<フマル酸ジメチル<無水マレイン酸の順に増大することがわかった。これらのオレフィン配位錯体の構造に関する若干の検討も行なった。
  • 島尾 一郎
    1967 年 88 巻 12 号 p. 1311-1314
    発行日: 1967/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ρ-トルエンスルホン酸の存在でベンジルアルコールによるペンゼンおよびトルエンのペンジル化について調べた。 反応中にトルエンスルホン酸ベンジルおよびジペンジルエーテルが生成している。未完結の反応物は蒸留時に突然反応し, ポリペンジルとρ-トルエンスルホン酸とを生成する。これはスルホン酸ベンジルの存在に起因する。反応中にできるエステルおよびエーテルもスルホン酸の存在でベンジル化を行なう。ペンジル化は水の存在によって阻害される。相対速度および異性体組成はガスクロマトグラフィーで測定された。競争実験による相対反応性紛kT/kBは4.2であり, フェニルトリルメタンの異性体組成はオルト体42.0%, メタ体6.5%, パラ体51.5%であった。これらの値は塩化ペンジル・塩化亜鉛などによるペンジル化の結果と一致した。ベンジル化の機構について若干の検討を行なった。
  • 嶋尾 一郎
    1967 年 88 巻 12 号 p. 1314-1316
    発行日: 1967/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ρ-トルエンスルホン酸-水和物の存在下でベンジルアルコールによるベンゼンのベンジル化反応において, 少量のフェニル-ρ-トリルメタンが副成する。その検出はガスクロマトグラフィーによって行なった。これは芳香族スルホン酸のペンジル化脱スルホン酸反応が起こったものである。この反応はベンジルアルコールと酸とから生じたペンジル陽イオンによるスルホン酸基の親電子的置換反応によるものであろう。ペンジル化脱スルホン酸反応におけるスルホン酸の相対的反応性を競争的方法で調べた。それは C6H5SO3H<ρ-CH3C6H4SO3H<2, 4- (CH3) 2C6H3SO3H であった。
  • 杉山 登, 青山 弘, 佐山 徳太郎, 山田 和俊
    1967 年 88 巻 12 号 p. 1316-1319
    発行日: 1967/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    エゴノキの果皮から2種のトリテルペン, エゴサポゲノール A(1) および B(2) を単離した。(1) およびその誘導体の融点, 比旋光度, NMRスペクトルから, (1) はbarringtogenol C(theasapogenol B) と同一物質であることが判明した。さらに (1) の種々の誘導体のNMRスペクトルから, (1)のC-21, C-22についた水酸基の立体配置がC-21-β, C-22-α であることが決定できた。また (1) のトリアセチル体の無水物が (2) のトリアセチル体と一致することから, (2) はbarringtogetnol Dと同一物質であることが明らかになった。
  • 山上 浩, 桜井 厚, 後藤 幹保
    1967 年 88 巻 12 号 p. 1320-1325
    発行日: 1967/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    天然プテリジン化合物の構造研究に, 質量スペクトルを利用する目的で, まず合成で得た簡単なプテリン誘導体, および2, 4-ジアミノブテリジン誘導体をアセチル化し, 質量スペクトルを測定し, そのフラグメンテーションの解析を行なった。
    プテリン, 6-メチルプテリン, 6, 7-ジメチルプテリンにおいては, 脱ケテン (-COCH2) ののち, ピリミジン環のHN3NC2からの開裂がおもに起こり, つぎにC4Oが脱離する。同時にピラジン環からの開裂も起こり,N8C7R (R=H, CH3) を脱離する。キサントプテリン誘導体では, N8C7R (R=H, CH3) の脱離からはじまり, またイソキサントプテリン誘導体では, ピラジン環からC7Oを脱離し, ブリン骨格を形成し, のちの開裂はグアニン誘導体の開裂と同じになることを見いだした。各化合物の質量スペクトルを図示し, そのフラグメンテーションを準安定イオンピークにより推定し, 考察を加えた。
  • 佐分 義正, 善本 知孝, 南 享二
    1967 年 88 巻 12 号 p. 1326-1329
    発行日: 1967/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    光照射によりω-フェノキシアセトフェノン (A) からアセトフェノンとフェノールとが生成する光エーテル開裂反応について, 置換基効果と溶媒効果とを調べた。ケトン (A) のフェニルエーテル核に置換基を入れた場合はいちじるしい効果が認められたが, フェニルケトン核中に置換基を入れた場合にはほとんど影響が認められなかった。前者の場合, 置換基の種類により, クロル基≦非置換基<メチル基<メトキシル基の順に原物質の分解量は増大していた。またその位置に関しては, 4-置換>2-置換>3-置換>2, 6-二置換の順位を示した。ベンゼン, トルエン, キシレン各溶液において溶媒効果を調べたところ, 原物質の分解量とフェノールの生成量とは溶媒に無関係でほとんど一定であった。しかし, アセトフェノンの生成量には溶媒効果が認められ, 水素放出性の溶媒ほど増大していた。
  • 神森 大彦, 山口 直治, 佐藤 公隆
    1967 年 88 巻 12 号 p. 1329-1330
    発行日: 1967/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 荻村 良子, 白沢 光代, 長島 弘三, 藤原 鎮男
    1967 年 88 巻 12 号 p. 1330-1332
    発行日: 1967/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1967 年 88 巻 12 号 p. 1332a
    発行日: 1967年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1967 年 88 巻 12 号 p. 1332b
    発行日: 1967年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1967 年 88 巻 12 号 p. A73-A77
    発行日: 1967/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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