日本化學雜誌
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88 巻, 4 号
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  • 斉藤 喜彦
    1967 年 88 巻 4 号 p. 367-380
    発行日: 1967/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    エチレンジアミン,プロピレンジアミン,シクロペンタンジアミンなどの二座配位子を含む各種のコバルト(II)錯体のX線結晶構造解析を行ない,その中の光学活性な錯体については絶対配置を決定し,これらの錯体の構造化学的な特性を明らかにすることができた。その結果[Co en3]3+,[Col-pn3]3+,[CoCl2l-pn2]+ の絶対配置が決定されたので,これを規準として他の多くの錯体の絶対配置がORD曲線の比較によって決定された。また,ORD曲線の比較によって錯体の絶対配置を決定する方法は従来は証明なしに用いられていたが,今回の[Co en3]3+,[Co l-pn3]3+の絶対配置の決定によってはじめてその裏づけが行なわれた。さらに有機化合物の絶対配置の系列と錯体のD,Lの絶対配置の関係が明らかになった。
  • 竹内 豊三郎
    1967 年 88 巻 4 号 p. 381-391
    発行日: 1967/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    金属触媒の活性を電子論の立場から説明しようとする研究は,主としてDowdenらにより種々の割合の銅・ニッケル合金を用いて行なわれた。その後同種の研究が多数行なわれたが,それらの結果の大部分は一致せず,ときには合金の特定領域に純ニッケルよりも大きな活性を見いだしており,Dowdenの説に不利な結果が多かった。このようないちじるしい結果の相異の起る理由およびDowdcn説の信頼性を検討する目的で本研究がなされた。種々の割合の銅・ニヅケル合金触媒を種々の操作でつくり,水素化反応に対する活性の比較,水素に対する吸着熱の測定,表層と内部における組成舗合の比較,および触媒の反応に対する不均一性などについて調べた。それらの結果から,従来の合金の均一説に反し,合金の組成が内部と表層とでいちじるしく異なることを結論した。また,吸着分子の一部のみがとくに反応に関与しやすいこと,低温度の合金蒸着膜の活性がいちじるしく大きいことなどから,活性を支配する因子として格子不整を考慮すべきことを提案した。
  • 稲垣 勝, 野島 秀元
    1967 年 88 巻 4 号 p. 392-395
    発行日: 1967/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    一有機化合物のゾーン精製に関する従来の研究は高純度物質を得るため,あらかじめ他の手段で十分精製し不純物濃度の微少な物質につき行なわれている。本方法を一般的な分離手段へと拡張するため不純物(溶質)濃度のかなり大きい混合物の分離,とくに異性体の分離に応用した。異性体混合物として,溶質として10~20%の m-体を含むp-ニトロフェノールを用いた。 ゾーンの長さ30mm,移動速度10mm/hrで5~20回通過させ分離効果を調べた。所定の回数ゾーンを通過させた試料はゾーンの長さに等しい30mmで10個の部分に分割し,おのおのについて赤外吸収スペクトルによる定量を行なった。いずれの試料も状態図から予想されるように偏析係数K<1であり,溶質は末端試料に向って濃縮され,初端部分が精製された。10%の灘一体を含むp-ニトロフェユノールにゾーンを20回通過させた場合,初端部分において99.4%のp-ニトロフェノールが得られた。このようによい分離が行なわれた。 なお,この試料を分離する際の有効偏析係数はSorensenの方法で0.73と求めた。
  • 鈴木 哲身, 管 孝男
    1967 年 88 巻 4 号 p. 395-400
    発行日: 1967/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 哲身, 管 孝男
    1967 年 88 巻 4 号 p. 400-403
    発行日: 1967/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酸性水酸基をもつ化合物とシアノコパルト(II)錯体が共存する水溶液中で,ブタジエンが水素ガスを導入しなくても水素化されブテン異性体を生成することを見いだした。硫酸水素カリウム,炭酸水素カリウム,リン酸二水素カリウム,ホウ酸,フェノール,クエン酸,フタル酸などが水素化試薬として有効であり,このような化合物が共存しないと水素化反応はほとんど起らないかあるいはその速度はいちじるしく小さい。生成したプテン異性体間の異性化反応は認められず,その分布は溶液中のシアン,コバルト,酸性水酸基をもつ化合物の量ならびに溶液のpHに依存した。酸性水酸基の酸素が2価コパルトイオンに配位し,コバルトから水酸基の酸素に電子移行が起ることにより水酸基の水素原子が離脱すると考え,水素化の選択性について可能な機構を議論した。
  • 中垣 正幸, 小林 征雄
    1967 年 88 巻 4 号 p. 403-407
    発行日: 1967/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    オルトリン醜二水素ナトリウム(NaH2PO4)およびオルトリン酸二水素カリウム(KH2PO4)を加熱して脱水縮合させ,それぞれGraham塩およびカリウムKurrol塩を合成した。これらのポリリン酸塩を臭化合物混合溶液に溶解して固有粘度を測定した。ポリリン酸塩の固有粘度は Na+ < K+ < (CH3)4N+ の順に大となるが,Ca2+の存在でいちじるしく減少した。このような変化は高分子鎖の切断によるものではなく,高分子鎖の拡がりの変化によるものであることが明らかにされた。
    また,臭化ナトリウム-臭化カリウムおよび臭化ナトリウム-臭化テトラメチルアンモニウム溶液に対するカリウムKurrol塩の溶解度を測定した。いずれの場合にも飽和溶液中においては,陽イオン比 a=[Na+]soln.は一定であり,a=0.591なる値が得られた。これを用いて溶解度を算出すれば,その値はx0=0~0.5の範囲では測定値とほぼ一致した。ただし x0 は溶媒中におけるK+または(CH3)4N+の当量分率である。x0がさらに大となれば,とくに(CH3)4N+の存在するときには,溶解度の値は上記の計算値よりも大となった。
  • 深尾 謹之介
    1967 年 88 巻 4 号 p. 408-412
    発行日: 1967/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    活性化の各段階にある一連の活性炭について,全細孔の孔径分布を著者が前報で発表したX線小角散乱の結果を利用して決定七た。すなわち水銀圧入法によって半径30Å以上の孔径分布を測定し,これに対して,すでに得られている小角散乱による半径数百Å以下の孔径分布を,半径100Åにおいて一致するように接続した。このとき真比重と見かけの比重との値から計算した細孔容積の値を利用したが,見かけの比重は特殊な比重ピンを用いた水銀置換によって測定した。このようにして得られた孔径分布は,いずれも孔径が小さくなるにしたがって単調に増加し,極大は存在しない。また水銀圧入法とX線小角散乱法との孔径分布は半径30~100Åの範囲で重複していて,この部分で両法の孔径分布にある程度不一致が認められるが,これは主としてink-bottle状の空孔のためと解釈される。以上の結果から活性化による変化を考察すると,孔径分布の変化は活性化によってまず微細孔が発生し,これが漸次拡がって大きくなる過程を示すと考えられる。比重,比表面積などの変化についても考察したが,それによってもこの解釈が妥当であることが認められた。
  • 新田 勝利, 須貝 新太郎
    1967 年 88 巻 4 号 p. 412-416
    発行日: 1967/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    L一アラニソとL一グルタミソ酸の共重合体をレアラニンのモル分率約30%まで4種類合成し,それらの水溶液中におけるヘリックス-コイル転移を25℃イオン強度0.2で電位差滴定によって研究し,ポリ-L-グルタミン酸のそれと比較した。非態における転移にともなうグラム残基あたりの自由エネルギー変化(ΔFres)を末端の影響を考慮に入れて変形滴定曲線から計算した。この値はアラニン含量の増加とともに減少しアラニン残基の転移による極限白由エネルギー変化(ΔFala)は約Ocal/molであった。Millerらのロイシン-グルタミン酸共重合体についての同様な研究の結果に末端の補正を加えてΔFlen≅-940cal/molを得た。グルタミン酸との共重合体におけるアラニンと導イシンの差はそれぞれの残基側鎖と主鎖との相互作用の差れ,およびそれぞの側鎖とグルタミン酸側鎖との相互作用の差が関係することが推論された。
  • 久保田 昌治, 樋口 泉
    1967 年 88 巻 4 号 p. 417-421
    発行日: 1967/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    同種の担体に異なる酸化物を同一方法で沈積した場合に,その分散状態に相違が生ずるかどうかを収着法で検討した。硝酸銅または硝酸ニッケルの溶液に,担体の多孔性バイコールガラスを浸漬し,一定時間後に取りだし,乾燥後加熱分解して試料を調製し,0℃でR一ヘキサンの収着および脱着等温線を測定した。酸化物の沈積量f(g/g-carrier)の増加にともなう等温線の変化を解析し,主としてBET容量am,飽和収着量asおよび毛管分布の変化,の3点から酸化物の分散状態を検討した。
    fの増加にともないamおよびa,は減少する。しかし沈積した酸化物の容積と飽和収着液容との和,すなわち全毛管容積はfにかかわらず一定になる。酸化銅の沈積にともなう勉の滅少量は,酸化銅が多孔性バイコールガラスを構成している単位粒子と単位粒子との接触域に,酸化ニッケルでは単位粒子の表面に均一に,沈積したとした場合の理論的減少量とともによく一致した。毛管分布の変化は上のおのおのの分散状態の傾向と一致した。
    両酸化物の分散状態の相違の起因について,酸化物を生成するときの硝酸塩の熱分解状態の違いの点から考察した。
  • 伊勢村 寿三, 池田 勝一, 箭田 槻
    1967 年 88 巻 4 号 p. 421-428
    発行日: 1967/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ボリ-L-プロリンはシス形ペプチド結合から構成されている I 形右巻きヘリックスとトランス形ペプチド結合から構成されているII形左巻きヘリックスとの2種の形態が存在する。低重合度のポリ-L-プロリンについてこれら2種の形態あ重合度による依存性を調べようとした。N-カルボキシ-L-プロリン無水物[A]をドデシルアミンを重合開始剤[I]としてポリ-L-プロリンドデシルアミド(PPDA)を合成した。末端基の非水滴定からPPDAの末端にはイミノ基をもつものの他にカルボキシル基をもつものも存在することが推論された。両者を考慮して計算したPPDAの数平均重合度はモル比[A]/[I]とほぼ一致した。固体状態のPPDAの形態をX線回折および赤外吸収スペクトルによって調べた。その結果重合度が低い試料はシス形よりもトランス形ペプチド結合の方がとりやすいことがわかった。有機酸および水申ではPPDAの変旋光が観測された,これらの溶媒中ではトランス形左巻きヘリックス(II形)は5残基のような低い重合度でもとりうる。さらに L-レプロリンのカルボペンゾキシオリゴペブチドを調べ,右巻きと左巻きが4残基ではじめて区別できることがわかった。
  • 安河内 一夫, 山口 博子, 小野 行雄, 占部 則明
    1967 年 88 巻 4 号 p. 428-432
    発行日: 1967/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    一般に非プロトン性溶媒中では,キノンは2段の1電子還元のポーラログラフ波を示し,第1,第2段の還元段階はともに可逆であることが認められている。
    そこで,カルボニル基の還元に対する水酸基の影響,とくに分子内水素結合への置換基の影響を解明する目的で,DMF申のオキシアントラキノン系化合物の半波電位をポーラログラフ法によって究明した。実験の結果
    1)第1, 2段還元段階の半波電位は,分子内水素結合があると陽電位に移行した。
    2)分子内水素結合の強度は,遊離の水酸基が置換していると弱められ,他の分子内水素結合があると強められた。
    3)DMF中の半波電位をHammett式に応用することができて,遊離の水酸基が存在する場合の第1段の還元段階のρ 定数は,0.25,第2段のρ定数は0.725であることを認めた。
    4)DMF中でのHammett式のσ定数の決定および水分の影響などについては,さらに検討する必要がある。
  • 武藤 義一, 高田 芳矩, 津田 博道
    1967 年 88 巻 4 号 p. 432-435
    発行日: 1967/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    液体クロマトグラフィーにおける電量的検出法を応用してハロゲンのイオン交換分離に対する種々の検討を行なった。すなわち,硝酸ナトリウム-アセトン-水および硝酸ナトリウム-ジオキサン-水系を溶離液として物を,塩素,臭素およびヨウ素イオンの混合物を,強塩基性イオン交換樹脂,Amberlite CG 400(100~200メッシュ;カラム:内径7 ,0mm,長さ175~180mm)で分離した。その結果,20%以上のアセトン-水あるいは20~60%ジオキサン-水を醗として用いれば,単一の溶謙でこれら三成分を容易に相互分離できることがわかった。また,これらの混合溶媒を用いると樹脂の老化もかなり防げることもわかった。さらに,分離性におよぼす硝酸ナトリウムの濃度の影響についても調べた。
  • 丸山 正生, 岡部 好雄
    1967 年 88 巻 4 号 p. 435-440
    発行日: 1967/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    デヒドロコール酸の直流および交流ポ一ラログラフ的挙動を検討した。その結果,非常に陰電位(-1 .95V vs. SCE)で非可逆な還元波を,それより陽電位で負テンサンメトリ三波を示すことを見いだした。還元波については,半波電位,頂点電位とも支持電解質濃度には関係なく一定であり,濃度と波高との関係は直流波, 交流波とも4×10-4~4×10-3mol/lの範囲で直線性を示した。律速過程は水銀圧の平方根と波高との比が一定値を示さないことから完全な拡散支配とはいえない。テンサンメトリー波については,一般に負テンサンメトリー波が示す挙動と一致した。濃度と波高との関係はLangmuirの吸着等温式にしたがった。したがって,単分子吸藩層を形成しているものと考えられる。またデヒドロコール酸の分子構造の立場から吸着構造について論議した。
  • 岡 好良, 原田 光
    1967 年 88 巻 4 号 p. 441-444
    発行日: 1967/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    精製した窒素気中で,銅(II)-カテコール系水溶液の吸収スペクトルを検討し,CuHL,CuL,およびCuL2型の3種のキレートの生成することを確認し,その安定度定数として,イオソ強度0.1,温度25.0°±0.1℃で,それぞれkcuHL=2.23×105,kcuL=7.52×1013,kcuL2=2.72×1010を得た。
    黄色のCuL2型キレートはpH4~5付近で生成するが,緑黄色のCuL2型キレートは,試薬が過剰に存在するとpH6~7で生成し,pH8ほどまで安定に存在する。
    カテコールの酸解離定数は既報と同様にして,pH滴定法により求め,イオン強度0.1, 25.℃±0.1℃でつぎの結果を得た。
    Ka1=4.63×10-10,Ka2=2,40×10-13
  • 松木 保夫, 藤枝 邦美
    1967 年 88 巻 4 号 p. 445-447
    発行日: 1967/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ハロゲン化 2-および3-チアナフテニルマグネシウムと二酸化炭素との反応は,転位反応をともなうので,ここでは比較の目的でハロゲン4~7-チアナフテニルマグネシウムについて,同様の実験を行なった。この結果,転位反応は起らずおもな反応生成物はピス-(チアナフテニル)(II)(収率30~40%)であり,チアナフテン酢酸(I)は4-1では35%,5-~7-Iでは1%以下であった。この事実は,ハロゲン化ベンジルマグネシウムの反応と同様である。またWurtz-Grignard合成で上記と同一のビス体,4.4'-(mp 161°~162℃),5,5'-(mp l93°~194℃),6,6'-(mp 195.5°~196.5℃),7,7'-(mp157.5°~158℃)-IIを合成した。さらに2-,2'-位のリチウム化物と二酸化炭素とから,おのおの対応するピス-ジカルボン酸(いずれもmp320℃以上)を調製した。
  • 和田 康夫, 小田 良平
    1967 年 88 巻 4 号 p. 447-454
    発行日: 1967/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    カルバミン酸エチル(以下ウレタンと略記す)とアルキルピニルエーテルとの三フッ化ホウ素工ーテル錯体による酸触媒テロメル化を研究した。ウレタンとメチルビニルエーテルからはN-[α-メトキシエチル]カルバミン酸エチル(II),1,1-ビス-[エトキシカルボニルアミノ]エタン(III),3-[エトキシカルボニルアミノ]-1,1-ジハキシブタン(IV),1,3,5-トリス-[エトキシカルボニルアミノ]-1-ハキシヘキサン(V),1,1,3,5-テトラキス-[エトキシカルボニノレアミノ]ヘキサン(VI)を得た。酸性下にケン化するとII,IIIからはアセトアルデヒドが,IVからは3-[エトキシヵルポニルアミノ]プタナールが,V,VIからは3,5-ピス-[エトキシヵルポニルアミノ]ヘキサナールが得られる。これらの生威物の構造から考えて1:1付加体であるIIがさらにメチルピニルエーテルと反応して1:2付加体を生ずる際のIIの三フッ化素触媒による開裂方向はメトキシアニオンの分離によるカルボニウムイオン CH3CH-NHCOOC2H5の生成が主体であると推定される。このことはIIとメチルビニルエーテルの三フッ化ホウ素触媒によるテロメル化によりIVおよび 5-[エトキシカルボニルアミノ]-1,1,3-トリハキシヘキサンが主生成物として得られることからも確かめた。テロメル化反応と平行して生成テロマーとウレタンの反応によりメトキシル基とエトキシカルボニルアミノ基の交換が起るために生成物は複雑である。反応温度,モル比,触媒量などの反応条件がテロマー収量におよぼす影響についても検討した。
  • 府川 秀明
    1967 年 88 巻 4 号 p. 455-459
    発行日: 1967/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    グルタミンを含む数種のオリゴペプチドを合成した。グルタミンペプチドの側鎖のアミド基の不安定なこと,結晶性が悪く溶媒に難溶なことなどの面を考え合成経路を設定した。カルボキシル末端をp-ニトロベンジルエステルとして保護し,主として混合酸無水物法とp-ニトロフェニルエステルの活性エステル法により縮合を行ない,絹-パラジウム触媒により還元して一挙に保護基をはずしてペプチドとする方法によった。これにより,L-グルタミニル-グリシン,L-ロイシル-L-グルタミニル-グリシン,L-ブロリル-L-グルタミニル-グリシン,L-グルタミニル-L-グルタミニル-グリシンおよびL-ロイシル-L-グルタミニル-L-プロリンを合成した。L-ロイシル-L-グルタミニル-L-プロリンは,側鎖アミドをキサンチル基で保護する下西らのカルボキシル末端グルタミンペプチドの合成法を拡大利用することによっても合成し,前法と比較した。
  • 府川 秀明
    1967 年 88 巻 4 号 p. 459-463
    発行日: 1967/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    主として前報で合成したグルタミンを含むペプチド水溶液を100℃に加熱した場合のグルタミン残基側鎖アミドの分解度およびペプチド分子の構造の変化を主としてアミド態窒素の消長とペーパークロマトグラフから調べた。グルタミンがN末端に存在する場合はその側鎖アミドは100%分解し,ピログルタミルペプチドとなる。ペプチドの中央に存在するグルタミンのアミド基はアルカリ側以外では安定であり,その安定度は隣接するアミノ酸の種類によった。C末端がグルタミソのべブチドの場合も中性では安定であるが,アルカリ側ではそのアミド基が優先的に分解し,グルタミン酸ペプチドが一部生成する。その分解度は隣接するアミノ酸残基Pre>Gly>Ala>Va1>Leuの順位であった。ポリグルタミンや=ムギグリアジンなどのポリベプチド鎖中においても側鎖アミド基は安定であった。グルタミソを中来に含むトリペプチドは,加熱によりペプチド結合の開裂が起り,グルタミンを含むジケトピペラジンとアミノ酸が形成された。Leu-Glu(NH2)-Gly→Leu-Glu(NH2)+Gly この反応はトリペプチドの一般的反応と考えられるが,その際も側鎖アミドは分解されない。またグルタミンペプチド水溶液では,α → γペプチド転移などほ認められなかった。
  • 黒木 正胤
    1967 年 88 巻 4 号 p. 463-468
    発行日: 1967/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    置換カルバゾールについて,3-置換体9種,9-置換体13種の紫外吸収スペクトルを測定した。カルバゾールの291mμ 吸収に対応する各置換体の吸収位置はHammettのσp定数と良好な直線関係を示した。この直線関係からかたよりを示す3-置換ハロゲン誘導体については,電気陰性度とのプロットが直線を与え,さらにσIプロットの考察から,共鳴効果の寄与が大きいと考えられ,カルパゾールのハ惇ゲン化における特異性を説明し得る。また,3-置換体のジオキサン溶液のスペクトルにみられる溶媒効果や9-置換体およびモデル化合物のスペクトルなどを考えあわせ,カルバゾールの反応性や電子状態との関連について考察した。
  • 嶋尾 一郎
    1967 年 88 巻 4 号 p. 468-470
    発行日: 1967/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 佐藤 公隆, 荒川 基一
    1967 年 88 巻 4 号 p. 470-471
    発行日: 1967/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 水田 泰一, 管孝 男制
    1967 年 88 巻 4 号 p. 471-473
    発行日: 1967/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 野村 俊明
    1967 年 88 巻 4 号 p. 473-475
    発行日: 1967/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 田中 虚一, 田中 正子, 土 屋替, 上松 敬嬉, 田丸 謙二
    1967 年 88 巻 4 号 p. 475-476
    発行日: 1967/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 柿沢 寛, 池田 昌明
    1967 年 88 巻 4 号 p. 476-479
    発行日: 1967/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 石川 延男
    1967 年 88 巻 4 号 p. 479-480
    発行日: 1967/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1967 年 88 巻 4 号 p. A25-A30
    発行日: 1967/04/10
    公開日: 2011/05/30
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