一般に非プロトン性溶媒中では,キノンは2段の1電子還元のポーラログラフ波を示し,第1,第2段の還元段階はともに可逆であることが認められている。
そこで,カルボニル基の還元に対する水酸基の影響,とくに分子内水素結合への置換基の影響を解明する目的で,DMF申のオキシアントラキノン系化合物の半波電位をポーラログラフ法によって究明した。実験の結果
1)第1, 2段還元段階の半波電位は,分子内水素結合があると陽電位に移行した。
2)分子内水素結合の強度は,遊離の水酸基が置換していると弱められ,他の分子内水素結合があると強められた。
3)DMF中の半波電位をHammett式に応用することができて,遊離の水酸基が存在する場合の第1段の還元段階のρ 定数は,0.25,第2段のρ定数は0.725であることを認めた。
4)DMF中でのHammett式のσ定数の決定および水分の影響などについては,さらに検討する必要がある。
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