日本化學雜誌
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88 巻, 5 号
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  • 中垣 正幸
    1967 年 88 巻 5 号 p. 481-496
    発行日: 1967/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    最近Mie理論を用いて,球形粒子の分散系の散乱光強度および濁度の理論値を電子計算機によって算出することが広く行なわれるようになった。しかし本論文では,Mie理論をこれらの量の計算に用いるのみならず,さらにMie関数の実数部分がコロイド系の屈折率に,また虚数部分が光学密度に関連することを利用して,コロイド系の光学的性質を論ずるためにもMie理論を用いた。その 結果を応用してコロイド系の屈折率の粒径依存性を示し,また粒子の大きさの測定法として前方散乱法,後方散乱法,非対称法,極大-極小法および高次チンダルスペクトル法,波長指数法などの理論的基礎を示し,新しい実験法を提案した。また多分散系および着色系について詳細に論じた。さらに,粒子の大きさの測定には前方散乱を用いるのがもっとも有利であるとの結論に基づいて,光の小角散乱を詳細に研究し,コロイド系への二重外挿法の応用,異方性の影響,粒子の配向の研究における小角写真法の有用性についても述べた。
  • 石井 康敬, 松浦 郁也
    1967 年 88 巻 5 号 p. 497-501
    発行日: 1967/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    各組成比のアルミナーモリブデナ触媒について水素の吸着を行なうとともに,触媒中の結合モリブデンおよびESR吸収から求めたMo5+との関係を検討した。水素の飽和吸着量は0.3~19.2cc/gであり,水素の吸着熱は15~23.6kcal/mo1であった。これらの値はアンモニア水による遊離酸化モリブデン(VI)溶出触媒においても変わらず,水素の吸着はアルミナとの結合モリブデンで行なわれているものと考えられる。触媒中のMo5+含量と水素の飽和吸着量との間には比例関係が成立し,一方,水素の吸着熱は触媒中の結合モリブデンとMo5+の比に比例する。また水素を吸着させた触媒のESR吸収から,水素の吸着量が増大するにしたがいMo5+のシグナルが強くなることがわかった。これらのことから,アルミナ-モリブデナ触媒による水素の吸着は結合モリブデン中のMo5+の占める割合と密接な関係があると考えられる。
  • 野村 浩康, 宮原 豊
    1967 年 88 巻 5 号 p. 502-504
    発行日: 1967/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    パルス法による超音浪吸収測定装置を作製し,20Mcで高分子溶液の超音波吸収を測定した。ポリスチレンのトルエン溶液の超音波吸収量α/f2は濃度に対して直線的に増加せずに折点が現われた。この折点の濃度は分子量が高くなるにつれて,低濃度側に移動した。この濃度より高い濃度では,超音波吸収量α/f2は溶質,高分子の分子量に無関係になった。これはポリスチレン分子鎖がトルエン溶液中で,ある濃度でentanglementするためと考えた。
  • 野村 浩康, 宮原 豊
    1967 年 88 巻 5 号 p. 504-506
    発行日: 1967/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水溶性高分子であるボリエチレングリコール,ポリアクリルアミド,ポリビニルアルコール,メチルセルロースの微分比圧縮率を5℃から55℃までの温度範囲で測定した。いずれの高分子も水溶液中で水和水を持ち,温度の上昇とともに水和水を失なっていくエンタルピー的水和を示した。ポリビニルアルコールは25℃以上では温度の上昇とともに水和量を増した。同じ現象は35℃以上のメチルセルロースにも見られ,これらは溶液中で高分子鎖が網状構這をとりはじめ,この構造が温度とともに発達し,分子鎖内に水分子をたぐりこむためであると考えた。
  • 渡辺 昌, 松本 陸朗, 玉井 久子, 後藤 廉平
    1967 年 88 巻 5 号 p. 507-512
    発行日: 1967/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    油一水界面における電気二重層構造を論じるため,種々の無機電解質水溶液(水相)と界面活性剤を含む油相との界面の電気毛管曲線を測定した。水相がハロゲソ化カリウムを含むとき,油相中のセチルピリジニウムクロリド,または,セチルトリメチルアンモニウムクロリドの吸着による負分極側における界面張力の低下は,結晶イオン半径の大きなアニオンによって強く抑制される。このことは吸着した界面活性剤イオンが対イオンの結合によって中和されたことを示す。油相にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが含まれるときには,正の分極領域で界面張力が低下するが,種々の2価のカチオンによるこの低下の抑制効果の順序は,コンドロイチン硫酸とそのカチオンとの間の結合力の順序と一致した。また原子価の高いカチオンが強い結合を示すことも見いだされた。これらの対イオン結合はすべて,界面において配向した界面活性剤の極性基がその水相側に透入していることを示す。 対イオン結合は静電引力と化学親和力とによって起るものと考えられるが,これに関連して結合の自由エネルギーの計算をも行なった。
  • 大杉 治郎, 佐々木 宗夫, 大西 一郎
    1967 年 88 巻 5 号 p. 512-516
    発行日: 1967/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    溶存酸素の存在のもとで,1~3000kg/cm2の圧力下において,96vol%エタノール-水溶液中での o,o'-ヒドラゾトルエンの転位および酸化反応の速度を測定し,得られた活性化エンタルピー,活性化エントロピーおよび活性化体積の値から.その反応機構について考察した。転位反応には[H+]に関して一次の反応と二次の反応とが併発しており,いずれも加圧下において加速され,[H+]に関して二次の反応においては,第2のH+ の付加する段階は予備平衡にあるものと思われる。また酸性溶液中,転位と併発して進む酸化反応にも,[H+]に無関係な反応と[H+]に逆比例する反応とが併発しており,いずれも加圧下において加速され,そのきわめて大きな負の活性化体積から,両反応ともそれぞれイオン的な活性錯合体を経て反応が進むものと思われる。
  • 大杉 治郎, 北村 揚一
    1967 年 88 巻 5 号 p. 516-518
    発行日: 1967/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    本実験では,プミロース-ヨウ素錯体の水溶液の可視吸収スペクトルを4000 kg/cm2までの圧力をかけた状態で測定した。その結果,圧力の増大とともに620mμ の吸収強度が減少すること,さらにこの減少には履歴効果があることがわかった。
    粘度測定や,アミロースだけの溶液に圧力をかけた場合の結果と比較することによって,この滅少はアミロース分子のヘリックス構造からランダムコイル構造への転移によるものでないことがわかった。錯体を形成していないI2とI3-との平衡は,圧力下でI3-の方に移動することが知られており,この移動にともなって,錯体をつくっているヨウ素が錯体から遊離して,そのために吸収強度が減少するものと定性的に考えることができる。
  • 藤田 孟
    1967 年 88 巻 5 号 p. 519-522
    発行日: 1967/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    塩化鉄(III)水溶液をAmberlitcIRA-410(OH型)により静的にイオン交換して調製された酸化鉄ゾルに,各種の有機酸ナトリウム(コハク酸,リンゴ酸,酒石酸およびクエン酸塩)水溶液を加えて,酸化鉄ゾルに対するこれら有機酸塩の影響を調べた結果つぎのことが明らかになった。(i)正電荷を帯びた酸化鉄ゾル(Fe=11.5mg/ml, pH=5.60)では,鉄(III)に対する添加有機酸塩のモル比(A/Fe)が1×10-2付近において粘度の増大ののちに凝析が観察され,ついでゾル液のPHの急激な上昇がみられた。 酒石酸塩とクエン酸塩添加の場合には,A/Feが約1×10-1以上になると,凝析したゾルはふたたび解膠した。コハク酸塩とリンゴ酸塩では,A/Feが1×10-2~5×10-tの範囲において解膠は認められなかった。(ii)デキストランの共存下で調製された酸化鉄ゾルにクエン酸ナトリウムを添加した場合,(a)正電荷を帯びたゾル(Fc=14.2mg/ml,pH=4.60)では,A/Feが1×10-2以上でゼリーとなり1×10-1以上でふたたび解膠し,この過程における粘度とpHの変化に対してデキストランはほとんど影響を与えない。(b)負電荷を帯びたゾル(Fe=18.9mg/ml, pH=8.01)では,粘度は低下しA/Fe3×10-2以上で一定となった。(iii)クエソ酸ナトリウムにより解膠されたゾル(Fe=11.5mg/ml,A/Fe=8.5X10-2)はpH4~9の範囲において負電荷を有することが,電気泳動と凝析価の測定から確認された。
  • 山田 晃, 増田 尚, 坂田 巌, 滝下 幸男, 広江 捷宏, 小出 力, 小田 孜
    1967 年 88 巻 5 号 p. 522-524
    発行日: 1967/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ハロゲン原子またはメチル基によるエタンの六置換誘導体の融点直下の固相の多くは柔粘性結晶であるが,それらの固相における分子間力ならびに分子運動の様相を研究する目的で,ともに柔粘性結晶であるCl3C-C(CH3)2ClとCl3C-C(CH3)2Brの二成分系をとりあげ,その第一段階として示差熱解析法により圃相における相図の作成を行なった。 その結果,この系では組成の全領域にわたって固溶体が形成されることがわかった。また固相転移も全組成領域で認められた。粉末X線写真法による研究の結果,組成による面の位置の変化は直線関係を示し,Vegardの規則がなり立っている。
  • 加藤 忠哉, 高橋 彰, 永沢 満, 香川 硫美
    1967 年 88 巻 5 号 p. 524-527
    発行日: 1967/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ガラスの屈折率と近似した屈折率を有する液体を満たした恒温槽にセルを入れるいわゆるSofica形の特徴を取り入れて,低角度における光散乱の測定を行なうために,18°までの散乱光測定が可能なように島津光電式光散乱光度計の改良を行なった。この改良装置を用いて単分散ポリ-α-メチルスチレソの低角度散乱の測定を行なった。高分子量の単分散高分子鎖のひろがりを求めるためには,35°以下の低角度の散乱光測定が必要であることがわかった。さらにDebyeのParticle Scattering Factorは単分散ポリ-α-メチルスチレソの実験とよい一致を示している。
  • 高橋 浩, 西村 陽一
    1967 年 88 巻 5 号 p. 528-532
    発行日: 1967/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    結晶度の異なる数種のカオリン鉱物およびアロフェンからのA型ゼオライトの生成の過程をX線回折および電子顕微鏡法によって研究した。すべてのカオリン鉱物およびアロフェンは常圧下において水酸化ナトリウム水溶液で処理すると,最終的にはヒドロキシソーダライトに変化する。これらの構造変化はつぎのような過程をとる。カオリン鉱物アロフェン → 無定形状態 → Na-A型ゼナライト ↓ ヒドロキシーダライトNa-A型ゼナライトの生成は水酸化ナトリウム水溶液の濃度,水酸化ナトリウム量,処理温度および処理時間に依存するが,もとのカオリン鉱物の結晶度の低いほど,A型ゼオライトは生成しやすい。結晶度の低いカオリン鉱物およびアロフェンを用いることによって,これらの構造を無定形にする前処理をまったく行なうことなしに,Na-A型ゼオライトを合成することが可能である。
  • 小沢 丈夫
    1967 年 88 巻 5 号 p. 532-537
    発行日: 1967/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    簡単な構造の0.5ないし3mg程度の試料で測定できる微量示差熱分析装置について,理論的にその特性を概算し,その結果に基づき装置を試作した。試料量および昇温速度に対する融点の測定値の依存性を検討し,試料内温度分布を考察した。さらに,ピーク面積・応答時間を測定し,ピーク面積と試料量とが比例することを数種の試料で確かめ,ピーク面積の熱量に対する比例係数を求めて,その温度依存性を示した。比例係数とその温度依存性および応答時間は理論から計算された値とほぼ一致し,理論の有効性が実証された。精製の多段階で得られた試料を測定して,純度の向上による示差熱分析曲線の変化の典型的な例を示した。最後に,これらの結果から装置の標準化について論じた。
  • 安河内 一夫, 小野 行雄
    1967 年 88 巻 5 号 p. 538-542
    発行日: 1967/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    非プロトソ性溶媒中でのアントラキノン誘導体のポーラログラフ的還元は2段の1電子還元で,しかも両還元段階は可逆であることがすでに確立されている。また,キノン形は2電子をとって容易にキノール形になろうとするが,その過程は置換基の1効果の強さによって左右される。そこで,DMF中でのアントラキノン誘導体の還元電位をポーラログラフ法で測定し,カルボニル基の還元への置換基のI効果について検討した。-実験の結果- 1)アントラキノン誘導体の還元電位は+E効果で陽電位,-E効果で陰電位に移行した。2)第1,2波の還元電位はAQを中心として左右にわかれるが,第2波はAQを中心として二つの直線となった。3)置換基のI効果の強さによって,還元電位の移行および最初に還元される位置などの実験結果を説明することができた。
  • 小松 寿美雄, 野村 俊明
    1967 年 88 巻 5 号 p. 542-545
    発行日: 1967/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水銀(II)はフタレイン・コソプレキソン(PC)と反応して赤紫色の可溶性錯体をつくるので,この吸光度を測定して水銀の吸光光度定量を行なった。水銀(II)試料溶液を50ml メスフラスコにとり,炭酸ナトリウム-炭酸水素ナトリウム緩衝液 20mlでpH 9.6~10.3に調整後,PCメタノール溶液を加えて発色させ,水で標線までうすめ,約 15分放置後,試薬ブランク液を対照にして,波長 583mμ で吸光度を測定する。水銀 5~200μg/50mlの濃度範囲でBeerの法則がよく成立する。このときのモル吸光係数は 5.26×104であり,錯体の組成はモル比1:1である。また水銀 98.6μg を採用したとき,吸光度の標準偏差は 0.0045,変動係数は 0.87%であって,再現性もよい。この定量法ではシアン,ヨウ素およびイオウの各陰イオン,銀(I),ニッケル(II),亜鉛(II),銅(II),カルシウム(II),マグネシウム(II),マンガン(II),カドミウム(II)などが妨害する。これらのうち銀(I)以外の陽イオンは,水銀(II)の発色をヨウ化カリウムで隠蔽した試料溶液を対照にすると,これらイオンによる呈色が償却されて妨害しないことになる。
  • 内海 喩, 磯崎 昭徳
    1967 年 88 巻 5 号 p. 545-549
    発行日: 1967/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    さきに著者らの報告したホウ素の溶媒抽出法を応用して,天然水中の微量のホウ素を迅速に定量する条件を検討し,つぎの操作を得た。ボリエチレン製分液漏斗に河川水10mlをとり,これに1N硫酸 3mlと 0.001mol/lのメチレンブルー溶液 3mlとジクロルエタン 10mlを加え,アルキルベンゼンスルホン酸イオンなどをジクロルエタン相へ抽出するため,その混合液を1分間ふるりまぜる。分離後の水相に5%フッ化水素酸 3mlを加え塒間放置する。生成したメチルブル・テトラフルオロホウ酸の錯塩をジクロルエタン10ml中に抽出し,有機相を硫酸銀溶液 5mlで洗浄する。ジクロルエタン相の吸光度を波長660mμ で測定する。雨水あるいは海水中のホウ素は前報の操作により,雨水はそのまま 10mlをとり,海水は50倍に希釈したものを10mlとり定量する。また種々の共存イオンの影響についても詳細に検討を加えた。本法で天然水中の0.005~5mg/lのホウ素の定量が可能であり,満足すべき結果を得た。
  • 去来川 覚三, 川合 昌路, 吉田 淑則, 伏崎 弥三郎
    1967 年 88 巻 5 号 p. 550-553
    発行日: 1967/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-メチル-5-エチルピペリジン(I)からIV-ベンゾイルオキシアルキル-2-メチル-5-エチルピペリジン類を合成した。1Iエチレンクロルヒドリンとの反応により N-(β-オキシエチル)-2-メチル-5-エチルピペリジソ(II)を66%の収率で得た。Iとアクリル酸エチルとの付加反応では N-(β-エトキシカルボニルニチル)-2-メチル-5-エチルピペリジン(III)を82%の収率で得た。IIIを水素化アルミニウムリチウムで還元すると80%の収率で N-(γ -オキシプロピル)-2-メチル-5-エチルピペリジン(IV)が得られた。IIおよびIVを塩化ベンゾイルによりアシル化すると,それぞれ62%および64%の収率で N(β-ベンゾイルオキシエチル)-2-メチル_5_エチルピペリジン塩酸塩(V)および N-(γ-ベンゾイルオキシプロピル)-2-メチル-5-エチルピペリジン塩酸塩(IX)が得られた。N(β-ニトロベンゾイルオキシエチル)-2-メチル-5-エチルピペリジン塩酸塩類は,塩化 o-, m- あるいは p-ニトロベンゾイルによりIIをアシル化して55~67%の収率で得られ, N-(γ-ニトロベンゾイルオキシプロピル)-2-メチル-5-エチルピペリジン塩酸塩類は,IVを塩化 o-,m-あるいは p-ニトロベンゾイルによりアシル化して72~83%の収率で得られた。VおよびIXのニトロ置換体を,酸化白金の存在下で還元すると58~77%の収率で,相当するN-(β -アミノペソゾイルオキシエチル)-2-メチル-5-エチルピペリジソ塩酸塩および N-(γ-アミノベンゾイルオキシプロピル)-2-メチル-5-エチルピペリジン塩酸塩が得られた。
  • 去来川 覚三, 川合 昌路, 伏崎 弥三郎
    1967 年 88 巻 5 号 p. 553-556
    発行日: 1967/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    イソシンコメロソ酸モノエステルおよびそれらの誘導体を合成した。少量の硫酸の存在下でメタノール溶液中でイソシンコメロン酸(I)の部分エステル化を行なうと,Iの2-モノメチルエステル(IIIa)が得られた。イソシンコメロン酸字メチルエステル(IIa)を計算量の水酸化カリウムによりメタノール溶液中で部分加水分解すると,Iの5-モノメチルエステル(IVa)が得られた。エタノール溶媒中で同様に反応を行なうとIの2-モノエチルエズテル(IIIb)および5-モノニチルエステル(IVb)が得られた。IIIa.IIIb,IVaおよひIVbは,ヒドラジンヒドラートにより相当するIのモノヒドラジドとなる。IIIaおよびIVaをエステルエステル化すると,いずれもジメチルエステル(IIa)を生じた。6-メチルニコチソ酸メチルエステルを二酸化セレンで酸化すると 6-ホルミルニコチン酸メチルエステル(X)となった。Xを過酸化水素で参加した生成物は,モノメチルエステル(IVa)と同一物となった。Xと2,4-ジニトロフェニルヒドラジンとの反応によってXの2,4-ジニトロフェニルヒドラジンが得られた。エタノール溶媒中10%シアン化カリウムを用いてXを縮合すると,5.5'ジメトキシカルボニル-α-ピリドインが得られた。
  • 佐分 義正, 南 享二, 善本 知孝
    1967 年 88 巻 5 号 p. 557-560
    発行日: 1967/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ω-(フェノメトキシ-フェノキシ)-アセトフェノン(Ib)0.05mal/lジオキサン溶液をパイレックス試験管中で,窒素気流下,450W高圧水銀灯を用いて照射した。分解生成物として,アセトフェノン(II),およびグアヤコール(II,R=o-メトキシ)を単離,固定した。この結果,Ibはカルボニル基のγ 位炭素に水素がないにもかかわらず,エーテル結合で光分解することが明らかとなった。なおIbのカルボニル基を還元したアルコール(IV)では,光分解は起らないので本反応にはカルボニル基が関与している。さらに,フェニルエーテルのフェニル核に位置を異にして置換基を入れた化合物で,光照射によるアセトフェノン生成量を比較した。・この結果,4時間照射における生成比は,非置換の場合を1.0とするとメトキシ基置換によりいちじるしく増大し,o-,p-位で5.0,5.1,m-位で2.0となった。またニトロ基置換では,o-,m,p-位いずれでもほとんど0.0であった。なお本反応の分解機構は目下検討中である。
  • 安里 龍, 駒野 照弥, 奥山 典生, 佐竹 一夫
    1967 年 88 巻 5 号 p. 560-565
    発行日: 1967/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    従来,グルコースの特異的な定量法としてグルコースオキシダーゼ-ペルオキシダーゼを酵素系とし,o-ジアニシジソを水素供与体として用いる比色法が用いられてきた。この方法のペルオキシダーゼのかわりに,銅イオン-ヒスタミン系という酵素モデルを用いる定量法を考えた。まず,銅イオン-ヒスタミソ系のペルオキシダーゼ作用を検討し,水素供与体としてはインジゴカルミンを用いてグルコースおよびグルコースオキシダーゼの定量についての諸条件の検討を行なった。この結果,ここに述べた定量法は,感度,簡便性,特異性,再現性などの点ですぐれたものであることがわかった。とくに特異性の点ですぐれており,グルコースの定量の場合マルトースがかなり多量に存在しても影響を与えない。
  • 野市 勇喜雄
    1967 年 88 巻 5 号 p. 565-569
    発行日: 1967/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    塩化銅(I)の存在において,フルフラールはジアゾ酢酸メチルと反応して,2,4-ジフリル-5-メトキシカルボニル-1,3-ジオキソラソの2種の異性体を与えた。しかし,ジアゾメタンとの反応では4,5-ジフリル-1,3-ジオキソランと2,4-ジフリル-1,3-ジオキソランを与えた。クロトンアルデヒドとベンズアルデヒドもまたジアゾメタン,ジアゾ酢酸メチルと反応して,それぞれ相当する2,4-二置換体と4,5-二置換-1,3-ジオキソランの2種の異性体を与えた。しかし,ジフェニルジアゾメタンとフルフラールとの反応では1,3-ジオキソランは得られなかった。以上の結果から,塩化銅(I)の存在でジアゾ化合物の分解で生ずるカルベンと塩化銅(I)との錯体がアルデヒドのカルボニル結合と親電子的に反応して,4員環中間体を生成するものと考えられる。この中間体はさらに分解して2種の1,3-双極子中間体,すなわちベンジルカチオン型のものとべソジルアニオン型のものとを生成する。前者はさらに1分子のカルボニル化合物と反応して,2,4-置換-1,3-ジオキソランを,後者は4,5-置換体を与える。これらの生成物ゐ生成比は1,3-双極子中間体の安定性に支配されるものと思われる。
  • 林 雄二, 加藤 正彦, 三輪 外史郎, 目 武雄
    1967 年 88 巻 5 号 p. 569-573
    発行日: 1967/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    パラコン酸誘導体(III)から,無水フッ化水素の作用でトリメトキシペソゾシクロヘプテノン誘導体を合成し,これをさらにケトラクタム(VII)に導いた。VIIは容易にカルボニル基に隣接するメトキシル基の脱メチル化を起して,4-オキシケトラクタム(VIII)を生じる。IV,VII,VIIIでは,それぞれラクトン環またはラクタム環接合部の立体構造の違いによる2種の異性体が分離されの反応のようすや,相互変化,スペクトルの結果の考察からそれぞれの異性体に対応する立体構造式をあたえた。
  • 水田 泰一, 鈴木 哲身, 管 孝男
    1967 年 88 巻 5 号 p. 573-574
    発行日: 1967/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 平尾 一郎
    1967 年 88 巻 5 号 p. 574-575
    発行日: 1967/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 中埜 邦夫, 高田 健夫
    1967 年 88 巻 5 号 p. 575-576
    発行日: 1967/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1967 年 88 巻 5 号 p. A31-A36
    発行日: 1967/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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