ファーネスブラック(Philblack-Oを使用)を出発物質として,化学酸化処理および熱酸化処理を加え,得られた酸化ブラックについて真空熱分解ガスを測定して全酸素量[O
T]=CO
2+1/2COを求め,NaBH
4によるキノン量,NaHCO
3による強酸性度,ポーラロによる-COOH基,Ba(OH)
2,による全酸性度,Grignard法による活性水素などの測定を行ない,酸化による表面官能基の変化について検討しつぎの結果を得た。化学酸化として硝酸酸化法を用い,HNO
3濃度1.7~13N,反応時間1~3時間,温度30°~120℃の範囲で実施し,[O
T]として0.37~225のものが得られた。[NaBH
4]/[O
T]は[O
T]の増大とともに減少を示し,真空熱分解による二酸化炭素の放出は低温度からの開始が見られ,[CO
2]/[O
T]は得られた化学酸化ブラックのすべてを通じてほぼ一定値(約0.4)を示した。熱酸化はMufflc炉により200°~500℃で20,40,60分間空気中で実施され,[O
T]として0.33~2.64のものが得られた。[NaBH
4]/[O
T],および[CO
2]/[O
T]はともに化学酸化ブラックより小であり[CO]/[O
T]は逆に大なる数値を示した。二酸化炭素の放出は化学酸化のものと異なり,チャソネルブラックと類似して500℃付近で最大値を示した。 さらにすべての酸化ブラック中から[O
T]のほぼ等しい組み合わせ4組([O
T]として0.3,0.5,0.8,2.2)を選びそれらの中で相互に比較した。
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