日本化學雜誌
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88 巻, 6 号
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  • 関口 燈
    1967 年 88 巻 6 号 p. 577-597
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ラクタム類のアルカリ性重合反応の機構は,生長鎖のイミド性活性中心内のカルボニル基に対するラクタムアニオンの攻撃と,それによって生成する中間体イオンの中和反応(著者はこの両者をあわせて“加ラクタム分解反応”とよぶ)によって説明することができる。現在,この機構の大綱ないし基本的概念については多数の研究者の間の見解は一致しているが,その細部についてはまだかなりの不一致がみられ,とくにアルカリ金属イオンの関与の問題,反応中間体の構造,反応過程中における開環の時期などについては研究者間の解釈はかなり相違している。本稿においては,著者の既発表の文献を中心に未発表の実験結果を加えて総合的な見地から,著者が以前に提出した“加ラクタム分解機構”の問題をふたたびとりあげ,種々の実験事実から著者の見解を再確認した。すなわち,本反応はアルカリ金属イオンの関与によるイミド性カルボニル基の極性の強化にはじまり,同カルボニル基に対するラクタムアユオンの攻撃によるイミド性カルビノラートイオン中間体(未開環体)の生成を律速段階とし,このイオンとアミド基との間の水素交換による“中和反応”と,それについで起る分子内水素転位による開環反応とをあとにともなう一種の加溶媒分解反応である。このアルカリ性重合反応は現象的には重合反応であるが機構的には逐次付加による重縮合反応に準じ,とくに反応の各段階において単量体イオンを再生し,これが攻撃イオンである点において諸重合反応中でも特異な地位をしめることを示した。
    ラクタム類のアルカリ性重合反応の全過程は,環状アミド基(ラクタムのアミド基),イミド基(活性中心基),直鎖状アミド基(重合体のアミド基)の3種のカルボニル基に対する“加ラクタム分解機構”(アルカリ性接触反応)と“アミノ分解機構”(非接触反応)を主反応とする一連の反応機構によって説明することができる。本稿においてはこれらの機構を総合して提示し,これをも合反応って重における単量体,重合体間平衡ならびに重合体鎖間末端基平衡を説明した。
    アルコール系化合物を添加剤とするアルカリ性重合反応の研究から,アルコール性水酸基が間接開始剤としてラクタムと反応してエステルを与え,このエステルがさらに他のラクタムと反応してイミド性化合物を与えていることを示し,水酸基の酸性と開始能との間に関係のあることを指摘,二段重合法を用いて低級直鎖アルコールによるラクタム重合に成功した。最後に,トリエチルアルミニウムを助触媒とし,開始剤不在下でのラクタムのアルカリ性重合により,分子量数十万の高耐熱性,力学的性質優秀なポリカプロアミドの形成に成功し,この反応の機構を推定した。
  • 宇津木 弘
    1967 年 88 巻 6 号 p. 598-604
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Hütting型吸欝温式 θ=cx(1+x)+x/1+cx が1層につき局所賭2層以上は各層ごとに独立な二次元気体とした模型から出発し層間の交換も可能とした模型でも導かれた。二次元気体の可動範囲を1層目分子の上にかぎられるとした同様な取り扱いは,θ=cx-exp(x)(1+x)/1+cxexp(x)を与える。BET局所模型から出発し欄z方向の可動性を2層目とし,これの不完な場合,θ=cx[1-1n(1x)+x1n(1-x)]/ (1-x){1+cx[1-1n(1-x)]}が得られた。これはBET II型等温線を与える。これらの等温線を単分子層,2層以上の多分子層にわけて検討した結果,前者は後者の構造に影響され,後者の可動性のいちじるしいとき単純なLangmuir機構となるが制限されるにつれ下積みの1層分子の蒸発は遮げられ一定のxでのθ は大となる。1層目分子の局所性をくずしz方向に可動とした場合,1層目分子が2層以上の層に逃げる機会を生じ,直接気相に蒸発する機会を減少するのでかえってθ1は大となり2層以上が局所性の場合と同じ結果となる。しかし2層以上の多分子層の形成はこの場合には1層分子も蒸発に関与するため滅少する。これらの結果は2層以上の吸着相の構造はBET模型では液体または固体のような凝縮相,Hüttig模型では固体表面場内での圧縮気相として解釈されるであろう。
  • 宇津木 弘, 高村 吉彦
    1967 年 88 巻 6 号 p. 604-608
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シュウ酸鉄,シュウ酸ニヅケルおよび一定組成の混晶の真空中熱分解で得られた酸化鉄(II),ニッケル,これらの混合粉体および溶融塩法で得られたニッケルフェライト微粉体によるアルゴンの80°Kでの等温吸着平衡を測定した。これらを前報で求めたH⋅ttig型購温式(2)θ=cx/(1-x) (1- cln(1-x)), (3) θ= cxexp(x)(1+x)/1+cxexp(x), (4) θ= cxexp(x)/1+c(exp(x)-1), (6) θ= cx(1+x)/1+cx およびBET式(1) θ= cx/(1-x)(1-x+cx)と比較検討した。実験的等温線は場合により異なるが,(4),(6)または(3)にxの全範囲で一致する例のあること,x<0.7では(2),(3)に一致する例のあること,およびいずれも(1)よりは広範囲にわたり実験結果と一致することが認められた。これらの式から求められた表面積値はほぼ20%範囲内で一致する。等温線の理論式への適応具合からこれらの系では吸着相はBETの局所性凝縮相よりも,むしろさらに可動性な構造を持つものであろうと推論した。
  • 鈴木 祝寿, 宮崎 国弘
    1967 年 88 巻 6 号 p. 609-614
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ファーネスブラック(Philblack-Oを使用)を出発物質として,化学酸化処理および熱酸化処理を加え,得られた酸化ブラックについて真空熱分解ガスを測定して全酸素量[OT]=CO2+1/2COを求め,NaBH4によるキノン量,NaHCO3による強酸性度,ポーラロによる-COOH基,Ba(OH)2,による全酸性度,Grignard法による活性水素などの測定を行ない,酸化による表面官能基の変化について検討しつぎの結果を得た。化学酸化として硝酸酸化法を用い,HNO3濃度1.7~13N,反応時間1~3時間,温度30°~120℃の範囲で実施し,[OT]として0.37~225のものが得られた。[NaBH4]/[OT]は[OT]の増大とともに減少を示し,真空熱分解による二酸化炭素の放出は低温度からの開始が見られ,[CO2]/[OT]は得られた化学酸化ブラックのすべてを通じてほぼ一定値(約0.4)を示した。熱酸化はMufflc炉により200°~500℃で20,40,60分間空気中で実施され,[OT]として0.33~2.64のものが得られた。[NaBH4]/[OT],および[CO2]/[OT]はともに化学酸化ブラックより小であり[CO]/[OT]は逆に大なる数値を示した。二酸化炭素の放出は化学酸化のものと異なり,チャソネルブラックと類似して500℃付近で最大値を示した。 さらにすべての酸化ブラック中から[OT]のほぼ等しい組み合わせ4組([OT]として0.3,0.5,0.8,2.2)を選びそれらの中で相互に比較した。
  • 大杉 治郎, 原 公彦
    1967 年 88 巻 6 号 p. 614-618
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    高圧下において,α,α=ジフェニル-β-ピクリルヒドラジルの電気抵抗を測定した。測定温度範囲は15°~100℃である。加圧には六面体型アンビル装置を用いた。最高圧力は70kbarである。定温での測定で,電気抵抗はいちじるしく滅少し,その滅少量は室温の場合,30~70kbarの範囲で102のオーグに達するまた定圧力下で,温度の上昇にともなって滅少する。高圧下でも通例の伝導を表わす式;1/σ = ρ0=exp(E/kT)がなり立つ。導伝の活性化エネルギー,Eは圧力の増加にともなって滅少する傾向がある。圧力による移動度の変化を推定したが小さ,その変化量はい。
  • 桐山 良一, 玉井 康雄, 金丸 文一
    1967 年 88 巻 6 号 p. 618-625
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水酸化アルカリを用いて得られたニッケル(II)と鉄(III)共沈殿水酸化物を比較的低温で水熱処理を行なうと,容易にニッケルフェライトおよび鉄過剰ニッケルフェライトが得られる。また,種々の金属水酸化物の混合物を長時間にわたり,機械的に摩砕してもスピネル型フェライトが得られることがわかった。水熱処理の実験結果と相まって,機械的摩砕が粉砕,構造不整を生ずるばかりでなく一時的高温高圧下の固相反応を起すことが明らかにされた。これらの結果に基づき,水の加わった固相反応の機構,共沈殿ゲルの構造,摩砕効果と水熱作用の関係を考察した。摩砕によりフェライト生成反応が起るためには原料が摩砕により分解することと,系に水が含まれることが必要であると結論された。また,摩砕をうけた亜鉛フェライトが強い磁性を有することが見いだされた。
  • 安河内 一夫, 山口 博子, 小野 行雄, 占部 則明
    1967 年 88 巻 6 号 p. 626-629
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    カルボニル基の還元に対する水酸基の影響および水素付加の機構を解明する目的で,γ線の照射によって,DMF申のキノン系化合物を還元し,その反応速度をポーラログラフ法によって検討した。実験の結果,線量の増加につれて2段の1電子還元波はともに減少し,第2段の還元波の半波電位は陽電位に移行した。これらのことから,1)γ 線の照射による還元は1電子付加の還元が2段で行なわれ,還元形式はキノン〓アニオンラジカル〓ジアニオン〓キノールまた,第1段の還元は可逆な1電子付加反応であるが,第2段はγ線照射によって生ずるDMFからの水素原子によって,電極表面での水素付加が行なわれるために,完全な可逆反応ではないと考えられる。2)第1段の還元は0次反応,第2段の還元は0次または0次反応を示した。3)γ線の照射によって吸着による異常波湊生成する場合がある。4)反応速度の比から,置換基のHammett式のσを計算し,第1段および第2段の還元のρは1.llという値を得た。
  • 野崎 亨, 三瀬 皓愛, 仙波 私博
    1967 年 88 巻 6 号 p. 630-634
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    pH2~12でイミノニ酢酸塩(X2-)溶液中での銅(皿)および鉛(皿)のポーラ0グラフ的挙動を調べた。過塩素酸ナトリウムで二三のイオン強度に調節した溶液のpH8.5~12およびpH4以下の範囲では二電子還元の可逆波が得られた。それぞれ2種の組成の錯体MX1MX2が観察され,DeFord-Hurneの方法およびKolthoff-Linganeの方法によりそれらの安定度定数が計算された。イオン強度0.4, 20℃での全安定度定数の対数はそれぞれ銅(II)錯体では10.67,16.30で鉛(II)錯体では7.41,9.65であった。pH4~7.5では緩衝溶液を用いないと2段の還元波が得られたが,酢酸塩緩衝溶液を用いると可逆性1段波が得られた。銅では2.6~76.3PPmの範囲で,鉛では82~250PPmの範囲でpH6,8.0×10-3mol/l IDA溶液中で検量繍埴線であった。15種の他金属の半波電位を測定した。そしてそれらの共存の影響を調べた。
  • 野村 俊明
    1967 年 88 巻 6 号 p. 635-638
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フタレイン・コンプレキソン(PCあるいはH2Pc4-)はpH9.6~10.3で水銀(II)と反応して,波長583mμ に吸収のあるモル比1:1の安定な錯体(HgPc4-)を形成する。この錯体はシアンイオソとさらに反応して波長583mμ では吸収のないシアン錯体を形成するので,このときの吸光度の減少を測定して,シアンイオソの間接吸光光度定量を行なった。pH・6~14.3にしたシアンイオン試料溶液に,一定過剰量のPC溶液と水銀(II)溶液とを加え,水で全容50mJにし,約15分放置後,p9・6~10・3にしたPC溶液を対照にして波長583mμ で吸光度を測定する。シアンイオン1~20μg/50mlの濃度範囲で定量が可能であり,再現性もよい。 陰イオンではS2-とI-のみが妨害するが陽イオンでは妨害するものが多い。HgPc4-錯体とシアンイオンとの当量関係はモル比1:1であるので,組成は[HgPc(CN)]5-と推定される。
  • 後藤 秀弘, 柿田 八千代, 一瀬 典夫
    1967 年 88 巻 6 号 p. 638-639
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    タリウムについて,各種濃度の塩酸溶液ならびにその他の酸との混酸溶液からメチルイソブチルケトンによる金属塩抽出の基礎実験を行なった。タリウム(III)の10mgを含む塩酸溶液または他の酸を添加した混酸溶液にメチルイソブチルケトンを加えて抽出し,水溶液層中に残ったタリウムをオキシン法で光度定量して抽出率を求めた。抽出は20℃の液温で行なった。塩酸の濃度がL5~8Nで抽出を行なえば,99.8%以上の抽出率を示す。また塩酸に硝酸,硫酸または過塩素酸をおのおの適当な割合で添加した混酸を用いると,0.5Nの低い塩酸溶液でもいずれも99%程度の抽出率が得られ,これら他の酸の添加は抽出率を高める。硫酸溶液からの抽出は,8N付近で約21%の抽出率を示すにすぎない。
  • 後藤 秀弘, 柿田 八千代, 一瀬 典夫
    1967 年 88 巻 6 号 p. 640-643
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    オキシン塩のベンゼンまたはメチルイソブチルケトン抽出によるタリウムの吸光光度定量法を確立した。微量タリウム(皿)を含む溶液に酢酸ナトリウムおよびオキシンを加え,pH5.5に調節したのち,ベンゼンまたはメチルイソブチルケトンで黄色に発色したタリウムオキシン錯体を抽出する。 有機層の吸光度を測定し,あらかじめ作製した検量線からタリウム量を求める。タリウムオキシン錯体の吸収曲線は,ベンゼンでは410mμ,メチルイソブチルケトンでは400mμに最大吸収を示し,pH4.5~10の範囲で定量的に抽出され,タリウム10~150μgの範囲で直線性のよい検量線が得られる。分子吸光係数はそれぞれ6.79×103,6,99×103で,メチルイソブチルケトンの方がわずかに大きい。その他,タリウムの還元と酸化および妨害元素の分離法について検討した。
  • 神原 富民, 田中 成之, 長谷部 清
    1967 年 88 巻 6 号 p. 644-647
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    四塩化炭素は諸種の有機化合物の溶剤として,また触媒反応の研究,分析化学における溶媒抽出の際の溶媒として有用であるが,二硫化炭素の塩素化によりつくられるため,製品中には二硫化炭素が含まれるおそれがある。また二硫化炭素はきわめて引火性が強く,有毒であるなどの理由により,不純物としての二硫化炭素を定量することは重要である。二硫化炭素はアルカリ性溶液中でジエチルアミンと反応して,ジエチルジチオカルパミン酸(以下DDTC)を生ずる。この反応は二硫化炭素やアミノ酸のポーラログラフ的定量に使われてきた。DDTCは滴下水銀電極において陽極波を与える。著者らは四塩化炭素中の二硫化定量法炭素のを直流および高周波ボーラ0グラフを用いて検討した。本研究ではし,二硫化炭素をジエチルアミンと反応させてDDTCとし,有機相よりアンモニアアルカリ性の水相に抽出後,塩化リチウムを加えてした,高周波ポ_ラログラフ的に二硫化炭素を間接定量。試料四塩化炭素の2mlを用いて, 2.5ppmの二硫化炭素(波高1.5cm)まで定量可能であり,試料量をふやせば感度はさらに増大できる・なお,一試料について分析時間は約30分である。
  • 稲村 裕
    1967 年 88 巻 6 号 p. 648-652
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1・2-ジペンゾイルエチレンオキシドの化学的還元や1,2-ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)エチレンオキシドの接触還元についてはすでに報告されている。 著者は1,2-ジベンゾイルエチレンオキシドを接触還元したとき触媒の種類によってカルボニル基とエポキシド基のどちらが還元されやすいかを調べるために実験を行なった。用いた触媒はラネーkニッケル,パラジウム-炭-A,パラジウム-炭-B,酸化白金およびこれらに酸あるいはアルカリを添加したものであるが,吸収した水素の量によってはもちろん触媒の種類によってもそれぞれ特徴のある生成物が得られた。ラネーニヅケルを触媒にしたときは水素の吸収,lmo1あるいは2mo1で1,2一ジベソゾイルエタノールと1,2一ジベンゾイルエタソが得られ,3mol吸収で後者と3-ベンゾイル-1-フェニルプロパン-1,2-ジオールが得られた。パラジウム-炭-Aでは1,2-ジベンゾイルエタノールと2,5一ジフェニルフランが得られたが,パラジウム-炭-Bでは前者が圧倒的に高い収率で得られた。また酸化白金では水素吸収1molで 3-ベンゾイル-2,3-エポキシ-1-フェニルプロパン-1-オールが生成物の一つとして得られた。著者はこれらの結果につき考察を加え反応機構についても論じた。
  • 山田 静之, 高田 進, 中村 司朗, 平田 義正
    1967 年 88 巻 6 号 p. 653-659
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シキミの有毒成分アニサチン(I)C15H20O8の構造研究のため,種々な分解反応を行なった。その結果,得られた2種のジヒドロクマリン(IX),(X)から炭素骨格が推定され,さらに種々な誘導体についての化学的および物理的性質に基づき,アニサチンに対して立体化学を含めた全構造Ibを推定した。
  • 杉田 実男
    1967 年 88 巻 6 号 p. 659-667
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ニッケル塩をアルカリ性で次亜ハ資ゲン酸ナトリウムで酸化すると過酸化ニッケルが得られる。著者はこの過酸化ニッケルの化学的性状を知る目的で研究を行なってきたが,本報ではカルバゾール類との反応結果について報告する。カルバゾール(I)と過酸化ニヅケルとを反応させると,9,9'-ビカルバゾール(II),9,3'i:9,9''テルカルバゾール(III)および多重合体の混合物を得た。この反応の機構を明確にするために3,6,9位に置換基を有するカルバゾール類およびジフェニレンオキシド,ジフェニレソスルフィドについて,過酸化ニヅケルを用いる酸化反応を試み,その反応性,生成物からこの反応の機構について検討した。また,同じ固体酸化剤である活性二酸化マンガンについて反応を試み,過酸化ニッケルの方が強い酸化力を持つことを知った。Tuckerらはカルパゾールを過マソガン酸カリウムで酸化し,“`ジカルパジルA,B”および非晶形のC物質を得たと報告している。しかし,AがIIであることを決定したのみで,BおよびCについては未解決であった。著者はこのTucker法を追試し,B物質はビカルバゾールではなく,IIIの三量体であることを明白にした。またC物質についても検討し,このものは単一物質ではなく,II,IIIおよび多量体の混合物であることを明らかにした。
  • 杉田 実男
    1967 年 88 巻 6 号 p. 668-675
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    過酸化ニッケル(Ni-PO)はニッケル塩をアルカリ性で次亜ハロゲン酸ナトリウムで酸化したときに得られる黒色の粉末で,特異的な酸化力をもっている。著者はこの過酸化ニッケルを有機反応における固体酸化剤としての用途を開発するため種々の化合物に対する反応を検討してきたが,本報ではフェニルアセトニトリル(I)との反応の結果について報告する。Iと過酸化ニッケルをベンゼン中で反応させると,フェニルシアンメチレンを骨格とする重合物が生成した。このとき,少量のmeso-およびdl-ジフニニルスクシノニトリル(II,III),trans-およびcis-ジシアソスチルペソ(IV,V)と微量の安息香酸とを得た。この反応におけるこれら生成物の生成速度を検討した。また,IIと過酸化ニッケルとの反応では上と同じような重合体とIVおよびVを得ること,IVおよびVは過酸化ニッケルの酸化作用をうけないことを確かめた。これらの事実から,この重合反応はジフェニルスクシノニトリルを経由するIの逐次付加反応で進行することをラジカル機構で説明した。また,IVおよびVはジフェニルスクシノニトリルからの併発反応生成物であることを知った。なお,過酸化ニッケルに似た用途をもつ活性二酸化マンガンとIとの反応を同じ条件で試み,酸化力を比較した。活性二酸化マンガンではまったく反応せず,この反応では過酸化ニッケルの方が強い酸化力を示すことを知った。
  • 鈴木 盛夫, 水野 英雄, 高井 将博
    1967 年 88 巻 6 号 p. 675-678
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フラボン骨格のどの原子団が選択的に水素化されるかを検討する目的で,5-オキシ-,5,7-ジオキシ-,7-オキシ-,7-メトキシ_および 7-アセトキシフラボンの接触還元を行なった。エタノール中で白金触媒を使用して還元を行ない水素吸収のおそくな点ったで反応を中止すると,5-オキシフラボンからは2-シクロヘキシル-5-オキシクロモン(mp102.5℃)が74%の収率で得られた。同様にして2-シクロヘキシル-5,7-ジオキシクロモン(mp217℃),2-シクロヘキシル-7-オキシクロモン(mp201℃),2_シクロヘキシル-7-メトキシクロモン(mp85℃),2-シクロヘキシル.-7-アセトキシクロモン(mp102℃)および2-シクロヘキシル-7-アセトキシクロマノン(mp69℃)が相当するフラボン誘導体から好収率で得られ,上述のフラボン誘導体の場合には2位のフェニル基が選択的に水素化されることを明らかにした。
  • 後藤 良造, 石沢 昭雄, 山村 正美
    1967 年 88 巻 6 号 p. 678-683
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    長鎖状胎物における炭素鎖長,および鎖末端構造とその物理的瀕との欄関係について検討を行なう的で,鎖知詣位置をシクロヘキシル基で置換した化合物をとりあげ,まず, ω-シクロヘキシル脂肪酸,〓-(CH2)n⋅COOH(n=5, 9, 11, 19, 21, 23, 25, 27, 29, 31, 33)の合成を行なった。低級脂肪酸(n=5,9,11)は湘当するフエニル脂肪酸の接触水素化で得た。高級脂肪酸(n-19~33)はすべて現在までに報告されていな噺化合物であり。チオフエンを鎖延長剤とする方法によって合成した。これら脂肪酸合成の中間体として得られたチオフェンの誘導体(22種類), 〓-(CH2)m⋅CO〓, 〓-(CH2)m+1〓, 〓-(CH2)m+1〓CO⋅(CH2)n⋅CO2H, および 〓-(CH2)m+1〓(CH2)n+1⋅CO2Hはすべて新化合物である。
  • 杉山 登, 岩田 正彰, 吉岡 道和, 表 美守
    1967 年 88 巻 6 号 p. 683-684
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • Werner KOCH, 斎藤 敏一, 吉田 善
    1967 年 88 巻 6 号 p. 684-685
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1967 年 88 巻 6 号 p. 686a
    発行日: 1967年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1967 年 88 巻 6 号 p. 686b
    発行日: 1967年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1967 年 88 巻 6 号 p. 686c
    発行日: 1967年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1967 年 88 巻 6 号 p. 686d
    発行日: 1967年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1967 年 88 巻 6 号 p. 686e
    発行日: 1967年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1967 年 88 巻 6 号 p. A37-A41
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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