日本化學雜誌
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89 巻, 1 号
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  • 坪村 宏
    1968 年 89 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    芳香族化合物,主としてアニリン,フェノ,.一.ル,フxニレンジアミン,ヒドロキノンなどのベンゼン置換体の溶液中における紫外線照射によってどのような反応が起こるかについて調べた。反応は主として光イオン化(電子放出)または電子移動と,側鎖のβ一結合開裂との二つである。前者についてはさらに,電子受容性の分子(アクセプター)の存在するときとしないときで,それぞれ異なる挙動を示す。すなわち,近くにアクセプターの存在しないときは光イオン化は二段階一二光子過程で起こり,アクセプター渉存在するときは,電荷移動吸収または励起後の電荷移動により一光子的に電子が移ることが確かめられた。低温マトリヅクス申で放出された電子の物理的,化学的挙動についても,主としてN,N',N',N'一テトラメチル-p一フェニレンジアミンについてくわし,い研究を行なった◇つぎに多くの他のベンゼン置換体について光照射の結果,生ずる不安定状態の電子スペクトルをくわしく研究し,T'←T吸収帯(三重項からの吸収帯),カチオン,およびラジカルの吸収帯などをそれぞれ確認した。こうして,種々のベンゼン置換体においてある場合は光イオン化が優先し,ある場合はβ-開裂が優先することを見いだし,その原因について考察した。また,一見異なる分子種がよく類似したスペクトルを与えることを指摘し,これについても考察した。
  • 谷田 博, 津島 忠彦
    1968 年 89 巻 1 号 p. 14-18
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    6-置換-anti-および syn-9-ベンゾノルボルネニル・ブロシラートのアセトリシスにおける置換基効果を置換ベンゼンのHMO(Hückel Molecular Orbita1)により説明を試みた。両系列における相対速度は,摂動論によって求められた非局在化安定化エネルギーΔEm.p.と良好な直線関係を示した。このことから,anti-系列の相対速度が変形 Hammett 式 log k/kH=ρ(σm+p+)で直線関係が成立することの分子軌道法的検討を行なった,最後に anti-および syn-ブロシラートのアセトリシスの遷移状態のモデルについて考察した。
  • 小川 禎一郎, 原 治左衛門, 広田 鋼蔵
    1968 年 89 巻 1 号 p. 19-22
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    プロパンおよびその9種の重水素置換体の基準振動の計算を,GF行列法によ・って行なった。Modified Urey-Bradley場(F'=0,トランス相互作用項を含む)を仮定し,9個の力の定数を,すでに信頼しえる実験結果の報告されている4種のプロパンの84個の実測値から最小二乗法で定めた。各力の定数の標準誤差をも検討し,スペクトルの帰属を行なう目的には十分信頼しえる分子内ポテンシャルを得た。この分子内ポテンシャルを用いて,各種の重水素置換体の基準振動を計算し,振動スペクトルの帰属を行なった。との分子内ポテンシャルを用いることにより,CH3CH2CD3,CH3CH2CH2DおよびCH3CHDCH3の赤外吸収スペクトルがよく説朋できた。またメチル基の横ゆれ振動と骨格伸縮振動はとくに結合が強く,メチレン基の横ゆれ振動とともに,各種重水素置換体の分析に際し鍵となりえることがわかった。
  • 樋口 精一榔, 田中 誠之, 鎌田 仁
    1968 年 89 巻 1 号 p. 22-24
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    原子因ビニル基の赤外吸収強度について,その特性的性格を基準振動の振動形とelectro-opticalparameterの二点から検討し,^原子団の特性強度の発展的応用への基礎をつくるため,ビニル基のValencc-Optical理論による扱いが試みられた。今回は,比較的未知のパラメ一ターが多い場合について,パラメーターの物理的意味と振動のモードとを結びつけて考察することにより,強度実測値をどの程度説明できるか検討した。ビニル基の場合,その値がわかっているパラメーターは,エチレン分子のC-H結合に関するものだけである。そこで本研究においては,まず既知のパラメーターのみを考慮した場合に,ビニル基のC-H結合の振動に帰属される吸収帯の強度は十分満足に説明されることを実証した。さらに,対応するF行列要素の大きさから無視できない値をもつと推測される骨格振動に関するパラメーターの一つを考慮することにより,強度実測値のすべてを満足に説明できることが示された。
  • 鎌田 仁, 戸田 昭三, 小林 紘, 伊藤 元信
    1968 年 89 巻 1 号 p. 25-28
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    10種類のフェノールアゾピラゾロン誘導体のカルシウム, ニッケル(II)および銅(II)の1:1型錯休の吸収スペクトルを測定した。ニッケルおよび銅錯体では,可視部でスペクトルの極大吸収位置(νmax)とズペクトルの形は配位子2価イオンのものと異なり,また両者錯体間でも少し異なった結果を示した。しかし,カルシウム錯体ではνmaxもスペクトルの形も配位子2価イオンの場合と非常によく似た結果を示した。
    この誘導体におけるフェノール核中の置換基のσ定数とνmaxとの関係でもまた,上に述ぺたような傾向を示した。
    このことは, おそらく金属イオンの被配位能力が大きくなるにしたがって,νmax, 形,およびνmaxとσ との関係は配位子1価イオンが示す性質により近づく結果によると思われる。
  • 戸田 昭三, 小林 紘, 伊藤 元信, 鎌田 仁
    1968 年 89 巻 1 号 p. 29-32
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    15種のフェノールアゾピラゾロン誘導体の1:2型クロム(II)錯体の吸収スペクトルをエタノール水溶液中で測定した。スペクトルの極大吸収位置(νmax)および形は配位子1価陰イオンのものと似ている。しかし,電子供与基をもつ化合物においては錯体のνmaxと1価陰イオンとの差は比較的大きかった。
    νmaxとフェノ一ル核中の置換基のHammett定数との間の関係では,その傾斜は1価陰イオンの場合と似ていた。しかし,1価陰イオンではこの関係はすべて1本の直線で表わされるけれども,錯体の場合には3本の直線関係にわかれた。その一つは配位子の水酸基の隣りの位置(3'-位)に何も置換基をもたない化合物類であり,2番目は3'-位にクロル基を,3番目は3'-位にニトロ基をもつ化合物類である。このことは0-M結合の性質がすぐ隣りの置換基によって大きく影響を受けていることを表わしていると思われる。
  • 今岡 理宏, 山本 正夫, 広田 鋼蔵
    1968 年 89 巻 1 号 p. 32-34
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    双パルプ法と熱拡散管法とにより, 軽水素メタン/重水素化メタンGH4/CH3D混合系における15~300℃の平均熱拡散定数α を求めた。 その結果から, 後者の方法がどれほどα の測定法として適当であるかを検討した。双バルブ法の結果(7.2×10-3)は, Nierにより12CH4/13gH4系で得られた値(7.4×10-3)とかなりよく一致し,また,熱拡散管法から得られたα の値(5.1×10-3)は, Rutherfbfdの12CH4/13CH4系の値(5・2×10-3)ともよく一致しているが,熱拡散管法は双バルブ法にくらべてα の値がやや小さいことがわかった。
  • 松浦 郁也, 鈴木 千代子
    1968 年 89 巻 1 号 p. 35-37
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ギ酸の分解反応に対し,鉄-クロム合金を触媒として用いた場合,合金の組成変化と合金の電子濃度が反応にいかなる影響をおよぼすか検討を行なった。実騨は通常の静的方法を用い,ギ酸圧.7~20mmHg,反応温度200~300℃の条件下で行なった。分解反応はすべての触媒において,ギ酸圧に対し0次反応にしたがい,その活性化エネルギーは合金組成がクロム45%の金属間化合物で極大を示し,7.2~18.Okcal/molの範囲で求まった。また活性化エネルギーは金属間化合物を除く他の触媒において,触媒の電子濃度が減少するとともに減少するという結果が得られた。以上の結果からギ酸の分解反応拡,触媒表面上に吸着したギ酸イオンが,触媒に電子を与えることによって分解する素反応が律速段階と考えられ,この過程は,固溶体の方が金属問化合物におけるより容易であると結論した。
  • 中村 邦男, 中川 鶴太郎
    1968 年 89 巻 1 号 p. 38-41
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    リン酸トリクレシル(TCP)およびフタル酸ジオクチル(DOP)で可塑化したポリ塩化ビニルについて,振動リード法を用いて20~200c/sの周波数領域の動的粘弾性測定を行なった。測定範囲は温度20~100℃,濃度4.6~16.1wt%である。基準温度90℃における貯蔵弾性率のマスターカーブはTCP系において,DOP系にくらべて周波数依存性が大きいことを示した。温度に関するシフトファクターαTの温度変化から求めた見かけの活性化エネルギーはポリ塩化ビニルで113kcal/mo1,16.1wt%可塑化したものでは,TCP系,DOP系についてそれぞれ70,57kca1/molである。藤田により提出されたように,希釈による自由体積分率の増加が濃度と直線関係にあるものとすると,温度一定のときの濃度に関するシフトファクターαcはこの直線関係の係数β と関係づけられる。βはTCP系について0.09,DOP系について0.10であった。比容-温度曲線から求みたガラス転位温度は可塑剤濃度とともに直線的に低下し,その傾斜から求めたβ はTCP系について0.15,DOP系について0.18である。β は希釈剤-高分子の相互作用の大きさを現わすパラメーターであるが,いずれの場合にもDOP系のそれの方が大きい。その原因は希釈剤自身のレオロジー的性質に関係があると考えられる。
  • 坂口 康義, 飯野 伊名子, 沢田 立子, 玉置 克之
    1968 年 89 巻 1 号 p. 42-44
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリ酢酸ビニル(PVAc),ポリマー鎖に沿って水酸基が無秩序に分布しているPVAcの部分ケン化物(Sa-PVAc-A),およびポリマ一鎖に沿って水酸基が比較的集中的に分布しているPVAcの部分ケン化物(Sa-PVAc-B)の希薄アセトン溶液の粘度におよぼす少量の添加剤の影響を検討した。ケン化度が6および12mol%のSa-PVAc-Aの溶液粘度は,それぞれ水の添加量が約2.4および3.9vol%付近で,明らかな極小値を示した。エタノールおよび1-ブタノールの添加も,同様な粘度の極小値を生じたが,エチレングリコ一ル,酢酸,ジメチルホルムアミド,ベンゼンの添加は明らかな粘度極小を生じなかった。PVAcおよびケン化度が5および1Omol%のSa-PVAc-Bのアセトン溶液に水を添加しても,粘度極小は明らかには認められなかった。これらの結果に基づき,添加剤の作用機構について少し考察した。
  • 松本 忠也, 山野 幸男, 新良 宏一郎
    1968 年 89 巻 1 号 p. 44-48
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    FeII(DH)2PY2 型錯体をジメチルグリオキシム(dgH2), 1, 2-シクロヘキサンジオンジオキシム(niH2),α-ベンジルジオキシム (bzH2), およびα-フリルジオキシム(frH2)などのα-ジオキシム類を用いて合成した。DHはα-ジオキシマートイオン, Pyはピリジンを表わす。これらの分析値は,FeII(DH)2Py2の組成と一致した。これら錯体の赤外および電子吸収スペクトルを測定した。
    510~570mμ付近に認められる強い吸収帯は,d6→ π*遷移に基づくものであり,これらの位置は配位したジオキシムのつぎの順序で長波長側へ移動している。dgH2< niH2< bzH2<frH2
    赤外吸収スペクトルにおいて,C=N特性吸収帯は配位π 結合の存在のため1500cm-1付近に認められる。これらの吸収帯も上記と同じ順に長波長側へ移動している。しかし,514~650cm-1付近に認められるFe-N特性吸収帯の位置は,C=N吸収帯の移動に対して反対方向に移動している。
    このようなことから,これらジオキシム-鉄(II)錯体においては,配位π 結合の効果が増大するにつれて,Fe-N吸収帯がより高波数側に観察され,電荷移動吸収帯も長波長側に移動する。
  • 後藤 克己, 四ツ柳 隆夫
    1968 年 89 巻 1 号 p. 49-53
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    多量の多核アルミニウムイオンの存在する試料に,既報の8-キノリノ一ル塩抽出法を適用すると,多核イオンの解重合による誤差とクロロホルム層の乳濁化とを生じ,単核イオンの正確な定量は不可能となることがわかった。この乳濁状態は,ドデシル硫酸ナトリウム溶液の添加によりただちに破壊できることを見いだした。また定量条件における解重合反応は,多核イオンとして存在するアルミニウム濃度を[A1]Pとすると,その速度を[A1]P[CH3COO-]2および[A1]P[8-キノリノールイオン]2の項の和として表示され,並発形と推定される。その初期反応は見かけ上,時間に対して直線的に進行するので,作図による補外によって試料の単核イオンを定量できる。
    定量に対する各種陰イオンの影響を調べ,この方法によって定量される錯体は,配位子交換速度の大きな単核アルミニウム錯体(A1(aq)3+,A1(OH)2+,A1(SO4)+,A1(CH3COO)n(3-2n)+,A1(C2O4)n(3-2n)+など)であることを明らかにした。本法のアルミニウムイオンの加水分解に関する研究への応用について論じた。
  • 村田 旭, 伊東 琢史, 鈴木 哲夫
    1968 年 89 巻 1 号 p. 54-57
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    鉄(III)は5-オキシクロモン(HR)とpH約1~1.8で紫色錯体(λmax565mμ)を生成し,pHの上昇とともに吸収極大波長は短波長側に移動し,pH約4.5以上で赤褐色錯体が沈殿する。水溶性錯体は鉄(III)と試薬とのモル比が1:1および1:2のもので,これらの逐次安定度定数を分光光度法で測定し,つぎの値を得た。すなわち,K1=[FeR2+]/[Fe3+][R-]=5.47×1012,K2=[FeR2+]/[FeR2+][R-]=3.22×1010(イナン強度0.10,20±0.5℃)。不溶性錯体のモル比は1:4で,これを150℃ で約10時間加熱すると1:3のものに変化する。熱重量分析によると,約130~170℃で試薬1分子が昇華し,約200℃ 以上から分解を始めて酸化鉄に変化する。また1:4錯体を少量のベンゼンとふりまぜると1:3錯体が不溶性残留物として得られる。これらの事実から,不溶性錯体はFeR3・HRの組成をもつものと考えられる。
  • 雨宮 稔起, 平田 寛
    1968 年 89 巻 1 号 p. 58-62
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水酸化カリウム溶液中のマンガンーマンニットのク形波ポーラログラム(-0.35Vvs,SCE)はトリエタノールアミンのアルカリ溶液よりも検出感度が高く,またこの溶液の280mμ 付近における吸収極大は分子吸光係数(12000)がかなり大きい。しかし,この溶液は光照射や加熱により容易に変化し,かつ共存イオンの影響も大きいので,分析法としての取り扱いには困難な場合が多い。この溶液の変化を直流ポーラログラム,可視部,紫外部の吸収スペクトルおよび鉄(II)による滴定などの結果から推定すると,暗所ではマンガン(IV)の生成量が多いが,明所では生じたマンガン(IV)がマンニヅトによつて還元される速度が増すので,マンガン(III)の存在量が多くなる。また,マンニットが過剰にある間は上記の酸化還元反応をくり返すが,ついには酸化マンガン(IV)となって沈殿する。なお,直流ポ一ラログラフの波は拡散律速の比較的可逆性のよい一電子反応(Mn(III)〓Mn(IV))に基づくもの.であり,またマンガンとマンニットの結合比は,ク形波および直流ポーラログラムのモル比法による波高変化と吸収スペクトルの連続変化法による吸光度変化とから,1:2と推定した。
  • 久保田 尚志, 市川 信孝, 神川 忠雄
    1968 年 89 巻 1 号 p. 62-65
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ウンナンソケイの生葉から新しい苦味成分,ジャスミニンを単離した。ジャスミニンは分子式C26H38O12の配糖体で,酸に弱くイリドイド型配糖体の特徴を示す。
  • 田中 順太郎, 片桐 孝夫, 竹下 徹
    1968 年 89 巻 1 号 p. 65-69
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    カルボン酸をテローゲンとするテルペン類の合成法に着目し,まずギ酸をテロ一ゲンとし,過塩素酸を触媒としたテロメル化反応について詳細な検討を試みた。とくにモノテルペンアルコールをえるための反応条件について考察を加え,この種の反応で反応制御剤として水が有効であることを確認し, 高純度のギ酸より85%ギ酸の方が有利であることを見いだした。反応生成物は加水分解し,テルペンアルコールとして分析した。その結果, インプレンの頭尾結合したアルコールが大部分であり, ゲラニオール, α-テルピネオールが主成分であった。またテロメル化反応中に生成する炭化水素をカラムクロマトグラフィーで分離し, その成分は,単環モノテルペノイド(ジペンテン,テルピノレンなど)が主であると推定した。
  • 柘植 乙彦, 伊藤 正, 金政 修司
    1968 年 89 巻 1 号 p. 69-74
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ベンゾイル, フェニルアセチル, 2-フロイル, 2-テノイル, イソフタイルおよびテレフタロイルイソシアナートは, アシル基に関係なくフェニルヒドラジンのβ-位置素を攻撃して, 対応する1-フェニル-4-アシルセミカルバジドが生成する。これらセミカルバジド類は希塩酸あるいは希水酸化カリウム水溶液で処理すると好収率で, それぞれ対応する3-オキシ-1, 2, 4-トリアゾール体を, また加熱閉環すると定量的に1H-2, 3-ジヒドロ-1, 2, 4-トリアゾール-3-オン体を与えることを見いだした。この加熱閉環におよぼす置換基の効果を検討するため, ベンゾイルイソシアナートとp-置換フェニルヒドラジンとから得られた1-アリール-4-ベンゾイルセミカルバジドの加熱閉環を行なった。置換基がニトロ基の場合には, 置換基がない場合と同じく転移生成物の1H-2, 3-ジヒドロ-1, 2, 4-トリアゾール-3-オンを与えるのに対して, 置換基がメチル, クロルの場合には両トリアゾール異性体の混合物を与え, かつ, 3-オキシ-1, 2, 4-トリアゾール体が主生成物であった。また, 1-フェニルセミカルバジドの示差熱分析も行ない, これらセミカルバジド類の加熱閉環の過程を考察した。
  • 洪 邦夫, 薗頭 建吉, 萩原 信衛
    1968 年 89 巻 1 号 p. 74-77
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ジフェニルケテンがオクタカルボニルジコパルト,ドデカカルボニルテトラコバルトおよびシクロペンタジエニルジカルボニルコバルトのような錯体によって,接触的に脱カルボニルされ,おのおの68,45,5%の収率でテトラフェニルエチレンを生成した。また,クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウムとの反応では,クロロカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ロジウム,テトラフェニルエチレン,テトラフェニルアレンおよびトリフェニルホスフィンオキシドが得られた。これらの結果からジフェニルケテンの脱カルボニル機構について考察した。
  • 丸山 和博, 中村 貴代美, 鈴木 仁美
    1968 年 89 巻 1 号 p. 78-82
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ボリアルキルベンゼン誘導体の異常ニトロ化反応において,アルキル基がニトロ基に置換される際,中間生成物として考えられている硝酸エステルの濃硫酸,あるいは発煙硝酸中における式(2)の反応の機構について知見をえるために,4-t-ブチルー2,6-ジメチルベンジルニトラート,ペンタメチルベンジルニトラート,3一プロム-6-ニト導一2,4,5一トリメチルベンジルニトラート,3,6-ジブロム-2,4,5-トリメチルベンジルニトラート,4-t-ブチル-3,5-ジニトロ-2,6-ジメチルベンジルニトラート,3,6-ジニト0-2,4,5-トリメチルベンジルエトラートを合成し,これらの硝酸エステルの硫酸,あるいは発煙硝酸中での挙動について検討を行なった。
  • 橋本 嗣夫, 北野 尚男, 福井 謙一
    1968 年 89 巻 1 号 p. 83-87
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ジメチルスルホキシド,ρ 一ハロゲノアセトフェノン,フェノールおよび臭素との反応により好収率で臭化ρ 一ハロゲノフェナシルジメチルスルホニウムが生成することが見いだされた。アセトフェノン類のかわりにプロピオフェノンを用いても50%以上の収率で臭化α 一メチルフェナシルジメチルスルホニウムが生成した。ジメチルスルホキシドのほかにジアルキルスルポキシドまたはテトラメチレンスルホキシドを用いても,それぞれ相当するフェナシル基を有するスルホニウム化合物が好収率で得られることが明らかにされた。またフェナシル基を有するセレノニウム化合物はω 一プロムアセトフェノンとセレン化メチルあるいはセレン化フェニルとの反応によつて合成された。新たに合成されたフェナシル基を有するスルホニウムおよびセレノニウム化合物はハロゲン化水銀(II),ハロゲン化スズ(IV)およびハロゲン化アンチモン(III)との付加化合物を生成し,これらは確認用化合物としてすぐれている。
  • 多羅間 公雄, 船引 卓三
    1968 年 89 巻 1 号 p. 88-92
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シアノコパルト(II)錯体は,四塩化炭素,クロロホルムと反応し,それぞれ少量のクロロホルム,ジクロルメタンを生成した。これは,遊離のトリクロルメチルラジカル,ジクロルメチルラジカルの生成を示す。シアノコバルト(II)錯体と四塩化炭素またはプロムトリクロルメタンとの反応によつて生成するトリクロルメチルラジカルを開始剤としてβ-ピネンのハロメチル化反応を行なった。グリセリンーメタノールを溶媒として使用すると, プロムトリクロルメタンとβ一ピネンの反応は, 40℃で1時間で完了した。付加生成物,7一トリクロルメチルー8一プロムーp一メンテンの収率は, ブロムトリクロルメタンとβ-ピネンの比が増すにつれ増加し, この比が6のときβ 一ピネンに対する収率は83%であった。四塩化炭素の場合は反応率は小であった。従来, シアノコバルト(II)錯体の反応に使用されている水溶媒中では, ハロメチル化反応は進行し難い。
  • 大島 昭雄
    1968 年 89 巻 1 号 p. 92-93
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 表 美守, 藤沼 好守, 杉山 登
    1968 年 89 巻 1 号 p. 94-95
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 小山 吉人, 岡田 安司, 外山 修之
    1968 年 89 巻 1 号 p. 95-97
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 磯貝 浩司, 近藤 清一郎
    1968 年 89 巻 1 号 p. 97-98
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 長谷部 昇, 大村 英正
    1968 年 89 巻 1 号 p. 99-100
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 植野 禎夫, 浅川 史郎, 井本 英二
    1968 年 89 巻 1 号 p. 101-102
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 久司 佳彦, 津野 一, 黒谷 寿雄
    1968 年 89 巻 1 号 p. 102-103
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/05/30
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  • 1968 年 89 巻 1 号 p. A1-A6
    発行日: 1968/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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