日本化學雜誌
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89 巻, 12 号
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  • 久恒 勇
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1143-1156
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ハロゲン化アルカリの粉末を圧縮してつくった錠剤(以後通常の呼び方にしたがってdiskという)は,固体の赤外吸収スペクトルを測定する場合によく使われているが,このdiskは有機または無機イナン化合物の固体内における化学反応の研究にも適している。disk内の反応は熱あるいは放射線によって開始することができ,その反応の進行度は各種の分光学的方法によって測定すればよい。熱分解のさい,質量の変化があるような反応では,diskを用いて赤外線分光法からえられた実験結果は,熱質量分析法によって求めた結果とよく一致している。γ線放射の実験では,常温でもdiskの中に容易にイオンラジカルが安定化される。このようにして生じたラジカルは電子スピン共鳴スペクトル法で測定できる。またラジカルの濃度が十分であれば,ラジカルに関する化学や吸収スペクトルなどの研究も可能である。現在までに行なわれてきたdiskによる実験の結果は,この実験方法が固体の化学反応やmatrixisolationなどの研究にとくに適していることを示している。
  • 岩島 聰, 荻野 恭平, 梶原 峻, 青木 淳治
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1157-1162
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ベンゼン環6個からなるベンゾ[g,h,i]ペリレンは,合成ならびに高温石炭タールからの今離によってえられる。合成法としてはニトロベンゼン中で無水マレイン酸とペリレンを反応させるか,あるいはペリレンを無水マレイン酸およびクロルアニルとともに加熱してベンゾ[g,h,i]ペリレン-1,2-ジカルボン酸無水物を合成し,この無水物をソーダ石灰と350℃ で加熱脱水し,さらに440℃ で減圧昇華することによってベンゾ[g,h,i]ペリレンをえることができる。しかし,この合成法では精製したペンゾ[g,h,i]ペリレン-1,2-ジカルボン酸無水物を用いても,それから生成したベンゾ[g,h,i]ペリレンの一部が高温反応のため酸化され,ソダ石灰と作用してペリレンが生ずることを見いだした。
    高純度ベンゾ[g,h,i]ペリレソは,粗ベンゾ[g,h,i]ペリレンと無水マレイン酸およびグロルアニルを再度反応させ混入している微量のペリレンをベンゾ[g,h,i]ペリレン-1,2-ジカルボン酸無水物としてクロマトグラフィーにより分離し,さらに昇華,再結晶によって精製を行なった。
    この高純度ペソゾ[g,h,i]ペリレンを標準試料とし,ペリレンを10-1~10-8mol%添加した二成分系のべンぜン溶液をつくり,その吸収スペクトル,ケイ光スペクトルを測定し,ベンゾ[g,h,i]ペリレン中に混入する不純物としてのペリレン濃度を測定した。この結果から合成単離した高純度ベンゾ[g,h,i]ペリレン中のペリレンの混入量を少なくとも10-6mol%以下におさえることがまできることを見いだした。また既知の合成法-ペリレンと無水マレイン酸を作用させてえる方法-およびタールから分離した芳香族炭化水素は,再結晶,昇華など通常の精製法を適用してもなお試料中のペリレン混入垂は10-2~10-3mol%であることがわかった。
  • 宇津木 弘, 阪本 浩造, 藤田 武敏, 小林 昭夫
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1163-1168
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アクリルアミドの活性炭による液相吸着を水,メタノール,クロロホルム,ジオキサン溶媒溶液で測定した。見かけの吸着等温線はBETII型またはIV型を示した。とくに水溶液の場合,比濃度のいちじるしく小さいところも急な立ち上りを示し,液底体には塊状の重合体が認められ,初濃度および活性炭添加量の増加にともない収率は増加する。これらの重合体が共存するさいの活性炭の気体吸着法による表面積値が減少を示すことから,少なくとも表面が重合体でおおわれている場合,その表面被覆の程度は気体吸着等温平衡の測定,またはそれから求められる表面積により検討できるであろうことが確かめられた。さらに活性炭によるアクリルアミド水溶液の重合について検討し,その機構を推論した。
  • 宇津木 弘, 小林 昭夫
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1169-1176
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    相互溶解度が無限であるような系についての固体表面への溶質の吸着等温式をB=X1+X2を仮定した場合(Bは吸着点総数)について統計力学的に誘導し,B=X1+X2の仮定をはずした場合の二成分合蒸気吸着の等温式と比較した結果,(1)B=X1+X2を用いた式は用いない場合の極限式であり実験結果との対応ではまったく同じものであること。(2)求められる表面積値およびそれぞれの成分の吸着熱に関する定数を含む定数は同じ値を与える。(3)式の誘導の過程で定義されるそれぞれの成分の吸着熱に関する定数項は単一成分の蒸気吸着等温式のそれと同じである。(4)B=X1+X2の仮定をはずした場合でもBET定数との類推および実験結果の適応によりB=X1+X2であろうことが液相吸着の場合に認められた。このようにして求められた表面積値は単一成分蒸気吸着からのBET表面積とよい一致を示す。その一致の程度および見かけの吸着等温線と実験結果との致の程度は溶液が完全溶液に近いものほどよい。したがって完全溶液系を用いた液相吸着は粉体の簡易表面積測定法として用いることができる。無限な相互溶解度を持つ系での液相吸着が単分子層についての検討のみでよいであろうことを吸着相の構造から検討した。
  • 宇津木 弘, 小林 昭夫, 藤田 武敏
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1176-1182
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    無限な溶解度を持つ系では液相吸着でも多重層に相当する部分はbulkの溶液相と近似できるであろうから,単分子層の形成のみを検討すれば十分であったが,有限な溶解度を持つ溶液では一定の濃度までしか溶質は溶媒中に存在しないのであるから,その吸着物も吸着した溶質分子の上に溶質分子が吸着する機会が多くなるであろう。このような場合には溶液相とは構造が異なるのであるからこれを多重層吸着と考え,溶媒については単分子層のみが形成されるとした模型で成分および見かけの吸着等温式を導いた。これを実験的等温線と比較すると,単分子吸着量B値から求めた表面積値はそれぞれ妥当な値を示し,また見かけの吸着等温式は低比濃度ではそれぞれ実験値と合理的な一致を示すが,これより高い比濃度では実験値より急な立ち上りを示す。これは単一成分のBET式の場合と同様な傾向である。このことはこの比濃度以上でのBET類似のpile-up模型の妥当性の検討を必要とするであろう。
  • 佐伯 幸民, 吉実 弘, 根来 健二
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1183-1187
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    均一相(水15%,エタノール85%),不均一相(水15%,ベンゼソ85%)中,25,40,55℃ で酢酸エチルの加水分解の動力学を種々の界面活性剤存在下に研究し,速度定数(Kobs),活性化エネルギー(EA),活性化エントロピー(ΔSA),活性化エンタルピー(ΔHA),活性化自由エネルギー(ΔFA)と反応のlogPZを活性剤の形おまび濃度について求めた。
    一般に活性剤添加により,加水分解速度は増犬する。これに関連して反応のEA,ΔSA,ΔHAならびにlogPZは低下するが,一方,ΔFAは変化しない。しかしながらCMC以上の活性剤濃度を用いた場合,反応に対する上述の効果は明らかに減ずる。均一相ではlogEAとlogCMCの間に直線関係が存在し,その結果y活性剤は酸,塩基または塩として作用するのみでなく,荷電の形および活性剤のミセル形成によって反応に影響する。このことは,遷移状態で反応物と活性剤の間で活性剤無添加の場合より荷電数を増した新しい活性錯合体が形成されることを示す。このような点で,非イオン活性剤は分子が電荷をもたないため反応に対する効果が小さい。
    不均一相では,活性剤の効果は均一相の場合より大きく,logEAとlogCMCの間の直線関係も存在しない。したがって上述の効県以外に分散,乳化などの効果あ存在が予想される。
  • 梶浦 輝夫, 村石 修一
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1187-1192
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アルゴンイオンレーザーと回折格子ダブルモノクロメーターを用いて,光電測光法により若干の高分子物質(ポリエチレン,ポリオキシメチレン,ポリオキシエチレン,ポリメタクリル酸メチルなど)のラマンスペクトルを測定した。試料は粉末,錠剤,プロック,溶融状態にあるものなどで,いずれの形態のものについても良好なラマンスペクトルがえられた。えられたラマンスペクトルは,(1)ラマン線の強度が大きく,(2)背景がきれいで,(3)分解能がよく,(4)励起線の非常に近くまでラマン線が観測されている。また新しいラマン線が多数観測され,とくに低波数領域に従来は観測できなかった格子振動,ねじれ振動などが観測された。たとえばポリエチレンは106cm-1に,ポリオキシメチレンは66cm-1に,ポリオキシエチレソは83,163,233cm-1に,ポリメタクリル酸メチルは69cm-1にラマン線が観測された。
  • 横井 政時, 森 芳弘, 窪田 衛二, 村田 一之
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1192-1195
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    エチレンジアミン,その二塩酸塩,一塩酸塩,硫酸塩の水溶液,トリス(エチレンジアミン)ニッケル(II),モノ(エチレンジアミン)ニッケル(II),およびビス(エチレンジアミン)銅(II)各硫酸塩について,25℃ 水溶液の電気伝導度を測定した。エレジアミンの第一塩基解離定数として,8.14×10-5の値をえた。安定度定数の値を用いて,遊離のエチレンジアミンの濃度を計算して,その伝導度への寄与を補正し,Fuoss-Onsagerによる拡張理論により計算した結果,錯イオンの実効イオン半径はアコイオンのそれよりも小さく,また銅塩については,エチレンジアミンの配位はイオン会合定数に大きな影響を与えないことを示す。
  • 佐々木 和夫, 本村 英夫, 岩田 昭, 柴 晴雄
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1196-1201
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    亜硫酸ナトリウムを含むヒドロキノン水溶液を電解酸化するとヒドロキノンのスルホン化が起こる。既報ではポーラログラフィーによる測定結果を報告したが,本報では定電流分極法による結果を述べる。定電流法による陽極遷移時間は亜硫酸ナトリウムが共存することによってヒドロキノン単独の場合の遷移時間より一般に長くなるが,その度合いは亜硫酸塩濃度にも溶液のpHにも関係する。IN硫酸中では遷移時間の延びは認められず,したがってスルホン化は起こっていないが,pH=8程度までの中性溶液中ではSandの定数は共存亜硫酸塩濃度に比例して増大する。これ以上のアルカリ溶液中ではSand定数は分極電流値によって複雑な影響をうけ一定値とならない。
    中性溶液の結果だけについてみれば,スルホン化は電荷移動過程に後続する化学反応どして矛盾なく説明でき,既報の結論と一致するが,アルカリ溶液中での反応は単純な後続化学反応とは見なし難く,スルホン化反応自体が電荷移動反応である可能性が強い。
  • 佐々木 和夫, 木原 哲昭, 柴 晴雄
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1201-1205
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    無声放電によって活性化した窒素の気流中に白金線をさらすことにより常温でも白金表面に窒素が化学吸着することを認めた。このために活性窒素気流中にさらした白金を電極として,1N硫酸,1N水酸化カリウム溶液中で線型電位走査法または定電流法により還元を行ない,その電位一電流曲線または電位一時間曲線の解析を行なった。また還元反応を行なわせたのちの電解液につ毒いてアンモニアの定量に成功した。
    無声放電で活性化された窒素の白金への吸着はElovich型の速度式にしたがい,吸着量は吸着処理時間の対数について直線的に増大する。
    :吸着は明らかに活性化過程であり,その活性化エネルギーは5kcal/molの程度と計算された。
    定性的には窒素の吸着層の陰極還元挙動は電解で生成する白金の表面酸化層の還元挙動と酷似している。後者の場合はさきに行なった研究により表面酸素濃度に関して二次反応であることを明らかにしたが,今回の窒素吸着層の還元反応も二次であることを示している。
  • 藤沢 忠, 田中 信行
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1206-1208
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    エチレングリコールピス(2-アミノエチルエーテル)四酢酸(EGTA)カドミウム錯体は,酢酸塩緩衝溶液中において解離反応に基づく反応電流を示す。
    EGTAと多量のカルシウムイオンを含む酢酸塩緩衝溶液中で,塩素イオンを加えて反応寛流を測定し,Korytaの式と各錯体の安定度定数値から(1)式の解離反応の速度定数を決定した。測定したpH範囲においてはa(2)式中の水素イオンの一次の項が支配的で,25℃ におけるkOおよびk1の値はそれぞれ1.4×10-3see-1と1.8×102[H+]sec-1であった。
  • 木村 優
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1209-1213
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ニッケル(II)-ニトロ三酢酸(NTA)錯体とエチレジアミン四酢酸(EDTA)およびN-(2-オキシエチル)エチレジアミン三酢酸(HEDTA)との配位子交換反応速度をEDTAおよびHEDTAのポルラログラフ限界拡散電流を用いて測定した。測定は,を用いpH5~6,イオン強度0.2,温度25℃ で行なった。
  • 山本 勝巳, 西尾 隆利
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1214-1216
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ビスマス(III)イオン過剰の状態で,4.0~0.20N過塩素酸酸性において,ビスマス(III)はブラボノール-2'-スルホン酸と反応し,その吸収曲線は342mμ に等吸収点が見られる。このさい生成するキレートの組成は1:1で,その安定度定数はk1=2.1×1012,log k1=12,3(μ=0.50,25.0士0.1℃)であった。試薬過剰では過塩素酸0.20NからpH5.0までの間では1:2キレートが生成し,その安定度定数としてk2=1.3×108,log k2=8.1がえられた。pH6.0~3.0で生成するキレートは組成不明であるが,モル吸光係数が21400(370mμ)で一定の吸光度がえられ,検量線は原点を通る直線となるから,最低0.17μg/mlのビスマスの定量に利用できる。
  • 岩崎 岩次, 市川 清光
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1217-1220
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ケイ酸ナトリウムの水溶液,重永溶液の赤外吸収スペクトルを測定し,ケイ酸イオンの溶存状態に関する知見をえた。水溶液,重水溶液はKRS-5板を用いた液体セルで測定した。ケイ酸ナトリウムの重水溶液(SiO2lmol/l)は,Na20/SiO2=0.5では,1100,1010,,870cm-1に,Na20/SiO2≧2.0では990,934,820,620cm-1に吸収帯を持つ(600cm-1以下は溶媒自身の吸収のため測定できない)。一方,隔離されたSiO44-4-を持つケイ酸塩β-Ca2SiO4,Fe2SiO4,Mg2SiO4の結晶は1000~800cm-1に,v1,3の一群の吸収帯を持ち,これはNa20/SiO2≧2.0の水溶液における990,930cm-1に相当すると判断され,また鎖状構造を持つケイ酸塩caSiO3(pseudvwollastonite)は1100~900cm-1に一群の吸収帯を持ち,これはNa2O/SiO2=0.5における1100,1010,870cm-1に相当するものと判断される。それにより,Na20/siO2≧2.0の水溶液ではモノケイ酸イオンとして存在し,Na20/SiO2=0.5ではポリケイ酸イオンとして存在している。またモノケイ酸イオンのv8の振動が分裂していることから,SiO4の構造は正四面体ではなくゆがんでいると思われる。
  • 岡 好良, 渡辺 征夫, 平井 迪夫
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1220-1223
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    トロポロンの各種金属イオンに対する反応性の差異を明らかにする目的でマンガン(II),コバルト(II),ニッケル(II)および亜鉛(II)の1:1キレ一トを光度法にしたがって検討した。温度25.0+0.1℃,イオン強度0.10でこれらの1:1キレートの安定度定数として,それぞれ4.0×104,3.9×105,9.3×105および6.9×105をえた。さきに報告した鉄(II)および銅(II)キレートもあわせて考えるとジトロポロンの1:1キレートの安定度は,マンガン(II)<コバルト(II)<亜鉛(II)<ニッケル(II)<銅(II)<鉄(III)の順で大きくなり,2価の金属についてはIrving-Williamsの系列にしたがうことを知った。
  • 丸山 正生, 岡部 好雄
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1223-1229
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2,2'-ジチオ二安息香酸の交流およびポーラグラフ的挙動をアルカリ液およびBritoRobinson緩衝溶液中で検討した。
    2,2'-ジチオ二安息香酸はpH4~12およびアルカリ溶液中でただ一つの直流波を示し,交流ポーラログラフ的にはpH8以上で一段波,pH8以下で二段波の交流波を示す。直流波は拡散律速によ波で,膿度と波高との間に直接関係があった。交流第1波は直流波に波で,,交流第2波はテンサンメトリー波であることがわかった。膿度と波高との間に直接関係があった。交流第1波は直流波に対応する波で,交流第2波はテンサンメトリー波であることがわかった。またpH8以上での唯一の交流波は還元波とサンメトリー波とが重なった波である。交流波は1波,2波とも濃度と波高との関係はLangmuirの吸着等温線の形を示した。
    還元波は二電子移行による2-メルカプト安息香酸を形成す波であるが,吸着過程を含んでいるため非可逆的である。全体還の電極反応としては,(1)式のように表わされるが,電位および電極反応速度を決定する段階はpHが7より小の場合は(4)式, 7より大の場合は(5)式の反応によるものであることがわかった。
  • 瀬尾 邦昭, 吉田 弘, 尾形 強, 猪川 三郎
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1230-1235
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル系ポプコソ重合について研究した。以下の実験で,ポプコン重合は窒素気流中55℃で行なわれた。“種”はアクリル酸n-ブチル(n-BA),アクリル酸メチル(MA),メタクリル酸n-ブチル(n-BMA),スチレンとエチレングリコール,ジアクリル酸エステル,ジエチレングリコール,ジアクリル酸エステル,エチレングリコール,ジメタクリル酸エステル,ジエチレングリコール,ジメタクリル酸エステル,ジビニルベンゼソとの組み合わせでつくった。これらの種を用いて,n-BA,アクリル酸イソブチル,アクリル酸n-プロピル,アクリル酸エチル,MA,n-BMA,メタクリル酸イソプチル,メタクリル酸エチル,MMAなどがポプコン重合された。これらのポプコン重合の難易およびポプコン重合物の生長速度が測定された。ポプコン重合はジフェニルピクリルヒドラジルが存在していても起こった。実験結果からポプコン重合は,網目の内部に埋蔵されているラジカルによって開始され,生成するポリマーの圧力によって網目が切断されてラジカルが新生し,反応が促進されることがわかった。このラジカル新生の難易は網目の分枝度に依存するように思われる。
  • 瀬尾 邦昭, 吉田 弘, 尾形 強, 猪川 三郎
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1236-1238
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    異なった量のエチレングリコール・ジアクリル酸エステルを含むアクリル酸かブチル,n-プロピル,エチル,およびメチルエステルのポプコン重合物を20%水酸化ナトリウム水溶液で加水分解し,不溶分と可溶分をそれぞれ求めた。実験結果からつぎのことがわかった。すなわち,(1)ポプコン重合は,網目構造中に埋蔵されたラジカルではじまる。(2)ラジカルが網目構造の中に存在しているため,生じた高分子が網目を切断して生長し,新しいラジカルを生成する。また,モノマーのラジヵルへの拡散も網目構造夢の寒めおそくなり,連鎖移動が容易になり,断しい架橋が生成する。
    アクリル酸ブチルにおいては,プチル基への連鎖移勲が,アクリル酸メチルでは主鎖への連鎖移動が主として起こる
  • 沢 夏雄, 岡村 茂, 保田 昌宏
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1239-1243
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    加圧アセチレンとイミダゾールとの付加反応を主としてジオキサン-2-プロパノール混合溶媒中で行ない,多くのN-ビニルイミダゾールを合成した。そのさい,4-位に置換基を有するイミダゾールからは互変異性により二つのN-ビニル異性体からなる異性体混合物が生じたので,各異性体を単離し,水素化によりN-エチル体としたのち,ニトロ化物を経由し,α-アミノ酸へ誘導して各異性体の置換基位置を決定した。一方,このようにして置換基位置が明らかにされた各異性体のNMRスペクトルと,それらのニトロ誘導体の紫外吸収スペクトルを検討し,おのおののスペクトルにより置換基位置の決定が,この場合簡単に行なえることを確かめた。
  • 佐藤 正雄, 石田 康昌
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1244-1247
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    種々の置換基を有するトリオルガノクロムと金属ハロゲン化物の反応を検討した。n-キシル,I-フェニルビニルおよびスチリル化合物と塩化水銀(II)の反応では,アリールの場合と異なりRHgCl型の有機水銀化合物はえられず,不均化とカップリング生成物が,シクロヘキシルのときは不均化反応生成物と塩化シクロヘキシルがえられた。アリルおよびフェネチルではアリールの場合と同じように有機水銀化合物はえられるが,それ以外不均化およびカップリング生成物がえられた。無水塩化銅(II)との反応では,アリル,スチリルのときは不均化およびカップリソグ生成物が,n-ヘキシル,シクロヘキシル,フェニルおよびフェネチルではその他にハロゲン化物がえられた。無水塩化雛バルトでは不均化およびカップリング生成物がえられた。
  • 佐分 義正, 善本 知孝, 南 享二
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1248-1250
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    光照射によりω-フェノキシアセトフェノンからアセトフェノンとフェノールとが生成する光エ一テル開裂反応の過程を追求するために,(1)ω-フェノキシ-β-アセトナフトン〔D〕の光分解,(2)ω-フェノキシアセトフェノン〔A〕の光分解におけるナフタリン効果,の二点に関して検討した。
    ケトソ〔D〕は最低励起三重項π→π* をもつと考えられるにもかかわらず,ケトン〔A〕と同様にいちじるしく分解した。一方,ナフタリン濃度を種々に変えてもケトン〔A〕の分解速度はほとんど一定であった。すなわち,ケトン〔A〕の光分解におけるナフタリン効果はまったく認められなかった。また,1,3-ペンタジエン効果も同様に認められなかった。
    こうして本反応がペンゾフェノンの光還元反応と異なり,ケチルラジカル〔A-H〕の生成は本反応においては必要でないことは明白である。さらに,この光開裂反応はn→π* 三重項状態〔A* T〕でなく一重項状態〔A* S〕から進行するものと思われる。
  • 野口 順蔵, 松沢 公彦, 五本 昭子, 大西 昭男
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1251-1254
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリ-L-メチオニンは二塩化メチレン中で硫酸ジメチル処理すると定量的に水溶性のポリ-L-メチオニン-S-メチルスルホニウムメチル硫酸塩になる。水不溶性とするためにメチオニンのロイシンとのコポリマーをつくりスルホニウム塩に変え,この強塩基性スルホニウム基を陰イオン交換基とする樹脂をつくった。ロイシンの含量が多いほどメチオニル残基を100%スルホニウム化することは困難となり,コポリ(L-メチオニン,L-ロイシン3:2)ではスルホニウム化度は約54%である。カラム法によるこの樹脂のハロゲンイオンに対する比交換容量は1.9~2.0(mmol/g)で,既知の第3級スルポニウム型樹脂Stamex S-44の比交換容量1.3(mmol/g)よりもよい結果を示し,ハロゲンイオンに対する選択係数はKCl-Cl-=1.0としたときKBr-Cl-=1.4,Kl-Cl-=6.8でとくにヨウ素イオンに対して強い選択性を示したが,第4級アンモニウム型交換樹脂と同じ程度でありとくに優っているとはいえない。カラムの再生にさいし,体積変化が大きく液の流下を妨げるばかりでなく再生賦活能力が次第に低下するので実用的ではない。
  • 林 良之, 小田 良平
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1255-1259
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    スチレンの塩化スルフェニル付加体はいずれも87%以丘のMarkownikoff付加体を含む。これらの付加体は加熱によって30%前後のanti-Markownikoff付加体を含む平衡混合物になる。この異性化反応は酸触媒反応である。これら異性体のNMRについて検討した。これらの平搬合物はメタノール中硝酸銀,酢酸カリウム希薄アルコラート溶液どによってエピスルポニウムイオンを経由してMarkownikoff付加体の塩素置換生成物のみを生成した。
    一方,濃厚アルコラート溶液によっては両異性体とも脱離反応を受けるがanti-Markownikoff付加体は非常に容易に脱離反応を受け,α-置換スチレンを生成した。
    これらの脱離反応においてはエピスルポニウムイオンを経由するのではなく直接E2反応を受けていると考えられる。れらの置換およびこ脱諏応を応用することによりα,β-置換フェニルエタン樗び置換スチレン誘導体を容易に合成することができる。これらの反応の若干例を示した。
  • 嶋尾 一郎
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1259-1261
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    p-トルエンスルホン酸の存在におけるp-アルキルベンジルアルコールとトルエンとの反応において,ベンジルアルコールの反応性お零び基質選択性などに対するアルキル基の影響について検討した。溶媒として過剰のトルエンを使用した。相対速度は競争的方法によって求めた。p-アルキルベンジルアルコールの反応性はH<t-Bu<i-Pr<Et<Meの順に増大した。これは置換基の超共役効果によるベンジル型陽イオンを安定化する順と一致する。ベンゼンに対するトルエンの相対速度(kT/kB)は同じ順序で増大した。基質選択性は親電子試薬の反応中心原子上の電子不足性が増大することによって減少する。p-アルキルベンジルトルエンの異性体組成をガスクロマトグラフィーによって測定した。メタ体の量はpアルキル基の存在によって減少する
  • 石川 延男, 黒田 勝彦
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1261-1264
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    オルガノモノフルオルシラン類は水を含む極性有機溶媒中でアルキルアミンと室温で反応して対応するオルガノジシロキサン類をよい収率で与えた。試みた有機溶媒およびアミンのなかではアセトニトリルとかプロピルアミンとがもっとも効果的であった。
    MeCN-H2O(200:1)の中で1molのトリフェニルー,トリ(m-トリル)-,トリ(p-トリル)-,トリ(pクロルフェニル)-,メチルジフェニルーおよびジメチルフェニルーフルオルシランは2molのn-PrNH2と反応して66~90%の収率でそれぞれ対応するヘキサオルガノジシロキサンを生成した。
    トリフェニルシラノールはアセトニトリル中,n-プゴピルアミンフッ化水素酸塩の作用によって容易にヘキサフェニルジシロキサンに縮合されたところから,上記の反応においてもアルキルアミンフッ化水素酸塩がシラノール類に対して強力な脱水剤として作用しているものと推定された。
  • 安達 和郎
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1264-1266
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 橋本 二郎
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1266-1268
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 杉山 登, 山本 忠, 鹿島 長次
    1968 年 89 巻 12 号 p. 1268-1269
    発行日: 1968年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1968 年 89 巻 12 号 p. A69-A75
    発行日: 1968/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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