日本化學雜誌
Online ISSN : 2185-0917
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89 巻, 9 号
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  • 坪井 正道, 平川 暁子, 玉懸 敬悦
    1968 年 89 巻 9 号 p. 821-830
    発行日: 1968/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    メチルアミン(CH3NH2), メチルアミン-d2(CH3ND3), メチル-d-アミン(CH2DNH2), エチルアミン(CH3CH2NH2), イソプロピルアミン((CH3)2CHNH2), t-ブチルアミン((CH3)3CNH2)の気体の遠赤外吸収スペクトルを測定し, C-N 軸ねじれ振動吸収帯の位置ならびに微細構造を観測した。CH3NH2およびCH2DNH2 の二分子の内部回転については詳細な理論的取り扱いを行ない, 他の分子に対してはそれらの結果を適宜に応用した。その結果, 判明した点はつぎのとおりである。
    CH3NH2のメチル基の慣性モーメント (対称軸のまわり) は (5.273±0.020) ×10-40g・cm2, 内部回転のポテンシャル定数は, H3=683.2±1.2cm-1, H6=-2.0±1.5cm-1。CH3ND2 の内部回転のポテンシャル定数は, H3=671.6cm-1, H6=O0 CH2DNH2 分子のねじれ振動第一励起状態のエネルギー準位はトランス形のものとゴーシュ形のものとに画然とわかれでいて, しかもそのおのおのは分子全体の回転量子数 K にほとんど依存しない。これは内部回転の実効慣性モーメントが内部回転角によって変化することを考慮しただけでは説明できない。むしろ他の振動とねじれ振動とのカップリソグの様相がトランス形分子とゴーシュ形分子とで違うことが主因であると考えられる。なお, 二つのゴーシュ形の間の相互作用によってねじれ振動第一励起エネルギー準位は2.8cm-1分離している。エチルアミンおよびイソプロピルアミンの内部回転エネルギー準位は, いずれもやはりトランス形のものとゴーシュ形のものとにわかれている。エチルアミンではゴーシュ形の方が振動数は低く, ゴーシュ・ゴーシュ相互作用による分離は 2cm-1, その間のポテンシャル障壁の高さは 560±50cm-1である。t-プチルアミンの3回対称ポテンシャルの山の高さは826cm-1 と見積もられた。
  • 角田 光雄, 大場 洋一
    1968 年 89 巻 9 号 p. 831-834
    発行日: 1968/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    セファデックス LH-20 ゲルを用いたゲルロ過法により, 天然汚垢の分離を行なった。その結果流出曲線に三つのピークれが表わてくる。
    既知の油脂物質に対するゲルロ過の測定結果から類推して, 第1ピーク(ピークA)には分子量が約400以上の成分が含まれており, 第2ピーク(ピークB)はコレステリン, 第3ピーク(ピークC)は高級脂肪酸に相当する。各ピークに相当する流出液中に含まれて流出してきた成分の赤外吸収スペクトルおよび薄層クロマトグラフによる測定結果から, ピークAにはトリグリセリド. コレステリルステアレート, スクアレンが含まれており, ピークBはコレステリン, ピークCは高級脂肪酸であることが確かめられた。
    この実験結果から, ゲルロ過法は洗浄の過程で洗浄除去困難な物質を推定する目的に利用できることがわかった。
  • 角田 光雄, 大場 洋一
    1968 年 89 巻 9 号 p. 835-839
    発行日: 1968/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    天然汚染エリ布を種々な洗浄液で洗浄した場合, まず除去されてきた有機質汚垢と, 除去されずに繊維に残存していた汚垢とを, 赤外吸収スペクトルおよびセファデックス LH-20 ゲルを用いたゲルロ過法で比較検討した。赤外吸収スペクトルの結果からは, 塩化メチレン洗浄で除去されてきた有機質汚垢は, エステル結合のνcoによる1740cm-1付近の吸収と遊離脂肪酸の CO 基による1710cm-1付近の吸収強度はほぼ等しい。トリリン酸ナトリウムを含む水溶液で洗浄した場合, 除去されてきた汚垢の吸収強度は, 1710cm-1>1740cm-1であるが, 繊維に残存してる汚垢の吸収強度は, 1710cm-1<1740cm-1であった。ゲルロ過の結果でも, 除去されてきた汚垢は繊維に残っていた汚垢に比較して, トリグリセリド類を主体とする流出曲線の第1ピークの高さが小さく, 一方, 脂肪酸による第2ピークの高さは大きくなっている。トリリン酸ナトリウムを含む水溶液による洗浄では, 脂肪酸の方がトリグリセリド類よりも除去されやすいと思われる。
    この結果は, トリリン酸ナトリウムなどのビルダー作用機構を考える上で興味深い現象と思われる。
  • 山本 正夫, 高橋 政司, 今岡 理宏, 橋岡 俊之, 広田 鋼蔵
    1968 年 89 巻 9 号 p. 839-843
    発行日: 1968/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    熱拡散法を用いて高濃度重酸素(18O)の濃縮を行なった。原料酸素として1.0~3.Oatom% の低濃度重酸素を使用した。全有効長8段, 22.85m の装置では72日間の運転で180の濃度は 80.8atom% に達し, 1802 としての輸送量は2.6ml/day であった。また, 全有効長5段, 14.Omの装置では46日間の運転で180の濃度は 69atom% に達し, 1802としての輸送量は 3.6ml/day であった。 後者の実験結果として, 60atom%の 180を含む重酸素ガスを 150ml と 25atom% 180 のものを 250ml 採取することができた。
    この結果は高濃度重酸素をえるには, 従来予想されたほど長日月を要しないことを示す。
  • 藤田 孟, 寺戸 国昭
    1968 年 89 巻 9 号 p. 844-849
    発行日: 1968/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    新鮮な酸化鉄(III)ゾルに対する各種のデキストランの吸着性を検討した。Sephadex G-100 によるゲルロ過法と電気泳動法を用いて, デキストラン-酸化鉄(III)ゾル系から酸化鉄ゾル画分のみを分離し, そのゾル画分中に含まれる鉄(III)に対するデキストランの重量比(Dex/Fe)を測定した。
    (i) ゾル液のpHが4.0および11.8のいずれにおいても, 極限粘度[η]=0.052~0.157の範囲で, Dex/Fe 比はデキストラソの[η]の増大とともに増加した。
    (ii) pH2~12の範囲において,酸化鉄ゾルに対するデキストラン([η]=0.081)の吸着量は, ゾル液のpHの増大とともにほぼ直線的に増加した。
    これらの事実は, デキストランがその分子鎖の特定のサイト(カルボニル末端基)で酸化鉄ゾル粒子表面に吸蒲していることを示すものと考えられる。
    (iii) デキストランを含む酸化鉄ゾルをアルカリ加熱処理(pH12,100℃, 20分間)すると, デキストランは酸化鉄ゾル粒子表面に強く吸着した。さらに, 最初pH 6~7 の範囲に存在したゾルの等電点 pH は, このアルカリ加熱処理により酸性 pH 側にシフトし, ゾルはpH 3~12 の範囲において負に帯電していることを認めた。
  • 樋口 精一郎, 田中 誠之, 鎌田 仁
    1968 年 89 巻 9 号 p. 849-852
    発行日: 1968/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    赤外吸収帯の半値幅は, 使用する溶媒によってかなり大きく変化することが多い。本研究においては, ヨウ化メチルおよびヨウ化メチル-d3 の全対称振動に基づく吸収帯の半値幅を溶媒 10種類について測定し, その溶媒による変動を検討した。その結果, いずれの吸収帯の半値幅も溶媒の粘性率に対して直角双曲線的な相関関係をもつことが見いだされた。このような相関関係は誘電緩和や磁気緩和の理論式から類推して, 分子のランダム回転運動の相関時間が溶媒の粘性率と一次の関係をもつと仮定することにより, 定性的に一応説明することができる。さらに, その他の吸収帯の場合のデータをいくつか示し, 一般には半値幅に影響するのは分子のラソダム回転運動の状態だけでなく, 種々の要因が重なって作用するため, その挙動は大変複雑になること, およびヨウ化メチル分子の場合は唯一つの要因が支配的となったため, そのような単純な挙動になったものと考えられることが結論された。
  • 杉浦 公昭, 山崎 一雄
    1968 年 89 巻 9 号 p. 853-855
    発行日: 1968/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    N,N'-エチレンピス(ο-オキシフェニルグリシン)を配位子とする3価金属の新しい錯体, K[Cr(ehpg)], K[Fe(ehpg)], K[Co(ehpg)] の3種を合成し, その磁性ならびに可視, 紫外および赤外吸収スペクトルなどを測定した。各錯体の色と磁気モーメント(室温)はクロム: 紫色, 3.8 Bohr magneton, 鉄: 赤褐色, 5.7 Bohr magneton, コバルト:黒褐色, 反磁性である。これらはすべてこの配位子が六座としズ配位した正八面体型構造をとっているものと推定される。
  • 長島 弘三, 脇田 久伸
    1968 年 89 巻 9 号 p. 856-859
    発行日: 1968/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    テンゲル石と称される銘物は, 含水炭酸イットリウムの希産鉱物であって, 古くスエーデン Ytterby で発見されたものであるが, その性質などはあまりわかっていない。組成に関しても, アメリカ Texas 州 Llano 産の試料の分析値は著量のベリリウムとイットリウムを示し, 本邦福島県川俣町水晶山産の試料の分析値は著量のカルシウムとイットリウムを示している。後者の分析値から飯盛はテンゲル石の組成式としてイットリウムとカルシウムの含水塩基性複炭酸塩 Y3Ca(OH)3(CO3)4・3H20(?)という式を提案した。
    組成を調べるため, トリクロル酢酸イットリウムの水溶液から沈殿させ, 母液とともに熟成させる方法により含水炭酸イットリウムを合成した。沈殿させた炭酸塩のX線粉末回折値は水晶山産およびノルウェー Iveland 産 (ASTM, 16-698) の回折値とよく一致した。水晶山産の試料と, 合成物の DTA,TGA,IR 吸収はよく一致し, 両者が同一物質であることが確かめられた。合成物の分析値からモル比は Y203:CO2:H20=1.00:2.90:2.56(平均)となった。この比は正炭酸塩にきわめて近い。以上の結果からつぎのことが結論される。(1)テンゲル石は含水炭酸イットリウムと同じ構造を有する。(2)テンゲル石は含水炭酸イットリウムに近い組成を有する。
  • 安河内 一夫, 山口 博子, 前田 正靖
    1968 年 89 巻 9 号 p. 860-863
    発行日: 1968/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ジメチルホルムアミド(以下 DMF と略記する)中のアントラキノン (以下 AQ と略記する)系化合物のポーラログラフ的還元におよぼす水分の影響は含水率の増加にともない, 第 1,2 波の還元電位がともに陽電位に移行し, 波高も減少することが認められている。
  • 後藤 正志, 石井 大道
    1968 年 89 巻 9 号 p. 864-867
    発行日: 1968/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    強リン酸(P2O5 76.1wt%) を溶媒および支持電解質とし, 滴下水銀電極を用いて 35~120℃におけるチタン(IV), 鉄(III)およびタリウム(I)イオソの直流ボーラログラフ的挙動の研究を行なった。
    その結果, 本溶媒中でこれらの金属イオンはいずれも良好な直流ポーラログラムを与え, その電極電位(E)と log{i/(id-i)}の間には直線関係が成立し, その直線の傾斜は還元電子数を1とした場合の理論値とよく一致することを確かめた。これらの金属イオンの電極反応は拡散支配であり, 復極剤の濃度と波高との間には良好な比例関係が成立することがわかった。また 35~120℃ の温度範囲内でIlkovic式を用いて求めた各イオンの拡散係数の対数値と絶対温度の逆数との間にはいずれも直線性が成立し, それらの直線からえられた各イオンの拡散係数((cm2/sec)×108), および拡散過程の活性化エネルギー(kcal/mol)をそれぞれ前後してつぎに示す。チタン(IV): 10.5(100℃), 8.0, 鉄(III): 9.8(100℃), 9.7, タリウム(I): 10.8(50℃), 14.5。
  • 沢 夏雄
    1968 年 89 巻 9 号 p. 868-872
    発行日: 1968/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    銅, 白金, ニッケル, モリブデンなどの金属触媒によるイミダゾリソの脱水素反応を気相および液相において種々の条件のもとに試み, それらのうちでもっともよい収率を示したギ酸ニッケル触媒による常圧液相反応を用い, 多くの 2-置換イミダゾールを好収率で合成した。そのさいの反応条件, 副生成物および反応速度などについて検討した。
  • 田中 順太郎, 片桐 孝夫, 高部 囲彦
    1968 年 89 巻 9 号 p. 872-874
    発行日: 1968/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    イソプレンから容易に合成されるハロゲン化プレニルを種々の触媒を用いて反応させ, 二量化物の主成分の構造を確認した。
    ハロゲン化プレニルが種々の溶媒中で酸触媒により反応し, 二量化物, 三量化物などがえられた。とくに触媒として塩化亜鉛, 溶媒として四塩化炭素を用いた場合には, 二量化物が収率よくえられた。反応生成物中の二量化物の主成分は, ガスクロマトグラフィー, ハロゲンの定量, 赤外吸収スペクトル, 核磁気共鳴スペクトルなどを併用し, その構造を確認した。
    塩化プレニルの場合には, 蒸留の結果, 二塩化ラバンジュリルが主成分であった。 しかし, 臭化プレニルの場合には, 臭化ラパンジュリルであった。これは, 臭化プレニルの場合にも, 蒸留前の反応生成物中には, 主として二臭化ラバンジュリルと推定される物質ができているのであるが, この化合物は熱に対して不安定で, 蒸留のさいの熱により脱臭化水素化して, 臭化ラバンジュリルに変化したものと思われる。
  • 田中 順太郎, 片桐 孝夫, 竹下 徹
    1968 年 89 巻 9 号 p. 875-877
    発行日: 1968/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    前報において1,4-結合したいわゆるテルペン類がイソプレンとカルボン酸のテ癖メル化反応の主成分であることを報告した。
    しかしこの反応においてモノテルペン留分中約10%程度の 1,4-結合以外の生成物が認められた。これをイソテルペン類として報告する。テロマーを加水分解しアルコールとして, ガスクロマトグラフィー, 核磁気共鳴スペクトル, 質量スペクトル, 赤外吸収スペクトル, 薄層クロマトグラフィーを, おのおの別途に合成した 2,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール(1)および 2-truns-2,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-オール(2)と比較検討し, それらは 4,4-結合した化合物であることを確かめた。また予期に反し 3,4-結合した化合物ラバンジュロールは微量しかえられなかった。塩化プレニルをテローゲンとするテロメル化反応においても, 加水分解生成物について(1),(2)のアルコールが存在することが確認された。以上から反応機構を考察した。
  • 鈴木 盛夫, 小田 泰皮
    1968 年 89 巻 9 号 p. 878-882
    発行日: 1968/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    7-メトキシフラバノン(1) およびフラバノン(6) を種々の触媒 (漆原ニッケル, ラネーニッケル, パラジウム黒, パラジウム炭および酸化白金) を用いて室温常圧下に接触還元を行ない生成物を検討した。(1) からは, ラネーニッケル W5 を用いると2'-オキシ-4' -メトキシジヒドロカルコン(2)(mp 103℃)がえられ, 池のニッケル触媒およびパラジウム炭B を用いたときには(2) と4β-オキシ-7-メトキシフラバン(3)とがえられ, パラジウム黒を用いると(3)と 7-メトキシフラバン(mp 38℃)とがえられ, 酸化白金を用いると(3)と 1-(4-メトキシシクロヘキシル)-3-シクロヘキシルプロパン(mp43℃)とがえられた。(6)からは, ラネーニッケル W5 を用いると 4β-オキシフラバン(8)と 1-(2-オキシフェニル)-3-フェニルプロパノールとがえられ, 酸性溶液中でパラジウム触媒および酸化白金を用いると(8)とフラバンとがえられ, 他の条件では(8)がえられた。上の事実に基づいてフラバノン類の接触還元の機構について考察した。
  • 吉田 弘
    1968 年 89 巻 9 号 p. 883-886
    発行日: 1968/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    モノアルキルチオ炭酸の金属盧は多く知られているが, 第四アンモニウム塩については二三の報告があるのみである。著者はさキコきにキサントゲン酸エステル (R'OCS2R) と第三アミン (R3'' N) とが室温で反応して第四アンモニウム塩(〓)を与えることを報告したが, このアンモニウム塩 (R'=R''=Me ) を出発物質としてROCO2-, ROCOS-, RSC2-, ROCS2-, RSCS2- ( R=Me, Et, PhCH2) のテトラメチルアンモニウム塩を新しく合成することができた。またこれらのアソモニウム塩の相互間の反応を調べ, たがいに逆反応が可能であることがわかった。
  • 広瀬 正克, 佐藤 泰夫, 萩谷 彬
    1968 年 89 巻 9 号 p. 887-889
    発行日: 1968/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    コブシの種子の脂質をメタノール - 水酸化カリウムでケン化をして, 不ケン化物とケン化物とにわけた。ケン化物はメタノール-濃硫酸でメチルエステルに導き, ガスクロマトグラフィーにより成分の同定を行なった。その結果ケン化物はC16F0, C16F1, C18F1, C18F2, の少量の C14F0, C18F0, C18F3 の脂肪酸を含むことがわかった。
    また不ケン化物は薄層クロマトグラフィーを行なった結果数個のスポットがみられたので, カラムクロマトグラフィーにより分離, 精製を行ないガスクロマトグラフィーなどにより同定した。その結果不ケン化物は, β-シトステリンを生成分とするステロイドと, 少量の 16-ヘントリアコンタノンと 16-ヘントリアコンタノールの存在することがわかった。
  • 広瀬 正克, 佐藤 泰夫, 萩谷 彬
    1968 年 89 巻 9 号 p. 889-891
    発行日: 1968/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    コブシ種子のメタノール抽出液の中性部から, 良結晶性の板状結晶をえた。この結晶は mp 126.5~127℃を示し, 分子式はC24H30O8であることがわかった。この結晶は酸の作用または, 酸化白金を触媒とした還元に対し非常に不安定でいずれの場合にも薄層クロマトグラム上に数個のスポットがみられた。またこの結晶の IR, 質量スペクトル, 核磁気共鳴吸収の結果はいずれも従来から報告されている縮合テトラヒドロフラン環を持ったリグナン誘導体によく類似していることがわかった。
    そこで過マンガン酸カリウムや濃硝酸による酸化生成物から, この物質が従来天然界にはみられなかった6個のメトキシル基を有する上述のリグナン誘導体であることがわかった。
  • 大津 隆行, 津田 和一, 福水 富弥, 井上 弘
    1968 年 89 巻 9 号 p. 892-894
    発行日: 1968/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    含イオウモノマーのラジカル重合性におよぼすイオウ原子, ならびに置換基の効果を検討するために, 3種のビス (フェニルチオ) エチレン誘導体, すなわち cis-1,2-ビス (フェニルチオ) エチレン(1), traas-1,2-ビス(フェニルチオ)エチレン(2) および 1,1-ビス (フェニルチオ) エチレン (3) の合成を行なった。これらモノマーはいずれもラジカル開始剤によって単独重合性を示さず, またスチレンとの共重合性も小であった。えられた Q, e 値はつぎのとおりであった。
    (1) :Q=0.026, e=-2.3, (2): Q=0.059, e=-2.5, (3); Q=0.45, e=-2.9
    以上の結果から, ビスフェニルチオ基のエチレンへの結合位置による反応性の違いは立体効果と, それに基づく共鳴安定化の違いによって説明された。
  • 嶋尾 一郎
    1968 年 89 巻 9 号 p. 895-897
    発行日: 1968/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    p-トルエンスルホン酸の存在でベンジルアルコール類による置換ペンゼン類のべンジル化を行なった。溶媒として過剰の芳香族化合物を使用した。相対反応速度はガスクロマトグラフィーを用いて競争的方法で求めた。メチルペソゼン類の相対反応速度は π 錯体の相対安定性と相応した。一置換ベンゼンとの反応生成物はおもにオルト体およびパラ体であった。このペンジル化は低基質選択性, 高位置選択性の反応に属する。トルエンとの反応における置換ベンジルアルコールの反応性は, m-Cl<p-Cl<H<m-CH3<p-CH3<p-CH30 の順に増加した。これはベンジル陽イオンを安定化する置換基の順と一致している。芳香核との反応における基質選択性も同じ順序で大となった。
  • 山本 育宏, 萩原 信衛
    1968 年 89 巻 9 号 p. 898-900
    発行日: 1968/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    三フッ化ホウ素エーテル付加物を触媒とし, 各種のイソシアニドの単独重合性およびシクロヘキシルイソシアニドに対する p-置換フェニルイソシアニドの共重合性について検討した。その結果, 単独重合性は, p-置換フェニルイソシアニドの場合,
    p-CH3OC6H4NC>p-CH3C6H4NC>C6H5NC>p-ClC6H4NC, 脂肪族イソシアニドの場合, C2H5NC>n-C4H9NC>s-C4H9NC>t-C4H9NC であった。これは前者では置換基の電子的な影響が, 後者では立体的な影響が重合性に寄与していることを示唆している。共重合反応においては, log 1/r1(M1: C6H11NC) と p-置換フェニルイソシアニドの σ 値との間に直線関係が成立した。そしてシクロヘキシルイソシアニドに対する p-置換フェニルイソシアニドの共重合性は単独重合性の順序と一致した。なお, このさいの p値は 1.9 であった。
  • 藤森 正宏, 春木 英一, 井本 英二
    1968 年 89 巻 9 号 p. 900-903
    発行日: 1968/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    -CO-N=C<なる骨格を有する α-アシルイミノ誘遵体は各種の求核試剤との反応によって, 種々の複素環式化合物を与えることがわかった。すなわち, N-アシルベンゾイミド酸エチル, N-アシル-N', N'-ジエチルホルムアミジンはヒドラジン, フェニルヒドラジン, ヒドロキシルアミン, o-フェニレンジアミンなどの二つの求核中心を持つ試剤と反応して, それぞれち 1,2,4-トリアゾール, 1,2,4-オキサジアゾール, ベンゾイミダゾール誘導体を与えた。以上の結果から α-アシルイミノ誘導体は -C=N-C- 骨格を有する複素環式化合物の合成に有効な試剤であることがわかった。
  • 1968 年 89 巻 9 号 p. A49-A53
    発行日: 1968/09/10
    公開日: 2011/05/30
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