日本化學雜誌
Online ISSN : 2185-0917
Print ISSN : 0369-5387
ISSN-L : 0369-5387
90 巻, 4 号
選択された号の論文の21件中1~21を表示しています
  • 林 太郎, 前田 侯子
    1969 年 90 巻 4 号 p. 325-343
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ロフィン(2,4,5-トリフェニルイミダゾール)を酸化してえた固休〔1〕とその再結晶によってえた固体〔2〕はたがいに異性体で,ビス(2,4,5-トリフヱニルイミダゾリル)であるが,〔1〕は固体でピェゾクロミズム,溶液で室温から低温にわたってサーモクロミズムを示し・〔2〕は固体および溶液で広い温度範囲にわたってホトクロミズム,室温以上の温度でサーモクロミズムを示すことを発見し・これらの場合の赤紫色の可逆的発色はESRおよび吸収スペクトルなどによりラジカル(2,4,5-トリフェニルイミダゾリル遊離基)によるものであって・ホトクロミズムによる赤紫色溶液の暗所における退色の速度は吸収極大,ESRのシグナル強度の減衰速度の測定から二次反応であることを明らかにし.その他の実験結果を総合してホトクロミズムの機構は〔2〕の光解離による2,4,5-トリフェニルイミダゾリル基の生成発色とラジカルの熱反応再結合にまる退色であることを明らかにし,再結会の活性化エネルギー,熱解離(サーモクロミズム)の解離熱を求めジ〔2〕および〔1〕のサーモクロミズム,ぐ〔1〕のピエゾクロミズムも同じラジカル機構であることを決定した。また,〔2〕は光照射のもとで約-70~-150℃の中間低温領域では発色を示さず,約_150--196℃ではホトクロミズムによるラジカルの吸収極大が室温のそれにくらべて長波長側に移動していることを認め,このホトクロミズムの温度異常性の機構を明らかにした。またロフィンと類似の構造をもっ2,3,4,5一テトラフェニルピ戸・一ルの酸化によってえられたビス(テトラフェニルピロリル)に〔1〕,〔2〕に対応する異性体があり,その一つはホトク0ミズム,サ_モクBミズムを示し,他の一つはピェゾクロミズム,サーモクロミズムを示し・それらの機構は〔1〕,〔2〕と同様であることを明らかにした。
  • 中林 一朗, 増田 精造, 安村 二郎
    1969 年 90 巻 4 号 p. 344-347
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アルミニウムおよびニッケルの交互の蒸着によって調製したサンドイッチ型ラネー合金膜,およびこれを水酸化ナトリウム水溶液で展開したラネーニッケル膜について表面組織を金属反射顕微鏡で観察した。またユッケルーアルミニウム合金の組成,ラネーニッケル膜の表面構造をX線回折で解析した。これらの観察および解析結果からラネーニッケル膜の水素化触媒活性と表面構造との関陣性について研究した。ニッケルーアルミニウムの合金は約450℃より高温の熱処理で蒸着膜中に生成しはじめ,金属間化合物としてNiAlaとNi2A13の2種が見いだされるがNiAlは存在しない。種々の熱処理温度において,生成した合金膜を水酸化ナトリウム水溶液で展開しaアセトンの水素付加反応によって触媒活性を調べると,合金生成温度約450。Cの試料から触媒活性を呈しはじめ,約550℃のものが最高活性を示した。これらのラネーニッケル触媒表面の組織は網目状構造を示し,金属間化合物中のアルミニウムは展開時に完全には溶出せず,一部残存する。またこれらのラネーニッケル膜にふたたび熱処理を加えた場合,150~200℃において,触媒活性は急激に低下する。X線回折図によれば,表面構造は同様の条件で熱処理を行なった純ニッケル蒸着膜より乱れが大きく,とくに(200)面の乱れがいちじるしい。また高温で処理したものほどニッケル格子のひずみ,すなわち格子不整がよりよく消失する。以上の事実から,ラネーニッケル触媒の活性と格子不整との間には密接な対応関係が存在すると推論される。
  • 安達 雅巳, 今中 利信, 寺西 士一郎
    1969 年 90 巻 4 号 p. 348-351
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酸化モリブデン(VI)上でのギ酸の吸着状態,および吸着にともなう金属一酸素二重結合の変化を赤外吸収スペクトルを用いて研究し,吸着初期の温度によつて吸着種が異なることを明らかにした。室温では,排気した酸化モリブデン(W)にギ酸を15~20時間ふれさせると化学吸着したHCOOH2+による吸収帯が出現し,同時にMo6+=Oの特性吸収帯は幅広くなった。これは吸着にともない,Mo6+=の結合が少し弱くなることを示す。一方,初期温度が高温の場合.すなわち酸化モリブデン(VI)にギ酸を150℃で1時間ふれさせ,つづいて室温で15~20時間放置したときには,化学吸着したHCOOH2+のほかに同じく化学吸着したHCOO-の吸収帯が認められた。同時にMo5+=Oによると思われる吸収帯が出現し,また高温導入による吸着にともなうESRスペクトルの変化からも,還元されたモリブデン(Mo5+)の生成が明らかであった・これらの事実は,ギ酸がHCOO-として吸着するさい,それにともなってMo5+=0が触媒層中に生成することを示す。
  • 諸沢 敬二, 三股 喜代子, 光井 武夫
    1969 年 90 巻 4 号 p. 352-356
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水一流動パラフィンー界面活性剤の三成分からなるO/Wエマルションにおいて,高いずり速度範囲で流動曲線を描かせたさい・ずり速度の増加とともにずり応力がいちじるしく増加し,その流動曲線がチキソト官ピックとは逆のヒステリシスループを描くという特異な現象を見いだした。著者らは,その特異な現象,すなわちダイラタントヒステリシスループについて,それがえられる条件ならびにその特異な現象を生じる原因について調べた。その結果,ダイラタントル-プという現象は独立した現象ではなく,内相比,界面活性剤量,測定温度などによって,ダイラタントループからチキソトロピックループへと連続的に変化する流動曲線の一過程であることがわかった.また,そのダイラタントループが生ずる理由としては粒度分布のずり速度による変化,ならびに粒子の動的集合状態のずり速度による変化で説明できた。
  • 藤田 孟, 高橋 浩
    1969 年 90 巻 4 号 p. 357-360
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    塩化鉄(III)水溶液(約460mmo1/d)をAmberliteIRA-410(OH型)により静的に陰イオン交換し,各種pHの水和酸化鉄(II)ゾル液を調製した。これらのゾル液およびその凍結乾燥粉末について組成を求め,ついで電子線回折と赤外吸収スペクトルによりその結晶構造を調べた。'(i)ゾルおよびその凍結乾燥粉末の組成は,Fe(OH)xCly(x=2.6~2.9,y=0.4~0.1)を示した。(ii)ゾル液およびその凍結乾燥粉末の電子線回折結果は,Mackayにより報告されたβ-FeOOHの結晶構迄に一致した.(iii)凍結乾燥粉末の赤外吸収スペクトルにおいて,850±10および680土5cm-1にβ-FeOOHに特徴的な吸収帯が観察された。したがって,塩化鉄(III)水溶液の静的な陰イオン交換過程における鉄(III)イナンの加水分解は,緩和にまた均一に進行するものと推定される。
  • 松本 孝芳, 升田 利史郎, 筒井 晃一, 小野木 重治
    1969 年 90 巻 4 号 p. 360-364
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    プチルゴムの流動パラフィン溶液に,粒子径の異なった2種類のカrボンブラックを分散させた系のレオロジー的性質について研究した。分散系の塑性粘度ηP1.降伏値Sy,動的粘性率η',動的剛性率G'を2種類の回転円筒型レオメータ.一によって測定した。えられたおもな結果はつぎのとおりである・(1)Cassonの式S1/2=K0+KD1/2(ここでS はせん断応力,Dはせん断速度,K0,K1は定数)はニュートン液体を分散媒とする分散系においてはよく成立するが,非ニュートン液体を分散媒とする分散系においては,Dが非常に低くないかぎり成立しない。(2)Cassonの式から求めた降伏値Syが分散媒の粘度や測定温度に依存しない系もあるが,それらに依存する系もある。その事情は測定条件,すなわち分散媒や粒子の種類,測定温度によって変化する。(3)分散系特有の非ニュートン流動は低せん断速度領域あるいは低せん断応力領域において顕著である。この点は高分子溶液あるいは溶融物の非ニュートン流動と非常に異なる・(4)降伏値が温度に依存しない系においては,塑性粘度ηP1に対して時間一温度の重ね合わせの原理がタイムスケールの全領域にわたって適用できるが,降伏値が温度に依存する系においては,時間一温度の重ね合わせの原理ほ適用できない。(5)時間一温度の重ね合わせが可能ならば,著者らの実験範囲において,移動係数αTは粒子濃度に無関係である。(6)分散系の塑性粘度ηP1と分散媒自身の粘度ηmの比は,高せん断速度領域で一定値になる。この一定値は分散系中の高分子濃度約0.3%で極大をもつ.(7)今回の研究においては,降伏値の値と粒子の大きさの間に相関関係が認められなかった。
  • 北沢 千和, 藍原 有敬
    1969 年 90 巻 4 号 p. 365-370
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1,4-シクロヘキサンジオンの固相について1~150MHzにわたる誘電特性を,Twin-Tbridgeを用いて測定し,その特異な分子構造との関連を検討した。固相の誘電率は,48℃および69℃の相転移にさいして階段的に増加し,転移によって分子の振動ないし回転運動が一段とはげしくなることを示す.このことを考慮して,Frolichの式およびOnsagerの式により,固相における分子の双極子モーメントを求めた。また固相の誘電率の値を用いて,この分子が示すべき原子分極の大きさを検討し(9.6ml),一方,ベンゼン溶液についてあらためて双極子モーメントの温度変化を測定し,μ=1.16D(28.6℃)→ μ=1.22D(60.8℃)をえた。これから.ねじれ舟形の立体配座をとる1,4-シクロヘキサンジオン分子の分子内運動について簡単な考察を加えた。
  • 田中 信行, 森田 守次, 武田 志郎, 山田 明文
    1969 年 90 巻 4 号 p. 371-375
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    チオシアン酸イオンを含む溶液中のインジウム(II)の水銀電極における電極反応をクロノポテンシオメトリ-を用て研究した.吸着したインジウム(III)は吸脱着平衡をたもちつつ還元されると結論した。決定した吸着挙動に基づき濃度,チオシアシ酸イオンが5mmo1/Iから5mo1/Iの範囲でインジウム(III)の電極表面過剰量を求めた。チオシアンイオン濃度が10mmol/l以下の場合はクロノポテンシオグラムに先行反応の影響があらわれ,チオシアン酸イオン濃度が減少するにつれて明瞭になる。チオシアン酸イオンを含む溶液中においてのインジウム(II)の接触的還元とインジウム(III)の電極表面への吸着はもに遊離のチオシアン酸イオンの電極表面への吸着に基づくものと結論した.
  • 後藤 正志, 石井 大道
    1969 年 90 巻 4 号 p. 376-379
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    強リン酸(P2O5 78.0wt%)を溶媒および支持電解質とし,滴下水銀電極を用いて60~120℃の温度範囲でのチタン(III)・銅(I)およびモリブデン(V)の交直両ポーラログラフ的挙動の研究を行なった。その結果,本溶媒中でチタン(II)は-0.39V(vs.HglHg2SO4,100℃)に半波電位をもつ酸化波を与え,銅(1)は酸化波と還元波を示し,その交流ピーク電位は-0.28Vであった.モリブデン(V)は半波電位-0.47Vの還元波を示した。波形解析の結果,チタン(III)の電極反応は可逆的で-電子酸化であり.銅(I)は可逆的で一電子酸化および-電子還元反応であり,モリブデン(V)は非可逆的で二電子還元であった。またこれらの金属イオンの電極反応は拡散律速であり,復極剤の濃度と拡散電流の聞には比例関係が成立した。Ilkovic式を用いて求めた各イオンの拡散係数はArrheniusの式にしたがった.100℃の強リン酸中での拡散係数((cm2/sec)×108)および拡散過程の活性化エネルギー(kcal/mo1)をそれぞれ前後してつぎに示す.チタン(III):10.2,10.8,銅(I):17.2,10.1,モリブデン(V):7.4,9.4
  • 石井 大道, 後藤 正志, 吉州 栄二
    1969 年 90 巻 4 号 p. 380-383
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    リン酸中において白金を指示電極とし,参照電極に飽和カロメル電極を用いて,銅(II)の鉄(II)溶液による電位差還元滴定について研究した。その結果・リン酸中で臭素イオンまたは塩素イオンが存在するときには反応が進行して滴定曲線がえられ,この還元反応はハロゲンイオンが銅(II)に対して等モル量以上共存することが必要であった。溶媒のリン酸濃度については13mo1/l以上で定量に適する電位変化を生じた。以上のことから,14mol/lリン酸中で2-25倍モル量のハロゲンイオンの共存下で銅(II)の定量を行なったところ.臭素イオン共存下では相対誤差±2%以内の良好な定量結果をえた。銅(II)と臭素イオン共存のリン酸溶液は290mμ に極大吸収を示し,錯体の生成が認められた。この吸収を利用して連続変化法および平衡濃度法により検討した結果.この錯体の組成はCu:Br=1:1で,安定度定数は室温で0.87あった。滴定による反応生成物の白色沈殿は臭化銅(I)であることがわかった.
  • 高田 健夫, 中埜 邦夫
    1969 年 90 巻 4 号 p. 383-388
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    原子吸光分析の吸収強度はフレーム中への試料送入量によって左右される.そこで一般に広く用いられている予混合バーナの噴霧空気あるいは噴霧室を加熱し,霧化試料の微細化とフレーム中への試料送入量の増加を試みた。これによる感度増大は噴霧空気を加熱する方法でマグネシウム,亜鉛とも約2倍であった。また有機溶媒の添加試料についても行なったが感度増大の程度は水溶液試料と同じであった,噴霧室を加熱した場合には80℃ で約10倍の感度上昇をえたが,比較的濃度の高い試料を大量噴霧したさいにはほぼ100℃ 以上の高温領域での吸収強度の頭打ちが顕著になった。各温度でえられた検量線の直線性は約80℃ まではほぼ良好であるが,それ以上では轡曲がいちじるしくなった。80℃ での精度は相対偏差で3,6%であり,常温噴霧法とほぼ同程度であった。
  • 大竹 俊樹, 玉手 英四郎
    1969 年 90 巻 4 号 p. 388-392
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    スクロースとパルミチン酸メチルをジメチルホルムアミド中で反応させることによりえられるスクロースモノパルミタ.一ト異性体混合物は,クロロホルムーメタノール混液を展開溶媒とする循環シリカゲルクロマトグラフィーで四つのフラクションに分離された。薄層クロマトグラフィーにより,フラクシヨンI,IIおよびIVはそれぞれM1,M2,M5と名づけられた異性体を主成分とし,フラクシロンIIIはM3とM4のほぼ5:4混合物であることが認められた。これらの異梶体の物性値はつぎのとおりである。[α] 〓(C=4,エタノール):M1+43.5°,M2+36.5°,M3-M4(約5:4)+24.1°,M5+44.8°献化点(℃):M1 55-57,M2 64-68,M3-M4 47-50,M5 40-41各スクロースモノパルミタート異性体の酸加水分解物からえられたヘキソースモノパルミタートの同定からM3とMSのアシル基はグルコース側にあり,一方,M1,M3およびM4のアシル基はフルクトース側にあることが認められた。
  • 大竹 俊樹, 玉手 英四郎
    1969 年 90 巻 4 号 p. 393-397
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    トランスエステル化生成物からカラムクロマトグラワィーにより分離された5種のスクロ一スモ/パルミタート異性体の構造は・適当な誘導体についてのNMRスペクトルおよびガスクロマトグラフィーの適用により確立された。各異性体におけるエステル化されたヘキソース部分は対応するスクロースモノエステル異性体の加水分解物から調製したヘキソースモノエステルの同定によりあらかじめ確かめられていたb種々の分析からスクmスモノエステルのエステル基は大部分6-位と6'-位にあるが,3-位,3'-位・4'-位のエステル化も起こることが結論された.1'-位のエステルは認められなかった。
  • 鈴木 盛夫, 水野 英雄, 小田 泰史, 鬼武 義和, 鎌田 穣
    1969 年 90 巻 4 号 p. 397-400
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    4Lメトキシフラバノン〔5〕,5一メトキジフラバノン〔8〕および6一メトキシフラバノン〔13〕をラネーニッケルW2,W5および微酸性のパラジウム黒を触媒とし室温常圧下に接触還元を行なった。〔5〕からは4'-メトキシー4β一ヒドロキシフラバンと4'メトキシフラバンがえられ,〔8〕からは5一メトキシ4β 一ヒドロキシフラパン(mp110.5℃),5-メトキシフラバン,2'-ヒドロキシ-6'-メトキシジヒドロカルコン(mp61℃),および1-(2-ヒドロキシ-6-メトキシフフェニル)-3-フェニルプロバノール(mplO6℃)がえられ.〔13〕からは6-メトキシ-4β-ヒドロキシフラバン(mp136.5℃).1-(2-ヒドロキシ-5-メトキシフユニル)-3-フェニルプロパノール(mp77。G),および1-(2一ヒドロキシー5一メトキシフユニル)-3一フェニルプ癖パン(mp68℃)がえられた.フラバノン類の接触還元の機構について考察した。
  • 鈴木 盛夫, 小田 泰史, 中山 蔀, 水野 英雄
    1969 年 90 巻 4 号 p. 401-404
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    cis-7-メトキシ-3-メチルブラバノン〔2a〕(mP-6℃),trans-7-メトキシ-3-メチルフラバノン〔2b〕(mp104℃),cis-7-アセトキシー3-メチルフラバノン〔3a〕,およびtrans-7-アセトキシ-3-メチルフラバノン〔3b〕 をエタノール中で微酸性のパラジウム黒を触媒として室温常圧下に接触還元した。〔2a〕からは2-3-cis-3,4-cis-7-メトキシ-3-メチル4-ヒドロキシフラパン〔4a〕(mP118℃)(〔4a〕-アセタート,油状物)がえられ,〔2b〕からは2,3-trans-3, 4-trans-7-メトキシ-3-メチル4-ヒドロキシフラバン〔4b〕(mp118℃)(〔4b〕アセタート,mp137℃)と2,3-trans-7-メトキシ-3-メチルフラバン(mp63.5℃)とがえられた.〔3a〕からの還元生成物をアセチル化して2,3-cis-3,4-cis-4,7-ジアセトキシ-3-メチルフラバン(mP-0.5℃)がえられ.同様にして〔3b〕からは2,3-trans-5-3,4-trans-4,7-ジアセトキシ-3-メチルフラバン(mp164℃)がえられた。上記接触還元の反応機構について考察した。
  • 佐藤 成一
    1969 年 90 巻 4 号 p. 404-410
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    N,N-ジアシルアミノオレフィンのコバルトカルボニル触媒によるヒドロホルミル化反応により,N,N-ジアシルアミノアルデヒドを合成しうることを見いだした。N-アリルフタルイミド〔1〕からは,収率87%でアルデヒドが生成し,そのほとんどが4-フタルイミドブチルアルデヒド〔2a〕であり,N,N-ジアセチルアリルアミン〔6〕からは,収率86%でN,N-ジアセチル4-アミノブチルアルデヒド〔7a〕とN,N-ジアセチル-3-アミノイソブチルアルデヒド〔7b〕の混合物が生成し,〔7a〕/〔7b〕=6.7であった。N-ビニルフタルイミド〔10〕からは,収率78%で,3-フタルイミドブロピオンアルデヒド〔11a〕と2-フタルイミドブロピォンアルデヒド〔11b〕との混合物がえられ,〔11a〕/〔11b〕=2.5であった。N-スチリルフタルイミド〔12〕は,ヒドロホルミル化反応条件下で二重結合の水素化が主反応となり,N-フェネチルフタルイミド〔13〕が収率66%で.えられ,ヒドロホルミル化生成物はわずかに収率7%で生成するのにすぎなかった。N-モノアシルアミノオレフィンでは,窒素原子に結合した活性水素が残っているためか反応は複雑になり,N-アリルアセトアミド〔19〕から2-アセトアミド酪酸〔20〕が収率38%で生成することを確認した。
  • 古賀 城一, 森田 長興, 黒木 宣彦
    1969 年 90 巻 4 号 p. 411-416
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    光学活性色素と牛血清アルブミンとの相互作用を,平衡透析法によって考察した。光学活性色素はD一およびL一アラニン,メチオニン,ロイシン,フェニルアラニンから合成した一般式〓の構造を有するものである。PH5.0で透析実験を行なった結果,D-体色素がそれぞれのL-体色素よりよくアルブミンと結合した。置換基Rの種類によって色素の結合性は異なる。一般に炭素数の増加にともなってアルブミンに対する色素の結合力は増加するが,光学異性体間の結合性の相違は減少することが明らかとなった。またメチオニン誘導体のD-体にはとくに有効な結合座席がアルブミン分子中に一つ存在し,この座席にはそのL-体色素は結合しないことを推定した。色素の結合定数を算出し結合にともなう熱力学的パラメーターを求めたところ,その自由エネルギー変化は正のエントロピー変化に依存していることを知った。
  • 石翔 延男, 黒田 勝彦
    1969 年 90 巻 4 号 p. 416-419
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ジフェニルジフルオルシランを含水アセトニトリル中,室温でアルキルアミンと反応させるとオクタフェニルシクロテトラシロキサンが収率90%で生成した。またジフェニルシランジオールはアセトニトリル中,少量のn-プロピルアミンフッ化水素酸塩の存在下に容易に縮合して同じ生成物(環状四量体)を与えることがわかったので,上記の反応はつぎのように進行し,アルキルアンモニウムフルオリドがジフェニルシランジオールの縮合剤として触媒的に作用しているものと推定された。Ph2SiF2 + RNH2 + 2 H20 → Ph2Si (OH) 2 + 2 RNH3EDFC4 Ph2Si (OH) 2 → (Ph2SiO) 4 + 4 H20この方法により,いくつかの置換基m-CH3,p-GH3,m-Cl,p-C1またはm-GF3をもつオクタアリ-ルジクロテトラシロキサン類を相当するジアリールジフルオルシランから合成した。これら環状テトラシロキサンの赤外吸収スペクトルは1080~1106cm-1にSi-O-Siの特性吸収を示した。
  • 去来川 覚三, 川合 昌路, 戸井 康雄, 伏崎 弥三郎
    1969 年 90 巻 4 号 p. 419-421
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 黒木 正胤
    1969 年 90 巻 4 号 p. 421-423
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1969 年 90 巻 4 号 p. A19-A23
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
feedback
Top