ロフィン(2,4,5-トリフェニルイミダゾール)を酸化してえた固休〔1〕とその再結晶によってえた固体〔2〕はたがいに異性体で,ビス(2,4,5-トリフヱニルイミダゾリル)であるが,〔1〕は固体でピェゾクロミズム,溶液で室温から低温にわたってサーモクロミズムを示し・〔2〕は固体および溶液で広い温度範囲にわたってホトクロミズム,室温以上の温度でサーモクロミズムを示すことを発見し・これらの場合の赤紫色の可逆的発色はESRおよび吸収スペクトルなどによりラジカル(2,4,5-トリフェニルイミダゾリル遊離基)によるものであって・ホトクロミズムによる赤紫色溶液の暗所における退色の速度は吸収極大,ESRのシグナル強度の減衰速度の測定から二次反応であることを明らかにし.その他の実験結果を総合してホトクロミズムの機構は〔2〕の光解離による2,4,5-トリフェニルイミダゾリル基の生成発色とラジカルの熱反応再結合にまる退色であることを明らかにし,再結会の活性化エネルギー,熱解離(サーモクロミズム)の解離熱を求めジ〔2〕および〔1〕のサーモクロミズム,ぐ〔1〕のピエゾクロミズムも同じラジカル機構であることを決定した。また,〔2〕は光照射のもとで約-70~-150℃の中間低温領域では発色を示さず,約_150--196℃ではホトクロミズムによるラジカルの吸収極大が室温のそれにくらべて長波長側に移動していることを認め,このホトクロミズムの温度異常性の機構を明らかにした。またロフィンと類似の構造をもっ2,3,4,5一テトラフェニルピ戸・一ルの酸化によってえられたビス(テトラフェニルピロリル)に〔1〕,〔2〕に対応する異性体があり,その一つはホトク0ミズム,サ_モクBミズムを示し,他の一つはピェゾクロミズム,サーモクロミズムを示し・それらの機構は〔1〕,〔2〕と同様であることを明らかにした。
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