認知神経科学
Online ISSN : 1884-510X
Print ISSN : 1344-4298
ISSN-L : 1344-4298
19 巻 , 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
特別講演II
  • 安梅 勅江
    原稿種別: 特別講演II
    2017 年 19 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/09
    ジャーナル フリー

    【要旨】エンパワメント(湧活)とは、人びとに夢や希望を与え、勇気づけ、人が本来持っているすばらしい、生きる力を湧き出させることである。

     人は誰もが、すばらしい力を持って生まれてくる。そして生涯、すばらしい力を発揮し続けることができる。そのすばらしい力を引きだすことがエンパワメント、ちょうど清水が泉からこんこんと湧き出るように、一人ひとりに潜んでいる活力や可能性を湧き出させることが湧活である。

     保健医療福祉などの実践では、一人ひとりが本来持っているすばらしい潜在力を湧きあがらせ、顕在化させて、活動を通して人々の生活、社会の発展のために生かしていく。また、企業などの集団では、社員一人ひとりに潜んでいる活力や能力を上手に引き出し、この力を社員の成長や会社の発展に結び付けるエネルギーとする。これが組織、集団そして人に求められるエンパワメント(湧活)である。

シンポジウムIII 認知神経科学によるフィールドアプローチ-障害児者の早期発見と介入の試み
  • 小枝 達也
    原稿種別: シンポジウムIII 認知神経科学によるフィールドアプローチ-障害児者の早期発見と介入の試み
    2017 年 19 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/09
    ジャーナル フリー

    【要旨】発達障害の幼児への気づきには、発達の遅れはないが落ち着きがない、あるいは対人関係に問題があるといった視点を乳幼児健診に導入する必要がある。健診の中で、遅れの有無だけでなく、認知行動発達の特性を、短時間に見逃すことなく、診察する方法の追及が求められている。そこで5歳児健診の診察では2つの工夫を行った。一つ目は診察自体の構造化を行うことである。2つ目は構造化された診察で所見が認められた場合には、インタビューによって、その所見が別の場面でも同様に認められるという一貫性を確認するという構造化である。

     診察は ① 会話、② 動作模倣、③ 協調運動、④ 概念形成、⑤ 安静閉眼というカテゴリーに分けて行う。その中に共感性を診たり、大人への従順性を診たり、大脳の成熟を推測する神経学的微徴候検査や自己抑制を診る項目を入れ込んだ。

     インタビューは、言語発達を中心とした質問項目、社会性や対人関係を尋ねる質問項目、落ち着きのなさや衝動性を尋ねる質問項目の3タイプである。

     また5歳児健診と事後相談で一つのパッケージであることを提唱した。5歳児健診の後に育児相談、発達相談、教育相談の3つの事後相談を充実させると、療育機関や医療機関で診察が必要な小児の数を抑制できることも判明している。

     5歳児健診により不登校などの学校不適応が減少したという報告があり、その必要性はますます高まっている。

  • 五十嵐 一枝
    原稿種別: シンポジウムIII 認知神経科学によるフィールドアプローチ-障害児者の早期発見と介入の試み
    2017 年 19 巻 1 号 p. 14-19
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/09
    ジャーナル フリー

    【要旨】発達に問題を持つ子どもの相談機関としての機能と、大学院修士課程及び博士課程の発達臨床研究という二つの側面を持って、20年余前に設置された白百合女子大学発達臨床センターの設置の理念と、20年余にわたる発達障害を中心とした実践と臨床研究を振り返った。その結果、認知能力が急速に発達すると考えられる幼児期初期から児童期の治療的教育内容と以降の継続期間は、発達障害児の発達に大きな影響を持つことが明らかとなり、早期発見による早期治療的教育環境の継続的な提供の重要性が示唆された。幼児期早期から成人以降まで継続して通える支援の場の提供と、障害特性と発達を見据えた治療的教育の内容を整理し充実させることが今後の課題と考えられた。

  • 小黒 浩明, 山口 修平
    原稿種別: シンポジウムIII 認知神経科学によるフィールドアプローチ-障害児者の早期発見と介入の試み
    2017 年 19 巻 1 号 p. 20-25
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/09
    ジャーナル フリー

    【要旨】アルツハイマー型認知症の治療早期に抗コリンエステラーゼ阻害剤の2剤、塩酸ドネペジルおよびガランタミンを投与した。ドネペジル投与群ではアパシーの改善、ガランタミン投与群では前頭葉機能の改善効果が得られた。記憶検査については改善をみなかった。これらの抗認知症薬は投与初期からアパシーと前頭葉機能賦活効果をもたらす可能性があり、同じ抗コリンエステラーゼ阻害作用でもそれぞれの使い分けができるかもしれない。

  • 水野 恵理子
    原稿種別: シンポジウムIII 認知神経科学によるフィールドアプローチ-障害児者の早期発見と介入の試み
    2017 年 19 巻 1 号 p. 26-32
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/09
    ジャーナル フリー

    【要旨】WHOの統計によると、現代は4人に1人は一生のうちに何らかの精神疾患を患う時代であり、精神医療福祉は、施設ケアから地域ケアへの移行が進められている。精神科入院患者の6割を占める統合失調症の中核症状の一つは、認知機能障害であり、様々な生活のしづらさが生じる。統合失調症はその人を圧倒する勢いをもつかのようにみなされる傾向があるが、彼らは現実的な目標や希望をもち、日々模索しながらより良く生きる努力をしている者は多い。本人の自覚が問われる病気・障害からの回復を支えるための精神科リハビリテーションの一層の充実化が求められる。

教育講演II
  • 本田 秀夫
    原稿種別: 教育講演II
    2017 年 19 巻 1 号 p. 33-39
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/09
    ジャーナル フリー

    【要旨】発達障害は、何らかの特記すべき精神機能の特性が乳幼児期からみられ、その特性が成人期も残ることによって生活に支障をきたすグループである。DSM-5で「神経発達症」というグループ名が採用されたことからもわかるように、このグループに属する障害はいずれも何らかの神経生物学的異常が想定されている。

     発達障害の特性の有無あるいはその程度は、社会適応の問題の深刻さと必ずしも線形の相関関係にはない。特性を有しながらも成人期には治療や福祉的支援を要しないケースもあることから、発達障害の少なくとも一部は疾病というよりも生物学的変異とみるべきである。一方、環境因に基づく二次的な問題が重畳することによって、今度は逆にきわめて深刻な精神疾患の状態に陥ることがしばしばある。大人の発達障害の診断には、「発達障害であるか否か」ではなく、「発達障害の要因がどの程度その人の精神状態および生活の質に影響を及ぼしているか」という視点が必要である。

     発達障害の認知構造および発達の道筋は独特である。従来の研究は、発達障害の人たちがそうでない人に比べて何がどう劣っているのかという視点に基づくものが多かったが、今後は特有の認知スタイルとは何か、発達障害の特性を有する人たちが二次障害を被らずに社会参加できるよう育っていくために必要な特有の発達の道筋は何か、などに関する研究が求められる。

寄  稿 眼で見る認知神経科学
feedback
Top