認知神経科学
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23 巻, 2 号
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表紙
目次
会告: 第27回認知神経科学会学術集会
小児神経学の歴史
  • 黒川 徹
    原稿種別: 小児神経学の歴史
    2021 年 23 巻 2 号 p. 45-51
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/01/15
    ジャーナル フリー

    【要旨】遠城寺式乳幼児分析的発達検査法は1960年に発表され、1975年に九州大学小児科改訂版が出版された。本検査法は運動、社会性、言語の各々の領域の発達を評価し、その凹凸をグラフで示し、しかも経過も分りやすく表示され、発達の特徴が一見して分かる。検査に多くの時間を要しない、設問が日常生活に密着し、特別な用具も不要であるところから、小児を専門とする者であれば、比較的容易に検査ができる。それ故、本検査法は小児保健、小児医療、教育、発達学等幅広い分野で、全国津々浦々で長年に亘って用いられて来た。

第26回認知神経科学会学術集会 会長講演
  • 横澤 一彦
    原稿種別: 第26回認知神経科学会学術集会 会長講演
    2021 年 23 巻 2 号 p. 52-56
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/01/15
    ジャーナル フリー

    Grapheme-color synesthesia is a phenomenon that can only be felt by synesthetes, in which characters act as an inducer and excite the sensation of a specific color, and the high temporal consistency of the combination of characters and colors is the basis of synesthesia. However, recent studies have reported that this temporal consistency may change over time. Therefore, we conducted a longitudinal study of Japanese synesthesia and investigated the long-term consistency of grapheme-color synesthesia (Uno, Asano, & Yokosawa, 2021). To compare short-term and long-term temporal consistency, we examined temporal consistency over relatively short periods (up to several months) and long periods (5-8 years). In particular, it was predicted that the correspondence with the synesthetic color of characters with high familiarity may be excited more frequently in daily life, leading to high temporal consistency in both short and long term.

    As a result, characters with low short-term temporal consistency had low long-term temporal consistency. What is important is that the temporal consistency of synesthesia depends on the familiarity of the character. The synesthetic correspondence between characters and colors might be not fully integrated in childhood, suggesting that it also has a fluid aspect in adult synesthesia.

    It is also consistent with our recent finding that learning new attributes (sounds or meanings) reduces the temporal consistency of characters and colors. In addition, the long-term (5-8 years) temporal consistency of the letter-color association of each character can be predicted from the short-term temporal consistency. The synesthetic color of characters with the low familiarity is likely to change over time, which is considered to reflect the weak integration of such letters with the synesthesia color.

第26回認知神経科学会学術集会 特別講演
総説
  • 四本 裕子
    原稿種別: 総説
    2021 年 23 巻 2 号 p. 62-68
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/01/15
    ジャーナル フリー

    【要旨】認知神経科学や心理学の研究では、性別を独立変数として、測定した従属変数に性差があるか否かを扱うことがある。そこで優位な性差が報告される場合もあるし、されない場合もある。研究で明らかにされた性差を解釈する際は、その差が性的二型ではないこと、出版バイアスの影響があること、必ずしも生得的な因果関係を意味しないこと、そして、脳や行動の性差は多次元的であるという理解が必要である。本稿では、一般的に信じられている性差の例を用いてその差の解釈について議論する。そして、性差が差別の正当化や格差の固定に使われた例を挙げ、社会・教育、脳、行動・思考の相互関係における性差の意味を正しく理解することの重要性について考える。

  • 藤井 正純
    原稿種別: 総説
    2021 年 23 巻 2 号 p. 69-76
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/01/15
    ジャーナル フリー

    【要旨】覚醒下手術は、覚醒下開頭術とも呼ばれ、脳内に浸潤性に発育する腫瘍に対して、言語など高次脳機能を温存する目的で行われる。機能温存と切除の質的な向上について、すでにその有効性が示されており、現在普及期にある。しかし、これを有効に計画し、術中に適切な課題を選択し、得られた所見を正しく評価するためには、高次脳機能に関する神経基盤に関する学術領域である「高次脳機能解剖学」の確立が求められる。ここで高次脳機能解剖学とは、高次脳機能の機能解剖・神経基盤を解明し、さらに障害を受けた機能の可塑性・回復の条件を明らかにする学際的な知識の体系であり、なかでも認知神経科学/神経心理学は重要な役割を果たすと考えられる。また、覚醒下手術で得られる皮質・白質マッピング所見と、こうした症例の蓄積が、高次脳機能の神経基盤に関する知見の発展に資するとともに、広く神経科学が目的とするヒトの脳とは何かに迫るために貴重な礎になると期待される。本稿では、我々の取り組みを中心に、覚醒下手術・術中MRIを併用した画像誘導手術、新たな手術画像支援技術であるMultimodal Optico-Radiological Image Integrationについて紹介し、高次脳機能解剖学へのアプローチの一端を示す。

原著
  • 秋田 貴之, 藤田 浩之, 藤井 慎太郎, 水田 直道, 森岡 周
    原稿種別: 原著
    2021 年 23 巻 2 号 p. 77-84
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/01/15
    ジャーナル フリー

    【要旨】本研究では、高齢者を対象に、足底知覚課題を用いて介入前後の姿勢動揺値の変化特性を明らかにするともに、姿勢動揺値が変調した者の姿勢制御特性を調査することを目的とした。地域在住の高齢者16名に対し、介入課題として5つの硬度が異なるスポンジマットを用いて弁別を実施した。介入の前後に重心動揺計を用い、姿勢動揺値を測定した。姿勢動揺値の質的指標である周波数において介入後に有意な減少を認めた(p<0.05)。また周波数の減少を認めた被験者の姿勢制御特性として介入前の時点で最大前方位置が少ないことを示していた(p<0.05)。さらに平均周波数が有意に高値を示していた(p<0.05)。周波数は筋出力が拮抗した際(筋活動が高い)に高値を示す特徴がある。今回の結果から、足底知覚課題による立位姿勢の安定化は、筋活動を高める戦略で立位を保持している者に対し、その戦略を変調させ、安定性を促進する可能性が示唆された。

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