認知神経科学
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7 巻, 3 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 福山 秀直
    2005 年 7 巻 3 号 p. 193-197
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/07/05
    ジャーナル フリー
  • 長田 乾, David K. Wright, Georgia A. Box
    2005 年 7 巻 3 号 p. 198-205
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/07/05
    ジャーナル フリー
    不慣れな運動課題に取り組む状態と、複数回繰り返して慣熟した状態とでは、脳賦活部位が異なると云う作業仮説に基づいて、若年健常成人を対象に鏡像追跡課題を用いた脳賦活脳循環測定を行った。鏡像追跡課題は、テレビ画面上に提示された六角形の星型帯に沿って、左手でジョイスティックを操作してカーソルを反時計方向にできるだけ速く移動させると云う視覚運動課題で、同じ課題(正像追跡)を10回終了した時点で、突然ジョイスティックの動きが逆方向(鏡像追跡)に変わり、その状態でさらに15回課題を行った。動作面での評価としてカーソルの周回数、誤操作数などを定量的に測定して、脳血流画像と比較した。鏡像追跡に切り替わった直後には、被検者は状況の変化に当惑し、周回数はぜロに近づき、誤操作は数百回に上昇した。脳循環測定では、右前頭前野(BA8)、右補足運動野(BA6)、両側の頭頂小葉(BA40)、右側頭葉(BA20,21)、前部帯状回(BA32)、左小脳半球などの脳部位が賦活された。その後15回同じ課題を続けることによって、動作面では周回数は飛躍的に増加し、誤操作も著しく減少した。脳画像では、一次運動野(BA4)、舌状回(BAl7,18)、梗状部(BA17,18)、前模状部(BA7,31)、および後部帯状回(BA23,29,31)を含む後頭葉、左小脳半球が賦活された。すなわち、運動の慣熟度に応じて動員される脳部位の切り替えが起こること、すなわち脳の可塑性を再確認するものであった。
  • サルを使った大脳運動野の破壊後の回復に関する研究
    大石 高生
    2005 年 7 巻 3 号 p. 206-210
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/07/05
    ジャーナル フリー
    脳の可塑性は、成長期にも成熟期にも観察される。成長期の可塑性は脳をその個体や環境に適応した機能にチューニングする役割を果たす。基本的なチューニングが達成された脳では記憶や学習の機能を果たすのに可塑性が発揮される。また身体や脳に損傷を追った場合には、失われた機能を代償するような可塑性が発揮される。この可塑性がリハビリテーションの生物学的基礎となっている。大脳皮質運動野の可塑性の研究がサルを実験動物として進められ、運動野の体部位局在マップが経験によって変化すること、さらに脳損傷後にリハビリテーションを施すと体部位局在マップが変化することがわかってきた。われわれはリハビリテーション後の機能代償とその脳内メカニズムを明らかにするため、一次運動野の局所破壊後の精密把握の回復を観察し、さらに神経回路の構造的変化を推測できる分子組織化学的探索を行った。指の領域の破壊直後からのリハビリテーションによる回復過程では、指の使い方の変化に伴った成績の一時的低下と再上昇が見られ、最終的には破壊前とほぼ同じ運動によって、精密把握ができるようになった。機能回復後に代表的な成長関連タンパクであるGAP-43のin situハイブリダイゼーションを行うと、一次運動野と運動前野では破壊と同側の発現が上昇していた。破壊と同側の一次運動野や運動前野に細胞体を持つニューロンを含む神経回路が、構造的な変化を起こしたことが示唆される。
  • fNIRS研究を中心に
    宮井 一郎
    2005 年 7 巻 3 号 p. 211-216
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/07/05
    ジャーナル フリー
    近年の脳機能画像や神経生理学的手法の進歩により、脳卒中後の機能回復に伴って損傷を受けた脳の機能的再構成が起こることが明らかになってきた。上肢の運動機能回復を例にとると、病変半球の一次運動野、運動前野や補足運動野などの運動関連領野や非病変半球の賦活の変化などがあげられる。縦断的には機能回復と病変半球の一次運動野活動の非病変半球に対する相対的増加との関連が示唆される。リハビリテーションとの関連では、麻痺側上肢の強制使用法による機能改善後に、病変半球で経頭蓋磁気刺激により運動誘発電位が出現する領域が広がることが示された。歩行に関しては、近赤外線光を用いた光脳機能画像(fNIRS)の応用が適している。健常人では内側感覚運動野や補足運動野中心に酸素化ヘモグロビンの相対的増加を指標とした「賦活」が見られる。歩行速度増加への適応や障害物の回避といった環境に応じた歩行の調節には運動前野や前頭前野の活動が関連していた。片麻痺患者では歩行時に感覚運動野活動が病変半球で相対的に減少し、運動前野活動が増加することが示された。縦断的研究では、歩行改善に伴って運動前野活動が増加し、感覚運動野活動の対称性の改善が片麻痺歩行改善と相関していた。また促通手技や体重免荷といった介入によって脳活動パターンが修飾されることも示された。
  • 大須 理英子
    2005 年 7 巻 3 号 p. 217-222
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/07/05
    ジャーナル フリー
    脳が手足を制御するときに解決すべき問題は、制御プログラムが手足のあるロボットを制御するとき解決すべき問題と類似している。計算論的神経科学では、このような視点から、脳に実装されていると思われる機構を同定する。これまでの研究により、例えば速くて正確な腕の運動を実現するためには、フィードフォワード制御が必要であることがわかってきた。このためには、制御対象(例えば腕)のダイナミクスを表現する内部モデルが脳内に獲得されていなければならない。リハビリテーションが必要な状態というのは、このような脳内の制御機構に何らかの異常を来したか、その制御対象である手足に異常を来したのかどちらかであることが多い。いずれの場合にも、速くて正確な運動を取り戻すには、内部モデルの再構築が必要である。これまでのリハビリテーション訓練は、フィードバック制御を必要とする運動が多く、内部モデルを再構築するには最適ではない可能性がある。このような視点からリハビリテーション手法を見直すことでよりよい機能回復がはかれる可能性がある。
  • 長濱 康弘
    2005 年 7 巻 3 号 p. 223-229
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/07/05
    ジャーナル フリー
    Alzheimer病(AD)では早期から実行機能障害がみられることが最近注目されている。筆者らは代表的実行機能検査であるWisconsin Card Sorting Test(WCST)を用いて、ADとmild cognitiveimpairment(MCI)における実行機能障害の特徴を検討した。WCSTの成績は因子分析により保続、非保続エラー、セット維持障害、の3成分に集約された。MCIでは保続と非保続エラーの増加、ADでは保続の増加と非保続エラーの減少がみられ、両者のWCST障害は性質を異にしていた。さらに、WCSTの保続エラーを「stuck-in-set型」と「再帰型」に区別して脳血流との関係を検討すると、stuck-in-set型保続だけが前頭前野の機能低下と関連していた。これをふまえてWCST成績を再検討すると、ADではstuck-in-set型保続エラーの増加と非保続エラーの減少がみられ、これはADにおけるset-shifting障害を示すと思われる。MCIでは再帰型保続と非保続エラーが増加しており、これは前頭前野障害ではなく、海馬や下頭頂葉の機能障害に関連したworking memory容量低下に由来すると推察された。
  • 冨本 秀和
    2005 年 7 巻 3 号 p. 230-239
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/07/05
    ジャーナル フリー
    血管性痴呆は脳血管障害に起因し、異質な病態を含む痴呆症候群である。本稿では、皮質下虚血性血管性痴呆(subcortical ischemic vascualar dementia; SIVD)に焦点をあてる。SIVDはび漫性の白質病変・ラクナ梗塞を特徴とし、主として穿通枝動脈領域の細動脈硬化が原因と考えられている。SIVDに見られるび漫性白質病変は痴呆の責任病変と考えられているが、このような病変があっても痴呆やその他の神経徴候を示さない正常高齢者があり、SIVDとの関連は不明であった。近年、画像診断技術の発達によって両者の差異が明らかにされつつあり、痴呆の早期診断・予防のうえで重要な知見が集積されつつある。
  • 数井 裕光
    2005 年 7 巻 3 号 p. 240-244
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/07/05
    ジャーナル フリー
  • 池田 学
    2005 年 7 巻 3 号 p. 245-249
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/07/05
    ジャーナル フリー
    高次の知覚が保たれ、なおかつ意味記憶が重篤に障害された場合、物品の認知はどのような影響を受けるのであろうか。Semantic Dementia(SD)患者は、毎日使っている“患者自身の”ヒゲそりは(保たれているエピソード記憶と手続記憶によって)正しく使用することができるが、検査場面では検査用のヒゲそりを提示されても何に使う物かわからない。意味記憶が障害されたSD患者では、2つの歯ブラシを“同じ物”と判断する場合と“異なる物”と判断する場合、どのような物品の特性がその判断に影響を及ぼしているのであろうか。今回の検討では、物品や生物の形(例えば、スポーツカーと軽自動車)、色(例えば、赤いリンゴと青いリンゴ)、大きさ(例えば、大きさを変えた手袋)、見る角度(例えば、横からみた象と正面から見た象)を変化させ、SD患者が2つの物品や生物の異同を判断する際に与える影響を調べた。その結果、SD患者では、健常コントロールと比較すると、形、色、見る角度のいずれかを変化させた場合、“同じ物”と判断できない場合が多いことが明らかになった。さらに、SDを左側頭葉優位の萎縮群と右側頭葉優位ないし両側側頭葉の萎縮群に分けて検討すると、後者でより判断が障害されていることが明らかになった。このような検査結果から、意味記憶と物品認知の関係、ならびに物品認知に重要な神経基盤について考察を試みた
  • 苧阪 直行
    2005 年 7 巻 3 号 p. 250-255
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/07/05
    ジャーナル フリー
  • Frontal Assessment Batteryを用いた検討
    山口 修平, 坂根 理絵子, 小黒 浩明, 高橋 一夫, 飯島 献一, 長井 篤, ト蔵 浩和, 小林 祥泰
    2005 年 7 巻 3 号 p. 256-260
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/07/05
    ジャーナル フリー
  • 久留 裕, 高橋 邦丕
    2005 年 7 巻 3 号 p. 261-262
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/07/05
    ジャーナル フリー
  • 久留 裕, 高橋 邦丕
    2005 年 7 巻 3 号 p. 263-266
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/07/05
    ジャーナル フリー
  • 久留 裕, 高橋 邦丕
    2005 年 7 巻 3 号 p. 267-269
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/07/05
    ジャーナル フリー
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