認知神経科学
Online ISSN : 1884-510X
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9 巻, 2 号
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  • 2007 年 9 巻 2 号 p. 99-160
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/07/05
    ジャーナル フリー
  • 杉下 守弘
    2007 年 9 巻 2 号 p. 161-166
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/07/05
    ジャーナル フリー
    【要旨】言語が大脳でどのような機序で行われているかを表した「言語の大脳モデル」はWernicke(1874)の「語の正しい選択」に関する脳モデルにさかのぼることができる。その後、Lichtheim(1885)が8つの言語操作、すなわち、自発話、復唱、音読、自発書字、書取、話し言葉の理解、読解および写字の大脳モデルに言及した。20世紀前半には、大脳局在論の衰退とともにこれらの大脳モデルはかえりみられなくなった。1960年代になってGeschwind(1979)は、これらのモデルを復興させ、さらに左角回を重視する脳モデルを提唱した。左角回において、視覚情報から聴覚情報の変換、および聴覚情報から視覚情報の変換が行われると考えたのである。これらの脳モデルは大脳損傷による失語症の研究から、言語の諸側面が大脳でどのように行われているかをまとめあげたものである。脳モデルはその当時までの「言語と脳」に関する仮説の集大成であり、旧来の仮説を批判するにも、新しい仮説を立てるにも重要なものと言える。Geschwindの脳モデルが提唱されてから、既に30年以上が経過した。その間、磁気共鳴画像法により大脳損傷部位の決定が精密にできるようになった。また、言語活動中の脳賦活部位を機能的磁気共鳴画像により推定できるようになってきた。これらの知見から考えると、Wernicke、Geschwindらの大脳モデルはどこが修正されることになるかを論じたものは少ない。本稿はこの点について論述し、最近の知見に基づいてWernicke、Geschwindの脳モデルの修正を提起した。これにより、「言語と脳」についての新しい仮説の創生、旧来の仮説への批判などの一助にならないかと願っている。
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