人間ドック (Ningen Dock)
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20 巻, 1 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 北尾 武
    2005 年 20 巻 1 号 p. 7-10
    発行日: 2005/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    Narrative based medicine(NBM)はevidence based medicine(EBM)に対応する概念で人間はそれぞれ自分の物語を生きており,健康や医療もその物語の一部にすぎないという考え方で,サイエンスとしてのEBMの限界を超えるものと考えられている.禁煙した人間ドック受診者にその動機を聴いた.禁煙のきっかけは自己の病気や人間ドックの結果から禁煙したという自分にかかわるものと,親子や家族などの病気など他者との関連性で禁煙したものとにわけられる.NBMは医療の個別性を高め健康への行動を理解するのに有効であり,物語を聴くことは我々医療側にも勉強になる.
  • 熊坂 文成, 河野 真意, 上井 崇智, 小倉 治之, 黒澤 功, 島田 和子, 松本 房江, 石井 秀和, 加瀬 嘉明, 山中 英壽, 伊 ...
    2005 年 20 巻 1 号 p. 11-14
    発行日: 2005/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:一般的に,人間ドックにおいて検診受検者を長期にわたって追跡調査することは、人間ドックがもっている個人の健康管理・維持についてアドバイスをするという本来の目的からみると極めて大切なことではあるが,種々の理由により追跡不可能になる者があるといわれている.今回,我々は,高崎健康管理センターにおいて,前立腺がん検診受検者を後向きに追跡調査し,人間ドックにおける前立腺がん検診受検者追跡調査システムについて若干の検討を加えた.方法:対象は黒沢病院高崎健康管理センターで2002年1月1日から2004年4月9日までの間に受検し,前立腺特異抗原(prostate specific antigen:PSA)検査を施行した男性延べ15,996名のうち,年齢的に前立腺がん罹患危険度の高い50歳以上の男性3,749名である.PSA測定は Tandem R キットを用い,4.1ng/ml以上を要精査とした.結果:PSA検査を施行した50歳以上の男性3,749名中、要精査と判定されたのは103名であった.このうち,2次検診を受診したのは74名,これら74名のうち,前立腺針生検が実施されたのが20名,生検を実施した20名中9名に前立腺がんが発見された.要精査者103名中の前立腺がん患者数を,群馬県前立腺がん集団検診データを基に作成した陽性的中率(positive predictive value:PPV)表から推定すると,16名であった.結論:16-9=7名(44%)の前立腺がん患者を見逃さないための追跡調査システムの構築が急務である.
  • 中村 節子, 川代 昭子, 藤枝 美由紀, 福山 恵美, 小林 毅, 葛西 文彦, 斎藤 衣美, 澁谷 直, 山下 靖代, 折戸 比佐子
    2005 年 20 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 2005/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的・方法:生活習慣病の危険境界領域にある人を対象に生活習慣改善総合健康管理支援システム“トライ13”を企画,実施している.循環器専門医,保健師,管理栄養士,検査技師,運動療法士によるチームを構成,医学的検査値で改善を要する項目を「要改善項目」として食生活と運動に関する生活改善目標を個人毎に5項目設定し,13週間実践する取り組みである.トライの効果と意義は本学会誌「健康医学」で報告したが今回は検査値の改善に及ぼす生活改善目標の達成度について検討した.結果:トライを終了した157名の検査値改善度について,体重は(1kg以内は変化なしと集計)61%が改善,総コレステロール66%,中性脂肪72%,肝機能はGOTが79%,GPTは85%,γ-GTPは75%の改善,空腹時血糖は65%,高血圧は60%の改善であった.また,157名中,要改善項目となった検査値の全てが改善された87名について生活改善目標の達成度について調べた。その結果,カロリー制限は63%,栄養バランス72%,節酒63%,間食制限66%,その他は78%の達成率であった.運動は歩行目標が150%,ストレッチ体操は59%,その他は69%であった.結論:嗜好性の強い飲酒と間食の達成率が低く,運動では生活動作を中断して行わなければならないストレッチ体操が低めであった.生活習慣を変えることは難しいが個々の習慣の特徴を把握し具体的で実践可能な目標を持つことでデータの改善が図られ,生活習慣病予肪に向けた取り組みに一定の確信を得た.今後さらにその効果を蓄積し,検証したい.
  • 塚本 暢子, 木平 百合子, 平川 隆一
    2005 年 20 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 2005/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:講義型や問題解決型の糖尿病教室から健康学習を用いた健康へのアプローチ法を用いることにより目標設定・参加者中心型糖尿病教室への企画・開催に至った.その経過を通して,糖尿病教室担当スタッフの意識に注目しその変化とその効果を評価することを目的とする.方法:講義型形式と参加者中心型形式,教室開催後にスタッフの自己評価表と企画書からスタッフの意識の変化をみた.同様に参加者にアンケートを実施し参加者の意識の違いを評価した.結果:自己評価表では,個人成長・コーディネート力・目標・評価・記録・教室運営の項目が有意に参加者中心型形式が高かった.参加者アンケートではやる気度・理解度・満足度の項目とも参加者中心型形式の平均点数が高かった.結論:これまでは参加者の行動変容にエネルギーを注いできた.今回,第一にスタッフの意識に注目し,教室へのスタッフの意識を明確化することでスタッフも参加者も満足度の高い教室が開催できた.
  • 小野 鉄也, 柴田 昌, 城間 勉, 諸戸 敬子, 平本 義浩, 山澤 〓宏, 武井 和夫, 河合 隆, 森安 史典
    2005 年 20 巻 1 号 p. 26-31
    発行日: 2005/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:胃の形には個人差があり,特に肥満者に見られる変形胃は,撮影体位・撮影方法を工夫しないと良好な二重造影像が得られない.そこで,受診者を低体重群(以下LW群:body mass index(BMI)<20),普通体重群(以下NW群:20≦BMI<25),肥満体重群(以下HW群:BMI≧25)に分類し,胃の形と粘膜面の描出等を比較検討したので報告する.方法:平成15年に当センターでDRを用いた胃X線検査を施行し,異常なしと判定された496例を上記の3群に分類し,無作為に抽出した各1OO例を対象とした.これらを胃の形,胃小区描出・バリウムの付着等についてU・M・L領域に分け,比較検討した.成績:胃の形はHW群に変形胃が多く,約60%は変形胃であった.良好に胃小区が描出されたのはLW群(U:72%,M:82%,L:65%),NW群(U:54%,M:69%,L:68%),HW群(U:48%,M:69%,L:81%)であった.バリウムの付着が良好なのはLW群(U:35%,M:39%,L:34%),NW群(U:31%,M:35%,L:43%),HW群(U:14%,M:20%,L:46%)であった.結論:HW群は変形胃が多く,幽門輪や前庭部の狭い部位では,二重造影像に圧迫を加えて押しひろげた撮影や拡大撮影をしている為,L領域の描出能が良好だったと考えられる.LW群のL領域,HW群のU・M領域の撮影方法に再考の必要性があると考えられる.
  • 船津 和夫, 山下 毅, 本間 優, 栗原 浩次, 斗米 馨, 横山 雅子, 細合 浩司, 近藤 修二, 中村 治雄
    2005 年 20 巻 1 号 p. 32-37
    発行日: 2005/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的・方法:近年,男性において,肥満者の増加に伴い生活習慣病の1つである脂肪肝罹患者数の増加が著しい.最近,非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)やC型肝炎において瀉血療法により血中ヘモグロビン(Hb)を低下さることにより,肝細胞障害の改善とともに,肝細胞内の脂肪滴貯留が改善することが報告され,肝炎や脂肪肝において肝臓に蓄積した鉄がこれらの病態に関与していることが明らかにされてきた.しかし,脂肪肝と血中ヘモグロビンとの関係についてはこれまで検討されていない.そこで,中年男性を対象として,血中ヘモグロビン値と脂肪肝との関連について調査した.結果:非肥満者,肥満者ともに脂肪肝を有する群が無い群に比べ,血中ヘモグロビン値は有意に高値であった.また,血中ヘモグロビンの高値は肥満の有無にかかわらず,脂肪肝における肝機能検査値の異常にも関係していることが示された.さらに,ロジスティック回帰分析より,血中ヘモグロビンは飲酒量,肥満度とともに,独立した脂肪肝の関連因子であることが明らかにされた.結論:以上より,血中ヘモグロビンに含まれている鉄が間接的に脂肪肝の発症とそれに伴う肝機能障害に関連していることが示唆された.
  • 渡会 真澄, 遠藤 裕子, 飯村 秀樹, 高柳 美伊子, 光畑 桂子, 小松 正孝, 小野 幸雄
    2005 年 20 巻 1 号 p. 38-42
    発行日: 2005/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:一日ドックの受付時刻を時差式にすることで,検査及び面談待ち時間の短縮,検査フロアの混雑解消及び,受入枠の拡大を図った.方法:受付時刻を1部7時45分(20名),2部8時30分(35名),3部9時30分(35名)とした.データ処理について,一般生理機能検査等はリライトカードにてデータ収集,検体検査はオンラインで健診システムに取り込んだ.胸部・胃部X線撮影はフィルムレス,画像読影は picture archiving and communications systems(PACS)運用で1部と2,3部に分けて実施した.検査後の医師面談開始時刻を1部11時,2部13時,3部14時とした.結果:受付から医師面談終了までの全過程最長所要時間は,4部5時間15分,2部5時間30分,3部5時間30分であった.結論:以前は一括7時45分受付,医師面談13時開始のスケジュールで,受付から面談終了までの全過程最長所要時間7時間45分であったが,時差式受付を導入し,医師面談の開始時刻を早めた結果,所要時間を2時間以上短縮することができた.また受付及び検査フロアの混雑も解消され,受入枠も4日に10名分拡大できた.
  • 高橋 英孝, 山門 實, 中館 俊夫
    2005 年 20 巻 1 号 p. 43-46
    発行日: 2005/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:人間ドックを受診した喫煙者を対象として喫煙ステージごとの1年後の禁煙率を明らかにすることを目的とした.方法:2000年11月から2005年1月に三井記念病院総合健診センターで人間ドックを受診した喫煙者のうち2年連続して受診した3,944人(男性3,529人,女性415人)を対象とし,問診票の記載に基づいて喫煙ステージを準備期,関心期,無関心期に分類した。無関心期についてはさらに「無関心期1(今後1年以内に禁煙しようと考えているが6カ月以内に禁煙する予定がない)」,「無関心期2(禁煙を考えていない)」および「無関心期3(禁煙を絶対にしない)」に細分化した.初年度の喫煙ステージ分類別に次年度の喫煙ステージの割合を算出した.結果:次年度に禁煙した者は6.8%,喫煙継続者で喫煙ステージが上昇した者は9.7%,低下した者は8.1%であった.禁煙率は,準備期16.7%,関心期7.9%,無関心期全体5.4%であった.無関心期のうち,無関心期1は5.8%,無関心期2は5.0%,禁煙を絶対にしないと回答した無関心期3は13.8%であった.結論:人間ドックにおいて喫煙ステージの分類を行うことは禁煙の行動変容の準備性を把握するのに役立つと思われた.禁煙を拒否する群に対してもあきらめることなく指導をする必要性も認識されたものの,喫煙ステージごとにどのような指導を行うべきかについては今後の課題である.
  • 村田 雅彦, 登利谷 順子, 畠山 薫子, 齋藤 敏子, 相原 真由美, 平川 陽子, 高桑 ひとみ, 宮下 正弘
    2005 年 20 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 2005/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的・方法:当センターにおける医療安全管理に取り組む目的で,年間約11,000名が人間ドック健診を受診する当センターから提出された過去3年間のインシデントアクシデントレポート(レポート)を解析し,対策を講じる.結果:レポート数は平成43年度1件,14年度2件,15年度15件で,内訳は受診過程上の欠落や誤りが8件,手順前後4件,待ち時間に関するクレーム4件であった.軽微な偶発症が2件あったが,短時間の一時的なものであった。レポートの解析,検討結果, 我々職員の受診者に対する健診受診のリスクに関する事前説明や確認の不足,受診者側にもリスクの事前確認不足により不用意に受ける問題点も討論された.対策として,受診前日カルテによる安全確認作業をより徹底し,検査項目の受診漏れを防ぐため検査項目チェックリストを修正した.平成15年12月から受診者が健診を受診する安全性を事前に確認する目的で,調査票「安全に検査を受けていただくために」を郵送し,受診前に受診者自らが記入し,受診当日検査前にも職員が調査票内容を確認した.結語:原則として受診者の希望から始まる人間ドック,健診事業の医療安全管理において,特に受診者自身が受診の意義とリスクを充分吟味した上で受診者の希望に叶う健診を我々健診機関が提供できるように,インフォームド・コンセントの充実を常に図る事が重要と考える.我々が講じた医療安全管理対策の成果について今後検討したい.
  • 毛利 恭子, 浪岡 美穂子, 冨田 美穂, 本間 優, 船津 和夫, 山下 毅, 近藤 修二, 横山 雅子, 中村 治雄
    2005 年 20 巻 1 号 p. 53-55
    発行日: 2005/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:メタボリックシンドローム(metabolic syndrome:MS)の存在で心血管リスクが,増大すると言われるが,高脂血症・高血圧・耐糖能異常・肥満といった代謝異常の中から肥満を中心にどのような組み合わせにおいて心血管リスクが大きくなるのかを高感度CRP(hs-CRP)を用い検討した.方法:2003年に当施設を受診した中からbody mass index(BMI)を基準に2,043名を抽出し,MSの診断基準である,血圧130/85mmHg以上,空腹時血糖値110mg/dl以上,中性脂肪(TG)値151mg/d1以上,HDL-コレステロール(HDL-C)男性39mg/dl以下,女性49mg/dl以下に該当する人たちを対象に各因子の組み合わせをhs-CRP値で比較した.また心血管疾患のイベントを起した人についても検討した.結果:肥満のみの場合のhs-CRPは0.53mg/1で正常対象群.23mg/1の2.3倍であった.MSの因子組み合わせが2項目,3項目,4項目,5項目のときのその平均hs-CRP 0は,それぞれ0.70,0.82,0.98,1.37mg/1であった.過去3年余に心血管疾患のイベントを起した人の発症前のデータを調査した結果,やはりMSの診断基準2因子以上の人が多く,hs-CRPも0.23mg/1以上であった.結論:MSの各因子とhs-CRPとの関係は,因子が重なる事によりhs-CRPの上昇が見られた.心血管系イベントは7例中4例が,2項目以上該当しており,7例ともhs-CRPは0.23mg/1以上であり,リスクの重なりは重要だと思われた.
  • 仲松 宏, 石川 守, 諸見里 きく, 仲間 教子, 石原 園恵, 岡田 香織, 仲宗根 美智江, 具志堅 初美, 當間 栄子
    2005 年 20 巻 1 号 p. 56-60
    発行日: 2005/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:芍薬甘草湯は独特の鎮作用・胃液分泌抑制作用等,上部消化管内視鏡検査(以下;内視鏡検査)の前投薬として期待される作用を有している.今回,内視鏡検査の前投薬として,副交感神経遮断薬(以下;抗コリン剤)の代わりに芍薬甘草湯を経ロ投与し,その有用性について検討を行なった。対象:平成16年2月に当院人間ドックで内視鏡検査を施行した283名中,同一医師の行なった152名を対象とした.方法:前投薬として抗コリン剤を使用した群,芍薬甘草湯を投与した群,抗コリン剤の未使用群の3群に分けた.これら3群の「食道入ロ部の緊張度」「唾液の分泌量」「胃のぜん動運動」「胃内の洗浄度」「十二指腸球部のぜん動運動」「十二指腸下降脚のぜん動運動」「フェイス・スケール」を評価し,3群間で比較検討を行なった.成績:芍薬甘草湯の鎮痙作用による,食道入ロ部の緊張軽減や胃のぜん動運動抑制効果が,受診者の苦痛を緩和し,内視鏡検査の良好な受容性をもたらしている.結論:安価で副作用の少ない芍薬甘草湯は抗コリン剤禁忌症例や高齢者に対してよい適応になると思われる.
  • 今野谷 美名子, 照井 一幸, 佐々木 司郎, 荻原 忠, 林 雅人
    2005 年 20 巻 1 号 p. 61-66
    発行日: 2005/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:当院人間ドックでは肥満の指標として,body mass index(BMI)・体脂肪率・ウエスト周囲径を取り入れているが,それらを組み合わせて肥満をタイプ別に分類し,生活習慣病危険因子と関連のある検査項目を比較し検討した.方法:人間ドック受診者1,527名(平均年齢男性48.17歳,女性47 .9歳)について,BMIと体脂肪率・BMIとウエスト周囲径を組み合わせて非肥満群・かくれ肥満群・みかけ肥満群・真性肥満群の4タイプに分類した.4タイプ別に,血圧・血清脂質・血糖・尿酸の平均値と腹部超音波検査による脂肪肝所見の異常者頻度を比較した.結果:BMIと体脂肪率, BMIとウエスト周囲径のどちらの組み合わせにおいても,非肥満群と肥満群(かくれ・みかけ・真性)を比較すると,明らかに肥満群において生活習慣病の危険因子と関連のある検査項目に影響が見られた.男性では体脂肪率・ウエスト周囲径のどちらの組み合わせでも全ての項目において非肥満群とかくれ肥満群との間に有意差を認めた.結論:肥満が生活習慣病の検査項目と関連があることは明らかであり,体脂肪率・ウエスト周囲径の測定は,肥満判定に意味を持ち生活習慣病に深く関与する検査項目への影響を見る場合の指標となるものと考えられる.しかし,女性のウエスト周囲径の基準については今後さらに検討が必要である.
  • 若林 園恵, 大羽 一美, 近藤 晴代, 高宮 浩一, 森 章悟, 高木 憲生
    2005 年 20 巻 1 号 p. 67-70
    発行日: 2005/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)が社会的注目を集めているが当センターに於いても2003年6月から7月にかけて運転業務に携わる社員の実態把握のためのSASスクリーニングが実施された.方法:男性運転手288名(平均年齢37.3歳)を対象に自己申告スタイル及びepworth sleepiness scale(ESS)を参考にした問診によるスクリーニング後,産業医との面談を実施し,アプノモニターにてSAS検査を実施した.ステップ2となったものは26名であった.成績:軽度異常は2名(7.7%),中等度異常は8名(30.8%),重度異常は5名(19.2%)であった.精密検査が必要と判定されたのは10名であった.終夜ポリグラフにて精密検査が行われ,要治療は3名,軽度睡眠時無呼吸症は1名であった.結論:運転業務に携わる方へのSASスクリーニングに於いて,正しく装着されていれば,アプノモニターにて十分な結果が得られ,次のステップとして終夜ポリグラフを実施する方法が良いと思われる.さらに検査後の保健指導の充実が大切である.また,SASそのものに対する正しい知識の普及が望まれる.
  • 丹治 左奈江, 高橋 英孝, 後藤 明子, 石坂 裕子, 山門 實
    2005 年 20 巻 1 号 p. 71-75
    発行日: 2005/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:生活習慣病を予防するためには肥満の解消が重要である.本研究では,肥満者に特徴的な生活習慣を明らかにし,生活指導に役立てることを目的とした.方法:平成15年度に当センターで人間ドックを受診した男性のうちbody mass index(BMI)が18.5-<35kg/m2の4,960人を対象とした. BMI階級別に普通体重3,447人(68%),肥満1度1,394人(28%),肥満2度119人(2%)に分類し,食事,飲酒および運動について普通体重との間でMantel-Haenszel法により年齢階級を補正して比較した.結果:油を使った料理をよく食べる,夕食は外食かコンビニ弁当が多い,食事は腹一杯になるまで食べる,毎日3合以上飲酒する,定食より丼物をよく食べる,毎日間食をする,という割合が肥満者で有意に多く認められた.結論:肥満男性に対して生活指導を実施する際には,食事内容や間食,多量飲酒の有無などを聞き,それらを重点的に指導していくのがよいと考えられた.
  • 菊岡 弘芳, 土井 拓哉, 辰田 仁美, 林 美里, 坂本 浩一, 高木 伴幸, 細 隆信, 近藤 渓
    2005 年 20 巻 1 号 p. 76-79
    発行日: 2005/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的・方法:1992年に実施した職域健康診断で,空腹時血糖値が110mg/dl~125mg/dlを呈した空腹時高血糖(impaired fasting glucose:IFG)140例について2002年までの10年間追跡調査し,糖尿病に移行した例(移行例)と糖尿病には至らなかった例(非移行例)の臨床像を比較した.結果:1997年までの5年間追跡できた症例は110例,2002年までの10年間追跡できたのは74例であった.糖尿病に移行した例は最初の5年間で13.6%(15/110:移行率28.2/1,000人年),10年間では17.6%(13/74:移行率21.6/1,000人年)であった.移行例は非移行例に比し当初の空腹時血糖値およびbody mass index(BMI)が有意に高かった.また,高血圧合併例も移行例において有意に高頻度であった.糖尿病の家族歴を有する例は最初の5年間ではむしろ少ない傾向を呈したものの,後半の5年間で新たに糖尿病に移行した群においては有意に多かった.結論:以上より,IFGのうち血糖値の高い例や肥満,高血圧を合併した例では将来糖尿病に移行する例が多く,その背景には遺伝的素因よりむしろインスリン抵抗性が強く関与している可能性が示唆された.
  • 岡崎 安宏, 鳴瀬 勝, 石崎 俊雄, 薮田 浩, 齋藤 朗, 古市 裕治
    2005 年 20 巻 1 号 p. 80-83
    発行日: 2005/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:当クリニックを受診される聴覚障害者に上部消化管X線検査を行う場合,遠隔操作には限界がある為撮影室内での介助を行っていた.そのため受診者の精神的不安や緊張もかなり大きく,その負担をいかに軽減するかという事が課題の一つであった.昨年よりPCを使用しモニターに文字を表示する事で遠隔操作を容易にする補助設備を導入したので1年間の使用経験を報告する.方法:本システムはPCとモニター3台で構成されており, PCには市販ソフトを用いて学会時のスライド発表形式をもとに体位変換の指示をすることを考案した.モニターは正面と両側に設置し,術者は撮影者とPC操作の2名とした.健常者の撮影と同様のルーチン撮影を基本として作成した約80スライドを操作する事により指示を出して撮影を行い,終了後記入式でアンケート調査を行った。結果:このシステムに於いても健常者での検査と同様に過去の検査回数により理解度に差が生じた.ただ,当初の目的である難聴(高齢者含む)もしくは聴覚障害を有する受診者への精神的負担はかなり軽減できたと考えられる.結論:今後は更なる改良を加えていきたい.
  • 高橋 英孝, 瀧野 勝彦, 樋口 義文, 永田 善教, 峯岸 純一, 山岸 善九郎, 三輪 祐一, 中館 俊夫
    2005 年 20 巻 1 号 p. 84-89
    発行日: 2005/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的・方法:昭和大学と日立製作所が共同開発した聴覚障害者向け情報提供システムを用いて聴覚障害者20人に対して移動検診車による胃部間接X線検査を実施した。検査時間,透視時間および技師の入室回数について健聴者20人を対照として比較したところ,結果:検査時間と透視時間は長くなるものの技師の入室回数には差が見られなかった.結論:事前に受診者への検査内容及び手順の説明を行うことにより検査時間の短縮や透視時間の減少が可能であり,本システムを用いることで聴覚障害者の集団胃検診が可能であると考えられた.
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