目的:メタボリック健診のヘモグロビンA
1c(HbA
1c)のcut-off値は52%となる予定であるが,その妥当性に関し若干の考察を加え検討した.方法:平成18年度当施設受診者1,679名でメタボリック健診の耐糖能異常率を推定した.受診者のうち空腹時血糖値(FPG100mg/d1)未満の1,023人を対象に臨床成績からHbA1cの影響因子を検討した.また受診者のうちFPG115mg/dl以下の男性925名,女性634名のFPG,HbA
1cの相関直線およびreceiver operating characteristic(ROC)曲線より男女それぞれのHbA1cの至適cut-off値を検討した.結果:メタボリック健診での耐糖能に関してFPGが異常の者の割合が男性では25.8%,女性では11.5%,FPGが正常でHbA
1cが異常の者(bodymassindex(BMI)が25kg/M2以上の場合5.2%以上,BMが25kg/
2 未満の場合5.5%以上)の割合は男性では10.8%,女性23.4%であった.FPGが100mg/dl未満の者を対象としHbA
1cを目的変数とする多変量解析を行うとFPG,年齢が正の因子,ヘモグロビンと平均赤血球容積(MCV)が負の因子となった.FPGとHbA
1cの回帰直線・ROC曲線から判断するとFPG100mg/dlに相当するHbA
1cは男性で5.1-5.2%,女性で5.2-5.3%が妥当と判断した.結論:女性は貧血傾向があるためHbA1cのcut-off値は男性より高めに設定することが望ましい.
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