人間ドック (Ningen Dock)
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23 巻, 1 号
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  • 小田 栄司
    2008 年 23 巻 1 号 p. 7-15
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
  • 中村 保子, 橋本 さき子, 岡 美智代, 高橋 さつき, 李 孟蓉, 小野沢 しのぶ
    2008 年 23 巻 1 号 p. 16-20
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:特定保健指導に向けて健診受診者の生活習慣に影響をもつ環境的要因についてアンケート調査を行った.方法:アンケートはCoxが提唱した保健行動の相互作用モデルを参考に作成した.医療者関与,家族関与,個人,職場健康教育環境について質問し,「大変そう思う」「まあそう思う」「あまり思わない」「全く思わない」などの4段階評価とした.ここでは192名のプレ解析結果を報告する.結果:健診医/看護師,かかりつけ医/看護師共に,その判断や説明について「まあそう思う」以上80-90%と高く評価された.情報の提供,自己管理指導は70%前後で不足していると評価され,接遇では医師の笑顔が少ないと評価された.家族は健康問題を共有しているが,声をかけたりすることが少ない.個人的には自己管理できると評価する一方,運動の継続は低い評価であった.「検査結果を受け入れる」と評価するが,立ち直りには自信がなく結果指導と共にメンタルサポートにも配慮が必要である.職場健康教室出席率は35%と低いが役立つと80%が評価している.結論:これからの保健指導では自己管理に役立つ情報提供が求められている.特に運動継続をサポートする必要があり,声かけなど励ましの支援も重要である.健康教室も時間や内容を工夫すれば必要で役立つと思われる.医師看護師には笑顔が求められており,メンタルサポートも考慮し指導にあたる必要がある.
  • 渋谷 克彦, 山本 英彦, 古谷 美佐, 草本 君子, 矢野 博美, 吉田 るみ子, 萱嶋 誠, 名取 省一
    2008 年 23 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:平成17年秋にメタボリックシンドロームやその予備群である従業員を対象とした8週間のベンチステップ運動プログラムを実施し,期間内での運動効果を確認した.今回はプログラム開始1年後の長期的な効果について検証する.方法:プログラムに参加した33名を対象に,運動の継続状況,生活習慣の改善状況とともに身体測定や血液検査を行った.結果:退職等の理由で経過を追えなかった5名を除いた28名について解析を行った.推奨された週140分以上のベンチステップ運動継続者は4名(14.3%)であった.一方,ベンチステップ運動は継続していないが何らかの生活習慣改善策を実行している者は,9名(32.1%)であった.Body mass index(BMI)の平均値はベンチステップ運動継続者群(8名)では29.0から27.4と減少し,生活習慣改善実施者群(9名)でも26.8から26.3と改善していたが,生活習慣改善未実施群(11名)では27.8から29.4と悪化していた.また,腹囲もベンチステップ運動継続者群と生活習慣改善実施者群で改善していた.結論:ベンチステップ運動を継続することにより4年後のBMIと腹囲の減少が認められた.また,プログラムに参加することにより生活習慣の見直しを促す効果もあると考えられた.しかし,ベンチステップ運動の中止者も多く,運動を継続させるための工夫が課題である.
  • 山門 桂, 北村 真紀, 日野 翔子, 井上 登紀子, 上田 三穂, 中澤 敦子, 繁田 正子
    2008 年 23 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:健診は喫煙者に広く介入できる場であるが,禁煙支援には特別な時間や労力が必要なため取り組みにくいというイメージが先行している.そこで,当健診センターでは,健診時に無理なく効果的・効率的に禁煙支援を行うため,医師と看護職が連携して支援する方法を用いている.そこでこの方法の有効性について検証する.方法:2004年5月-2006年4月に当ドックを受診した男性喫煙者2,893人を対象とし,医師のみで禁煙支援を行っていた1年間(2004年5月-2005年4月)の受診喫煙者(以下A群とする)と,医師と看護職が連携して禁煙支援を開始した2005年5月からの1年間(2005年5月-2006年4月)の受診喫煙者(以下B群とする)に分け,A年後のドック再診時,問診・診察により禁煙の有無を確認し,禁煙率の比較検討を行う.成績:A群1,480人,B群1,413人で,平均年齢・喫煙本数・禁煙期間に有意差なく,禁煙率はA群7.0%,B群は8.3%であった.結論:健診における医師と看護職連携による禁煙支援は,従来の医師のみの禁煙指導と比べより効率的で遜色ない禁煙率を得ることができた.当院ではこの方法で約2年半続けてきたが,時間・手段など無理なく行えており,受診者とのトラブルも発生していない.このような方法により8.3%の禁煙率が期待できれば社会への影響は少なくないと考える.
  • 伊井 和成, 福澤 浩章, 野地 満, 前川 暁子, 佐藤 忠一, 佐藤 精一, 宇井 浩一, 日野原 茂雄, 松崎 松平, 松木 隆央, ...
    2008 年 23 巻 1 号 p. 32-37
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:人間ドック逐年受診者から発見された浸潤大腸がんに関して,その臨床的背景を検討した.方法:対象は2002-2006年の過去5年間,人間ドック逐年受診者で前年便潜血反応陰性で今回便潜血反応陽性を契機に発見された浸潤大腸がん(病理学的な深達度がpSM1000μm以深)18例が対象.その内,早期がん8例,進行がん10例である.検討項目は腫瘍背景(存在部位,腫瘍径,肉眼的形態,深達度,病期)および患者背景(自覚症状の有無,がん家族歴,生活習慣病の保有状況,便提出回数)である.結果:腫瘍背景は病変部位では上行結腸が6例,S状結腸が6例で最も多く,肉眼的形態では,進行がんは2型のみであり,早期がんではIIaとIIcと表面拡大型の表面型のみであった.平均腫瘍径は27.4±10.5mmであり部位別の有意差は認めなかった.組織型は全例分化型であり,深達度は2例は奨膜外露出を認めたが,いずれもリンパ節転移はなく病期はstage IおよびIIのみであった.患者背景としては89%は自覚症状がなく,結腸がんの家族歴は4例のみであり,また生活習慣病保有者は88.9%に存在した。更に前年便潜血反応陰性時の検便提出回数が1回のみは28%にも及んだ.結論:部位は右側結腸に多く,表面型の形態をとる傾向にあった.また自覚症状は乏しい場合も多いため,少なくとも大腸がんの発見のためには便提出回数が二回の提出厳守が望まれた.
  • 高梨 吉裕, 篠永 正道, 藤井 本晴
    2008 年 23 巻 1 号 p. 38-43
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:未破裂脳動脈瘤の破裂予測については,いまだに確定的な診断方法は存在しない.そこで,4dimensiona1-CT angiography(4D-CTA)を用いて未破裂脳動脈瘤の壁性状を観察することにより,個別に未破裂脳動脈瘤の破裂の可能性について検討を行った.方法:未破裂脳動脈瘤患者27例,31動脈瘤を対象とした.全例心電図同期下でCT撮影,4D-CTA画像を作成し,動脈瘤壁の性状,特にblebなどについて検討した。また一部の症例で3D-digital angiOgraphy(3D-DA)画像および術中所見との比較を行った.結果:4D-CTA画像により動脈瘤壁が不整と診断されたのは19動脈瘤(61%)であった.内訳は,small(3-4mm)で4個(13%),medium(5-9mm)で13個(42%),large(10-25mm)で2個(6%)であった.また,9個の動脈瘤(29%)でblebと思われる所見が認められ,その拍動も4D-CTA画像で観察可能であった.さらに,blebに関して術中所見と4D-CTA画像は一致しており,術前得られた4D-CTA画像は脳動脈瘤壁の脆弱性をある程度反映しているものと推測された.結論:4D-CTA画像により脳動脈瘤のblebの診断,壁の脆弱性などの推定が可能となり,脳ドックにおいて脳動脈瘤破裂の可能性,予測に重要な情報が得られることが判明した.
  • 鈴木 荘太郎, 石飛 すみれ, 椎名 悠子, 佐志 安子, 小堀 悦孝
    2008 年 23 巻 1 号 p. 44-49
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:上部消化管内視鏡検査の前投薬の有無による効果を検討し,医療安全と管理運営に及ぼす影響について,健診センターにおけるリスクマネジメントの視点より検討した.対象・方法:まず,2000年1月-10月間の受診者583名を対象として,前投薬の有無と検査時の苦痛度との関連性に関して,受診者の自覚所見と介助者(看護師)による他覚所見とをアンケート方式により調査し,比較検討した.次に,1995年から2008年までの前投薬の有無と上部消化管内視鏡検件数および医師数,看護師数などについて比較検討した.結果:前投薬の有無に関する検討では,前投薬の有無に関わらず60-70%は自覚的に苦痛が無く楽な検査であった.一方,他覚的な苦痛例は前投薬の使用により15-20%と多く,無投薬例で5-15%と少なく,前投薬による苦痛軽減は明らかではなかった.1995年-1999年における,上部消化管内視鏡検査数は年間平均789.4例で5名の医師と2名の看護師が週5日間対応し,前投薬(静脈鎮静法;flunitorazepam,diazepam)使用を基準としていた.2002年-2008年では,年間平均1,018.6例を3名の医師と2名の看護師が週3日間対応し,無投薬を基準とした.健診センターの業務の効率性では,内視鏡検査前投薬の無使用により検査時間が短縮され,検査数が30%増加した.さらに,検査医師数と看護師数では延べ40%の削減効果があった.結語:内視鏡検査前投薬の苦痛軽減効果は検査医師及び対応に影響されていると考えられ,さらに合併症を発生し得るので,医療安全の観点から最小限の使用に止めるべきである.また,医療安全管理と健診業務の効率化は共に健診センターのリスクマネジメントとして重要である.
  • 才田 智美
    2008 年 23 巻 1 号 p. 50-56
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:ドック健診腹部超音波検査所見として最も多い脂肪肝と生活習慣アンケート,血液検査の各データから,「生活習慣病」の発症予防や生活習慣改善へ繋がる要因を検証した.方法:2004年8月27日-2005年9月30日の13カ月間に実施した22歳-83歳の男女1,004人の人間ドック健診者を対象とし,基本情報(身長,体重,喫煙,飲酒,運動,body mass index(BMI),体脂肪率),食生活アンケート(各栄養素の必要量,および摂取量の算出結果),菓子類,嗜好飲料,アルコールの摂取エネルギー,各食品グループの必要量と摂取量,血液学的検査の各データと脂肪肝(軽度,中等度,重度と分類)の有無の相関を分析した.結果:超音波検査で診断された脂肪肝と対象受診者の各食事や生活習慣アンケートデータより肥満,喫煙,飲酒,女性の鉄摂取に有意な相関がみられ,脂肪肝の発症予防指導へ繋がる要因であることが明らかになった.また脂肪肝を発見することで,他の生活習慣病をも併発している可能性を指摘できた。結論:脂肪肝を簡易的,非侵襲的かつ早期に存在診断できる人間ドックの超音波検査は,公衆衛生審議会が唱う「生活習慣病の予防=一次予防」に貢献度が非常に高い優れた画像検査である.検査施行者は生活習慣病の最初の指標となる「軽度脂肪肝」を超音波検査で指摘していくことが,人間ドック受診者に対し重要でかつ有用であった.
  • 大谷 瞳, 谷敷 圭美, 井上 典子, 前田 亮, 牛尾 剛士, 長崎 孝太郎, 平松 恵一
    2008 年 23 巻 1 号 p. 57-62
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:メタボリック健診のヘモグロビンA1c(HbA1c)のcut-off値は52%となる予定であるが,その妥当性に関し若干の考察を加え検討した.方法:平成18年度当施設受診者1,679名でメタボリック健診の耐糖能異常率を推定した.受診者のうち空腹時血糖値(FPG100mg/d1)未満の1,023人を対象に臨床成績からHbA1cの影響因子を検討した.また受診者のうちFPG115mg/dl以下の男性925名,女性634名のFPG,HbA1cの相関直線およびreceiver operating characteristic(ROC)曲線より男女それぞれのHbA1cの至適cut-off値を検討した.結果:メタボリック健診での耐糖能に関してFPGが異常の者の割合が男性では25.8%,女性では11.5%,FPGが正常でHbA1cが異常の者(bodymassindex(BMI)が25kg/M2以上の場合5.2%以上,BMが25kg/2 未満の場合5.5%以上)の割合は男性では10.8%,女性23.4%であった.FPGが100mg/dl未満の者を対象としHbA1cを目的変数とする多変量解析を行うとFPG,年齢が正の因子,ヘモグロビンと平均赤血球容積(MCV)が負の因子となった.FPGとHbA1cの回帰直線・ROC曲線から判断するとFPG100mg/dlに相当するHbA1cは男性で5.1-5.2%,女性で5.2-5.3%が妥当と判断した.結論:女性は貧血傾向があるためHbA1cのcut-off値は男性より高めに設定することが望ましい.
  • 石川 守
    2008 年 23 巻 1 号 p. 63-69
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:沖縄赤十字病院健診センター人間ドック受診時の事後指導に注目し,一方は人間ドック健診施設機能評価の観点から,もう一方は生活習慣病一次・二次予防の観点から検討を加えた.方法:事後指導に関して,当センターの現状と人間ドック健診施設機能評価の項目と照合を行なった.予防医学の観点から,人間ドックで行なっている事後指導のエビデンスを検討した.結果・考察:人間ドック施設機能評価の観点から,我々の行っている人間ドックはほとんどの項目で充足している.より良い人間ドックを目指し,2010年の新病院移転をきっかけに改善を継続して行う予定である.生活習慣病一次予防活動としては,健康教育に力を入れている.生活習慣病二次予防活動としては,早期発見のためにWチエックを徹底した.早期治療の為には臨床の先生方に対して速やかな橋渡しを行なうように心がけた。結語:事後指導は大変大切である.我々は自己研鑚を重ね,人間ドックの為にもその需要に応えなければならない.
  • 福井 敏樹, 安部 陽一, 安田 忠司, 吉鷹 寿美江
    2008 年 23 巻 1 号 p. 70-76
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:血圧脈波検査装置による上腕足首間脈波伝播速度(brachial-anklepulse wave velocity:baPWV)は非侵襲的な動脈硬化検査として定着してきているが,測定の問題点のひとつである血圧の影響を少なくした装置が最近開発され,その有用性を示す結果が増えてきている.今回は2つの脈波伝播速度測定装置の測定結果を比較することを目的とした.方法:対象は当院の人間ドックを受診し,オムロンコーリン社製のform ABI/PWVとフクダ電子社製のVaSeraの両者で測定した471名で,各々の測定値baPWVと心臓足首血管指数(cardio-anklevascular index:CAVI)について比較検討した.結果:血圧の影響はCAVIではbaPWVより減弱したものであったが,統計的には有意であった.動脈硬化の危険因子重積における測定値の増加はbaPWVの方が強い相関を示した.ただし動脈硬化の危険因子である肥満や喫煙の影響については両者ともその相関を示すことはできなかった.メタボリックシンドロームの該当者と非該当者での測定値の比較ではbaPWVは該当者で有意に高値を示したが,CAVIでは有意な差を認めなかった.結論:これらの結果より,baPWVもCAVIも共に血管の動脈壁硬化度を反映すると考えられるが,やはりCAVIにもbaPWVで認められた問題点は存在し,それらを把握した上で使用することが重要である.また,baPWVやCAVI値を動脈硬化の危険因子との関連から考えることの意義についてはさらに検証を必要とすると思われる.
  • 高岡 和夫, 岩田 佳代, 杉野 仁美, 神谷 夕香里, 和田 直子, 富永 一美, 江原 亮子, 秦 温信
    2008 年 23 巻 1 号 p. 77-83
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:平成20年度からメタボリック・シンドロームの予防に重点を置く特定健診の導入で,健診後の保健指導強化が求められることになった.札幌社会保険総合病院健診センターでは平成18年6月より腹囲測定を導入した.厚生労働省の階層化指針に基づき,指標となる腹囲測定結果と検査値を分析し,平成20年度より始まる特定健診・保健指導の実施に向けて,保健指導のあり方を検討した.方法:当健診センターは,受診者の8割が政府管掌健診を利用し688%が経年受診者である.平成17年より経年で受診した健診者9,729人のうち,平成18年6月より腹囲測定をした受診者は6,273人だった.平成17年度より経年で受診している6,037人を対象として,情報提供群(肥満なし群と肥満あり群)と特定保健指導対象群(動機づけ支援群と積極的支援群)とに階層化を行い比較検討した.成績:特定保健指導対象群(動機付け支援群及び積極的支援群)は2,410人(39.9%)であり,男女別には,男性50.5%,女性20.0%と男性では特定保健指導対象群の比率が高かった.この健診受診者の解析の結果,情報提供群のうち肥満なし群の60%の受診者に空腹時血糖値の上昇が見られた.また,情報提供群のうち肥満なし群に血圧の上昇,血中脂質の異常が見られた.結論:内臓脂肪蓄積型肥満者である特定保健指導対象群以外にも生活習慣改善指導の必要な受診者が存在することが示唆された。
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