人間ドック (Ningen Dock)
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23 巻, 3 号
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  • 山門 實
    2008 年 23 巻 3 号 p. 517-520
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
  • 伊東 香代, 三浦 正樹, 山田 亮詞, 松田 武史, 有馬 麻衣子, 狩野 綾円, 岡村 朋子, 山本 正之
    2008 年 23 巻 3 号 p. 521-526
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:当センターでは上部消化管内視鏡検査(gastrohtestinal endoscopy:GFS)施行前の問診で承諾を得た受診者に鎮静剤を経静脈投与している.今回,鎮静剤の苦痛軽減効果をアンケート調査より検討した.方法:全ての検査終了時点でアンケート調査を行った(調査期間:2006年5月-2007年3月,対象者:GFS受診者2,432名).アンケート内容はGFSの不快度に加え,人間ドック健診全体としての評価として,待ち時間,接遇,健診項目の充実度について回答を求めた。結果:「鎮静剤を使用したが楽であった」との回答(842名)は,「鎮静剤を不使用だが楽であった」との回答(181名)に比べて有意差を認めた(ρ<0.05).しかし,「鎮静剤を使用しても苦痛を感じた」も784名に上った.更に鎮静剤による副作用や効果の遷延を約20%に認めた.このため,アンケートを再分析,検討した結果,GFSまでの検査の待ち時間の長短とGFSの苦痛度に関連性があり,有意差検定で「GFSが楽である」と回答したグループは「待ち時間が短い」と感じる傾向にあり,一方,「GFSが苦しかった」と回答したグループは「待ち時間が長い」と感じる傾向が認められた.結語:鎮静剤の使用は,苦痛の軽減に有意な効果があった.しかし,鎮静剤を使用したが苦しかったとの回答も約48%に上ったため,苦痛軽減への対策を考えた.健診の待ち時間の長短とGFS時の不快度に関連があった.
  • 加藤 裕美佳, 藤井 晴代, 吉田 徹, 佐尾 浩, 長尾 和義, 二村 良博
    2008 年 23 巻 3 号 p. 527-532
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:ストレスを感じている受診者の生活習慣,ドック検査結果の傾向およびそれらの3年間の推移を分析し,ストレスの健康に及ぼす影響を検討した.方法:2004年1月から2006年12月までに一日人間ドックを受診した3,244名(男性2,242名,女性1,002名)において,「ストレスがたまっていると感じることがありますか?」の問いの回答により,A群:いいえ,B群:少しある,C群:かなりある・常にある,の3群に分けて検討した.結果:C群は,約15%で,A群,B群と比較し,平均年齢は低く,若い会社員,若い主婦が多い.生活習慣は,趣味は少なく,笑いが少なく,運動しない傾向にあり,さらに睡眠障害の訴えが強く,多彩な身体症状を自覚している。検査結果に異常を認めない割合は高いが,3年間の経過で,約70%に新たな異常所見を認めた.異常所見のうち,早期に出現し,一番頻度が高かったのは,脂質異常であった.慢性的なストレスと睡眠障害を訴えるC群の14.6%が不眠症を含む精神疾患の治療を受けていた.結論:若い世代では,ドックの検査結果上,特に異常を認めないことが多いが,ストレスを感じ,睡眠障害の訴えがある場合は,経過とともに異常所見が出現し,身体的,精神的疾患を生じてくる可能性が高い.睡眠障害の訴えは特に重視し,健診が,心療内科,精神神経科などへの早期受診,指導,治療へとつながってゆく架け橋となる必要がある.
  • 辻 裕之, 天川 和久, 大本 由紀子, 鈴木 規之, 宮川 めぐみ, 有元 佐多雄, 謝 勲東, 原 茂子
    2008 年 23 巻 3 号 p. 533-539
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)発症に対する血清尿酸値(uric acid:UA)の意義を解析する.方法:21年にわたる虎の門病院人間ドック受診者の,初回受診時データ(男性50,363例,女性21,269例,計71,632例)を対象に,Modification of Dietin Renal Disease(MDRD)study groupによる簡易式による推算糸球体濾過量(eGFR)と年齢,およびBMI,血圧,その他各種検査値との相関を,相関分析により検討した.また1995年以降に3年以上連続して受診した男性のうち,当初CKDを発症していなかった7,026例を対象として,当初のUAにより4群に層別し,Cox比例ハザードモデルを用いてCKDの新規発症率を解析した.結果:UAはeGFRに対して,尿素窒素と同等(女性)または尿素窒素に次ぐ(男性)強さの相関を示した.また当初のUAは,高尿酸血症(7.1mg/dl以上)のみならず,5.1mg/dl以上であれば,5.1mg/dl未満の群と比較して有意にCKDを新規に発症しやすかった.結論:UAはCKD発症の独立した危険因子であるばかりでなく,その予測因子となりうる.
  • 高橋 為生, 堀 三郎, 北川 泰久
    2008 年 23 巻 3 号 p. 540-544
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:2007年6月に当健康管理センターは,病院併設型の一日人間ドックの施設として開設された.病院既存の医療機器を有効に利用することができ,また電子カルテシステムとの連携に支障のない健診システムを構築したので報告する.方法:システムは,電子カルテ,健診パッケージ,独自開発プログラムの3つにより構域されている.電子カルテは検査オーダー・画像ファイリング等,健診パッケージは予約・会計等と健診結果の登録独自開発のプログラムは健診結果の包括的評価と表示・健康診断結果報告書の作成と電子カルテ内の参照用画面の作成を担当する.成績:人間ドック受診者のID番号および当日の受診番号を外来診療の患者IDと同一にすることにより,ドック受診者に対して院内の機器を支障なく使用することができ,逆に一般患者は,センター内の機器を使用することが可能となった.さらに,画像データを含めたすべての健診結果は,独自に開発した「包括的健康評価システム」から参照することが出来るようになった.結論:今回開発した健診システムは,病院全体の電子カルテとの連携により医療機器の相互利用を可能とし,情報の共通化を実現することによって,病院情報システムの1つと位置づけることができる.
  • 高橋 為生, 高林 健示, 堀 三郎, 日野原 茂雄, 沖島 助
    2008 年 23 巻 3 号 p. 545-550
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:一日人間ドックの保健指導時に使用する問診のうち,受診者の「勤務状態」と「仕事に対する意識」,すなわぢ仕事に対してどのように思い,自分の仕事をどのように考えているかを調査し,さらに「仕事に対する意識」と生活習慣との関連性を明らかにすることを目的として検討した.方法:問診質問項目のうち,仕事に関する質問8項目(勤務状況2項目・仕事に対する意識6項目)を用いて,仕事に対する意識と生活習慣との関連性について,男女別・年齢階級別の回答を調査した.さらに,「仕事にやりがいを感じますか」の回答と運動・喫煙・飲酒のそれぞれの習慣との関連について検討した.成績:受診者の勤務状況や仕事に対する意識の項目間には関連が認められ,勤務状況は,生活習慣の見直しを行う際の環境要因として重要であると考えられた.他方,「仕事に対する意識」のうち「仕事にやりがいを感じる」の質問に肯定的な回答を示す者は,他の項目においても好ましい回答を示す傾向にあり,さらに運動習慣を有する,および喫煙習慣が無いとの回答と関連を示した.結論:人間ドックで実施する仕事に対する意識調査のうち「仕事にやりがいを感じる」の回答は,受診者の生活習慣との関連性を認め,個々人に対し適切な保健指導を行う際に,有用であると考えられた.
  • 安田 貢, 青木 利佳, 北村 晋志, 林 亨, 板東 玄太郎, 鹿児 島彰, 井上 博之, 山ノ井 昭, 鳥巣 隆資
    2008 年 23 巻 3 号 p. 551-557
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:経鼻内視鏡検査では挿入時鼻腔痛を伴うことが多い,今回われわれは,経鼻内視鏡検査の鼻腔対策として,16Frネラトンカテーテルの鼻腔留置による前処置法の有用性を評価した.対象と方法:平成18年1月から3月の間に,嘔吐反射が特に強い80名の受診者に経鼻内視鏡検査(GIF-N260)を施行した。前処置にネラトンカテーテルを使用しないA群(40例)と使用するB群(40例)に無作為に分け,痙痛や苦痛度をアンケート調査した.鼻腔粘膜の基礎麻酔として4%塩酸リドカイン液9ml+0.1%エピネフリン液1ml混合液を噴霧した.結果:アンケート調査による挿入時の鼻腔痛の程度(0-10)は,男性でA群4.1±24,B群38±1.9,女性でA群45±23,B群3.2±2.1であり,女性のB群ではA群に比較して有意に少なかった(p<0.05).検査全体からみた総合的な苦痛度は,男性でA群2.7±1.1,B群2.8±14,女性でA群39±2.2,B群2.2±1.1であり,女性のB群でA群に比較して有意に少なかった(p<0.05).次回の検査方法に経鼻内視鏡を希望する割合は,女性のB群でA群に比較して有意に高率であった(p<0.5).結語:女性における経鼻内視鏡検査では,基礎麻酔にネラトンカテーテル留置による前処置を加えることで,鼻腔の疼痛を軽減させ,検査全体の苦痛度の低下も得られた.
  • 佐藤 きぬ子, 道家 充, 水留 伸子, 木村 礼子, 真栗 紋子, 松井 亜衣, 塙 なぎさ, 大芦 研輔
    2008 年 23 巻 3 号 p. 558-563
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:メタボリックシンドローム(metabolic syndrome:MS)は内臓脂肪の蓄積を基盤として動脈硬化性疾患を発症させる状態である.日本におけるMS診断基準では男性で腹囲85cm以上,女性で90cm以上を必須項目としている。これは内臓脂肪面積が100cm2以上を腹囲では男性で85cm以上,女性で90cm以上に相当すると考えられているためである。そこで腹囲と内臓脂肪面積の関連性を当クリニックの受診者の健診結果と生活習慣から検証することを試みた.方法:当院で2006年10月から12月までに腹部CT検査を実施した男性176名を対象とし,CT画像より得られた内臓脂肪面積と腹囲との相関と,さらに生活習慣との関連を問診票から検討を試みた.結果:男性では腹囲と内臓脂肪面積に正の相関が得られ,統計学的に妥当であると考えられた.また腹囲85cm未満でも内臓脂肪面積100cm2以上者が20.2%含まれ,内臓脂肪面積100cm2未満でも腹囲85cm以上者が22.5%存在した.生活習慣では喫煙,飲酒の習慣がありさらに腹囲や内臓脂肪がMSの基準値以上者に体脂肪率,BMI,肝機能,尿酸,中性脂肪が有意に高かった.結語:男性におけるMSの診断基準である腹囲85cm以上は内臓脂肪面積100cm2以上であることと統計学的に同等であるが,20%の見逃しが発生していることを念頭におくべきである.また飲酒,喫煙習慣者で腹囲や内臓脂肪がMSの基準値以上者では同じ飲酒,喫煙習慣者より中性脂肪が有意に高く,HDLコレステロールが低い傾向であった.
  • 林田 明美, 満崎 克彦, 荒木 利代, 栗原 明子, 福永 久美, 采田 憲昭, 高尾 祐治, 坂本 祐二, 菅 守隆
    2008 年 23 巻 3 号 p. 564-569
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:安全で効率の良い内視鏡検査を実施するために,受診者の個別性に合わせた情報管理システムを導入したので,その運用方法と成果について報告する。方法:同意書を用いて問診を行い,検査や薬剤使用に伴う高リスク者を拾い上げ,医師指示・確認書を発生させ医師の診察・問診を行った.情報は全て情報管理システムに入力し,前処置や検査介助時の情報として活用した.検査終了後は,検査に有用な情報を情報管理システムに再度入力し,次回検査時にフィードバックした.導入後の6年間87,201件中の内視鏡検査で発生した偶発症について検討した.結果:詳細な同意書を使用することにより問診業務の標準化と効率化が図れた.問診で高リスク者を拾い上げ,医師指示・確認書を発生させ医師へ情報伝達するというチェック体制により,偶発症発生の予防に繋がった.また,情報管理システムにより,問診と内視鏡担当看護スタッフ間で情報が共有化でき,個別性に合わせた内視鏡看護が可能となった.有用な受診者情報を再入力しフィードバックすることにより,次回検査時に個別性を重視した検査の提供やリスク回避・受診者満足度を提供できる情報源と成り得た.情報管理システム導入後,重大な偶発症は認められなかった.結論:情報管理システムにより,問診や内視鏡看護業務の効率化が図れ,安全な検査を提供できようになり,クレーム対応や偶発症などのリスクマネージメントが容易となった.
  • 金沢 裕一
    2008 年 23 巻 3 号 p. 570-574
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:糖尿病,大血管症予防のため,早期食後高血糖(post prandial hyperglycemia:PPHG)のスクリーニングは極めて重要である.我々は経口ブドウ糖負荷試験(Oral glucose tolerance test:OGTT)なしに効率的にPPHGスクリーニングを行う方法(KKC法)を考案し,従来の方法と比較検討した.さらに人間ドックでこの方法により発見できるPPHGの人数推定について検討した.方法および対象:空腹時血糖(fasting plasmaglucose:FPG),ヘモグロビンAlc(HbA1c),1,5-アンヒドログルシトール(1.5-anhydroglucitol:1,5-AG)とOGTTを受けた230人の対象者について,1,5-AGの男女別カットオフ値を設定し,1,5-AGが境界域の場合にFPGと組み合わせた方法とFPG,HbA1c使用した従来の方法と比較した.次に,一日人間ドック(全国集計2006年)受診者2,708,538名を年齢別に39歳以下,40歳代,50歳代,60歳以上の4群に分けた各520,242名,832,152名,902,344名,453,800名について,一日ドックにおいて,KKC法を用いて新たに見つかる可能性のあるPPHGの人数を推定した.結果:KKC法は感度85.9%,特異度79.7%と従来の方法と比べ良好な結果を得た.また,年代ごとに,48,278名,97,927名,113,680名,63,012名のPPHGが新たに発見できることがシミュレーションの結果わかった.結論:ブドウ糖負荷試験によらずに,空腹時1回採血によって効率よく食後高血糖を拾いだす方法として1,5-AGとFPG値組み合わせ法(KKC法)は特に若い年代ほど,より有効であることが示唆された.
  • 鏑木 淳一
    2008 年 23 巻 3 号 p. 575-579
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:血清リウマトイド因子(lgM-RF)陽性の人間ドック受診者において,関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)を診断するために,抗環状シトルリン化ペプチド(cyclic citrullinated peptide:CCP)抗体の臨床的意義を明らかにすることを目的とした.対象と方法:人間ドックで,RAテストによるlgM-RFが陽性であった6例を対象とした.身体所見をとり,手単純X線撮影を行った.抗CCP抗体をELISAで測定した.IgM-RF,RAPA,IgG-RF,抗ガラクトース欠損IgG抗体,MMP-3を調べた。結果:身体所見として,朝のIこわばりは,2例に認められた.1例は,他の臨床所見,手単純X線撮影所見から,日本リウマチ学会の早期RA基準を満足し,アメリカリウマチ協会分類基準からRAと診断された.他の1例は,シェーグレン症候群と考えられた.IgM-RFは,全例で陽性であった.RAPAと抗ガラクトース欠損lgG抗体は,前述した2例で検出された.IgG-RFは,全例で陰性であった.MMP-3は,RAで高値を示した.抗CCP抗体は,RAでのみ陽性であった.結論:IgM-RF陽性例中,RAPAと抗ガラクトース欠損IgG抗体は,RA以外の症例でもみられたが,IgG-RFは,RAでも陰性であった.MMP-3は,RAで高値を示したが,他の疾患でも高くなるとされる.抗CCP抗体のみが,RAで認められた.このため,人間ドックにおけるIgM-RF陽性例で,RAを診断する二次検査として,抗CCP抗体が有用であることが考えられた.
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