目的:糖尿病患者では尿中尿酸排泄増加のために血清尿酸は低値を示すことが知られている.今回,2型糖尿病患者における血清尿酸値と血糖コントロール指標[空腹時血糖,HbA1c,1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)]との関連を検討した.
対象:当院人間ドック受診者のうち,2型糖尿病男性39名(年齢55.7±4.1歳,空腹時血糖124±32 mg/dL,HbA1c 6.5±1.2%,1,5-AG 12.1±7.5μg/mL,血清尿酸 6.4±0.9 mg/dL)を対象とした.高尿酸血症・痛風の薬物治療例は除外した.
結果:血清尿酸値に対するステップワイズ多変量解析にて1,5-AGはトリグリセリド,HDLコレステロールとともに独立した正の説明変数であった.また,1,5-AGに対する多変量解析にて血清尿酸値はHbA1cとともに独立した説明変数であった.血清尿酸値は1,5-AGと有意の相関を認めた(R=0.406,
p=0.0104)が,空腹時血糖, HbA1cとは有意の相関を認めなかった(各々R=-0.225,
p=0.1694;R=-0.230,
p=0.1594).
結論:2型糖尿病患者では血清尿酸値と1,5-AG値は尿糖排泄を介した共通の機構により調節されることが示唆された.
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