人間ドック (Ningen Dock)
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25 巻 , 3 号
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巻頭言
総説
原著
  • 長岡 芳, 鍵小野 美和, 藤田 紀乃, 和田 昭彦, 松井 寛, 大橋 儒郁, 飯田 忠行
    2010 年 25 巻 3 号 p. 486-493
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/07/31
    ジャーナル フリー
    目的:腹部CT法による皮下脂肪・内臓脂肪肥満とBMIから日本のメタボリックシンドローム診断基準との関連を調べ,肝機能との関連も検討した.
    対象と方法:男性174名,女性63名を対象とし,平均年齢は,男性46.6±11.3歳,女性49.2±12.4歳であった.内臓脂肪面積とBMIにより,正常群:内臓脂肪面積100cm2未満・BMI25未満,皮下脂肪型肥満群:内臓脂肪面積100cm2未満・BMI25以上,内臓脂肪蓄積型肥満群:内臓脂肪面積100cm2以上・BMI25未満,内臓脂肪型肥満群:内臓脂肪面積100cm2以上・BMI25以上に分けた.4群間について年齢,最高・最低血圧,HDL・LDLコレステロール,中性脂肪,血糖,HbA1c,AST,ALT,γ-GTPを比較した.
    結果:内臓脂肪の増加は,男性で血圧と肝機能異常に関与した.皮下脂肪の増加は,男女ともにHDLコレステロールの低下と,女性のALTの増加に関与した.内臓・皮下の両脂肪の増加があると,HDLコレステロールの低下,HbA1c,γ-GTPの上昇に関与した.
    結論:メタボリックシンドロームの疑いに関しては,内臓脂肪面積と皮下脂肪面積を測定し,性別による分析を加味し,予防対策に活かす必要性が示唆された.
  • 吉田 信彦, 星野 和彦, 川上 睦美, 中村 久美子, 大橋 純江
    2010 年 25 巻 3 号 p. 494-499
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/07/31
    ジャーナル フリー
    目的:厚生労働省はメタボリックシンドローム(MS)診断基準検討委員会の基準を一部修飾した特定健診を導入した.必須条件の肥満に加え陽性所見が1つ以上ある健診受診者(要支援対象者)は特定保健指導を受けるが,降圧薬,脂質異常症治療薬,糖尿病治療薬を使用している受診者(被投薬者)は,医師の指導のためこれを受けることが出来ない.そこで被投薬者の健診成績が非投薬者より良いかどうかを検討した.
    方法:対象は40~64歳男性6,642名.被投薬者は投薬を受けていないと仮定して診断を行った.
    結果:被投薬者の腹囲陽性やBody Mass Index陽性の割合は非投薬者より有意に多かった.降圧薬かつあるいは脂質異常症治療薬使用者の血糖陽性率や,糖尿病治療薬かつあるいは降圧薬使用者の脂質陽性率は非投薬者よりほとんどの例で有意に高かった.脂質異常症治療薬と糖尿病治療薬を使用している被投薬者の血圧陽性者の割合は非投薬者より有意に多かった.降圧薬のみ使用している被投薬者と非投薬者両者について血圧を除外して判定を行うと,要支援対象者あるいはMS判定において1つ以上の陽性所見がある被投薬者の割合は,非投薬者より有意に多かった.脂質異常症治療薬のみの使用者の場合も同様であった.
    結論:特定健診受診者の内,既に高血圧などが治療されている被投薬者は,非投薬者と比較して,治療対象外の項目に関する健診成績がいずれもコントロール良好な結果を示さなかったことから,保健指導の対象とすることが望ましいと考えられる.
  • 川上 知恵子, 山口 文江, 苅込 利衣
    2010 年 25 巻 3 号 p. 500-504
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/07/31
    ジャーナル フリー
    目的:敷地内禁煙の施行により1泊ドック受診者は,長時間の禁煙を強いられ隠れタバコが目立つようになった.そこで,ニコチンの禁断症状の緩和と禁煙への動機づけを目的として,希望者へニコチンパッチの貼付と使用方法や禁煙に関する情報提供などの禁煙支援を試みた.すると,「パッチを使用して楽だった」「その後,禁煙したよ」などの声が聞かれるようになり,ニコチンパッチを使用しての禁煙支援の成果について調査した.
    方法:2008年1~6月に受診した1泊ドック喫煙者142名に,郵送によるアンケート調査をした.
    結果:アンケート回収率は33.8%.禁煙支援では,①ニコチンパッチを使用できた②ニコチンパッチの購入方法がわかった順をあげ,禁煙への関心は75%が関心期から準備期にあり,ニコチンパッチの使用者は76%だった.しかし,禁煙成功者は14.6%と少なく,禁煙挑戦者は,ストレスやいらいらの解消ができず禁煙できなかったと思われる.
    結論:ニコチンパッチ使用の禁煙支援は効果を体感でき,正しい知識を得たことで,禁煙への関心が高くなったと思われる.また,禁煙達成者が14.6%と少なかったことは,習慣やストレス解消にタバコを吸う作業がなくなるなど心理的依存への対処が不足していた.しかし,ニコチンパッチを使用した禁煙支援は,喫煙行動を変化させる原動力の一つであることがわかった.
  • 戸田 晶子, 石坂 裕子, 谷 瑞希, 山門 實
    2010 年 25 巻 3 号 p. 505-510
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/07/31
    ジャーナル フリー
    目的:高血圧は多くの致死的疾患の危険因子であり,その発症予防は予防医学上重要な課題である.一方で生活習慣の変化に伴い高血圧の危険因子も変化していくことが予想される.本研究では,人間ドック受診者を対象に高血圧の危険因子を縦断的に検討した.
    方法:当健診センターを2003年から2008年までの5年間毎年受診している1,701人中,既に高血圧を呈している199人と高血圧加療中の197人を除外した1,305人を対象とし,5年間の高血圧発症危険因子を多変量Cox比例ハザード回帰分析にて解析した.
    成績:高血圧発症に関連すると予想される項目を調整因子とし多変量Cox比例ハザード回帰分析を行った結果,5年間の高血圧発症危険因子として年齢,body mass index(BMI),高血圧家族歴,初年度の収縮期血圧,拡張期血圧が独立した有意な危険因子であった.5年間のBMI変化と血圧変化の関係には正の有意な相関が認められ,初年度のBMIと5年間の高血圧発症率にも正の相関を認めた.また,対象者より糖尿病の薬物治療中の38人を除外し,同様に多変量Cox比例ハザード回帰分析を行った結果,上記の5項目に加えてHbA1cも有意な危険因子であった.
    結論:近年,肥満はメタボリックシンドロームとの関連より様々な疾患の危険因子として注目されている.肥満は高血圧発症の危険因子であり,高血圧の予防には肥満の改善が重要である.
  • 佐久間 一郎, 加瀬 史代, 米内山 さつき, 加藤 祥子, 海藤 陽子, 宮野 紗依, 田村 美香, 高橋 豊, 近藤 和夫, 山溝 静子 ...
    2010 年 25 巻 3 号 p. 511-515
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/07/31
    ジャーナル フリー
    目的:医師とコメディカルチーム(看護師・保健師,管理栄養士・薬剤師・理学療法士)が症例に対し,協議・共同して行う「生活習慣病改善プログラム」を,行動変容ステージに合わせてコーチングスキルを活用した患者指導を行って実施した.過去3年間で教育プログラム終了者全員に行動変容が見られ,84%に検査データの改善が認められた.この結果は先行研究と比較して同等以上の改善率であり,なぜこのような良好な改善効果を得ることができたのかを検証した.
    方法:平成19年1月~平成21年12月に本プログラムに参加し,3ヵ月間の教育プログラムを終了した100名(糖尿病86名,脂質異常症8名,高血圧症6名)に対し,指導前後の行動変容ステージの変化と,食習慣・運動習慣およびそれ以外の行動変化の有無を,データベースに入力して解析した.さらに,検査データの変化を解析した.
    結果:熟考期から準備期または行動期へステージアップは100%であり,食習慣改善99%,運動習慣改善95%,それ以外の行動変容96%,検査データ改善は84%に認められた.
    結論:「生活習慣病改善プログラム」において,医師とコメディカルチームが各症例に対して協議・共同し,行動変容ステージに合わせてコーチングスキルを活用しながら各職種から専門的な立場で患者指導を行なったことにより,患者の生活習慣・検査データを良好に改善させることができたと考えられた.また,本手法は特定保健指導にも有用と考えられた.
  • 池田 聡, 岡村 博文, 山本 博美, 宮城 康子, 池田 誠
    2010 年 25 巻 3 号 p. 516-520
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/07/31
    ジャーナル フリー
    目的:近年,楽で安全な経鼻内視鏡検査は,検診・人間ドックに広く普及しつつあり,当施設でも院内のスクリーニング検査に経鼻内視鏡を用い有効に活用している.さらに当施設では世界初の経鼻内視鏡専用検診車を導入し,上部消化管のスクリーニングとして内視鏡検査を取り入れた出張型人間ドックを行っている.その実際について報告する.
    方法:経鼻内視鏡専用検診車と胸部レントゲン検診車にて事業所に赴き,当施設で通常行っている人間ドックと同様の検査全てを行った.1回の出張につき平均12名の検査を行った.内視鏡検査では色素散布は行うが生検は行わず,必要な場合後日院内で行うこととした.
    結果:検査による偶発症等の問題はなかった.1)内視鏡検査に伴う鎮静剤などの使用がなく安全であること,2)受診者にとって内視鏡検査が楽で,検査中の説明に集中でき検査についての理解が深いこと,3)人間ドック受診後からすぐに仕事に戻れる利便性,などの理由から受診者から好評であった.
    考察:受診者にとって苦痛と時間と費用のさらなる軽減のためにも経鼻内視鏡検診車を利用した出張型人間ドックは大変有用と考えられた.
  • 草野 孝文, 樋口 拓
    2010 年 25 巻 3 号 p. 521-529
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/07/31
    ジャーナル フリー
    目的:メタボリックシンドローム(MetS)が生活習慣や機能年齢,酸化ストレス度・抗酸化能などの抗加齢医学的指標に及ぼす影響を検討した.
    方法:アンチエイジングドックを受診した被験者175名を対象に抗加齢医学的指標として機能年齢-筋年齢:WBI(体重支持指数),骨年齢はDEXA法腰椎骨密度(BMD),ホルモン年齢:IGF-I,DHEA-s/コルチゾール比,血管年齢:加速度指尖脈波計,ホモシステイン,高感度CRP,酸化ストレス度:尿中8-OHdG生成速度,イソプラスタン生成速度,血清LPO,抗酸化能:酸化ストレス予防能力インデックス(OSPPI)など-を測定し,MetS(+)群とMetS(-)群の間の比較統計解析を行った.
    結果:MetS(+)群:男性15名(21.4%,67.2±8.1歳),女性7名(8.0%,75.9±11.2歳).MetS(-)群:男性55名(62.9±11.8歳),女性80名(63.8±12.1歳).MetS(+)群で筋年齢が高かった.MetS(+)男性でBMDは12.6%高く(p=0.009),女性では逆に16.6%低かった(p<0.001).喫煙など他因子との相関はなかった.MetS(+)男性でDHEA-sが26.8%低かった(p=0.048).女性で有意にDHEA/コルチゾール比が38.9%低かった(p=0.013).MetS(+)女性で38.9%ホモシステインが高く(p=0.010),高感度CRPが130.6%高かった(p=0.019).8-OHdGはMetS(+)群女性で62.0%の高く(p=0.010),血清LPOはMetS男性で182.3%高かった(p=0.028).MetS(+)群でOSPPIが低い傾向があり,女性で61.8%低かった(p=0.020).
    結論:MetSが酸化ストレスを惹起し機能年齢に影響を及ぼす可能性が示唆された.今後MetSをアンチエイジングの視点でとらえドックを推進させることが大切である.
  • 津田 好子, 市川 夕紀子, 秋山 けさ美, 荒井 麻衣, 近藤 晴義, 功刀 千恵美, 依田 芳起
    2010 年 25 巻 3 号 p. 530-536
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/07/31
    ジャーナル フリー
    目的:人間ドック子宮頸がん検査の精度向上を目指して,2008年に従来の細胞診検査に加えて希望者にHPV検査を併用検査として導入した.過去5年間を含む当センター子宮頸がん検査の実情を検証した.
    対象:2003年から2008年までの6年間に人間ドック受診時に,子宮頸がん検査を受診した延べ41,459人を対象とした.2008年の受診状況については細胞診検査受診者6,744人で,HPV検査の併用受診者1,908人を対象とした.
    結果: 6年間でがん症例として返書確認ができているのは23例(発見率0.05%)であったが,他に人間ドック再受診時に5例のがん症例発見が確認された.ベセスダシステムへの移行とHPV検査の導入によって,2008年の細胞診要精検者77人中,がん発見6例(発見率0.09%)であった.HPV検査の併用受診者は,1,908人 (子宮頸がん受診者におけるHPV検査受診率28.3%)陽性者61例(陽性率3.2%)で20歳代のHPV検査の陽性率は11.1%であった.
    結論:ベセスダシステムの改定によって,クラスⅡ ASC-US(意義不明異型扁平上皮)症例が精検対象に加えられ要精検率は,2008年1.14%と過去最高であった.HPV検査の導入を果たして,陽性者の扱いが今後加わることによって,更に要精検率は上昇すると思われる.
    ベセスダシステムとHPV検査の導入によって,前がん病変を有するハイリスク受診者の設定や,将来的に子宮頸がん発見率の上昇につながる事が期待される.
  • 細野 安希恵, 清水 正雄, 足立 雅樹
    2010 年 25 巻 3 号 p. 537-540
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/07/31
    ジャーナル フリー
    目的:男性受診者の混在する健診において,女性受診者がより安心して検査に集中できる環境作りの一つとして健診ブラの導入を検討したので報告する.
    方法:対象は平成20年12月1日より平成21年2月20日までに当センターを受診した女性受診者595名.健診ブラ使用にあたっては実施の旨を説明した文書を事前に郵送.使用希望者に対して使用経験についてのアンケート記入を条件に無料配布した.同時に医師・診療放射線技師による胸部エックス線画像への影響も検討した.
    結果:健診ブラのサイズ・着心地に対する印象は概ね良好であった.しかし,健診ブラに対する認知度・購入意欲は低いことが顕著であった.また,胸部エックス線画像に若干の歪みが認められた.
    結論:健診ブラの使用は女性受診者のサービス向上として有用である.健診ブラを着用することで安心感が増した受診が可能となり,レディースドックの代替案の一つとして期待される.一方,着衣枚数の増加から脱衣を必要とする検査では着脱に時間がかかった.受診者の購入意識が低いため,導入時にはコストパフォーマンスが問題になると予想される.胸部エックス線画像の読影への影響はほとんどなかった.
  • 井本 貴之, 加藤 千春, 横地 隆, 吉兼 直文, 翠 尚子, 別所 祐次, 酒井 康子, 岩田 全充
    2010 年 25 巻 3 号 p. 541-549
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/07/31
    ジャーナル フリー
    目的:メタボリックシンドロームのリスク集積を検出する内臓脂肪面積(visceral fat area:VFA)および腹囲の最適カットオフ値を男女別に検討し,VFAと血漿アディポネクチン濃度との関連からその妥当性を確かめること.
    方法:健康支援センターウェルポにて節目健診を受診した男性:8,470人(47.3±8.2歳),女性:1,626人(47.5±4.7歳)を対象とした.ROC曲線分析により高血圧,脂質異常,高血糖のうち2つ以上の合併を検出するVFAおよび腹囲の最適カットオフ値を男女別に求めた.また,VFAと腹囲の単回帰分析からVFAの最適カットオフ値に対応する腹囲を求めた.対象者のVFAを0cm2から20cm2毎に群別し,各群に属する対象者の血漿アディポネクチン濃度の平均値を多重比較した.
    結果:ROC曲線分析の結果,VFA・腹囲の最適カットオフ値は男性76.3cm2・84.2cm,女性47.3 cm2・80.5cmであった.また,単回帰分析の結果,VFAの最適カットオフ値に対応する腹囲として男性85.2cm,女性80.1cmが得られた.さらに,VFAについて男性60~80cm2より大,女性40~60cm2より大の群間において血漿アディポネクチン濃度の平均値に有意な差が示されず,それらの値はVFAの最適カットオフ値と近似していた.これはVFAの増大に伴うアディポネクチン分泌の減少に下限が存在する可能性を示唆する.
    結論:VFA・腹囲の現行基準,特に女性の腹囲基準90cmについては見直す必要がある.
  • 河津 捷二, 山縣 文夫, 坪井 五三美, 富永 真琴, 則武 昌之
    2010 年 25 巻 3 号 p. 550-555
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/07/31
    ジャーナル フリー
    目的:企業健診における尿中ミオイノシトール測定による,耐糖能異常群の効率的・簡便な検査法の検討.
    方法:定期健康診断で空腹時血糖値(FPG)が110~125mg/dLであった61名に同意を得た後75g糖負荷試験(75gOGTT)を実施し,WHO基準(1998年)に従い耐糖能の型分類を行った.正常型のうち糖負荷1時間後の血糖値が180mg/dL以上の者は準境界型とした.糖負荷前と2時間後に採尿,旭化成ファーマ社のキットにて尿中ミオイノシトールを測定した.ΔUMIはクレアチニン補正した尿中ミオイノシトール濃度の負荷前後の差として計算し(後値-前値),ΔUMI検査による耐糖能異常群の選別が可能であるか検討した.
    結果:対象の49.2%は正常型であり75gOGTTは不必要であった.またΔUMIは耐糖能が低下するほど高値を示す傾向にあった.本群におけるΔUMIの陽性率は糖尿病型においては100%(7/7)であり,耐糖能異常であるIGTでは63.6%(7/11),準境界型では83.3%(5/6)と高率であった.
    結論:企業健診において尿中ミオイノシトール(ΔUMI)を測定することにより糖尿病や耐糖能異常を高感度に検出できる可能性が示された.
  • 品田 章二, 斉藤 功英, 松永 由希恵, 片岡 正春, 小田辺 なお子, 島垣 二佳子, 若林 真理子
    2010 年 25 巻 3 号 p. 556-563
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/07/31
    ジャーナル フリー
    目的:推算糸球濾過量 (eGFR)による慢性腎臓病(CKD)のステージ分類には,酵素法による少数点以下2桁の血清クレアチニン値(Cr2)が重要であることを明らかにする.
    方法:当センターが平成21年1月13日~同4月13日に酵素法で測定した1,102例(男性699例,女性403例)のCr2と四捨五入後の少数点以下1桁値(Cr1)を検討に用いた.eGFRは2008年日本腎臓学会発表の推算式(男性:194×Cr1.094×年齢-0.287,女性:194×Cr1.094×年齢-0.287×0.739)に年齢とCr2またはCr1を代入して,演算の結果をeGFR(Cr2)またはeGFR(Cr1)とした.CKDのeGFRによるステージ分類も日本腎臓学会の定義に従った.
    成績:(1)男女ともステージ4(eGFR値15~29)とステージ5(eGFR値15未満)は0例であった.(2)eGFR(Cr2)は小数点以下2桁の数字が1~4ならeGFR(Cr1)より低値,5~9ならeGFR(Cr1)より高値であった.(3)各ステージの例数をeGFR(Cr2)/eGFR(Cr1)で示すと,男性のステージ3(eGFR値30~59)は28例/30例,ステージ2(eGFR値60~89)は427例/442例,ステージ1(eGFR値90以上)は244例/227例,女性のステージ3は9例/12例,ステージ2は207例/202例,ステージ1は187例/189例であり,男女いずれもeGFR(Cr2)によるステージ分類とeGFR(Cr1)によるステージ分類は乖離した.(4)Cr1 1.0mg/dLの男性50例中11例はeGFR(Cr2)が60未満,0.7mg/dLの女性51例中60未満は0例であり,健診の基準値(Cr1)単独ではステージ分類ができなかった.
    結論:eGFR(Cr1)は信頼性に欠けるので,Cr2とそれに基づくeGFR(Cr2)は健常者または中等度の腎機能低下者を対象とする健診機関の報告書に重要である.
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