目的:メタボリックシンドローム(MetS)が生活習慣や機能年齢,酸化ストレス度・抗酸化能などの抗加齢医学的指標に及ぼす影響を検討した.
方法:アンチエイジングドックを受診した被験者175名を対象に抗加齢医学的指標として機能年齢-筋年齢:WBI(体重支持指数),骨年齢はDEXA法腰椎骨密度(BMD),ホルモン年齢:IGF-I,DHEA-s/コルチゾール比,血管年齢:加速度指尖脈波計,ホモシステイン,高感度CRP,酸化ストレス度:尿中8-OHdG生成速度,イソプラスタン生成速度,血清LPO,抗酸化能:酸化ストレス予防能力インデックス(OSPPI)など-を測定し,MetS(+)群とMetS(-)群の間の比較統計解析を行った.
結果:MetS(+)群:男性15名(21.4%,67.2±8.1歳),女性7名(8.0%,75.9±11.2歳).MetS(-)群:男性55名(62.9±11.8歳),女性80名(63.8±12.1歳).MetS(+)群で筋年齢が高かった.MetS(+)男性でBMDは12.6%高く(
p=0.009),女性では逆に16.6%低かった(
p<0.001).喫煙など他因子との相関はなかった.MetS(+)男性でDHEA-sが26.8%低かった(
p=0.048).女性で有意にDHEA/コルチゾール比が38.9%低かった(
p=0.013).MetS(+)女性で38.9%ホモシステインが高く(
p=0.010),高感度CRPが130.6%高かった(
p=0.019).8-OHdGはMetS(+)群女性で62.0%の高く(
p=0.010),血清LPOはMetS男性で182.3%高かった(
p=0.028).MetS(+)群でOSPPIが低い傾向があり,女性で61.8%低かった(
p=0.020).
結論:MetSが酸化ストレスを惹起し機能年齢に影響を及ぼす可能性が示唆された.今後MetSをアンチエイジングの視点でとらえドックを推進させることが大切である.
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