背景と目的:肺がん患者と健常人の血漿中アミノ酸濃度を統計解析することによって開発されたアミノインデックス
®がんリスクスクリーニング(AICS(肺))は,近年,肺がんのスクリーニング検査法として実用化されている.今回,肺がん患者を対象に,AICS(肺)と胸部単純X線検査の肺がん検出感度を比較検討した.
方法:肺がん患者234例より採血し,liquid chromatography-mass spectrometry(LC/MS)にて測定した血漿中アミノ酸濃度よりAICS(肺)値を算出し,ランクA,B,C判定を行った.また,胸部単純X線検査(立位正面像)にて腫瘤陰影の検出能を評価した.これらAICS(肺)と胸部単純X線検査の肺がん検出感度を比較した.
結果:ランクC判定においてAICS(肺)は,腫瘍径1.0cm以下の肺がんに対して胸部単純X線検査より有意に高い感度(p<0.05)を示した.特に,腫瘍径が1.5cm以下の腺癌に対しても,AICS(肺)は,胸部単純X線検査よりも有意に高い検出感度(p<0.05)を示した.腫瘍径2.0cm以下の小型肺がんおよび病期ⅠA期の肺がんに関しては,AICS(肺)と胸部単純X線検査は同等の感度を示し,併用による感度の上昇がみられた.
結論:AICS(肺)は,胸部単純X線検査では検出できない腫瘍径の小さな肺がんの検出に有用な簡便なスクリーニング検査であることが示唆された.
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