人間ドック (Ningen Dock)
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30 巻 , 5 号
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巻頭言
総説
  • 福井 敏樹
    2016 年 30 巻 5 号 p. 809-821
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/28
    ジャーナル フリー
     我々日本人の死因の1位はがんであるが,動脈硬化性疾患である心および脳血管病変を合わせると,その割合はがんに匹敵する.そのため人間ドック健診や日常診療の最大の目的はがん対策と動脈硬化対策であるといえるが,どのような検査を動脈硬化対策の基本検査として実施するべきかについてはまだ明確になってはいない.2008年に出版された健診判定ガイドライン改訂版では,動脈硬化健診のあり方についての試案を作成した.その際に,最も意図したことは,人間ドック健診の標準検査として動脈硬化検査を定着させていくことであった.エビデンスがある程度確立されていることに加えて,施設間の機器や測定手技の精度の違い,検査にかかる時間や費用なども考慮に入れ,全国の施設で取り入れ可能な検査であることを重視した.
     動脈硬化対策において実施するべき検査については,自由診療という枠組みが利用できることも考慮しながら,一方で,任意型健診といえどもその大多数が自治体等の補助や企業・会社等の福利厚生のもとで実施されている現実も含めて考える必要もある.
     現在有用であると考えられる検査について,血管機能や形態的変化を調べる検査法を中心に,動脈硬化リスクを評価するバイオマーカー検査もあわせて,最近の動向と我々の施設でのこれまでの検討を含めながら概説する.
原著
  • 泉田 良一, 池田 祐一, 寺田 総一郎, 籠島 智, 鈴木 俊雄, 溝口 勝己, 伊藤 裕之
    2016 年 30 巻 5 号 p. 822-832
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/28
    ジャーナル フリー
    目的:ロコモティブシンドローム(以下,ロコモ)は,少子高齢社会における運動器の障害の予防を一般社会に啓発すべく,日本整形外科学会によって提唱された新概念であるが,被験者が自身の運動器の状態を7項目のロコチェックで判定し,予防のために開眼片脚立ちとスクワットからなるロコモーショントレーニング(以下,ロコトレ)を行うようデザインされている.ただ,ロコチェックの陽性率が50歳代以前では低いこともあり,若年のうちから予防を促すという意味合いでは,やや響きが薄いきらいがある.2014年にその欠点を解消するために,立ち上がりテスト,2ステップテスト,ロコモ25(25項目のアンケート)の3項目からなる新たなロコモ度テストが追加された.しかし,上記テストはまだ発表後日も浅く,正常値の集積も充分ではない.そこで今回,当院人間ドック(マックスライフ)でロコモ度テスト参加希望者を募り,青壮年期のデータを収集するとともに,ロコモ度テストが将来人間ドックにおける運動器健診として採用可能であるかどうか検討を行った.
    方法と結果:ロコモ度テスト参加希望者は20歳から74歳の246名である.2ステップテスト,立ち上がりテストは年齢に従って低下を示したが,立ち上がりテストのほうが,機能低下の進行が顕著であった.
    結論:上記の3つのテストは,試行中特に事故もなく,将来,人間ドックで運動器健診の採用を考える場合に有用な選択肢になると思われた.
  • 東山 聖彦, 山本 浩史, 池田 温子, 山本 麻以, 徳永 俊照, 岡見 次郎, 今村 文生, 中山 富雄
    2016 年 30 巻 5 号 p. 833-840
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/28
    ジャーナル フリー
    背景と目的:肺がん患者と健常人の血漿中アミノ酸濃度を統計解析することによって開発されたアミノインデックス®がんリスクスクリーニング(AICS(肺))は,近年,肺がんのスクリーニング検査法として実用化されている.今回,肺がん患者を対象に,AICS(肺)と胸部単純X線検査の肺がん検出感度を比較検討した.
    方法:肺がん患者234例より採血し,liquid chromatography-mass spectrometry(LC/MS)にて測定した血漿中アミノ酸濃度よりAICS(肺)値を算出し,ランクA,B,C判定を行った.また,胸部単純X線検査(立位正面像)にて腫瘤陰影の検出能を評価した.これらAICS(肺)と胸部単純X線検査の肺がん検出感度を比較した.
    結果:ランクC判定においてAICS(肺)は,腫瘍径1.0cm以下の肺がんに対して胸部単純X線検査より有意に高い感度(p<0.05)を示した.特に,腫瘍径が1.5cm以下の腺癌に対しても,AICS(肺)は,胸部単純X線検査よりも有意に高い検出感度(p<0.05)を示した.腫瘍径2.0cm以下の小型肺がんおよび病期ⅠA期の肺がんに関しては,AICS(肺)と胸部単純X線検査は同等の感度を示し,併用による感度の上昇がみられた.
    結論:AICS(肺)は,胸部単純X線検査では検出できない腫瘍径の小さな肺がんの検出に有用な簡便なスクリーニング検査であることが示唆された.
  • 船津 和夫, 前澤 純子, 秋山 ゆかり, 田幡 恵利子, 山下 毅, 近藤 修二, 小原 啓子, 水野 杏一, 太田 恵介, 廣田 尚久, ...
    2016 年 30 巻 5 号 p. 841-846
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/28
    ジャーナル フリー
    目的:胃内視鏡検査は今後,胃X線検査に代わって任意型ばかりでなく対策型胃がん検診でも広く実施されることが予想される.胃内視鏡検査において,胃粘膜に大量の粘液が付着すると,胃粘膜の観察が十分できなくなり,微小病変の見落としを招く危険がある.プロナーゼの前処置により,有泡性粘液を含む胃粘液が効果的に除去され,検査時間の短縮,見落としのない精度の高い検査が施行可能となり,早期胃がんの発見に有用とされてきた.これまで,プロナーゼの溶解には重曹水が使われ,手技が煩雑であったが,我々は重曹水の代わりにアルカリイオン水を使用した簡便な方法を開発した.
    方法:アルカリイオン水および重曹水でのプロナーゼの安定性を比較検討した.また,胃内視鏡検査が必要となった406例を対象に,プロナーゼの胃粘液除去効果についてアルカリイオン水と重曹水での比較検討を行った.
    結果:アルカリイオン水に溶解したプロナーゼの活性は重曹水と同等であった.胃内視鏡検査においても,アルカリイオン水は重曹水と同等の胃粘液除去効果が認められた.
    結論:重曹水に伴う特異な味がないことから,アルカリイオン水を用いたプロナーゼによる前処置が胃内視鏡検査の精度向上のための簡便な方法として有用と考えられた.
  • 番場 一成, 平安 座依子, 笠井 真由美, 大野 義将, 清水 不二雄, 上村 由紀, 山本 晃, 松浦 恵子, 曽根 博仁, 村山 実
    2016 年 30 巻 5 号 p. 847-850
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/28
    ジャーナル フリー
    目的:尿蛋白(±)症例において,eGFR低値に関連する因子を横断的に検索することを目的とした.
    方法:2008年から2013年の6年間に,新潟縣健康管理協会を受診した20,340名(男性11,948名,女性8,392名,年齢52±11歳)を対象とした.尿蛋白(±)症例におけるeGFR低値と関連する可能性のある因子として,今回は生活習慣病に関わるBMI,腹囲,血圧を取りあ上げ,これら諸因子のeGFR低値との関連について,ロジスティック回帰分析により横断的に検討した.
    結果:すべての項目を含めた分析結果から,尿蛋白とBMIがeGFR低値に対して有意に関連する因子であることが明らかとなった.そこで尿蛋白(±)とBMI≧25とのeGFR低値に対する組み合わせ効果につき検討したところ,尿蛋白(-)かつBMI<25の者に比し,尿蛋白(±)かつBMI≧25の者でeGFR低値に対する性・年齢調整オッズ比は2.04(95% CI 1.44,2.90)であり,BMI高値例において尿蛋白(±)とeGFR低値との関連がより強く認められた.
    結論:尿蛋白(±)におけるBMI高値の共存はeGFR低値を呈する率をより高めた.
  • 和田 真美, 大宮 裕紀子, 久徳 智子, 隠岐 守, 村上 淳, 跡部 優, 岡村 雅雄
    2016 年 30 巻 5 号 p. 851-856
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/28
    ジャーナル フリー
    目的:当施設では開設時より顧客満足度80%以上を目標として,受診者全員にアンケート調査を行っている.待ち時間において満足度が70%前後と目標を達成できていない現状がある.待ち時間対策として,今回新しく検査ごとの待ち人数,待ち時間,各受診者の位置をリアルタイムに把握できるシステムを構築,導入し,その有用性を検討した.
    方法:システムは,NECネッツエスアイ株式会社が当施設の健診方法に沿って独自のものを構築した.ファイルに受診者情報の入力されたICカードを貼り付け,各検査に設置したICタグ読み取り用装置(以下,ICリーダ)上に,ファイルが乗せられると受診者位置がわかり,システム上で位置情報管理を行う.システム導入前後のアンケート結果を比較した.
    結果:受付の進行状況,各検査での混雑状況,待ち時間,各受診者の受診状況を画面上でリアルタイムに把握できるようになり,待ち時間の改善,満足度の向上が得られた.
    結論:今回導入したシステムは,現状の運用を変えることがなく,スムーズに導入でき,良好な結果が得られ,有用と考えられた.今後もデータを活用し,受診者の待ち時間の変化を分析し,さらなる業務の効率化と改善を行い,受診者の待ち時間の満足度向上に努めたい.
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