人間ドック (Ningen Dock)
Online ISSN : 2186-5027
Print ISSN : 1880-1021
ISSN-L : 1880-1021
32 巻 , 5 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
巻頭言
総説
  • 山門 實
    2018 年 32 巻 5 号 p. 713-725
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/28
    ジャーナル フリー
     現代人の栄養課題として,過剰栄養からくるメタボリックシンドローム,生活習慣病の増加や,高齢者の食欲低下,若年女性の過度なダイエットなどに認められる不足栄養などが問題となっている.これらの栄養課題を早期に発見し介入することは,その先にある重篤な疾患,ことに心疾患,脳血管疾患,さらにはロコモティブシンドロームを予防するためにも重要であるが,それを実現するためには,早期にかつ適切にリスクのある者をスクリーニングする必要がある.
     近年,血漿中のアミノ酸が栄養状態や生活習慣病などで変動することが報告されている.この特徴を活かし,複数の血漿中のアミノ酸濃度から多変量解析によって疾患のリスクをスクリーニングする指標式を導出し,その性能を検証する研究も報告されている.本総説では,これらの研究のなかから,現代人の栄養課題である不足栄養と,過剰栄養を起因とした糖尿病の4年以内の発症リスクを予測する「アミノインデックス®生活習慣病リスクスクリーニング」について概説する.
原著
  • 青木 由香里, 後藤 敏和, 尾形 千春, 丹野 寛之, 工藤 久美子, 福島 紀雅
    2018 年 32 巻 5 号 p. 726-732
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/28
    ジャーナル フリー
    目的:山形県は人口当たりの高血圧患者数が全国で最多である.血圧管理には減塩が重要であるが,当県を含む東北地方は従来塩分摂取量が多いことが知られている.当院では平成27年4月より人間ドックの検査項目に塩分摂取量を追加した.人間ドック受診者の塩分摂取量と血圧値との関係を検討した.
    方法:平成27年4月~平成28年3月までの当院人間ドック受診者のうち,利尿薬内服中の39名を除く1,380名(男性1,034名,女性346名,年齢56±11歳)を対象とした.受診時の随時尿から塩分摂取量を推定式に基づき計算し,塩分摂取量と血圧値との関係について,降圧薬を内服していない群(無群),降圧薬内服中の群(有群)に分けて検討した.また,塩分摂取量と肥満の有無・体重・年齢との関係ついても検討した.
    結果:人間ドック受診者全体の平均塩分摂取量は9.03±2.24(男性9.14±2.24,女性8.71±2.23)g/日で厚生労働省が勧める男性8g未満,女性7g未満に該当するのは全体でわずかに26.8(男性29.1,女性19.9)%であった.塩分摂取量と血圧値の関係をみると,無群では塩分摂取量が多くなるに伴い収縮期血圧・拡張期血圧ともに有意に上昇したが,有群では関連を認めなかった.塩分摂取量を無群・有群で比較するとどの年代においても有群で塩分摂取量が多く,体重が大きい程,また肥満者で塩分摂取量も多かった.
    結論:当院の人間ドック受診者のうち,厚労省の推奨値以下の塩分を摂取している割合は4分の1に過ぎなかった.有群は無群に比し,塩分摂取量が多かった.無群では塩分摂取量と血圧値の間に有意な相関が認められ,6g未満に至らない減塩でも降圧に有効である可能性が示唆された.
  • 田伏 洋治, 北村 育子, 佐々木 宗子, 栗林 幸美, 木村 美智子, 花井 佑子, 西川 亜友美, 饗庭 オリエ, 坪井 美加, 土屋 ...
    2018 年 32 巻 5 号 p. 733-741
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/28
    ジャーナル フリー
    目的:アンケート形式による,3年間の宇治武田病院健診センターの満足度調査における満足度の推移,ならびに自由記述意見の分析を行い検討した.
    方法:健診終了後にアンケート用紙へ記入を依頼した人間ドック受診者全員3,392人を対象とした.研究方法は,当院で規定した人間ドック満足度8項目に関しては満足度の推移を,自由記述意見に関しては内容区分と感情区分に分類して検討した.
    結果:既定の項目に関しては,同程度の満足度で3年間推移した.待ち時間の項目以外で,「非常に満足」の比率は30%以上の高い水準で推移し良い結果であった.2015年度では「待ち時間」に関する既定の項目での評価に変化はなかったが,自由記述意見では感情面での評価として,苦情が減少し,お褒め・感謝の数値が有意に増加していることが確認できた.
    結論:自由記述意見の分析により規定の項目における満足度調査ではみえない有意義な結果が導き出された.特に,「待ち時間」における自由記述意見の感情面での変化は,看護師(Ns)の増員による熟練スタッフの定着,それに伴うリーダーNs制度の導入による接遇の改善が関連していると思われた.
  • 佐々木 直子, 榎本 達治, 内山 啓子, 桑原 香里, 森山 優, 中川 良, 中川 一美, 中川 高志
    2018 年 32 巻 5 号 p. 742-747
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/28
    ジャーナル フリー
    目的:人間ドックのデータから喫煙の呼吸機能に及ぼす影響を調査し,禁煙の契機となる指標を見出す.特に,喫煙量と性差について検討する.
    方法:2016年1月~12月に当院の人間ドックを受診した34,383名のうち解析可能な32,544名を対象とした.喫煙歴別に喫煙群,禁煙群,非喫煙群の3群に分け,各群の平均FEV1%,%FEV1,喫煙指数について男女別に比較した.また,FEV1% 70%未満の「閉塞性障害群」の頻度と,「閉塞性障害群」となる喫煙指数の至適カットオフ値を検討した.
    結果:FEV1%は3群間すべてで有意差がみられた.%FEV1は,女性の禁煙群と非喫煙群の間に有意差はなかったが,その他すべてで有意差がみられた.喫煙指数は喫煙群と禁煙群ともに男性の方が女性より有意に高かった.「閉塞性障害群」の喫煙指数の至適カットオフ値は全体11.33 pack years,男性12.13 pack yearsであったが,女性では予測能の高いカットオフ値を見出すことはできなかった.「閉塞性障害群」の頻度は全体1.78%であった.男性の喫煙群4.22%,禁煙群2.66%,非喫煙群1.11%,女性は1.57%,0.68%,0.59%と女性は「閉塞性障害群」の頻度が低かった.
    結論:喫煙指数12 pack years以上の男性喫煙者に対しては,特にCOPDの啓蒙と,積極的な禁煙指導を行うことが重要と考えられた.女性は男性に比べて「閉塞性障害群」の頻度が低かった.これは喫煙指数が男性より低いことや,喫煙が呼吸機能に与える影響が男女で異なる可能性があることが示唆された.
  • 山門 實, 山本 浩史, 山本 麻以, 新美 佑有, 谷 瑞希, 戸田 晶子, 菊池 信矢, 石坂 裕子
    2018 年 32 巻 5 号 p. 748-757
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/28
    ジャーナル フリー
    目的:がん患者と健常人の血漿中アミノ酸濃度を統計解析し,がん罹患の確率を評価するアミノインデックス®がんリスクスクリーニング(AICS®)は,7種のがん検査として実用化されている.本報では,AICS経年変動と経年受診によりランクCに変動した受診者からのがん発見症例について検討した.
    方法:三井記念病院におけるAICS 2回受診者216例(男性115例,女性101例),3回受診者139例(男性81例,女性58例)(平均受診間隔1.0±0.1年)のランク変動と,経年受診によりランクCに変動した受診者からのがん発見事例を検討した.
    結果:経年受診でランクA→C,B→C,C→Cの変動割合は,AICS(肺):0.5%,3.7%,2.8%,AICS(胃):6.9%,5.1%,4.6%,AICS(大腸):6.0%,1.9%,0.9%,AICS(前立腺):4.3%,8.7%,11.3%,AICS(乳腺):2.0%,3.0%,4.0%,AICS(子宮・卵巣):2.3%,1.1%,0%であった.2回受診者中,AICS(胃)がB→Cに変動した受診者から胃がん2例,AICS(乳腺)がC→Cに変動した受診者から乳がん1例,AICS(大腸)がA→Cに変動した受診者からGIST1例が発見された.また3回受診者中,AICS(前立腺)がA→B→Cに変動した受診者から前立腺がん1例,AICS(乳腺)がA→A→Cに変動した受診者から乳がん1例が発見された.がん発見率は1.7%であった.
    結論:AICSが経年的にランクCへ変動する割合は低率であったが,ランクCへの変動から各種のがんが早期に発見されたことは,AICSの経年的受診の有用性を推察させた.
症例報告
  • 末丸 大悟, 石塚 高広, 橋田 哲, 中村 保子, 上原 豊
    2018 年 32 巻 5 号 p. 758-762
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/28
    ジャーナル フリー
     生来健康な54歳女性.先行する感冒様症状はなく,入院10日前より口渇,多飲,多尿,体重減少を自覚し,7日前,他院にて健康診断を受けた.随時血糖532mg/dL,HbA1c 6.6%のため,3日前に他院内科を受診した.空腹時血糖321mg/dL,HbA1c 7.4%,尿中ケトン体(3+)であり,ビルダグリプチン100mgの投与が開始された.入院当日,他院糖尿病専門外来を受診し,随時血糖394mg/dL,pH 7.314,HCO3-17.4mmol/L,劇症1型糖尿病に伴う糖尿病ケトアシドーシス(DKA)の疑いで同日,当院当科紹介受診となった.来院時,随時血糖329mg/dL,HbA1c 7.9 %,血中3-ヒドロキシ酪酸5,378μmol/L,静脈血のpH 7.335,HCO3- 17.4mmol/LとDKAになりつつある状態と考え,インスリン持続静注療法を開始した.抗GAD抗体・IA-2抗体・インスリン自己抗体は陰性,尿中Cペプチド1.6μg/day,グルカゴン負荷試験では,負荷前血清Cペプチド0.1ng/mL,負荷後血清Cペプチド0.2ng/mLであり,劇症1型糖尿病と診断した.本症例より,問診で急激な高血糖症状,高血糖下でHbA1cが低い検査結果に遭遇した際には,必ず劇症1型糖尿病を想起し,早急に専門科へ引き継げるよう意識付けが重要であると警鐘を鳴らしたい.
feedback
Top