目的:一般的に基礎心疾患を有さない心室期外収縮(premature ventricular contraction: PVC)の予後は良好とされているが,頻回のPVCにより心機能低下・心不全を発症する症例が散見される.本検討の目的は当院の健診・人間ドックにてPVCを指摘された受診者の特徴を明らかにすることである.
方法:2010年1月から2018年12月までの9年間に12誘導心電図検査を施行し,単回検査中2回以上のPVCが記録された588名のなかでその後24時間ホルター心電図による精密検査を施行した100名を対象とした.ホルター心電図のPVC総数が5,000回未満(PVC少数群,n=63),以上(PVC多数群,n=37)の2群に分けて比較・検討した.
結果:PVC少数群,PVC多数群の24時間のPVC総数はそれぞれ1,245±1,507(1~4,733),11,931±5,842(5,099~30,671)回であった.PVC2連発,PVC3連発以上の頻度はともにPVC多数群で有意に高かった(PVC2連発:1.3±3.6対62.0±145.8回,p=0.02,PVC3連発以上:0.05±0.21対0.49±1.28回,p=0.04).患者背景では,LDLコレステロール,中性脂肪ともに有意にPVC多数群で高かった(LDL:110.7±25.7対121.9±26.7mg/dL,p=0.04,中性脂肪:81.7±44.2対105.0±59.7mg/dL,p=0.04).
結論:ホルター心電図による精密検査を施行し得た症例の約4割に頻回のPVCが認められ,安静時心電図検査で複数のPVCが認められた症例では定期的な経過観察が望ましいと考えられた.特にPVC多数群ではLDLコレステロール,中性脂肪が高い傾向が認められ,脂質異常を伴う症例では精査を勧めるべきと考えられた.
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