-
柳沢 昭吾, 征矢野 文恵, 黒沢 和雄, 松島 松翠
1992 年 7 巻 1 号 p.
4-7
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
人間ドックと集団健診とを隔年完全実施した90名を検討した結果,両者は検査項目の相異にも拘らずよく経年変化を表現しており,毎年の検診をうける重要性を再評価した。診断する医師は特に前のデータを吟味して年毎の変化を考慮する必要があるし,その際,判定医間に差が少いようにする必要があり,検査方法の違いを明確に且受診者への説明を充分にしなければならない。
抄録全体を表示
-
徳宮 俊信, 小川 良一, 田中 耕太郎, 井上 善英, 戸山 靖一, 佐藤 義夫, 森田 茂, 島田 隆男, 三崎 文夫, 山本 弘之助
1992 年 7 巻 1 号 p.
8-17
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
知識情報処理技術を応用することにより,パソコンをベースにした人間ドック診断支援システムを開発した。問診・理学所見・血液検査・尿検査・便検査などの基礎情報や,胸部写真・心電図・腹部エコー・胃透視・肺機能検査などの診察結果情報などをもとに,パソコン上で自動的に疾患を推論し,診断結果とその結果に対する医師のコメントを作成するシステムである。
抄録全体を表示
-
藁池 千賀子, 岩橋 雅延, 和田 典子, 張 和子, 中村 真理子, 小畑 大吉, 後藤 司
1992 年 7 巻 1 号 p.
18-22
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
当総合健診センター近傍のK社従業員716名に対し,免疫便潜血検査イムノカルト(NEW)2回法に問診を併用し,大腸癌スクリーニングを行った。その結果イムノカルト陽性率6.0%,要精検率10.9%,精検受診率94.9%のもとで,大腸癌4例(0.56%),大腸ポリープ12例(1.68%)等を発見した。そこで今回は,特に便潜血検査の反応様態と発見疾患との関係を中心に検討し,大腸癌スクリーニングとしての2回法の有用性を確認した。
抄録全体を表示
-
三原 修一, 河津 佐和子, 本藤 和子, 森元 栄子, 黒田 圭一郎, 小山 和作, 西 宏子, 日高 えり子, 渡辺 マサ子, 牛島 絹 ...
1992 年 7 巻 1 号 p.
23-27
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
宿泊人間ドックにおける大腸ファイバースコープおよび免疫便潜血検査(OCヘモディア)による大腸癌発見率はそれぞれ0.25%,0.17%で,特に初回受診者を対象とした場合の大腸癌発見率はそれぞれ0.40%,0.32%と高率であった。免疫便潜血検査でも高率に大腸癌発見が期待できるが,大腸ファイバースコープにて発見された大腸早期癌のうち59.5%が便潜血陰性であり,早期癌発見を目的とする人聞ドック検診等においては,大腸ファイバースコープ等の大腸内視鏡検査と免疫便潜血検査の併用が最も効果的な大腸癌スクリーニング法と思われた。
抄録全体を表示
-
吉井 等, 中村 守秀, 柿崎 敏治, 金田 昭二, 鈴木 修, 大川 日出夫, 桐生 恭好
1992 年 7 巻 1 号 p.
28-33
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
便潜血陽性者の精検受診率の低下は,忙しくて時間が作れないと言う事が主であり注腸X線造影検査が避けられていると言う訳ではなかった。さらに便潜血一群からも多数の大腸疾患が発見されている事から,当院ドックに於いては受診者全てに注腸を行う事が適切であると考えた。
抄録全体を表示
-
城間 勉, 吉住 光博, 柴田 昌, 築地 政弘, 諸戸 敬子, 堀向 文憲, 宮岡 正明, 斉藤 利彦
1992 年 7 巻 1 号 p.
34-37
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
大腸癌スクリーニングには,いくつかの問題点がある。その一つの免疫学的便潜血反応陽性者に対する事後指導があげられる。我々は,当診療所での昭和63年,平成1年の陽性者に対する精査受診率の低さを指摘し,精査受診率を向上させるべき手段を講じた。その結果平成2年度の免疫学的便潜血反応施行者数は,9,101名で陽性率は,4.1%370名,精査受診率は,49.7%184名で昭和63年7.0%,平成1年12.3%を上回った。
抄録全体を表示
-
高田 憲次, 藤井 淳, 今井 忠朗, 尾沢 正行, 村岡 松生, 清原 政重, 横野 秀樹, 大部 誠, 鈴木 達夫
1992 年 7 巻 1 号 p.
38-41
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
当院の人間ドックを受診した者は858名で甲状腺超音波検査の有所見者は,54名(6.29%)であった。甲状腺超音波検査により悪性と思われる腫瘍は,2名(0.23%)発見され病理学的診断で2名とも濾胞腺癌と診断された。今後早期発見の為にさらに検診を充実させる必要があると考えた。
抄録全体を表示
-
桑島 章, 長基 雅司, 宮本 明, 大野 仁, 岩崎 政明, 田村 政紀, 村上 省吾, 平木 尚司, 工藤 勲彦, 岡崎 睦也, 関口 ...
1992 年 7 巻 1 号 p.
42-46
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
6年間の超音波検査で37例の肝細胞癌を発見した。全例でGOTまたはZTTが高値であったが,α-fetoproteinの陽性率は32例中 22例にとどまった。腫瘍径の平均値は32mmであり,20mm未満の最小肝癌が5例あった。37例中手術を受けたのは18例で5割に満たなかった。肝血管腫との鑑別に多大な労力を要したが,手術可能例の割合を増やすためには今後さらに超音波検査時の努力が必要と考えられる。
抄録全体を表示
-
吉永 英世, 櫻井 昇, 塩澤 瞭一
1992 年 7 巻 1 号 p.
47-49
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
総合健診の受診者延べ32,458名(初回受診者は22,593名)について,甲状腺疾患のスクリーニング結果を報告した。甲状腺疾患の発見率は0.96%(初回受診者は1.13%)であった。診察は多数の甲状腺腫大および結節の症例(甲状腺癌25例を含む)を検出した。また高感度TSH測定法の導入によって,甲状腺機能進症および低下症症例の発見率を高めることができた。
抄録全体を表示
-
大類 方巳, 吉田 佳織, 原 美佳子, 久内 徹, 青木 茂, 川野 正樹, 前原 操, 菅谷 仁, 原田 尚
1992 年 7 巻 1 号 p.
50-54
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
人間ドックの腹部超音波検査(US)により脂肪肝と診断した281例中,まだら脂肪肝と考えられたのは17例(6.0%)であった。その内訳は男性16例,女性1例で,平均年齢47.5±5.3歳である。まだら脂肪肝のタイプ別分類では,限局性低肝脂肪化(好発部位;門脈左枝水平部前方,胆嚢床近傍,外側上区など)12例(70.6%),区域性地図状肝脂肪化5例(29.4%)であった。当科では全例を関係診療科に紹介し,症例に応じた精査あるいは定期的な経過観察を依頼している。
抄録全体を表示
-
富永 忠弘, 横道 弘直, 加藤 俊一, 土川 研也
1992 年 7 巻 1 号 p.
55-60
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
常識的治療下にある本態性高血圧臨床の長期追跡調査の成績から,人間ドックでも捕捉している近似基礎血圧と生存率との関係を検討した。予後規定因子としての有意性は収縮期血圧にのみ認められた。しかしその収縮期血圧についてみても,臓器障害の有無により生存率に大差を生じることが認められた。ドックの血圧指導でも,血圧そのものよりは入手している脳・心・腎の高血圧性臓器障害により比重を置くのが妥当と考える。
抄録全体を表示
-
石井 秀和, 金井 君江, 中村 保子, 飯塚 春太郎, 片貝 重之, 大屋 賢治, 神保 弘美
1992 年 7 巻 1 号 p.
61-65
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
動脈硬化はリボ蛋白異常と深く関連し,特にTG richリボ蛋白由来のRemnant particlesの役割が重要視されつつある。諸種の動脈硬化性疾患を合併するドック受診者に対して,Remnant like particles(RLP)の測定を試みた。 RLP(ch)は加齢によって高値を示し,特に女性では50代をこえると上昇が著しいこと,T-ch,TGとは正の相関を,HDL-chとは負の相関を示すこと,女性ではBMI及びウエスト・ヒップ比と相関すること等の結果を得た。
抄録全体を表示
-
三島 協二, 大荷 満生, 馬場 賢哉, 山村 尚子, 水川 真二郎, 松尾 龍一, 秦 葭哉, 山本 実, 今井 知一, 大貫 仁士, 徳 ...
1992 年 7 巻 1 号 p.
66-68
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
人間ドック受診者98名を対象に,動脈硬化の新しい危険因子と考えられている血漿Lp(a)と他の動脈硬化性疾患の危険因子との関係につき検討した。血漿Lp(a)濃度30mg/dl以上の高値例は10.2%存在し,高血圧,耐糖能異常より高頻度であった。さらに,Lp(a)高値群は,他の危険因子を種類によって20~40%合併していた。危険因子は複数合併すると動脈硬化の発症や進展が相乗的に加速することが知られており,動脈硬化性疾患の予防の立場からドック受診者の血漿Lp(a)を測定し,Lp(a)高値例ではとくに厳重な生活指導をすることが必要と考えられた。しかし人間ドックに血漿Lp(a)の測定を導入するには1)測定時間が長い,2)ELISA法による血漿Lp(a)の測定が費用を要するなどの問題点があり,今後比濁法など簡単でかつ大量処理が可能な測定法の開発が望まれた。
抄録全体を表示
-
鹿島田 直史, 石川 哲哉, 須澤 満, 一ノ瀬 清子, 谷口 正, 玉置 昭英, 笹森 典雄, 小野 丞二
1992 年 7 巻 1 号 p.
69-73
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
人間ドック受診者191名につき,アルミステップと同時撮影された第2中手骨X-Pにより骨減少度を解析・評価するMD法の発展型=CXD法についてを検討した。CXD装置の信頼性は,各測定値の変動係数0.2~1.5%と高く,骨減少発生頻度は,男女とも約20%だった。正常・骨減少群の比較では,骨減少群で中性脂肪,ALPが高かった。逆に有意差検査項目で正常値群・異常値群を比べると中性脂肪でMD指標の差があった。
抄録全体を表示
-
富沢 昌弘, 蔵本 裕一, 東 義孝, 井上 幹夫, 富沢 青子, 松本 桂子
1992 年 7 巻 1 号 p.
74-77
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
体脂肪分布の評価を行う方法として我々は超音波検査を用いてUltrasonic Viceral Fat Indexを考案した。これを用いて人間ドックを受診した肥満者を対象に体脂肪分布と脂肪肝,血中脂質,耐糖能を比較検討した。内臓脂肪が増加した肥満者に脂肪肝や高中性脂肪血症が多い事が明らかにされ,中性脂肪,脂肪肝,内臓脂肪の関連が深いことが示唆された。しかし,今回の検討において動脈硬化指数,耐糖能異常との関連性は認められず,対象に軽度肥満者が多かったことが一因と考えられた。今後は体脂肪量・体脂肪分布を同時に検討する必要があると思われた。
抄録全体を表示
-
小関 忠尚, 中川 明子, 嶺尾 徹, 宮尾 賢爾, 岡嶋 泰
1992 年 7 巻 1 号 p.
78-85
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
当院では昨年11月から,従来使用していた肥満判定のための判定表(昭和46年,厚生省)を肥満とやせの判定表(昭和61年,厚生省)に替えて半自動判定ロジックに組み込み,栄研式皮脂厚計による皮脂厚値を参考にして,受診者の肥満を判定しているので,その使用経験を報告した。
抄録全体を表示
-
中山 拓郎, 安岡 恒
1992 年 7 巻 1 号 p.
86-91
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
体重の変化が血清脂質に与える効果を40歳以上65歳未満,アルコールは58グラム以下,喫煙は20本以下で高血圧症,糖尿病,肝疾患のない男性で検討した。CHO,TG,HDLは体格指数と有為に相関し,体格指数が1kg/m
2 増加するとCHOは2.4mg/dl,TGは9.4mg/増加した。逆にHDLは1.4mg/dl減少した。2回以上受診した402人で体格指数の変動率とCHO,TGの変動率は有為に相関し,体格指数が1%減少するとCHOは0.8%,TGは2.6%減少した。
抄録全体を表示
-
西村 伸治, 丁 聖民, 東 あかね, 中澤 敦子, 荒川 昌昭
1992 年 7 巻 1 号 p.
92-96
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
縦隔腫瘍は過去の全国集計の推移などから著明な増加が明らかで,今やまれな疾患ではない。これには多種多様な疾患が含まれるが,胸腺腫瘍,神経性腫瘍,奇形腫が上位3位を占め,この3者で全縦隔腫瘍の約2/3である。悪性頻度は30%で,軽視することはできない。自覚症の発現は,腫瘍の良悪により差がある。無症状の場合は集検や偶然の機会に発見される。診断は1枚の胸部X線正面像から始まるので,慎重な読影が求められる。
抄録全体を表示
-
坂井 朋夫, 安掛 武一, 藤田 良三, 梅田 和夫, 佐藤 茂範, 田渕 崇文, 相馬 哲夫
1992 年 7 巻 1 号 p.
97-101
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
早期乳癌の5年生存率は非常に良好であるため,早期発見・治療が重要であるが,日本人女性の乳房は,脂肪組織が少なく,乳腺組織に富んでおり,X線マンモグラフィー上もdense breastと呼ばれるスリガラス状の陰影を呈すことが多いため,乳癌の早期発見の大きなさまたげとなっている。多くの施設でFCRが利用されているが,FCRマンモグラフィー標準デイスプレイパラメーターではコントラストがつきにくく,特に腫瘤型病変の描出能が弱い。そこで,当センターではオリジナルパラメーターを設定し,乳腺に重なる部分での腫瘤型病変の描出能を上げ,乳癌の診断能を広げた。
抄録全体を表示
-
片山 修, 市岡 四象, 本田 宏
1992 年 7 巻 1 号 p.
102-105
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
1989年7月開院同9月より人間ドックを行っている。総受診者数は1991年4月までの20カ月で延べ約3000人であるが,表在型食道癌を4例(0.1%)経験した。全例57歳以上の男性で,食道癌に起因すると思われる症状は皆無であった。既往歴では十二指腸潰瘍が多く,smoking indexは平均643と高かった。全例一次的ないし二次的に電子スコープを主とした内視鏡検査で発見され,X線検査で異常を指摘できたものはなかった。内視鏡分類上,O-IIa1例,O-IIb1例,O-IIc2例で,1例は他院で,他はすべて当院で手術が施行された。深達度はep3例,mm1例で,発見に用いた内視鏡機種は,ファイバースコープが1例,他はすべて電子スコープであった。症例4では電子スコープにデジタル内視鏡画像処理装置を用いた帯域強調処理を併用しており,画像処理を加えた電子スコープを用いた内視鏡検査が,本症の発見率の向上につながることが示唆された。
抄録全体を表示
-
大塚 洋, 和田 とも子, 加藤 幸久, 得平 卓彦, 石川 範子, 尾形 紀子, 鈴木 正巳, 古田 弘
1992 年 7 巻 1 号 p.
106-108
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
成人病対策としての,呼吸・循環器系能力を把握する最大酸素摂取量測定は今後益々重要視される。しかし,このデータを下に運動処方を作成し,指導する上で,望ましい運動強度,頻度,種目が詳細になると,むしろ指導内容が理解できないという弊害がみられる。本研究では,単に運動習慣の有無が酸大酸素摂取量との相関が高いという知見を得て,今後の指導に際しては,運動習慣をつけさせる教育が最も処方上有意義であると解釈した。
抄録全体を表示
-
春日井 久仁, 宇野 基子, 林 美佐子
1992 年 7 巻 1 号 p.
109-114
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
人間ドックにおいては,多くの受診者の日常の食品摂取内容を短時間に的確にとらえて栄養判定を行ない,その結果を受診者にわかりやすく報告することが大切である。当院では,コンピューターによるマークカード方式の栄養計算ソフトを,東芝医用システム(株)と共に開発し,受診者数の増加に対応することができた。また,コンピューターの統計処理により検査数値と食品摂取の関係を把握し,栄養指導に役立てることができた。
抄録全体を表示
-
伊藤 健次郎, 鳴戸 真美子, 菅田 浩子, 小窪 桂子, 日カ久保 利昭, 松本 弘幸, 野呂 光子, 永倉 由美, 初芝 澄雄, 吉川 ...
1992 年 7 巻 1 号 p.
115-120
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
コロンブスの時代から世界に蔓延したとの噂さをもつ梅毒は,総合健診においては,潜伏梅毒の形で姿を現わし,その治療要否・治癒の判定は困難な場合が多い。 そこで,健診受診者における梅毒血清反応陽性者について15年間の追跡調査を行い,治癒判定の根拠を検討した。追跡症例は無治療24例,既治療43例,治療60例,早期潜伏梅毒15例の計142例である。 早期潜伏梅毒では治療後3年以内に低抗体価に達して安定,治療例では失張り抗体価の高いものは3~4年で低抗体価に安定した。更に既治療では中等度以下の抗体価のまま安定し,無治療例は低抗体価のまつで安定していた。 治療要否の決定は,未治療で抗体価中等度以上と考えてよいようであるが,感染時期の把握に努め,抗体価の判断に資すべきである。
抄録全体を表示
-
塩見 知恵, 牧田 典子, 井上 武紀, 矢切 良穂, 塩飽 春典, 林田 芳忠
1992 年 7 巻 1 号 p.
121-126
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
人間ドック受診者の生化学検査値を性別,年代別に検討した。この値をもとにしてドック受診者の検査値の正常範囲(健常範囲)を男女別に年代毎に算出した。加齢に伴う検査値の変化は,従来報告されているように,女性でALP,TCが50代以上で急に増加し,男女ともA/G比,血清アルブミンが年代と共に低下した。ドック受診者のデータから求めた健常範囲値を当院の正常値と比較したが,50歳代以上のLDH,TCは男女とも正常値を越えて分布し,TGは男性で全年代で高値を示した。また,女性の30,40歳代のALP値は正常値の範囲内でもさらに低く狭い範囲に分布した。これらの事実はドック受診者の指導のさい考慮すべきであると考えた。
抄録全体を表示
-
日野原 茂雄, 関谷 清美, 松沢 ミン, 高橋 為生, 上村 等, 滝脇 収二
1992 年 7 巻 1 号 p.
127-133
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
1980年以降10年間に自動化総合健診を受診して,1年以内に東海大学病院に入院した健診者を見直した。入院率は年々減少しているが,若年者の癌による入院の増加傾向と,高年者の入院疾患の多様化が認められた。最近における主要な癌は,男性では胃,大腸,肺,腎癌などであり,女性では乳房,子宮,大腸,胃癌などとなっていた。
抄録全体を表示
-
大野 清美, 大庭 純子, 増田 千春, 森河 裕子, 西条 旨子, 千間 正美, 中川 秀昭
1992 年 7 巻 1 号 p.
134-136
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
人間ドックを受検し,要治療・要精密検査と診断された人達の治療状況を追跡調査した。悪性化の心配のある消化管ポリープや自覚症状のある上部消化管炎・潰瘍の治療率は高かった。当院では,全例に胃カメラ・S状結腸鏡を行い,検査異常例では,精密検査の予約をしたり内服薬を処方している影響もある。しかし,自覚症状のない糖尿病や高血圧のような成人病では,治療率は低く,より積極的な事後指導が必要であると考えられた。
抄録全体を表示
-
久徳 均, 堀口 比呂志, 吉川 博通
1992 年 7 巻 1 号 p.
137-143
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
「健康度」の指標として,人間ドック10年問の完全継続受診者の結果より重回帰分析にて算出された「老化度」を使用し,その経年推移と,日常生活習慣との関係を検討した。 10年間の日常生活習慣には,ほとんど変化は認められなかったが,適度の運動をする人,コーヒーは飲まない人,油料理は少なく,肉類に片寄らずバランスよく食品を摂る人の群が老化度は低く算定された。
抄録全体を表示
-
鈴木 豊明
1992 年 7 巻 1 号 p.
144-148
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
癌検診,受診後の医療費の二点から人間ドックに対する経済的評価を試みた。 一人当たりの癌患者発見に要する費用,各臓器癌を個々に集検した場合との比較,井川の医学的判断学の手法に準じた経済性の検討を行なった。人間ドック受診者の救命率から死亡損失額を仮に3,000万円とすると人間ドック受診は経済的に採算が取れる。 受診群では非受診群に比べ推定医療費の削減を認めた。人間ドックでは金銭で換算できぬメリットや複雑,多岐の問題が絡み,これらを総合した多角的視野での経済的評価が必要である。
抄録全体を表示
-
野末 法子, 高堂 喜美子, 高山 明子, 石川 忠夫
1992 年 7 巻 1 号 p.
149-151
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
人間ドックにおける眼科検診は,成人病の早期発見を目的として行われて来たが,今回私達の眼科疾患における検討では,網膜裂孔,網膜剥離などの光凝固術を必要とする眼科疾患が多いことが分かった。さらにこれらの受検者に早期に光凝固術を施行し疾患の進行を予防することが出来た。
抄録全体を表示
-
折津 政江, 生島 壮一郎, 小松 淳子, 中本 弘, 山本 亮二, 村上 正人, 桂 戴作
1992 年 7 巻 1 号 p.
152-156
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
人間ドック受診者を対象に,ストレスチェックリスト(以下SCL)と既存の心理テストとの相関を調べ,その有用性を検討した。CMIで神経症傾向が増大するに従いSCL得点は高くなり,SDS,KMIと良好な相関関係を認めた。SCLは自律神経失調症状を中心とした30問から成る問診表であるが,簡便に実施できることからストレスチェックの第一次スクリーニング法として有用であると考えられた。
抄録全体を表示
-
大類 方巳, 吉田 佳織, 手塚 勇人, 室久 俊光, 前原 操, 菅谷 仁, 原 美佳子, 久内 徹, 湯村 和博, 吉川 守也, 原田 ...
1992 年 7 巻 1 号 p.
157-161
発行日: 1992/07/20
公開日: 2012/08/27
ジャーナル
フリー
人間ドック受診の666名中,C型肝炎ウイルス(HCV)抗体(C1OO-3抗体,ELISA法)陽性は19例(2.9%)であった。同抗体陽性の19例中,トランスアミナーゼ活性上昇は12例(63.2%)で,うち肝生検しえた4例全例が慢性活動性肝炎(CAH)であった。残りの7例(36.8%)は同活性が正常域であったが,肝生検施行の1例はCAHで,同症例は定期的な経過観察中,急性増悪をきたした。以上の成績より,人間ドックにおけるHCV抗体検索の有用性が示唆された。
抄録全体を表示