子どもが使いやすい食器・食具に示唆を得ることを目的として,児童と大人がスプーンでカレーライスを食べる場面を観察し,スプーン操作を分析した.観察対象者は児童(小学1〜3 年生)と大人(20 歳代大学生)各16 名で,全がけカレー(白飯にソースを全面的にかけたもの)と盛り分けカレー(白飯とソースを食器に半分ずつ盛り付けたもの)を食べてもらった.児童はスプーンで一回すくって口に入れるという単純な操作が多いため,カレーライスが食器上にバラバラと残ることが多かった.スプーンで食べ物をすくい上げる際には食べ物を沿わせる立面を必要とするが,児童の場合,食器上にカレーライス(白飯)がこんもりとした形を保ったまま残らないため,白飯を立面として利用できず,食器のフチを利用することが多かった.これらより子ども用の食器のデザインにおいては食器の折り返し(フチ)に特に配慮が必要であることが示唆された.