健康志向の高まりや家事の時短化などで,具だくさんのスープ(食べるスープ)の需要が高まる中,こうしたスープに適したスプーンが少ないことから,スープと具材を同時に食べるための新しいスプーンの開発を,人間中心設計のプロセスをもとに行った.まず,喫食動作を観察する動作観察調査を行い,具だくさんのスープの食べ方の特徴を把握し,そこから「美味しく食べられるスープスプーンの要件」を定義した.そして,これらの要件を満たす試作品3案を金属造形で作成し,従来品を加えた4点で30~50歳代の女性10名に評価してもらった.評価が良かった2種類に絞って製品版を作成し,実用場面としてカフェの来店客63名に確認評価を行った.結果は,すくう量の好み(多め,少なめ)によって評価が分かれた.そこで,どちらの好みにも合うよう両タイプを商品化することとした.