NIRAオピニオンペーパー
Online ISSN : 2436-2212
14 巻
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  • 財政健全化に向けた具体策はここにある
    土居 丈朗, 鶴 光太郎, 井伊 雅子, 小塩 隆士, 西沢 和彦, 柳川 範之
    2015 年 14 巻 p. 1-4
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/07/12
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    内閣府の試算によれば、2020年度の基礎的財政収支黒字化目標を実現するための要対応額は9.4兆円程度に上る(経済再生ケース)。経済成長だけでは財政健全化は実現できないことは明らかだ。金利が成長率よりも高いという堅実な想定の下、まずは、財政健全化という「長い道のり」の「一里塚」である基礎的財政収支黒字化という目標を堅持することが重要である。われわれの試算によれば、医療・介護・年金の各分野における個別具体的な改革策の実行により公費ベースで基礎的財政収支赤字を 3.4兆円~5.5兆円程度削減することが可能である。なお不足する削減額については、例えば、消費税率 2%前後の引き上げが必要となる。上記の社会保障支出削減と消費税率引上げの組み合わせはあくまで例示に過ぎないが、社会保障支出削減や消費税率引上げに反対するのであれば、他の具体的な支出削減あるいは増税項目や規模を明示することが責任ある議論を展開する上で不可欠である。もっとも、これらの社会保障改革は財政健全化の目的のためだけに行われるべきものではない。社会保障支出の過剰な支出の削減や効率化によって、逆進性の強い社会保険料負担の軽減を通じて経済成長や国民生活の質の向上にもつながることを忘れてはならない。
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