NIRAオピニオンペーパー
Online ISSN : 2436-2212
24 巻
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  • 政労使協議という実験
    水島 治郎, 谷口 将紀, 牛尾 治朗
    2016 年 24 巻 p. 1-6
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/06/22
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    グローバル化と脱工業化という未曽有の経済社会構造の変革期にあって、先進各国は少子高齢化・財政赤字・福祉国家改革といった新たな課題に直面しつつも、ある時は大胆に、ある時は慎重に、課題を解決するための方法を提示し、実現を試みてきた。そのさい、近年のヨーロッパ諸国でしばしば採られている手法が、政労使3者協議をはじめとするコーポラティズム的解決方法である。社会の多様な利益・集団の知恵を活かし、対決ではなく合意によって隘路を突破しようという方法は、むしろ政策イノベーションの発火点として機能する可能性を秘めている。安倍政権のもとでは、政労使会議の場が設けられ、賃上げを通じて経済の好循環を支えることが目指されている。この政労使会議が、ヨーロッパにおいて発達したコーポラティズムを1つのモデルとして導入されたことは容易に想像できるが、現実には政府による要請が先行しており、労使の声を適切に吸い上げ、いわば「市民社会の知恵」を活かす回路として機能しているとはいえない。労使をはじめ社会各層に開かれたコーポラティズムの手法を活かすことで、現代的課題に対応できる新たなガバナンスが可能となるのではないだろうか。
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