西日本皮膚科
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35 巻, 4 号
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図説
ラウンドテーブル ディスカッション―腫瘍の化学療法にかんする基礎的諸問題―
―基礎から臨床へ―
  • 武田 克之
    1973 年 35 巻 4 号 p. 401-402
    発行日: 1973/08/01
    公開日: 2012/03/24
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  • 藤井 節郎, 塩坂 孝彦
    1973 年 35 巻 4 号 p. 403-411
    発行日: 1973/08/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    癌細胞が無制限に増殖する機構を明らかにするためDNA代謝の面から研究を進めた。ピリミジン代謝にかんし癌細胞(吉田肉腫)はde novo経路よりむしろsalvage経路の方の活性が高いのにたいして分裂の盛んな正常組織である再生肝では両方の経路の活性が高かつた。しかしこのような現象は癌細胞に特有なことではなく正常組織である骨髄細胞でもde novoよりsalvage経路の方が盛んであることがわかつた。癌細胞に特有な現象はsalvage経路の酵素(チミジンキナーゼ)にみられた。この酵素は癌細胞では電気泳動またはDEAE celluloseでも2つの画分に分けられるが正常組織ではいずれの組織でも1つの画分しかみいだされない。吉田肉腫からこの酵素の2種類の画分(peak I, peak II)を精製しpeak Iを約1470倍にpeak IIを約25倍に精製した。これらの精製酵素についてその性質を比較したところ分子量,チジンにたいするKmの間に差がみられたがATPにたいするKm,至適pH,リン酸供与体および受容体また各種阻害物質の影響などには差はみられなかつた。またdUMP kinaseの活性にも癌を正常組織の間に差がみられた。この酵素はdUMPをdUDPにリン酸化する酵素であるが正常組織では非常に高値を示すが癌細胞ではほとんどその活性はみられなかつた。また種々のDNA合成にかんする酵素が細胞内で膜に結合し機能的ユニットとして存在するのではないかと思われる結果をえられわれわれはこれを「DNA合成セット」と呼びこのセットの中に癌と正常組織の間の相違が存在するのではないかと考え検策をすすめている。
  • 佐川 禎昭
    1973 年 35 巻 4 号 p. 412-417
    発行日: 1973/08/01
    公開日: 2012/03/24
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    DNA合成とthymidine kinase活性の相関関係の有無を,移植癌であるラットのWalker肉腫に60Coを照射し,自然発生癌であるメチルコラントレン誘発腫瘤マウスにBLMを投与して,両者の平衡関係を確認した。また種々人癌組織の活性値を調べ,比活性に大きな差異があることを知つた。そこで比較的長期にわたつて臨床経過を観察しえた症例についてthymidine kinase活性の変動を追求し,臨床経過と明らかな平衡関係を認めた。
  • 藤田 浩
    1973 年 35 巻 4 号 p. 418-425
    発行日: 1973/08/01
    公開日: 2012/03/24
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    各種の抗がん剤の血中濃度,組織内濃度,排泄,不活性化をその共通のpatternから4群に分類してのべた。
    1) Adriamycin,daunomycin,acetyl kidamycin,actinomycin D,chromomycin A3はきわめて低値でreboundする血中濃度,高値で持続する組織内濃度,胆汁より排泄,組織とくにDNAにたいする強い吸着を示す。
    2) Bleomycin,neocarzinostatinは高い値の血中濃度,皮膚,肺への高濃度薬剤分布(NCSはこの外に胃,膵への高値分布)尿からの高い回収率,SH物質との関連性,肝,腎脾での中等度の不活性化,皮膚,肺での弱い不活性化を示す。
    3) Mitomycin Cは比較的高値ながら短時間の血中濃度,肺,脾,腎によるきわめて強い嫌気的不活性化を示す。
    4) 5FUは短時間の血中濃度, FT-307は血中に長時間留り,除々に主活性物質として5FUを放出する。組織内分布,代謝のpatternは両剤とも同様である。
    以上の結果から,作用機作の類似した薬剤は同様の生体内動態を示すことが判明した。
  • ―とくにBleomycinの腫瘍別効果差の機序および副作用制禦について―
    三島 豊, 松中 成浩
    1973 年 35 巻 4 号 p. 426-434
    発行日: 1973/08/01
    公開日: 2012/03/24
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    現今の抗癌剤のうちbleomycin(BLM)は他臓器に比し皮膚腫瘍にもつとも高い特異的集積能を示し,効果がもつともいちじるしいが,しかし有棘細胞癌に比したとえば基底細胞上皮腫では前著ほど全身投与は有効でない。この原因としてBLMは各種腫瘍およば臓器により種々異なる程度に不活性化され,その抗腫瘍効果は本剤のchemical concentrationのassay値よりも,活性型BLMの局所濃度にはぼ平行する事をみいだした。またかかる不活性化能の高い組織ほど還元型glutathione (GSH)の固有濃度も高いことをみいだした。BLMにたいしGSHはin vitroおよびin vivoにおいても不活性化能を有するが,各臓器間に作用パターンの差がある。BLM投与数時間後にGSH投与すれば, BLMの皮膚癌への効果減弱を避けながら,一方肺に遅延性集積をきたしているBLMの不活化に有効に作用し,肺線維症の防止に設立つ知見をえた。また癌細胞の崩壊壊死に関与するlysosome膜をlabilizeするlipoprotein lipase活性がヒト悪性腫瘍組織内で,dextran sulfateの投与で明かに亢進するのをみいだした。
症例
  • 安川 典宏, 安田 勝, 占部 治邦
    1973 年 35 巻 4 号 p. 435-441
    発行日: 1973/08/01
    公開日: 2012/03/24
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    31才女性において,第2回の妊娠中に増殖性天疱瘡を発症し,分娩を契期として尋常天疱瘡へと増悪移行し,その分娩児に生下時に尋常天疱瘡と考えられる水疱形成および口腔病変を認めたきわめてまれな症例を報告しあわせて若干の文献的考察を加えた。
  • 須貝 哲郎, 東 順子, 辻 卓夫
    1973 年 35 巻 4 号 p. 442-448
    発行日: 1973/08/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    40才,男子。学令期から,暗紅色丘疹が全身にわたり出現増加してきた。12才時に両手足の疼痛,関節痛を生じ,リウマチ性関節炎として治療をうけた。思春期期から蛋白尿を認め,慢性腎炎としてずつと治療をうけている。 35才時,日本脳炎の診断で入院加療以来,四肢の知覚異常が増強。母親は53才時死亡,同胞4人(男3,女1)の3番目にあたり,他の家族員,親戚に同症はない。初診時,暗紅色丘疹が口唇紅,肘膝部,外陰部,殿部,側腹,大腿内側および肢端に密集,舌背面に紅色丘疹が密集してみられる。尿蛋白170mg/dl,沈渣にmulberry細胞を認め,眼底静脈の拡張蛇行があり,ソーセージ様の膨隆を示す部分もみいだされた。皮膚は乾燥性で,ほとんど発汗をみず,顔面手荷は浮腫状,左下肢に静脈瘤あり。心電図は心筋障害の存在を示したが,指骨レ線像は正常である。皮疹の組織では,血管に脂質沈着を認め,電顕的に好オスミウム性顆粒が血管内皮細胞にみられた。白血球中α-galactosidase活性は微弱に存した。
研究
  • 名嘉真 武男, 皆見 紀久男
    1973 年 35 巻 4 号 p. 449-454
    発行日: 1973/08/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    最近における乳児カンジダ症の増加には異常なものがあり,いろいろの推測がなされている。それにはまず副腎皮質ホルモン剤の安易な使用,暖冬,抗生物質の乱用などが指摘されている。われわれの調査ではさらに乳児下痢症の既往のある患者が比敏的多く,さらに産院あるいは未熟児収容病棟の普及とともに産院における多発例が増加してきた点から感染源調査したところ乳児の浴槽·浴水が院内における交叉感染の源であることが判明し,感染予防として抗カンジダ効果の高い塩化ベンザルコニウムによる浴槽の消毒が有効であつた。なお乳児カンジダ症では丘疹型あるいは寄生菌斑型と丘疹型の混合型が多く見られ,乳児カンジダ症の91%に口腔カンジダ陽性で口腔カンジダはまた乳児カンジダ症の発生源として大きな意義のあることがわかつた。乳児カンジダ症は抗力ンジダ剤によって容易に治癒するが,ほかの一般外用薬では難治であることを報告した。分離菌株はCandida albicans96,C. tropicalis2の計98株であつた。
  • 麻上 千鳥, 藤田 英輔
    1973 年 35 巻 4 号 p. 455-468
    発行日: 1973/08/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    8才∼56才におよぶ正常人,男女の前腕,背部,胸部,膝蓋,膝窩,下腿および鼻部からえられた生検皮膚について真皮給合織中の酸性ムコ多糖を微細構造的に検討し以下の結果をえた。
    1)われわれが限局性粘液水腫中で認めた酸性ムコ多糖の3種の構造中,F構造は,膝蓋部以外のすべての観察部位において普遍的に認められた。
    2)S構造の中心顆粒に類似した類円形顆粒は少数認められたが,典型的なS構造はいずれの部位においてもみいだされなかつた。
    3)B構造は,すべての観察部位,とくに前腕,大腿および鼻部において豊富に認められた。構造的にも限局性粘液水腫皮疹中で認められたものとまつたく同一であつた。
    4)タンニン酸添加固定法(水平法)では,F構造がcollagen fibril間やcollagen fiberの周囲において,非添加の場合に比べいつそう豊富に認められた。しかも,それらの多くは特異なコンペ糖様の凝集像を呈していた。
    5)牛睾丸ヒアルロニダーゼ消化実験では, F構造およびB構造の各一部が不完全ではあるが消化を受ける所見を示した。
  • ―とくにピマリシン軟膏基剤による貼布試験を中心として―
    水野 勝, 有本 忠典
    1973 年 35 巻 4 号 p. 469-471
    発行日: 1973/08/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    皮膚カンジダ症が最近増加し,昭和47年県立広島病院皮膚科外来患者のうち皮膚カンジダ症は97例で3%にあたり,乳児のカンジダ症の比率が増加した。ピマフシン軟膏基剤,ピマリシン2%,白色ワセリンにて健康成人76名に貼布試験をおこない, positive reactionをみたものは48時間後ピマリシン2%による2名で,そのほかはすべてnegativeであつた。26例のカンジダ症を有する乳児に同様の貼布試験をおこないpositive reactionを48,72時間後に,P軟膏基剤で1例,ピマリシン2%で2例にみとめ,72時間後にはピマリシン2%で2例にみとめた。現在のところピマフシン軟膏による刺激症状はほとんど一次刺激によるものと思われるが,将来allergicな症例も発生が予想される。
  • ―密封包帯法によるFlumethasone Pivalate CreamとFluocinolone Acetonide Creamとの同一症例における比較―
    島雄 周平, 清水 康之, 三原 基之, 臼井 敏明, 河本 裕子
    1973 年 35 巻 4 号 p. 472-476
    発行日: 1973/08/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    汎発性乾癬の1症例に0.02% flumethasone pivalate cream 20g/dayによるODTを19日間連日おこない,その前後を含めて毎日血清11-OHCS値を追求した。血清11-0HCS値は,ODT開始4日ころから軽度の減少を示し11·12日ころまでそれが続いた。その後,前値に近く回復上昇していき, ODT終了時には前値に回復した。血清11-OHCS値の減量のpatternは,同症例にたいする0.025% fluocinolone acetonide cream 20g/dayによるODTの場合に類似していたがその減量の程度は明らかに軽かつた。0.02% flumethasone pivalate creamによるODTの臨床効果は0.025% fluocinolone acetonide creamの場合に比べて劣つていた。以上の結果から,汎発性尋常性乾癬患者に0.02 flumethasone pivalate cream 20g/dayによるODTをおこなう場合,0.025% fluocinolone acetonide creameの場合に比べて経皮吸収による副腎皮質機能抑制の程度は軽いが,その臨床効果も劣ると考えられる。
  • ―速 報―
    相模 成一郎
    1973 年 35 巻 4 号 p. 477-479
    発行日: 1973/08/01
    公開日: 2012/03/24
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    ヒトの正常表皮細胞を培養し,これにvitamin A酸5μg/ml添加せしめた結果,形態的につぎの成績をえた。
    1)増殖してきた角化細胞は管腔様排列を思わしめる形態を示し,細胞間の接合は疎である。
    2)角化細胞内にPAS陽性物質を証明するvitamin A酸の作用機序の要点を文献から引用し,本実験でえた上記成績を考察した。
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