西日本皮膚科
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37 巻, 5 号
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
図説
綜説
症例
  • 松本 幸子, 荒田 次郎, 益田 俊樹, 谷奥 喜平
    1975 年 37 巻 5 号 p. 737-744
    発行日: 1975/10/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    高血圧症, 動脈硬化症の治療中に扁平苔癬様皮疹を生じた6例を報告した。年令は49~77才で, このうち5例はシンナリジンを服用しており, その特徴として1) ほぼ全身に対側性に, そう痒ある滲出傾向の強い暗紫紅色扁平隆起性紅斑ないし丘疹を, 2) 顔面とくに耳介および前額部に瀰漫性紅斑を認め, 3) 多くは口腔粘膜所見を有し, 4) 組織学的に好酸球浸潤と著明な乳頭部の浮腫を伴つた扁平苔癬像を示した。5例ともシンナリジンの内服中止とともに症状は軽快し, その経過より原因薬剤と考えた。発生機序として, 薬剤の生化学的作用, 著積作用の可能性が考えられる。残りの1例はシンナリジンと同様に塩酸ピリチオキシンも服用しており, 皮疹は露出部に限局し, 光アレルギー機序の関与が想定された。
  • ―特異な臨床像を示した1例―
    山本 康生
    1975 年 37 巻 5 号 p. 745-747
    発行日: 1975/10/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    12才女子の左肩甲上部にクルミ大のきわめて軟かく, 光を透過させる偽嚢腫状を呈する淡褐色の有茎性腫瘤が生じた。その内部には小指頭大で不規則凹凸の硬い結節が認められた。圧痛の他に自覚症はない。組織像は定型的石灰化上皮腫であつた。軟かく偽嚢腫状の部には水様液の貯留がみられその周囲の結合組織は疎であつた。酷似した症例が田嶋らにより最近報告されており, きわめて特異な臨床像であるが, 本症のひとつの確実な臨床型と思われ報告した。
  • 城 和男, 丸田 宏幸
    1975 年 37 巻 5 号 p. 748-751
    発行日: 1975/10/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    われわれは1968年Bartらによつて提唱されたacquired digital fibrokeratomaの典型例と思われる症例を経験したので報告した。また1例のみの経験ではあるが, Bartらの提唱以来症例が増加し, 2, 3の問題点が出てきたのでそれらについて考えをのべた。自験例は70才男性で10年前から左第4指掌側に指状の小腫瘍が発生。他指にて触れているうちに2回自然脱落したという。本症例は3回目のものである。臨床的には指状をていし, 基部が少しくびれ, その周囲は堤防状に隆起し硬さは弾力硬で表面は平滑であつた。組織学的には皮表と垂直方向に増殖した膠原線維を軸としてそのまわりを肥厚した表皮が取りかこんでいた。
  • ―脱臭スプレーで治癒した例―
    高島 巌, 岸山 和敬
    1975 年 37 巻 5 号 p. 752-754
    発行日: 1975/10/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    49才男性の陰股部に認められた古典型紅色陰癬に, 市販のdeodorant sprayを噴霧させ, 菌体の消失と臨床症状の軽快を認めた。主剤ビオゾール(isopropylmethylpenol)の抗菌作用によるものと考える。
  • 田辺 義次, 赤松 徹, 前田 哲哉, 岡本 昭二
    1975 年 37 巻 5 号 p. 755-759
    発行日: 1975/10/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    本症の報告は少ないが, けつしてまれなものではない。著者らは, 19, 24, 38才の男子例を経験した。臨床像は3例ともほぼ同様で, 軟骨様硬の索状硬結が陰茎包皮の冠状溝への移行部に蛇行状に認められた。性病歴なく, そのほかの既往歴にも本症との関連性が疑えるものはなかつた。また外国の症例で強調されている性交渉との関係は認められなかつた。組織学的特徴はリンパ管壁の肥厚ないし硬化である。肥厚した壁は結合織が大部分を占め, これに浮腫性変化とわずかのリンパ球および組織球が混在している。内腔は壁の高度肥厚のため, また肥厚に加えて内壁に付着した血栓様構造ないしその器質化のため狭小化, ときに閉塞状態になつている。きらに電顕的に内皮細胞を観察し, 光顕像とあわせて硬化性リンパ管炎と考えた。とくに治療せずに経過観察, 6~8週で略治の状態になつた。病名および「異所性モンドール病」について若干の文献的考察を行なつた。
  • 井村 春光
    1975 年 37 巻 5 号 p. 760-762
    発行日: 1975/10/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    25才男子の顔面に臨床的にも組織学的所見も典型的な播種状粟粒性狼瘡をみ, 頭部にやや隆起した脱毛斑があり, 組織学的に類上皮細胞の集団を特徴とする所見から尋常性狼瘡を併発したと考えられる1例を報告した。
  • 大山 勝郎, 小野 友道, 勝屋 弘忠
    1975 年 37 巻 5 号 p. 763-769
    発行日: 1975/10/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    患児は2才6ヵ月の女児, 昭和48年12月1日, 誤まつて沸き上つた浴槽に転落した。II~III度, 受傷面積94%で当科へ緊急入院した。ただちにICUと協同で治療に当り, 型のごとく補液, 抗生剤, 経管栄養などを行ない, 局所にゲンタマイシン軟膏を主とする外用療法を施した。その後, 緑膿菌感染が著明で上皮形成が見られず, 高熱が続くので, 37病日に34人の健康成人より採皮し, 同様植皮を行なつた。その結果, 上皮形成がかなり捉進され, 緑膿菌感染も改善された。しかし高熱と一般状態不良のため, 4ヵ月後2回目の同種植皮を行なつたが1回目ほどの効果はなかつた。薬浴療法も供用し, 緑膿菌, カンジダ感染症にたいしクレゾール浴, ポリミキシンB浴, アンホテリシンB浴を行ない奏効した。これら薬剤による副作用は見られなかつた。またこの間12回にわたり自家植皮を行ない, 受傷後7ヵ月で上皮が完成し, 入院後8ヵ月で軽度の瘢痕拘縮があるが元気に歩行退院した。
研究
  • 松本 忠彦
    1975 年 37 巻 5 号 p. 770-779
    発行日: 1975/10/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    慢性皮膚粘膜カンジダ症の4例を中心に, 皮膚カンジダ症における免疫学的検討をおこなつた。慢性皮膚粘膜カンジダ症と限局性表在性皮膚カンジダ症(カンジダ性間擦疹, カンジダ性爪囲爪炎, カンジダ性指間びらん症)との比較を試み, 慢性皮膚粘膜カンジダ症においては液性免疫の亢進と遅延型皮膚反応や移植免疫などの細胞性免疫の低下が認められ, この結果は「免疫デビエーション」に類似していることを明らかにした。マウスにおけるカンジダ感染実験によつても, あらかじめ細胞性免疫をも促進するような免疫をおこなつた群には感染防禦が認められるが, 液性免疫のみ亢進するような免疫方法で免疫した群は, 対照群よりむしろ早く死亡する結果がえられた。著者はこれらの結果から, カンジダ感染症において免疫デビエーションが起こりうること, 特異な一型である慢性皮膚粘膜カンジダ症の感染理論のひとつとして免疫デビエーション現象が考えられると推測した。
  • 長谷川 輝彦, 義郎 宗, 中井 栄一, V. D. RAJAN
    1975 年 37 巻 5 号 p. 780-784
    発行日: 1975/10/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    T. mentagrophytesを新しい電顕研究法のひとつであるfreeze-etching法で観察した。細胞壁は特徴あるパターン構造が見られた。三次元的観察による本菌の微細構造を示した。
  • ―皮膚生理機能と皮膚病変―
    原田 種雄
    1975 年 37 巻 5 号 p. 785-795
    発行日: 1975/10/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    皮膚と視床下部―下垂体―副腎皮質系機能との関連を検討して以下の成績を得た。ラットの副腎を摘出すると皮膚毛細血管抵抗(CR)は減弱し, 寒冷負荷皮温復元時間(RT)は延長し, 皮膚酸化還元指数(TRI)は上昇した。下垂体を摘出するとCRは強し, 皮膚は茶褐色化し, 乾燥して粗造となつた。家兎の視床下部を破壊するとCRは減弱, RTは延長, TRIは上昇し, 経過中に非特異的な一過性の紅斑と耳介の欠損を生じた。家兎をisolation環境下で飼育するとCRは減弱RTは延長し, 頸部, 四肢に脱毛と皮膚炎が生じたが, 再適応するにつれて, 皮膚生理機能は復元し, 皮膚炎症状は消失した。ラットはisolationにより一部に円形の脱毛病巣を生じた。
  • ―オートラジオグラフィーによる検索―
    竹田 勇士, 西尾 千恵子
    1975 年 37 巻 5 号 p. 796-801
    発行日: 1975/10/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    1) 3H-Clobetasol 17-propionate含有外用剤の皮膚吸収をオートラジオグラフィー法で検索した。
    2) 経時的観察において, 短時間ODTにより皮膚付属器に良好な現像銀粒子沈着をみとめ, 数時間で定常状態に達した。
    3) 外用剤除去後24時間目に皮膚貯留現象をみとめた。
    4) 銀粒子沈着のパターンは表皮, 付属器ともに良好にみられ, betamethasone 17-valerateのそれに類似した。
    5) 1時間単純塗布で, in vivoin vitroの所見に差がみられた。
  • ―第1報 尿素溶液が角質水分保持量におよぼす効果―
    手塚 正, 村松 豊二郎, 稲木 敏男
    1975 年 37 巻 5 号 p. 802-807
    発行日: 1975/10/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    Cow snoutおよびcow hoof皮膚を1cm2の大きさに切つた後, クリオスタットを用いてそれぞれ30μm, 100μm, の厚さの角質標本を作り尿素溶液浸漬後の水分保持能力の差を比較した。尿素溶液に浸漬した際, 水分量の増加は両者ともにみとめられ, とくにcow snoutにおいて著明でcow hoofの約3倍であつた。この水分量の増加は角質切片中に浸透した尿素量の増加に比例し, 尿素と結合した水の増加によるものであることが明らかとなつた。Cow snoutおよびcow hoof角質切片中の成分を検討したところ, cow snout角層はDOCおよびアルカリ性尿素不溶性蛋白質(肥厚細胞膜由来と考えられる)あたり, ケラチン線維および線維間蛋白質の量がcow hoof角層に比較して少なかつた。この成分の差が尿素の浸透性の差を生じる主たる因子と考えられた。
講座
統計
  • II. 接触皮膚炎について
    内平 孝雄
    1975 年 37 巻 5 号 p. 813-821
    発行日: 1975/10/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    Following results were obtained by clinical and statistical analyses of the patients of contact dermatitis observed at the dermatological department of Yamaguchi University Hospital for 10 years from 1964 to 1973. 1) The outpatients observed in this period were 29, 440 in number and comprised 2, 394 cases of contact dermatitis (8.1%); 2) The incidence rate of contact dermatitis at the age decade increased in number rapidly in the second decade and remained on nearly the same level till the sixth decade. Then followed a trend of gradual decrease with increasing of age after the seventh decade. 3) Suspected contactants for the contact dermatitis of 648 patients were found to be cosmetics, drugs, plants and insects, rubber, clothes and ornaments, and soaps and cleansers. 4) by patch testing, 67.1% of 82 cases suspected of contact dermatitis due to cosmetics were proved positive for cosmetics, and basic cosmetics were found positive more frequently than makeup cosmetics; 5) of drug suspected of the contactant, topical drugs for the eczema, sterilization chemicals and disinfectants, antimycotics, and eyewashes were found to become the causative agent for contact dermatitis frequently in the order of decreasing frequency.
治療
feedback
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