40数年らい左顔面のクロモミコーシスに罹患, 初診時(34才)には結核様型, 再診時(44才)には乳頭状型に移行していた。アンホテリシンBの静注, 局注で軽快したが, 中止により再燃し, 左頬, 眼瞼, 鼻, 下顎, 頸におよんできた。組織から
Phialophora dermatitidisを分離したが, 5-FCの本菌にたいするMICは15.6mcg/mlであつた。昭和50年2月(51才)から5-FC 7.5g/日内服し, 10ヵ月でほとんど治癒状態となつたが下眼瞼部の皮疹のみは消失しなかつた。限局した皮疹にアンホテリシンBの局注を再開し治癒させた。本例は5-FCにより著効を示したが, 皮疹が限局し経過が遷延した場合, 本剤にたいして耐性菌が生じやすい点から他の療法と併用しすみやかに治癒状態とすることが必要であると考えられた。
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