皮膚疾患の外用治療において優れた臨床効果を有し, かつ比較的全身影響が少ないといわれている副腎皮質ホルモン剤0.1% hydrocortisone 17-butyrate cream(以下0.1% HBC)の外用時の全身的影響(主に下垂体―副腎皮質系を中心として), 臨床効果, ならびに副作用について0.12% betamethasone 17-valerate cream(以下0.12% BV-C)を対照とし二重盲検法に準じ比較検討した。
1) 全身的影響 副腎皮質機能正常皮膚疾患患者39名に0.1% HBC, 0.12% BV-Cをおのおの20g, 30g, 40g密封包帯療法(以下 ODT)で塗布し, その結果0.1% HB-C処置群, 0.12% BV-C処置群の血漿cortisol値, 尿中 17-OHCS値は減少傾向を示したが, 0.1% HB-C処置群は0.12% BV-C処置群に比べその減少は緩慢であり, 初期値への回復はよりすみやかであつた。また0.12% BV-C処置群における血漿cortisol値は用量相関的な減少傾向を示したが, 0.1% HB-C処置群では投与量による相関性は認められなかつた。
2) 臨床効果 尋常乾癬, アトピー皮膚炎, その他の汎発性湿疹にたいする0.1% HB-C, 0.12% BV-Cの臨床効果をあわせて比較検討したが, 両薬剤間にほとんど差異は認められなかつた。
3) 副作用 試験薬剤処置期間中の副作用は毛包炎6例であり, その内訳は0.1% HB-C 4.5%(22例中1例), 0.12% BV-C 29.4%(17例中5例)と有意差を認めた。
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