西日本皮膚科
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42 巻, 5 号
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図説
綜説
症例
  • 恒吉 香保子, 和田 秀敏
    1980 年 42 巻 5 号 p. 773-778
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2012/03/22
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    65才男子例を報告した。本症例は排尿困難と真性包茎を主訴とし, 包皮先端は境界明瞭な白色弾性硬の局面を呈しており, 組織学的に典型像を示した。本症の本邦報告38例について若干の文献的考察を行なつた。
  • 浜田 聖子, 大山 勝郎, 前川 嘉洋
    1980 年 42 巻 5 号 p. 779-783
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    15才女子と28才男子の2例を報告し, あわせて昭和41年より53年までの13年間の報告例178例と自験例について統計的観察をふくめ種々の検討を加えた。
  • 佐藤 恵実子, 今山 修平, 幸田 弘
    1980 年 42 巻 5 号 p. 784-790
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    70才男子の右上腕にみられた腫瘍について電顕による観察を行なつた。その結果, 光顕による観察でみられたclear cellの細胞質に多量のglycogenが蓄積していることを確認した。また, 嚢腫中心部の均一無構造な好酸性物質は, いわゆるtrichilemmal keratinizationの所見ではなく, 壊死の所見を呈した。以上の電顕所見と光顕所見から, 自験例を嚢腫形成傾向を有するtrichilemmomaと診断した。
  • 松永 佳世子, 酒井 勝彦, 平松 三芳, 矢崎 喜朔, 上田 宏
    1980 年 42 巻 5 号 p. 791-795
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2012/03/22
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    48才女子の左手掌の臨床的にはまつたく色素沈着を欠く胼胝腫様結節を生検した。組織学的には, nevus of large spindle and/or epithelioid cells(若年性黒色腫)と類似したsuperficial spreading melanomaあるいはpagetoid型のprimary amelanotic melanomaで, 光顕, 電顕所見, およびnevus of large spindle and/or epithelioid cellsとの鑑別を文献的考察も加えて報告した。
  • 丸尾 充, 上田 恵一, 安野 洋一, 沖 守生
    1980 年 42 巻 5 号 p. 796-801
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2012/03/22
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    76才男子の右大腿後面に生じたhidroacanthoma simplexを報告した。組織学的には, intraepidermal epitheliomaの像を示し, 胞巣内には均一な好塩基性細胞からなるporoma様のところと, 細胞, 核の大小不同, cluumping cellなどからなるBowen病様のところがあつた。電顕的には, 表皮内の異型性を示す細胞は, 多核で切れ込みが多く, 細胞間は不規則に開大して管腔がありミクロビリーの突出がみられた。また本腫瘍の位置づけについて若干の考察を加えた。
  • 杉本 憲治, 中野 洋子, 清水 正之, 中村 保夫, 辻 幸太
    1980 年 42 巻 5 号 p. 802-810
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2012/03/22
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    それぞれ異なつた皮膚症状を呈した成人T細胞白血病の3例を経験した。症例1は50才男子で半米粒大の紅色丘疹が躯幹, 四肢に密に集簇してみられ, とくに躯幹では丘疹のため正常皮膚を残していない。症例2は88才男子で剥脱性紅皮症を呈している。症例3は56才女子で上肢, 背部に米粒大の紅色丘疹が散在性に見られる。皮膚組織学的所見では浸潤細胞は核に切れ込みを有するリンパ球様細胞で, これらの細胞は症例1では真皮上層の血管周囲に限局してみられ, 症例2では真皮上層から深層まで広範囲に浸潤し, 表皮ではPautrier微小膿瘍を形成している。症例3では真皮上層に瀰漫性に浸潤し, 表皮への侵入像もみられるがPautrier微小膿瘍の形成は認められない。皮膚浸潤細胞の電顕像では, 核はクロマチンが核周囲で濃く, 切れ込みを有している。症例2ではこれらの切れ込みを有する細胞のほかに, 大型で核に切れ込みのない芽球様の細胞が多数認められた。
  • 三好 紀, 西 寿一, 野中 薫雄
    1980 年 42 巻 5 号 p. 811-818
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    Pseudoxanthoma elasticumの2例について報告した。症例1は30才女子で20才ころより黄色皮疹が出現し, 妊娠ごとに皮疹が増大してきた。家族内に同様の皮疹を有しているものが1名みられた。皮疹の組織所見では弾力線維の変性, 断裂, Caの沈着が認められ, 眼底所見では網膜色素線条がみられた。症例2は47才女子で幼児期より発症していたが放置していた。家族内に同様の皮疹を有しているものが2名みられた。高血圧と脳内出血があつたが血管造影では異常はみられなかつた。皮疹の組織所見は症例1と同様であつた。眼底所見では網膜色素線条と梨地様眼底がみられた。また本邦204例の統計学的観察をおこなつた。
  • 畑 陽子, 高岩 堯
    1980 年 42 巻 5 号 p. 819-821
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    約1年間に3例の真正皮膚結核を経験したので報告した。2例は臨床, 組織所見より容易に診断が確定した。しかし1例は臨床所見からは壊疽性膿皮症が疑われ, 組織所見も非特異的であつたため結核菌が培養されるまで皮膚結核は疑わず, ステロイドの内服治療を行なつた。約6ヵ月後培養結核菌の同定により皮膚腺病と診断し, 抗結核剤投与を開始したが, その後病巣部はすみやかに瘢痕治癒した。最近結核患者が減少するに伴ない皮膚結核をみる機会も減つているが, 的確, 迅速な発見のためには菌培養その他検査の労を惜しまぬ必要性を強調した。
  • 田中 敬子, 三原 基之, 神戸 直登, 川口 俊夫
    1980 年 42 巻 5 号 p. 822-826
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    汎発性膿疱性乾癬の治療経過中に, 膜様の広範な表皮剥離とその周辺でのNikolsky現象が出現した2例を経験した。これらの症例は一見臨床的にtoxic epidermal necrolysisに類似していた。病理組織学的に第1例は表皮下水疱, 第2例は角層下水疱であつた。第2例では, 抗生剤の貼布試験にて著明なpustular patch test reactionをみたことにより, 抗生物質過敏症が汎発性膿疱性乾癬の誘因と考えられた。
研究
  • 沼田 恒実, 矢村 卓三, 山本 昇壮
    1980 年 42 巻 5 号 p. 827-830
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    I型アレルギー反応における白血球からのヒスタミン遊離がdeuterium oxide(D2O)によつて増強されることは, よく知られている。今回の実験では, ダニおよびハウスダスト抗原をもちいて, 慢性蕁麻疹患者白血球からの抗原特異ヒスタミン遊離におよぼすD2Oの効果を検討した。その結果, 慢性蕁麻疹患者白血球からのこれらの抗原による試験管内ヒスタミン遊離反応は, D2Oの存在によつて増強され, D2Oの存在下で抗原特異ヒスタミン遊離がみられる症例数の割合は, D2Oの存在しない実験条件下でみられる割合よりも著明に増加した。このD2Oの効果は, 白血球からの抗原特異ヒスタミン遊離をもちいて慢性蕁麻疹の抗原を検索する場合に有益と思われる。
  • 佐藤 悦久, 勝村 芳雄, 市川 秀之, 小林 敏明, 中嶋 啓介
    1980 年 42 巻 5 号 p. 831-837
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    ヒトで起こる光感作性接触皮膚炎を的確に反映しうる動物試験法をモルモットを用いて検討した。ここでの試験法はフロイント完全アジュバントを皮内注射することにより動物の感受性を高めると同時に, 角質層をセロファンテープでストリップして被験物質および光線の皮内への透過性を高めている。また, 中波長紫外線(280∼320nm)の照射の必要性にも検討を加え, 長波長紫外線のみでも光感作が成立することを確認した。この試験法によつて, 従来動物を用いた実験系で光感作性を捕えることの難かしかつた6-methyl coumarinおよびbithionolの光感作反応を的確に捕えることが出来た。また, 6-methyl coumarinとbithionolの最大吸収波長は276nmと308nmにあり, 今回実験に用いた長波長紫外線は320∼400nm(λmax=360nm)であることより, かならずしも物質の最大吸収波長と照射波長が一致する必要のないことを示唆する結果をえた。
  • 下川 優子, 平原 昭子, 田代 正昭
    1980 年 42 巻 5 号 p. 838-842
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    Basal cell carcinoma 8例, squamous cell carcinoma 11例, malignant melanoma 7例, mycosis fungoides 16例, malignant lymphoma 16例, その他の皮膚悪性腫瘍6例について末梢血IgG-FcR+ T cellの検索を行なつた。MF 6例, ML 10例では, 皮膚腫瘤およびリンパ節からの遊出細胞についても検索した。その結果はつぎのようであつた。
    1. 平均値においてはcontrol群にくらべ有意に増加および減少を示す疾患はなかつたが, MF, MLでは著増を示す症例が存在した。
    2. 治療による比較では, 有意差をみとめなかつた。白血化を示す症例では低値を示した。
    3. Stageが進むにつれ, MLでは減少傾向, MFでは増加傾向を示し, MMでは不変であつた。
    4. MF, MLの組織よりの遊出細胞では, すべて低値を示した。
    5. 常に高値を示すMFの1症例と常に低値を示すMFの1症例があり, IgG-FcR+ T cellは, suppressorとしてのみだけでなく, 他の機能を有するものも含まれているのではないかと思われた。
  • —0.1% Diflucortolone Valerate軟膏単純塗布の場合—
    阿曽 三樹, 井上 多栄子, 川口 俊夫, 三原 基之, 藪田 良子, 島雄 周平, 河本 裕子
    1980 年 42 巻 5 号 p. 843-848
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    各種皮膚疾患患者5例に0.1% diflucortolone valerate軟膏を10∼40g/day単純塗布し, 血清11-OHCS値, 尿中17-OHCS値, 末梢循環好酸球数および血糖値を測定した。血清11-OHCS値は10g/day塗布2例で変化なく, 30g/day塗布2例で軽度の低下傾向がみられ, 40g/day塗布1例で明らかに低下した。0.1% diflucortolone valerate軟膏は臨床効果に比較して, 副腎皮質機能抑制の軽いコルチコステロイド剤と考えられた。
  • 水野 惇子, 石原 勝
    1980 年 42 巻 5 号 p. 849-856
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    コルチコステロイド外用剤の諸疾患病巣における至適濃度に関する検索は, 今日までほとんど行なわれていない。著者らは湿潤型湿疹, 苔癬化型湿疹および尋常乾癬を対象とし, 市販濃度である0.12%の吉草酸ベタメタゾン軟膏と, その10倍, 5倍, 2.5倍, 1/2, 1/4, 1/8, 1/16, 1/32濃度の試験試料の臨床効果を比較検討した。その結果, 吉草酸ベタメタゾン軟膏では臨床効力の濃度依存性は, 3疾患群中もつとも難治性の尋常乾癬の場合に強く認められ, 苔癬化型湿疹がこれにつぎ, 湿潤型湿疹がもつとも弱いことが明らかにされた。したがつて外用コルチコステロイドの至適濃度は対象疾患によつて相違することを, 今後の検索においても充分考慮すべきであると考える。
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