放射線照射によると思われる80才女子のmalignant fibrous histiocytomaの1例を報告した。約50年前,結核性リンパ節炎を切除,放射線治療を受け,15年前,同部位が発赤,腫脹してきたため1年間にわたり放射線照射を受けた。初診時,右側頸部に6×3×1cmの腫瘤を認めた。切除,植皮術を行なつたが局所再発傾向が強く,冷凍凝固術,
60Co照射などを試みたが救命し得なかつた。組織学的には,異型性を示すfibroblast様細胞とhistiocyte様細胞が増殖しており,storiform pattern,bizarre giant cellを認めた。本邦における放射線肉腫報告例24例を蒐集,自験例を含めて臨床統計的検討を行なつた。注目すべきは,照射原疾患として,最近子宮癌や乳癌などの悪性腫瘍群が増加傾向を示すことである。
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